インタビュー
iPhoneで話題のシューティング「スペースインベーダーインフィニティジーン」が,Xbox 360とPlayStation 3に登場! 開発陣と,インベーダー生みの親・西角友宏氏にインタビュー
本作は,ビデオゲームの原点である「スペースインベーダー」に,“進化”をテーマとした大胆なアレンジを施した,スクロールタイプのシューティングゲームだ。
iPhone版では先日ゲームのアップデートにより,「ダライアス」など,過去のタイトーの名作シューティングの自機を使えるアドオンもリリースされ,発売からひと月半が経過した今なお,有料アプリの人気タイトルとして,ランキングを賑わせている。
さて,そんなスペースインベーダーIGが,本日(9月15日)より,Xbox 360(Xbox LIVE Arcade)とPlayStation 3(ダウンロード販売)向けにも配信される。
これは,ただiPhone版を移植しただけでなく,HD機向けにチューニングし,さらに3Dステージを追加した豪華版である。
今回,本作のリリースを記念して,スペースインベーダーIGの開発陣に開発秘話を聞くとともに,スペシャルゲストとして“インベーダーの生みの親”西角友宏氏から,本作へのメッセージなどをいただいた。
株式会社タイトー ON!AIR事業本部 ディレクター 石田礼輔氏 スペースインベーダーIGの開発ディレクター。これまでもモバイル関連のアプリの開発に携わり,代表作に「トランスピンボール」「スピカ★アドベンチャー」などがある。本人はインベーダー世代ではないが,自ら筐体を購入するほどリスペクトしている |
株式会社タイトー ON!AIR事業本部 サウンドクリエイター 小塩広和氏 タイトーのサウンドチーム“ZUNTATA”に所属し,本作のサウンドを手掛ける。ニンテンドーDSで発売された「スペースインベーダーエクストリーム」シリーズなど,近年のインベーダー関連製品のサウンドを一手に引き受けている |
株式会社ドリームス 会長 西角友宏氏 今から32年前の1978年,世に「スペースインベーダー」を送り出した,元タイトーの伝説的クリエイター。当時はゲームデザインはもちろん,開発ツールの制作からハードウェア設計まで1人で手掛けていた。現在は開発スタジオ・ドリームスの会長 |
「スペースインベーダー インフィニティジーン」公式サイト
「スペースインベーダー」から始まる
シューティングゲームの進化を表現
4Gamer:
本日はよろしくおねがいします。
まずは,この「スペースインベーダーインフィニティジーン」を開発するに至った経緯をお聞かせください。
石田礼輔氏(以下,石田氏):
もともとは,2年前の“スペースインベーダー30周年”を記念して,新たなインベーダー作品を作ろうというのがきっかけでした。家庭用ゲーム機では,PSPとニンテンドーDSで「スペースインベーダーエクストリーム」を発売していましたので,モバイルではまた違ったアプローチでという話になったんですね。
僕自身,スペースインベーダーもシューティングゲームも大好きだったので,ぜひ作らせてほしいと立候補したんです。そして2008年の30周年に,まずは携帯電話向けにリリースして,2009年にiPhone版をリリースしました。
4Gamer:
今回,リリースが決まったXbox 360版とPS3版は,iPhone版が元になっているんですね。
石田氏:
はい。iPhone版をそのまま移植するだけでなく,新しいフィーチャーなどを入れていて,iPhone版よりさらに先のステージまで“進化”するようになっています。難度としては,最初は比較的間口を広くしているんですが,先に進めば多少難しくなるかもしれません。
この小塩が,実はあまりシューティングが上手くなくて,iPhone版と同じステージまでは彼がプレイしても先に進めるような難度にしてはいるんですが……,新しいステージは彼がクリアできるかどうか分かりません(笑)。
小塩広和氏(以下,小塩氏):
いやいや,そこまで難しくはないと思いますよ(笑)。
石田氏:
だって途中まで無敵モードでテストプレイしてたじゃない。それで「これ簡単すぎない?」って言ってましたからね。
このゲームは,最初に高い難度で作って,そこからどんどん難度を下げていく形で作ったんです。だから,開発中のバージョンは確かに難しかったんですよね。
完成版はiPhone版を触っていただくとわかるように,シューティングの面白さを知っていただくための入門編としても楽しめるようになっています。まあ,さっきの発言は冗談で,最終的にはちゃんと小塩もクリアできてましたし。
4Gamer:
なるほど。
本作の,“進化”をテーマとしたスクロールタイプのゲームという内容は,どのようにして決まったんでしょうか?
