連載
【西川善司】Windows 7発売記念ホームパーティで,「Forza 3」を多画面プレイした話
西川善司 / グラフィックス技術と大画面とMAZDA RX-7を愛するジャーナリスト
(善)後不覚 |
10月下旬以降,多忙だったため,だいぶ間が空いてしまいました。読者の皆様,すみません。
今回は,PCネタ,ゲームネタの混合でいきますが,4Gamerらしく,ゲームネタ割合多めで行きます。
前回のフォロー。SSDのプチフリ,FAT32で低減
ゲームネタで行きます……と言った舌の根も乾かぬうちに,いきなりPCネタのフォローから。
前回,2003年から使い続けている富士通のモバイルノートPC「LOOX T90D」でHDDからSSDに換装した話をしましたが,そのとき,「プチフリが気になる」と書いたところ,「(ファイルシステムを)NTFSではなくFAT32で使うと全然パフォーマンスが違いますよ」とのタレコミをいただきました。
実際に,手持ちのパーティショニングツール「Norton PartitionMagic 8.0」を使ってコンバートしたところ,ホント,見違えるように高速化。プチフリ現象もほぼ解消されますね。
NTFSだと,システム領域への細かいディスクアクセスが多いのですが,FAT32にすることでそれが省略され,その分プチフリが減って高速になるということなのでしょう。モバイル用途のクライアントPCならばFAT32でも問題ないので,このテクニックはなかなか有用だといえます。ありがとうございました。
Windows 7発売記念ホームパーティを開いてみる
というわけで,ここからが本題です。
2009年10月22日,Windows 7が発売されました。
このタイミングで,Microsoftが一般ユーザーに向けて,「Windows 7発売記念ホームパーティ」を開催する人を募集していたのって知っていますか。なにやら,「パーティ支援グッズの箱詰め」がもらえるというので応募したところ,見事当選しまして,10月半ばに黒くて大きな箱が届きました。
せめてもの救いは,箱の奥底に入っていた「Windows 7 Ultimate」製品版ですかね。1本しか入っていませんでしたが,争奪じゃんけん大会とかをすれば盛り上がれそうです。
すでに仕込んでおいたBlu-ray Discドライブ搭載のWindows 7マシンを使って,我が家の100インチ・ホームシアターでみんなで映画でも見ようかと思ったのですが,Windows Vistaからアップグレードしたためか,Cyberlinkの「PowerDVD 8」がうまく動かず。結局,Windows 7マシンを使ってやったことは,ピザのオンライン注文だけとなってしまいました。わはは。
10月22日に発売されたもう一つのソフト
そこで今回は,Microsoftのソフトウェアという点では大差ないだろうと,「Forza3の3画面プレイ大会」も同時開催としてしまいました。
Forza3は,市販されている通常版のソフトが最初から3画面のマルチ画面に対応している――正確を期すと,ゲームプレイ用には最大4画面に対応。リプレイ表示専用の5台めも利用できる――んですが,「大画面☆マニア」にして「多画面★マニア」の異名をとるボクとしては,これに挑戦しないわけにはいきません。
……とはいうものの,意外にハードルが高いんですね,これ。
なんというか,必要なモノが多いんです。「3画面」でプレイするのに必要なモノを,以下,順番に紹介していきましょう。
●3台のXbox 360
というわけで,私物が1台あったところに,なんとかもう1台用意しましたが,さすがに3台めは都合が付かなかったので,ホームパーティの参加者に持ってきてもらいました。
●3本のForza3
Xbox 360にはゲームシェアリングといった概念がないため,Xbox 360の台数分だけ,ゲームソフトも必要になります。用意するXbox 360のエディションは異なっても問題ありません。ただし,Forza3はDVD-ROM 2枚組で,DISC 1とDISC 2の両コンテンツをプレイするにはHDDへのインストールが必要になります。用意したXbox 360のうち,HDDを搭載しないエディション,あるいは,適切にHDDへのインストールが行われていない個体が1台でも混ざっていると,プレイできるゲーム内容は,起動ディスクであるDISC 1のものに制限されてしまうのです。
まぁ,読み出しも早くなるので,HDDへのインストールはしておいたほうがいいでしょうね。
さて,Forza3,1本は自分で購入するからいいとして,それでも2本不足します。そこで,懲りずに「Windows 7ラウンチパーティ事務局」にお願いして,やっぱり即座に断られるという流れを経て,今回はパーティ参加者の2名に,1本ずつ持ち寄ってもらうことにしました。
●3台のディスプレイ/テレビ
映像を出力するディスプレイも,Xbox 360の台数分必要になります。ただ,この点は大丈夫。だって「多画面★マニア」のお家での開催ですからね。ははは。液晶ディスプレイとしては,解像度1920×1200ドットの24インチモデルが2台,同1920×1080ドットの23インチディスプレイが1台あるので,これを仕事部屋からリビングに移動して設置しました。
1920×1200ドットの24インチ画面は,アスペクト比16:9となるForza3のグラフィックスを表示させると上下に非表示エリアが生まれますが,これがちょうど,1920×1080ドットの23インチ画面と高さが揃ったので,画面がつながるように,3台の高さを合わせて設置しました。
