連載
【ミートたけし】世界の平和は人をダメにするのか?
ミートたけし / 川村 竜 / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー
ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk |
第7回:世界の平和は人をダメにするのか?
第7回にして,いきなりコラムのタイトルを全否定するかのような書き出しで読者の皆様を不安にさせてしまうかもしれないが,まぁ読んでくれ。
一応,YouTubeのネタになるものはないかな,とXのTLやニュースサイトなどは割と頻繁に見ている。するとここ最近,ママチャリに乗った女性がドライバーと口論になったり,バスの中で乗客のご老人がバスの運転手さんと口論になったり,とギスギスした話題に事欠かない。そしてそこにぶら下がるリプ欄やコメ欄はもっと凄まじいことになっており,まるでこの世の芥をすべて集めて煮込んだかのような状況になっている。
まぁ,そんなものはインターネット黎明期からいくらでもあったし,今さらそれをどうこう言っても仕方のないことだが,そもそものこの“揉め事”というもののあり方を今一度深く考えさせられる機会というかイベントというか,そんな感じの経験をしたので,今回はそれを書いていこうと思う。
簡単に言うと,ブラジル滞在中に銃で撃たれた。
平和ボケが故に生まれる揉め事の数々
どうだろう? 数行前の「銃で撃たれた」。
引きの強さとしてはかなりのエネルギーを宿しているとは思わないか?
ここからどのように面白く,かつゲームに関連付けていくかをしかと見守っていてほしい。よろしくどうぞ。
実はこの原稿は,ブラジルでのお仕事を終えて,アメリカはニューヨークのJFK空港のラウンジ内で,ソファに横になりながら書いている。なんせトランジットで6時間も空いてしまった。しかしながらこの6時間って,長いようで短いもので,マンハッタンに遊びにいくには少し時間が足りない。そこでこのコラムの執筆時間にあてようと考えたってわけ。
よし。ここまでで世界を股にかけて活躍し,時間を無駄にしない成功者設定をアピールできた。
別に嫌みに海外仕事アピールをするつもりはなく,事件が起きたのが仕事先であるブラジル滞在中だったのだ。南米の治安の悪さは2024年現在でも非常に問題視されている。自分自身,今回は3回目のブラジル滞在だったのだが,以前訪れたリオやサンパウロでもそれなりに危ない目には遭っていたので,今回も決して気を抜いたつもりはなかった。
それでも今回の滞在先であるブラジリアは,元首都のリオデジャネイロから還都されて64周年の記念式典真っ只中で(なぜキリ良く65年目にしないのかという疑問は無視された),治安自体も先述の2都市と比べると段違いに良いらしい。きちんと場所を選べば夜の外出もそこまで危なくないと聞いていた。実際,滞在中は1人でブラジリア市街を自由に歩き回って,14軒ほどコーヒー屋を巡り,趣味の潤いを満たすことができた。
しかし事件は最終日に起こる。
海外は慣れてきたと思った頃によくトラブルが起きるというが,このときも例に漏れず警戒を怠っていたのかもしれない。飛行機の形に設計されているブラジリア市内の最南端にあるカフェ,つまりは“安全とされている区域のギリギリの辺り”まで足を伸ばしてタクシー待ちをしているとき,突然左側から「パァァァァン!!!!」という破裂音が聞こえた。感覚的な距離で言うと真横,しかも足元からその破裂音が聞こえたように思えた。
何か爆竹の類が破裂したわけでも,側にあった車のタイヤがパンクしたわけでもない。明らかに銃声が真横で鳴ったのだ。共に歩いていた関係者は「わぁ,びっくりしたねぇ!」という感じで歩みを進めていた。かくいう自分も「あんまりみんな驚いてないから大丈夫か」という正常性バイアスにとらわれかけたが,すぐさま「いやいやいやいや! 銃声でしょ!」と己の油断を悔やみ恐怖した。
焦らず,確実に皆をタクシーに乗せホテルへ向かうものの,買い物の感想で盛り上がる後部座席の女性陣と温度感を共にできないまま,自分の激しい心臓の鼓動を聞きながら帰路に着いた。
何もされないという根拠のない過信が人々を歪ませる
ちょっと怖がらせてしまったかもしれないが,今は無事に空港でこの原稿を執筆しているので安心してほしい。あと普段私に「●んでほしい」などとふざけたコメント送ってくるアンチのお前ら,本当に●んじゃうかもしれないんだからあんまそういうこと言うなよな!