自分の中で最初の案は,従来のスペースインベーダーの形を受け継いで,左右移動のみの正統進化した形と,現在の形の二つがありました。
前者はすでに「スペースインベーダーエクストリーム」で実現していましたから,正統派はそちらに任せて,こちらはもう少し突飛で飛び道具的な内容にしようと決めたんです。
4Gamer:
それでも一目見れば,「あ,インベーダーだ!」って分かるのが凄いですよね。
石田氏:
今の若い世代は,スペースインベーダーというゲームについて,内容よりもゲーム文化の象徴的なアイコンとして認識している人も多いと思うんです。
そういう世代に対して,スペースインベーダーの偉大な部分を知ってもらいたかったという意味合いもあります。スペースインベーダーを起源となって,現在のゲームに与えた影響や,シューティングゲームの歴史の始まりを表現するために,“進化”という要素を組み込みました。
4Gamer:
確かにゲームとしては,オリジナルとはかなり違う内容ではありますね。
石田氏:
どうせやるのなら「これってスペースインベーダーじゃないよ」と言われるところまで,徹底的にいじってしまったほうが,コンセプトが明確になると考えたんですよね。
ここまで進化してきたことを伝えつつ,当時の雰囲気をどこかに残していくという点は,デザイン時に苦労したところでもあります。
4Gamer:
その中で,とくに重視していたのは何でしょうか?
石田氏:
インベーダー自体が16ドット×16ドットの凄くシンプルなデザインなので,ほかの敵キャラクターと一緒に出たときに上手く馴染むようにしないと,インベーダーである意味が無くなってしまうんですよね。
さらにゲーム中のシーンに必ずインベーダーを組み込んで,おいしいところすべてを持っていかせるようにして,できるだけビジュアルイメージは崩さないように努力しました。
要所要所で出てきますね,あいつ(笑)。
石田氏:
ええ。色についても,キャラクターはすべて白を基調にしているんですが,あれもオリジナルのモノクロバージョンをリスペクトしているんですよ。
こうしたものが,ゲームが進むにつれて進化していくことで,昔のシューティングと今のシューティングが一本の線で繋がるイメージを表しました。
4Gamer:
「インフィニティジーン」というタイトルの由来はそのあたりにあるんでしょうか?
石田氏:
はい。直訳すると“無限の遺伝子”という意味です。そこに,このゲームのテーマに沿って,無限に進化していくという意味,メッセージを込めています。
……「スペースインベーダー インフィニティジーン」って,ちょっと長いんですが,実は最初に決めたタイトルだったんですよ。それが正式名称になって,僕は満足しています。
マニアックではない
シューティングの楽しさを追求
4Gamer:
スペースインベーダーの原点を作り上げた西角さんは,本作をご覧になってどんな印象を持ちましたか?
西角氏:
iPhone版を拝見したとき,凄くテンポのいいゲームだと感じましたね。最近のシューティングのように,弾がたくさん出てくるようなマニアックな形でもなく,僕のような年齢でも遊びやすかったです。
雰囲気も,今の時代に合うよう,うまくまとまっていましたね。スペースインベーダーというのは誰もが遊べたシューティングでしたので,それに則って作っていただいているのはありがたいと思いますよ。
4Gamer:
制作時に,そのあたりは意識しましたか?
石田氏:
弾幕シューティングにしなくてよかった(笑)。
僕自身,スペースインベーダーに思い入れが強くて,世界中の人に遊んでもらえるような,ゲームのスタンダードであってほしいという思いがあるんです。だから,一部の人にしか遊べないような内容にはしたくなかったんですよ。
もちろん弾幕シューティング自体は僕も好きで,実際に遊んでいるんですが,画面を見て遊ぶ前から拒絶反応を起こしてしまう人も必ずいると思うんです。
4Gamer:
とにかく難しそうに見えますもんね。
石田氏:
ええ。ですから,まず本作でシューティングの面白さを分かっていただいて,そこから現在の弾幕シューティングへと流れていただくような,架け橋を担うゲームを目指したというのもありました。
4Gamer:
確かに,シューティングの原点的な楽しさはありますね。
石田氏:
ありがとうございます。
それと,遊んでいる人が格好良く見え,プレイヤー自身も格好良くプレイできていると感じられるゲームにしようという点にも気を配りました。
実は敵の弾が多くて見た目はかなり難しいと思える場所でも,ちゃんと避けられる場所があって,そこを見つけることで「あ,俺上手いかも」って思えるんですね。いわゆる安全地帯的なものを結構仕込んでいるので,そういう意味では今どきのシューティングとはかなり違った方向性にあるとは思っています。
4Gamer:
うまく避けられて喜んでいたんですが,そういうことだったんですね……。
すみません(笑)。
いわゆる弾幕系のシューティングでは,攻略方法を人に聞いてもできないことが多いんですよね。そこは昔のゲームにならって,攻略法さえわかればクリアできるような,そんな仕様を意図的に組み込んでいるんです。
「ここがどうしてもクリアできない」という問いに,「ここでこうすれば簡単だよ」っていう,プレイヤー同士のバズが生まれたらいいなと思って。
4Gamer:
確かに「分かってるけど,できないもんはできないんだよ!」というのだと,シューティング初心者にとって厳しいですもんね。
それと,ちょっと気になっているのが,画面に走査線のようなものが描かれている点です。これは……?
