連載
【ヒャダイン】“Playする映画”,極まりましたねえ
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第51回「“Playする映画”,極まりましたねえ」
ども。あー,待ってたよー。この日を待ってたんだよ。
「アンチャーテッド」シリーズの大ファンとして,最終作となる「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」(以下,UC4)の発売を首を長〜くして待っていたのです。発売延期もあったけど,ちゃんとリリースしてくれた! ありがとうNaughty Dog! TVCMもバンバカ流れているし,ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアとしてもよほど力を入れているタイトルなんだろうとワクワクしながら始めました。
最高か。本当に最高か。なんだこれ。文化革命じゃないですか。どれだけの時間とマンパワーとお金と技術力をぶちこんだんだろう。時々,とんでもないレベルの創作物を見たときに絶望にも似た感情を覚えるのですが,この作品も然り。ケタが違うんでもうツバを飲み込むことしかできませんわ。とはいえ,冷静に魅力をお伝えするのがコラムの役割。自分なりに説明させてもらいますね。
あのねー。えとねー。映画の中にいる感じなのー。
あーー。そういうことなんだよ。まずね,最初っからPlayStation 4専用に開発されたということもあり,グラフィックスがえげつない。実写より美しい! 風景なんて,よもや拡大なんてされることもないだろう草の一本一本まで美しい。主人公の表情もしわの動き一つからして人間のソレ! っていうか,演技派俳優の動きだよ!
歴代出演してきたネイト,サリー,エレナは続投なんですが,みんなグレードアップしてる! ネイトのイケメン度は増しているし,前作からちょっと時間が経って加齢した設定なんでシワ感もいい感じ。サリーの爺さんもダンディズム一直線ですよ。とあるシーンでバッチリ決め込んでいるんですが,これが格好いいんだ。とくに表情がダンディ。なんだこの爺さん。てか,PS4のポテンシャルよ。Naughty Dogの技術力よ。そしてなによりエレナ!! みんなのアイドル勝ち気なエレナ! 細い割に意外と力持ちエレナ!! 「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」(以下,UC1)の頃は若干カクカクした顔でしたが,UC4になって彼女のルックスも最終章! めっちゃかわいい。そして美人! 愛らしいよ,エレナ。
そしてこれはシリーズの伝統だけど,日本語吹き替え版の声優さん達の名演っぷり。これが“Playする映画”の臨場感を増幅しているんだろうなあ。まあ表情豊かな演技なんですよ。洋画の日本語吹き替え版って,モノマネとかで揶揄されることもあるけど,あの感じがたまんないですよね! いい。良すぎる。
そしてUC4を“Playする映画”たらしめる大きな理由の一つが,やはりシームレス仕様ではないでしょうか。これも前作に引き続きではあるんですが,それでもなお今回のシームレス具合はハンパない。すごく複雑で入り組んだガンアクションをこなした直後,一息ついた瞬間にムービーに変わっている! え! ここで!? って感じ。
さっきまで自分でぐいぐい動かしていたはずのキャラクターが,インターバルまったく無しで映画レベルのお芝居を見せてくれるわけです。そして気付けばまたプレイできる状態に。こりゃあ止めどきがまったく分からんわ。
あと,今までのシリーズでもあったんですが,崖登りとかでネイトを操作しているときに,カメラのアングルがいわゆる“引き”になって,しかも角度が変わったりもして,まさに映画の中のキャラクターを自分で動かしているような気分にしてくれるんですよ。
ムービーパートが映画っぽいのは,まあ分かるじゃん。でも,プレイしているときにいきなりカメラアングルを変えるこのセンス! これって技術力よりもセンスだよね。アングルが変わったときにBGMがでっかくなる感じもハリウッド映画ばり。なんなのこのスタッフ。技術もあるのにセンスもあるって。
要は,随所にハリウッド映画を思わせる演出技法が散りばめられているんですよ。これは正直,日本人では太刀打ちできないんじゃ……ってうなだれてしまいます。ハリウッドアクション映画のノウハウはやはり本場の人のほうが格段に上であって,我々日本人の発想では追いつかない部分ってあると思うんです。悔しいけど。それをまざまざと見せつけられる,そんな感じ。
あとね。洋ゲーにありがちな,「何,そのゲームシステムよく分かんないんだけど……」が一つもないんですよ。自分の場合,洋ゲーで遊んでいるときに,日本語に翻訳されているんだけど「この機能どういうこと?」って困惑してしまうことがちょいちょいあるんです。それがアンチャーテッドシリーズは一切ない! 分っかりやすい。なのでゲーム初心者でも圧倒的なとっつきやすさでプレイできると思うんです。
