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目指したのはパッケージゲームのクオリティ。ブラウザゲームの概念を覆す「フラゴリア」開発スタッフインタビュー
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印刷2009/09/09 11:00

インタビュー

目指したのはパッケージゲームのクオリティ。ブラウザゲームの概念を覆す「フラゴリア」開発スタッフインタビュー

DatcroftのSergey Sholom氏
画像集#002のサムネイル/目指したのはパッケージゲームのクオリティ。ブラウザゲームの概念を覆す「フラゴリア」開発スタッフインタビュー
 MMORPG「フラゴリア」は,新生オンラインゲームポータル「アクワイアオンライン」の記念すべきサービス第一弾タイトルだ。フラゴリア最大の特徴は,Adobe Flash上で動作する,すなわちブラウザゲームでありながら,本格的な2D MMORPGとして仕上がっている点。実際,スクリーンショットを見ると,これまで日本で展開されてきた多くのブラウザゲームとは明らかに一線を画したクオリティを確認できる。
 そして,もう一つの大きなポイントは,このタイトルがロシアで開発されたということである。いったい,なぜロシアの地でこんな大作ブラウザゲームが企画・開発されたのか,開発元DatcroftのSergey Sholom氏が来日した機会に,お話を聞いてみた。

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「フラゴリア」公式サイト

「フラゴリア」プレイレポート

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高クオリティなブラウザMMORPGの開発は
ロシアのゲーム事情に端を発した


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 Sholom氏は,フラゴリアの大きな特徴として,まず色鮮やかで美しいグラフィックスを挙げる。ブラウザゲームでありながら,美しいグラフィックスのMMORPGをプレイできること。これこそが,フラゴリアが数あるブラウザゲームとの大きな差別点となっているわけだ。
 そもそもブラウザゲームは,インターネットに繋がるPCさえあれば誰でもプレイできるように設計される。必然的に,システムやグラフィックスは簡素で軽くなるよう設計するのが普通だ。しかしフラゴリアは,そういった発想とは異なるベクトルで開発されている。Sholom氏は以下のように語る。

「以前のロシアでは,パッケージゲームを海外から輸入し,ローカライズしたものを主に流通していました。そして,7年ほど前からオンラインゲームがブームになり,ヨーロッパ製の多くのブラウザゲームが輸入されるようになったんです。しかし,それらはゲームとして面白くとも,内容の深さやグラフィックスといった点では到底パッケージゲームには及びません。そこで,これまで世界でも例を見ないようなクオリティの高いブラウザゲームを作ろうと考えたのです。フラゴリアで,従来のブラウザゲームの概念を覆そう,と」(Sholom氏)


 Sholom氏が20人前後の開発者とともにDatcroftを設立し,フラゴリアの開発を始めたのが約3年前。そして1年半ほど前に自社でサービスを開始したところ,わずか半年でロシアの大手パブリッシャから契約の声がかかったという。さらにブラウザゲームが世界的に注目されている現在では,各国のパブリッシャから引く手あまたの状態だ。フラゴリアはこれまでロシアとドイツで正式に展開し,中国で4回のβテストを実施しているが,今回の日本におけるサービス開始を皮切りに,北米,台湾,香港,フィリピン,マレーシアでも相次いで展開するという。一般的なブラウザゲームよりサービス開始までの開発期間を長く取っていることもそうだが,そのあとのトントン拍子ともいえる展開が,フラゴリアのクオリティの高さを物語っているといえる。

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 現在,ロシア市場では基本プレイ無料のブラウザゲームが主流であり,大都市以外のインフラが整備されていないことから,通常のクライアント型のMMORPGは普及しにくい。そういった事情から生まれたフラゴリアだが,MMORPGに必要な要素を詰め込み,美麗なグラフィックスにこだわった結果,ほかのブラウザゲームよりも環境にデリケートな仕様となり,ロシアの郊外地域では若干プレイに支障が出てしまうほどだそうだ。こういった教訓から,本作の高いクオリティを維持するため,フラゴリアを海外展開する際は,必ずその国にサーバーを置くようにしているとSholom氏は付け加える。