石田氏:
グラフィックスを表示する際に,常にチラチラしているように画面の処理をしています。実はそのために,技術的に面倒な事態が発生したりしたんですが,ここだけは譲らずに通しました。
Xbox 360版とPS3版では,キャラが2Dから3Dになるまで進化していくんですが,もちろんそこでも残しています。
西角氏:
“ラスター”というやつですね。あれは昔は迷惑だったんだけどね(笑)。画面の写真を写すときとか走査線が出ちゃうんで,なくなればいいなと思いながら作っていたんだよね。でもそれをわざわざ作ってまで,こだわってるのは凄いね。
恐れ入ります。
実際,ゲームのスクリーンショットを撮るとチラチラして撮りづらいんですよ。あと,あまりチラチラしすぎると見づらいんで,ちゃんと見え方も調整しているんです。
4Gamer:
凄く細かい部分にまで労力をつぎ込んでいるんですね。
ところで,開発するときには,どんな苦労がありました?
石田氏:
Xbox 360版とPS3版の開発中の話なんですが,3Dステージを作る際に,2Dステージの攻略がそのまま使えるようにしたかったんです。2Dのときの攻略方法が3Dになってまったく使えなくなると,またゲームをイチからやり直す気分になってしまいますからね。2Dだった敵が3Dになって出てくると,当然立体的な要素が付随されるんですが,同じ敵として対応できないと困ると思いますし。
ですから,2Dから3Dへ,プレイヤーが混乱しないよう,滑らかに移行できるような作り方はすごく意識しましたし,苦労もしました。
小塩氏:
音のほうでは,背景のビジュアライザーに苦労しましたね。
Xbox 360版とPS3版では,“ビジュアライザー”といって,音との連動感を出すために,BGMに合わせて背景を動かしているんですが,それが音と関係する要素なので,僕が安請け合いしてしまったんです。
それで実際に作ってみると,ビジュアライザーの絵が派手すぎると画面が見づらくなって,逆にシンプルだとつまらなくなってしまうんです。いくつか画面を作ってみたものの,実際に曲にあわせて画面を動かしてみないとどう表示されるかもわからないんですよね。そのバランスを探るのに苦労しました。
Xbox 360版とPS3版の新ステージでは
“音のトリックアート”を表現
小塩さんにサウンドについてお聞きしたいのですが,本作のサウンドは凄くソリッドな内容でゲームに合っていたんですが,どういう作り方をしていたんでしょうか?
