連載
【ヒャダイン】MP回復のドモ●ルンリンクル性について
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第40回「MP回復のドモ●ルンリンクル性について」
ども。「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」(PlayStation 4 / PlayStation 3),やり込みました。最高に楽しい時間です。
ストーリーもたっぷりでボイスも思いのほかたくさんあって,世界観に入り込みやすかったですし,かつてのヒーロー達が世界をまたいで活躍する様には鳥肌が止まりませんでした。何より,オリジナルの良さをこれでもか,と引き出してくれているあたりに,スタッフの原作愛を感じました!
アリーナ姫が「かいしんのいちげき」を出しやすかったり(ちからのルビーを三つ装備させたら最強っす……),クリフトの必殺技がまだAIがあまり賢くなかった時代のファミコン版「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」でボス相手に愚直にザラキを放つ様子をオマージュしていたり,ビアンカとフローラが互いに照れ合っていたり,ゼシカのハッスルダンスがかなりのセクシーだったり,ピサロのいてつくはどうだったり……。とにかく,かゆいところに手が届く設計がたまんないです。
さて。書きたいことは山ほどあるのですが,この大ヒットゲームに関するレビューは,きっと世の中に溢れまくっていると思うので,そちらはほかの方にお任せするとして……。
今回プレイしていて気になったのがMPの存在です。本来MP,マジックポイントは呪文を使うときに消費するもので,「ドラゴンクエスト」シリーズでは,アリーナのような戦士,格闘系のキャラは最大MPが0のままでした。しかし今作では,「とくぎ」を繰り出すときにMPを消費するようになっています。爆裂拳や飛昇拳を使うのに毎回MPを使う,ということです。なのでアリーナといえどMPが0になると,ノーマルコマンドしか使えなくなるのです。ちなみに,ゼシカやマーニャちゃんのような魔導師系は攻撃力が低くMPが高い,アリーナやヤンガスのようなタイプはその逆という形で,うまくバランスがとれているのです。
さて。先ほどMPが切れたら,とくぎが出せなくなると書きましたが,このゲーム,スキルポイントの振り分けによって,「かいしんのいちげき時にMPが回復」という設定ができるんですね! すなわち,MPを消費してわざを繰り出しても,手数が多かったらかいしんのいちげきが頻繁に出て,消費したばかりのMPを回復できる。
要するに,MPを0にすることのないまま,とくぎを放ち続けることができるんです! アリーナの爆裂拳やテリーのはやぶさ斬りからの真空斬りなんてかましたら,MPは大黒字。優良企業ですよ,まったく!
そこで,RPGにおけるMPについて思いを巡らせてみました。MPって,回復するの緊張しませんでした? ドラゴンクエストシリーズとファイナルファンタジーシリーズを例に話をさせていただきたいのですが,HPを回復するものとしては序盤からやくそうやポーションといった道具が出てきますし,ホイミ,ケアルといった回復系のじゅもんや魔法が存在しました。要は,かなりポップに回復できるんですよ,HPは。やくそうやポーションをしこたま持っていたら,序盤なんて筋肉パーティでも乗り切れるんです。
一方,MPは使ったらなくなってしまう,とてもはかない存在です。「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」の序盤なら,ギラを4発打ったまほうつかいなんて,ただのひのきのぼうオヤジと化します。MPのなくなった魔導師はただの肉の壁! とてもていねいにていねいにMPを使ったものですよ。高い化粧水をちょっとずつ使うような。ドモ●ルンリンクル的な発想ですよ。あとなんだろ。高い酒をちびちび飲むような感じかな。お年玉を少しずつ使う感じ,かなあ。とにかく言いたいのは,大切なものをちびちび使うイメージなんですよ。だって回復手段がほとんどないんだもん。
ファイナルファンタジーシリーズのほうは,比較的序盤からエーテルを拾えたり,敵からのドロップで手に入れたりできるとはいえ,道具屋で買ったら超高価! 基本は拾い物オンリーなのでレア感がすごい。
ドラゴンクエストシリーズの場合は,序盤でまほうのせいすいを手に入れても,回復量は30くらい。そのうえ,頻繁に手に入るものではありません。しかも,その上位アイテムが存在せず,いきなりいのりのゆびわにジャンプします。いのりのゆびわもドキドキメイカーでございまして,何回か使用できるけど,いきなり壊れる可能性があるという黒ひげ危機一髪! めったに手に入らないレア感もあるのに,使うときにギャンブル的なドキドキを経験しなきゃいけない。だから,さらにMPに対するドモ●ルンリンクル感が増すんですよ!