この話を先程のママチャリおばちゃんらにどうつなげるかというと,TLやネットニュースでイヤというほど散見される“揉め事”の数々は,双方が銃で撃たれることなんてない,つまり殺されることなんてないという,あまりにも根拠のない薄っぺらい担保のうえで繰り広げらている,ってことをどうか忘れないでほしいのです。
それでも海外に比べれば件数は少ないだろうが,日本であっても揉め事の末の殺傷事件も無視できない数で発生している。発生はしているが,やはりみんなの日常生活からは見えない場所で起きているというだけなのだ。まさか自分にそんなことが起こるはずなんてない,と知らず知らずのうちに信じ込んでいるだけなのだ。
自分がある意味“加害者”として経験した出来事が,最近だけでも二つあった。
先日も上記のように路駐車の後に一旦停止し,さぁスタートしようとしたところで運転席の扉が勢いよく開いた。しかしながらそんなこともあろうか,という心持ちでこちらも一時停止していたので,当然,ブレーキもしっかりと間に合った……のに,運転席のくs……ご婦人は,「きゃあ!? びっくりした!? バカじゃないの!?」と叫んできた。
またある日,新宿を歩いていたときのこと。行きつけのコーヒー屋さんの前を通りかかったときに,新メニューとしてオムライスを始めた,という旨の看板が出ていて,それに目を奪われ立ち止まった瞬間……。「チッ!!!」という,ムキムキの海外アーティストのドラマーが全力で叩いたスネアドラムのような爆音で舌打ちをされ,振り返るとそこには二人組の女子高生がいた。
聞け,ご婦人。
聞け,女子高生達。
お前ら,ブラジルだったらどうなってたか分かんねえんだからな?
これ。これよ。これが言いたかった。
これが先ほども言った「根拠のない安全を担保にしている」ということなのだ。て言うかさ。俺だよ? 180cm,110kgの俺だよ?
超凶暴な暴れん坊だったらどうすんのよ!? せめて外見見てからバカって言えよ! 舌打ちしろよ!
ちなみにご婦人に対して目まぐるしいスピードで計算した末,私が絞り出したワードは「え? それ本当に言ってます?」だった。後ろを確認するのはあなたの義務ですよね? なのにバカって本当に言ってます? こんなでっかい男にそんな事言って何かあったらどうするんですか? なのにバカって本当に言ってます? さまざまな疑問を一つの言葉に込めてお贈りした。するとどうだろう。「は? は? 何言ってるんですか? は? 気持ち悪い! 怖い!」と言ってドアを閉め,車を急発進させた。
一方,女子高生たちはどうだろう? 舌打ちを受け,驚いた表情で振り返った私と目が合った彼女らは,「うわ,でか。行こ!」と言って走り去っていった。
いいか,お前ら。もう一度言うぞ。ここがブラジルでもし俺が拳銃を持っていたらお前ら(以下略)。
お願いだから皆さんに言いたい。何もしてこないと思って人に何かするのはやめろ! 頼むから想像してくれ!! さぁ,お待ちかねここから話をゲームに持っていく!!!!
100万近いインプレを稼いだミートの屈伸騒動
先日,「ストリートファイター6」(PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PlayStation 4)対戦中に屈伸(格ゲーでは煽り行為)をされ,まぁいろいろと面白い結果になったのであくまでも「こんな面白いことがありましたよ。ミートさんのユーモアはいつも最高!」という通常営業な承認欲求ポストをしたら,なぜか“屈伸の可否”みたいな論争が巻き起こってしまった。
マジでどうでもいい。したきゃすればいいし,それにムカつくのも自由だ。ちなみに私はされたらムカつくし自分がムカつくことは相手にしない。ごめん,嘘ついた。ムカついたら屈伸こそしないけど,考えつく限りの嫌なことを相手にする。だって人間だもん♪
だけどな……相手が拳銃を持ってると思ってやれよ!? オメェら調子こいてっとマジでどうなるか分かんねえからな!? ああん!?
ごめん。ゲームの話はもう終わった。
まぁいろいろ書いたけどさ。要は日本って平和だよなぁって話。平和だからどうでもいい争いごとが,TLでもゲームでもしょっちゅう起きてるんだろうなぁって思う。
でもその平和を当たり前だなんて思っちゃいけないよ。当たり前のものが当たり前じゃないってことに気付くのは,とても難しいことだと思うんだけど,せめてこの記事を読んでくれたあなたが,ほんの少しでもそのことに思いを馳せてくれたなら……。世界は本当の意味で,少しずつ,確実に平和になっていくのかもしれない。そして大人になったみんなで,いつもランクマで罵詈雑言ばかり撒き散らしている俺を包み込んでほしい。いつまでも僕は子供でいたいんだ。ばぶう。
つまり,今日も世界の平和が俺を守るってわけ。
■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■ ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。 |
- この記事のURL:
キーワード