小塩氏:
すべてのプラットフォームでの共通したコンセプトとしては,効果音を全て携帯電話などで使用されているFM音源で統一していることなんです。
こういうゲーム内容なので,いわゆるリアルなショット音や爆発音は似合いません。逆に,携帯電話版に合わせてFM音源で作った効果音が,スペースインベーダーととても相性が良かったんですね。
さすがに西角さんと亀井さん(亀井道行氏:スペースインベーダーのサウンド担当開発者)の開発当初のように,専用の回路を組んで音源を作るのは無理でしたが,FM音源を使うことで上手くレトロ感を出せたと思います。
4Gamer:
あのサウンドには,そういう秘密があったんですね。
小塩氏:
最新のハードウェアであるXbox 360版とPS3版でも新しい効果音を追加したんですが,こちらもアナログシンセを使っています。
僕自身,年齢的に当時を体験したわけではないんですが,昔の開発者の方はこうやって作ったんだろうな,と足跡をたどるように作っていきました。
4Gamer:
効果音が特徴的な一方,曲もインパクトがありますよね。
石田氏:
曲は……何度もリテイクを出しました。
小塩氏:
最初の頃はよくケンカしましたよね(笑)。
僕はこれの前にスペースインベーダーエクストリームの楽曲制作にも携わっていたので,その流れからポップでスタイリッシュな曲を最初に作ったんです。でも,曲の方向性は“スタイリッシュ”じゃないと石田から言われたんです。もっと“ソリッド”に作ってくれという注文で。
石田氏:
音に感情的な要素は必要ないと思っていたんです。
このゲームには具体的なストーリーというものはなく,ゲームの歴史そのものを描いているんです。そうなると,感情のないゲームに必要なのは,歌いたくなるようなメロディアスな曲ではなく,ゲームそのものを表すデジタルでソリッドな曲だな,と。
そのイメージのすり合わせは,なかなか難しかったですね。
4Gamer:
完成したものを見ても,制作中にその意志を統一するのは難しかっただろうなと思います。
小塩氏:
作る側としてはソリッドという言葉が難しいんですよね。
簡単にソリッドなものにするだけなら,淡々とループさせておけばいいんですが,それでは曲として成立しないですからね。メロディアスな曲の場合,メロディが曲を引っぱっていくので展開をつけやすいんですが,今回はソリッドな構成の中で展開をつけてくれというオーダーだったので,パートごとに工夫して,同じラインでもずっと聞いていると微妙に変化があるような作り方をしました。
石田氏:
ある程度開発が進むにつれて,そのあたりはこなれてきたので,Xbox 360版とPS3版の新曲では,完全にお任せできたんですよね。
あとXbox 360版とPS3版には,けっこう実験的な曲も入れています。
小塩氏:
今回新ステージが追加されているんですが,それぞれのボスに曲をつけようと提案したんです。自分で提案したんですが,あまりにたいへんでちょっと後悔したんですが。
そのボスの曲でやっているのが,音楽でトリックアートを作るというものなんです。具体的に説明すると,BPM(Beat Per Minute:1分間の拍の数)は変わっていないのに,ビートのノリを変えることによってあたかもBPMが変わったように聞こえるというものなんです。その逆に,BPMを変えているのに曲自体は普通に聞こえるというものも用意しました。
4Gamer:
それらは実際に聞いてみると分かるものなんですか?
小塩氏:
ええ。分かると思います。
とくに後者は,BPMが変わったことを分かりやすくするためにクリック音を入れているので,それを意識して聞いてみれば気付くと思います。
4Gamer:
そうなると,ゲームのサントラが欲しくなってくるんですが,ご予定はありますか?
小塩氏:
iPhone版はiTunes Storeで配信しているんですが,今回の新曲も,何らかの形でお届けできればいいですよね。
オリジナル「スペースインベーダー」秘話
弾を撃つ音は,西門氏の本意ではなかった
4Gamer:
せっかくの機会ですので,石田さんと小塩さんから,西角さんに聞きたいことなどはありますか?
石田氏:
僕が気になっているのは,敵の弾を避けるトーチカをゲームに入れたきっかけですね。あれはどういう意図だったんですか?
あれは当時のハードウェアの性能をできる限り生かそうと考えて入れたものなんですよ。
グラフィックス性能を使って,ドットで描画してそれに弾が当たるとドット単位で消えるという仕組みなんですけど,どちらかというと企画側のものではなく,グラフィックスを見せるためのものなんですよね。
インベーダー本体の動きなんかも,もっと見た目が良くなるように,すべてのインベーダーを同時に動かしたかったんですが,どうしてもハードウェアの性能がついてこなくて,実際には1匹ずつ連続して動かさざるを得なかったんです。
石田氏:
でも,当時のファンは,そのあたりを攻略の糸口として受け取っていましたよね。
西角氏:
それはありがたかったですけどね。もっとハードウェアの性能がよければ,「ギャラクシアン」みたいになめらかに動いていたかもしれない(笑)。
小塩氏:
僕はスペースインベーダーの効果音は,ゲームの効果音に充たされるべき要素を全て集約したものだと思っているんですが,当時,ゲームが完成に近づいたときまで音が入っていなくて,あとで亀井さんに音を作ってもらったということを聞いたことがあります。
西角さんと亀井さんの間では,当時,どういうやりとりがあったんですか?
西角氏:
インベーダーの歩行音は僕が指定したんですよね。それ以外は全て彼任せでした。専用のサウンドジェネレータがあったので,それを使って作ってくれました。
彼は当時新入社員だったんですが,クリエイターとしてとても頑固で,いろいろ注文つけたんだけど,なかなか変えてくれなくてね(笑)。歩行音とUFOの音は良かったんだけど,弾を撃つピュンピュンいう音は,僕は納得いってなかったんですよ。本当は,もっとリアルなバンバンという低い音をイメージしてたんでね。
石田氏:
ええっ,そうだったんですか?