既存のMMORPG要素は2009年内にほぼ網羅
日本向けに手を加えることも大歓迎


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 MMORPGとしてのフラゴリアは,オーソドックスなものを一通り揃えている。スキルを使った戦闘システムに始まり,ダンジョン探索,グループを組んでのボスモンスター討伐といったところはもちろんのこと,ペットシステムやコミュニティとしてのギルド機能,あるいはオークションシステムも存在する。
 うっかりするとブラウザゲームであることを忘れてしまいそうだが,それでもまだまだSholom氏はやりたいことのすべてを再現できていないという。実現できない要素の大半はFlashの仕様に起因するものであり,今後のFlashのバージョンアップに期待するしかないそうだ。

 Sholom氏は「Microsoft Silverlight」にもフラゴリアの可能性を見出しており,それは3Dグラフィックスで表現されるフラゴリアだという。というのも,そもそもフラゴリアに登場するオブジェクトはすべて3Dモデルとして作られており,それを2Dに落とし込んだうえでグラフィックスのブラッシュアップを図っているのである。現在のSilverlightでは,まだまだ納得がいくようなクオリティの3D表現はできないが,将来的にバージョンアップを重ねていけば決して不可能ではないかもしれないと,Sholom氏は期待を込めてコメントした。

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 そういった将来的な展望とは別に,向こう1年におけるフラゴリアの具体的なアップデートも決まっている。まず日本では,最新のバージョン3.0を実装した形でサービスが開始される。これは先行しているロシアやドイツと同じバージョンで,日本では最初から充実したコンテンツを楽しめるのだ。
 続いて2009年内に「クラフトシステム」が実装される。これはいわゆる生産システムで,素材を集めてアイテムを作ったり,あるいはアイテムを解体して素材に変換したり……というもの。Sholom氏によれば,このシステムの実装で,既存のMMORPGに存在する代表的な要素は,ほぼ網羅されるとのこと。さらに2010年には,ギルドの存在意義を高めるために「領地戦」「攻城戦」のようなシステムを導入する。すなわち特定領域の占有権をめぐってギルド間で争うわけだが,そこにギルドメンバーが素材を持ち寄って城などの建築物を建てられるというのだから楽しみだ。

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 Sholom氏は日本で展開するにあたり,ゲームの根底を覆すようなものではない限り,フラゴリアに大きく手を加えても構わないと考えている。例えば,ロシアではボスモンスター討伐はグループでないと倒せない設定にしているが,ソロプレイを好む人が多い日本では,プレイヤーが一人でもギリギリ倒せるくらいのバランスにすることを考えているそうだ。実際,中国のβテストでは,そういった調整にしてテスターの反応を確かめたりもしている。

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 また,どちらかといえば“綺麗”“格好いい”といったフラゴリアのグラフィックスを,日本プレイヤーの好みに合わせて“可愛い”のベクトルに変えていくことも辞さないとのこと。とはいえ,これは今日明日すぐに変更できるものではないし,同じ日本の中でも既存のMMORPGプレイヤーとブラウザゲームプレイヤーでは若干好みの傾向が異なるというデータもあるので,もう少し検討する時間が必要だろう。その上でSholom氏は,現行のフラゴリアにもペットのモーションなど非常に可愛らしい表現があるので,ぜひ実際に確認してほしいと付け加えた。

 さて4Gamerでは,フラゴリアが実際にどういったゲームなのか,引き続きお伝えしていく予定なので,興味のある人はぜひチェックしていただきたい。それでは最後にSholom氏からメッセージをいただいたので,掲載しておこう。

「まずは,日本でサービス展開できるというビッグチャンスを与えてくれた皆さんに感謝します。日本の皆さん,ぜひフラゴリアをプレイしてみてください。ブラウザゲームだから,一度サービスを開始したら開発を止めてしまうのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが,そんなことはありません。私達は,フラゴリアをより綺麗に,より面白くするために,昼も夜も働いていますよ!」(Sholom氏)


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