しかもね,今回からガンアクションのシーンに,自動照準機能が付いたんです! これがまた賢い! 腕に覚えがあるならOFFにしたほうが楽しめるんでしょうが,銃口を適当に動かすだけで敵をロックオンできて,そのまま何発か打てば倒せちゃうというのは,TPSやFPSが苦手な人でも安心です! そりゃそうだよね。今回の推しは間違いなくグラフィックスの美しさとストーリー展開の素晴らしさだと思うのね。それを存分に味わわせるべく,こうなってるんだなぁって想像できます。
正直ドンパチ要素は,これまでより減っていると思うんです。前作「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」なんかは,一番ドンパチがえげつなかった記憶が……。「まだ出てくるのかよー」「なんだこいつ強すぎだろー」「固い! 固いよ!」ていう敵が,とくに後半にイヤというほどに出てきたものなぁ。あの飛行場は本当にイヤになったもんなあ。「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」(以下,UC2)後半のドラゴンスナイパー地獄も大変だった。あと,ヘリ。心折れそうになったもんなあ。
そうそう,ヘリで思い出したことが! 今回,車を運転する機会が多いんです。これがなかなかワイルドで,いい。先日「グランツーリスモSPORT」の動画が公開されて世間がざわざわしておりますが,あんなたいへんな感じじゃないにしても,気持ちいいもんですね。
UC1でもジェットスキーみたいなやつを運転しましたが,今回も海の上で動かせるやつがあって,大変素晴らしい。もうバカンス行かないくていいよー,って思えるレベル。ネタバレになるから自重しますが,海が本当に素晴らしい。ほんと,ヘタしたら実際に行くよりも楽しいかもしれない。
それから,新要素のロープ投げね。前作も随所でロープを投げて移動をしていましたが,今回はそれもパワーアップしています。ロープ投げといえばUC2のテンジンを思い出しますね。あいつのしゃべってること,まだ分かんないなあ。チベット語?
おっと話が逸れた。ロープ投げ。言ってみればスパイダーマンみたいな感じでバビューンとロープを発射できるので,落ちそうなヤバイときとかバビューンでぶらーんでセーフ,みたいな。これがスリリングで最高に楽しい。あちゃちゃーってなってもここだー! ってロープでセーフ。いいね。
しかしまあ,今更ですがネイト達の身体能力は相変わらずのやばさでございます。UC2で雪山を素手でボルダリングしていたときから,その超人的能力には一目置いていましたが,今回はわずかな出っ張りでも対応可能! 掴むわ掴むわ。さらに新道具,ピッケル登場! 登れない壁もピッケルでがしがし登れる! しかも使ったあとはていねいに引っこ抜いて次に進むんだから凄いよネイト。
そしてフランス発祥のダンス,というかアクロバットのジャンルであるパルクールのパフォーマーも真っ青の跳躍力! まじパルクールの究極系。こんな狭い足場に全速力で飛び乗れるなんで。嗚呼うらやましい。
一応,最後までプレイしたのですが,これがVR対応になったらどうなるんだろう? なんて想像すると,ワクワクしかありません。ものすごい臨場感になってしまうんでしょうね。リアルを超えたリアル。まあ,しかし,操作ミスして崖から転落するときのあの感じ,VRで体験したら本当に失神しちゃいそうですが。
とまあ,いろいろと書きましたが,このゲームは最近スマホゲームばっかりやっているよーという方にも,ぜひプレイしてほしい! と思います。据え置き機ならではのパワー感。そして,新しいゲーム体験ができちゃうわけですからね! あー,ホントに素晴らしいよアンチャーテッド! さて,そろそろマルチプレイに潜ってみるか。……苦手なんだよなあ,マルチ。
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ さまざまなアーティストへの楽曲提供を続けながら,先日はTVドラマ「重版出来」への出演も果たしたヒャダイン氏。最近はサウナに開眼したらしく,通いまくっているそう。なんでも「整う」のが最高に気持ちいいのだとか。 |
- 関連タイトル:
アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝
- この記事のURL:
キーワード
(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog, Inc.
- アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝 デラックスエディション【早期購入特典】オリジナルPlayStation4テーマ同梱
- ビデオゲーム
- 発売日:2016/05/10
- 価格:¥7,300円(Amazon) / 7000円(Yahoo)