でもあの音はその後のゲームにもかなり影響を与えていますよね。もしそれがバンバンだったら,その後のゲームもバンバンていう音が主流になったかもしれない。
西角氏:
結果的にはね(笑)。
彼が最後まで直さなかった結果だよね。
小塩氏:
スペースインベーダーIGの中で鳴らしているインベーダーの効果音って,波形的に半分の音量にしているんですよ。それだけあの効果音って,通る音なんですよね。
西角氏:
耳障りだよねぇ,あの音は。当時は街のいたるところからあの音が聞こえてきたんだよ。
ラーメン屋のチャルメラみたいな音だって僕は指摘したんだけど,結果的にはそれが良かったんだろうね。
小塩氏:
(自身の携帯電話から弾を撃つ効果音を鳴らして)こんな携帯電話のスピーカーでも,凄く音が通るんですよ。僕が今こんな効果音を作れと言われたら,どれだけ苦労するか分からないぐらいのものだと思っているんです。
でもまさかそんなエピソードがあったとは,意外でした。
4Gamer:
現在の石田さんと小塩さんの間にあったようなやりとりが,32年前にもあったわけですね。
石田氏:
そうなんですよね。小塩もそうでした。
音に注文ありますか? って聞いてきたから指示したのに,違う音になっていて,それを変えないところとかね。西角さんと亀井さんの関係と同じで,彼のほうが僕より年代的には下なんですよ。でも聞いてくれなくて(笑)。
小塩氏:
僕はそのほうがゲーム的にいいと思っていたんですけどね……歴史は繰り返しますね(笑)。
4Gamer:
そういうやりとりがあってこそ,いいものが完成しますからね。ちなみにBGMと効果音が合わさって気持ち良く聞かせるという点は,意識されたんでしょうか?
小塩氏:
実は最初にそれを意識したのはエクストリームのほうなんです。あちらでは曲から効果音を切り出して作ることで,「BGM一体型効果音」といって,曲と効果音の完全なシンクロにトライしました。
エクストリームは正当進化を目指したこともあり,通常は画面に弾が1発しか出ないので,ビートに効果音を乗せて曲とシンクロさせるのも難しくなかったんです。
逆に,インフィニティジーンは弾がたくさん出たりして,効果音がとても多いんですよ。なのでそのアプローチはとらず,エクストリームの経験を元に,ゲーム全体として曲と効果音の世界観を合わせていくということを意識して作りました。
これからも進化し続ける
スペースインベーダーの遺伝子
4Gamer:
最後に,Xbox 360版とPS3版のリリースに向けたメッセージをお願いします。
西角氏:
こういう形で現在までスペースインベーダーが進化しているのは本当に嬉しいですよね。実はスーパーファミコンの時代に作り直したことがあったんですが,当時は「時代遅れだから」って上から反対されたんですよ。
でもそこでやめずに続けたから,今もコンテンツとして残っているんですからね。この作品を通して,さらに先へと進化し続けてもらえればありがたいですね。
小塩氏:
今回のXbox 360版とPS3版では,iPhone版のスペースインベーダーIGを,一度壊して作り直すような意気込みで,新しい要素を入れました。ぜひ遊んでください。
石田氏:
iPhone版でも先日,横スクロールに対応して,新たな形に進化したんですが,Xbox 360版とPS3版では3Dというまったく別の形に進化しています。iPhone版を遊んだことがある人も,ぜひやっていただきたいですね。
それと,僕らがスペースインベーダーという作品に影響されたように,本作を遊んでいただいた方にも何かしらのインスピレーションを感じていただいて,この遺伝子を引き継いだゲームを,さらに進化させてもらえると嬉しいです。
4Gamer:
配信を楽しみにしています。ありがとうございました。
タイトーが30年以上大切に育ててきた,スペースインベーダーというコンテンツの集大成がここに完成した。もちろん本作も進化の通過点ではあるが,現時点でその最先端であるのは間違いない。
過去にスペースインベーダーを遊んだことがある人は,その進化の度合いをプレイして確認してみてほしい。逆に遊んだことがない人は,このソフトをきっかけに,スペースインベーダーという作品の進化の過程を調べてみるのも面白いだろう。
もちろん,難しいことは何も考えず,誰でも遊べる手軽なシューティングゲームとして楽しむのもOKだ。
「スペースインベーダー インフィニティジーン」公式サイト
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