あとね。MP回復においては人間性が試されるとも思うんです。皆さん,どうですか。ファイナルファンタジーをクリアしたあとの道具袋をエリクサーが占める率。僕はほとんどエリクサーを使いませんでした。「もしかしたらもっと大切な時に使わなきゃいけないかも!」という謎のリスクヘッジを考慮して,魔導師がMP切れになろうとも,エリクサーには手を出さずに乗り切ったことも多々。お店を開けるくらいのエリクサー,ラストエリクサー,エーテルドライを所蔵していたものです。僕のビビリな人間性の証明ですね。
一方,竹を割ったような性格をしている知人にこの話をしたところ「エリクサーとかバンバン使いまくってた」とのこと。マジかよ。格好良すぎだよ,その人生。もっと大切な局面があるかもしれない,次はいつ拾えるかわからない。そんな不確定要素たっぷりの道具をバンバン使えるなんて。
ドモ●ルンリンクルをボディクリーム代わりに全身ベッタベタ塗って一日で使い終えるようなもんですよ。CMみたいにハサミで切って最後の一滴まで使うとかせずに,まだちょっと残っていても「あ,もうないわ」って判断しちゃうようなもんですよ。。
もちろんドバドバ使うのがいいとは,一概には言えませんよ。実際,最近のゲームだと裏ボスとか裏ダンジョンがめちゃくちゃ難度高くて,エリクサーや世界樹のしずく的なものを乱打しないと勝てなかったりもするから,みみっちく取って置くことが必要になったりもします。道中,マホトラやアスピルやらでみみっちくMPを回復させてダンジョンを乗り切ったほうが達成感もあります。命からがらたどり着いた宝箱から,いのりのゆびわが出てきて九死に一生を得ることもあります。節約はいいことですよ!
だけど……。ゲームの中ぐらいは,破天荒でいたいじゃないか! 日常生活がみみっちいのに,ゲームの中までけちくさいのはいやだよ。ゲーム内くらい豪快に行きたいよ! 分かってるんだ,分かってるんだ。だけどぉぉぉ!
後悔する自分が見えるんですよ……。MPを回復させたあとの自分。意外にボスが弱かったりダンジョンが短かったりして,「ああ,無駄遣いしちゃったな。ああ。あぁぁぁああぁぁあぁ」となる自分。一度その疑念に襲われたらもうだめです。使えない。「こんなに今日ドモ●ルンリンクルを使いすぎて,明日からどうすんだよっ!! 今電話したところで家にドモ●ルンリンクルが届くまで,どれだけ時間がかかるんだよ!? 一人一人の手でていねいに検品,梱包してくれるんだよ?」となる感じです。そこを,まあいっか,で済ませられない自分の狭量さに辟易します。
そんな中,今回のドラゴンクエストヒーローズは,序盤こそMP不足でたいへんな思いをすることもあるのですが,途中からはスキルポイントの振り分けによってドモ●ルンリンクルが不足するストレスから解放されるのです! ああ。なんて素敵な。いくらでもドモ●ルンリンクルを使っていいよ! 状態。ドモ●ルンリンクルのドリンクバー,とでも申しましょうか。
まあ,言うまでもなく,ドモ●ルンリンクルは未体験ですが。
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ 2015年4月15日にリリースされた,ゆずの新曲「OLA!!」で,アレンジプロデュースを担当したヒャダイン氏。そんな縁もあって,この曲のミュージックビデオに出演しています。撮影日のヒャダイン氏は,控室に機材を持ち込んで,新曲を作っていたのだとか。また,「めざましテレビ」の新テーマソング「終わらない歌」(ゆず)も,北川悠仁氏とヒャダイン氏の共作です。 |
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ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城
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(C)2015 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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