●3台のXbox 360を相互接続するためのネットワークハブ
今回の構成では,複数台用意したXbox 360のうち1台をホストとして,ほかのXbox 360はクライアントとしてそれぞれ設定することになりますが,このとき,ホストとクライアントの同期に用いるのはネットワーク――要するにLANです。つまり,いわゆるスイッチングハブやブロードバンドルーターといった製品を用意して,複数台のXbox 360を同列に接続する必要があるのです。もっとも,5ポートの100BASE-TX対応ハブとかであれば1000円台から購入できますから,ここまで紹介した条件を満たせる人なら,それほど財布は痛まないでしょう。
今回は手持ちの,5ポート・100BASE-TX対応スイッチングハブを用いて,3台のXbox 360達を接続しました。
3画面Forza3をセットアップ
大前提として,「マルチスクリーン」の設定を「On」にしたら,「モード」を「ホスト」に設定します。実際のゲームプレイで用いるのはこのホストなので,ステアリングコントローラなどはここに接続しておきます。
残るサブ画面制御用のXbox 360は,「マルチスクリーン設定」メニューで,「モード」を「クライアント」に指定。クライアントに設定された各Xbox 360では,どの画面を表示するのか,「ビュー」メニューから以下のとおり選択できるようになります。
- ノーマル:通常の1画面プレイと同じ視界
- センター:マルチ画面レンダリングにおける中央画面
- 右:マルチ画面レンダリングにおける右画面
- 左:マルチ画面レンダリングにおける左画面
- リア:マルチ画面レンダリングにおける後方視界画面(=バックミラー画面)
- リプレイ:レース終了後のリプレイ画面
この箇条書き以上の説明は不要だと思いますが,基本的には《左・センター・右》を設定すればOKです。「リプレイ」は,レース後に用いられるだけなので,一般家庭ではあまり意味がありません。もう1セット,Xbox 360とディスプレイデバイスを用意できたのなら,「リア」を選択するほうが建設的でしょう。
ベゼルコレクションとは,「隣り合う各ディスプレイの額縁(=ベゼル)に画素が存在している」と仮定して映像を生成する手法のこと。ベゼルコレクションをちゃんと設定できれば,隣り合うディスプレイ同士の表示が,まるで額縁を通り過ぎてスムーズにつながっているかのように見えます。
設定範囲は0°〜25°。隣り合うディスプレイをくっつけて設置した場合は1°〜5°くらいでいいでしょう。コクピットビューにしたとき,車内の内装面が自然につながった印象になるよう,実際の表示画面を見ながら確認してください。
もう一つ,「スクリーン間の角度」は,隣り合うディスプレイが織りなす角度の設定です。設定範囲は30°〜90°ですね。
注意したいのは,「実際のディスプレイが織りなす角度は,設定値の2倍になる」という点。ですから,例えば設定値を60°にした場合,隣り合う2枚の液晶パネルが織りなす角度は120°になります。普通にサラウンド感のあるマルチディスプレイ環境を構築する場合は,この120°くらい(※つまり設定値60°)が手頃だと思います。
3画面Forza3をプレイする!
3画面とはいえ,23〜24インチ程度の画面サイズ。実際にプレイする前は,ひょっとするとインパクトに欠ける結果になるかもしれないと危惧していましたが,結論からいうと,その心配はまったくの杞憂で,かなりの迫力がありました。敵車や背景が目の視界ギリギリにまで動いて見えるというのは,レースの臨場感を相当に盛り上げてくれます。
とくに盛り上がるのは,コクピット内視点にしたときでしょう。リアルにモデリングされた内装の“サラウンド感”が,実車に乗り込んだ疑似感覚を味わわせてくれるんですね。敵車を追い抜いたとき,ふっと横に目を向ければ,その追い抜いた車体の側面が見えるというのも,1画面プレイでは味わえないリアリティです。
今回はXbox 360からの5.1chデジタルビットストリームを,AVアンプ側のDSPプログラムから拡張した8.2ch環境でプレイしたのですが,マルチチャネルサラウンドサウンドとの一体感も心地よく,敵車に抜かれたとき,あるいは敵車を抜いたときのパッシング音が,映像(=視界)と完全一致していることには感動を覚えます。
さらにコクピット視点のスゴいところは,プレイ中,左ハンドル車と右ハンドル車で着座位置が違っていて,そこから見える視界アングルが微妙に異なっている点です。これは1画面でプレイしていては味わえない,マルチ画面Forza3ならではのプレイ感といえるでしょう。
ホームパーティに参加してくれた友人達も,「これはすごい。楽しい」と大盛り上がりでした。あとで聞いた話なのですが,何年もゲーム離れしていた友人は,この日にゲーム熱が甦ってしまい,翌日,Xbox 360とForza3を購入してしまったそうです。
とまぁこんな感じで,最終的に,Windows 7の発売記念パーティなのか,Forza3パーティなのか分からなくなってしまいましたが,パーティそのものは大いに盛り上がりました。
今世代機だと,ニンテンドーDSが,マルチディスプレイを標準的に採用しましたが,次世代機では,据え置き型ゲーム機でも1台でマルチ画面出力が当たり前に出来るようにしてほしいですね。据え置き型ゲーム機の多画面も相当楽しいことが分かったので。
■■西川善司■■ テクニカルジャーナリスト。4Gamerの連載「3Dゲームエクスタシー」をはじめ,オンライン/オフラインのさまざまなメディアに寄稿したり,バカゲーを好んでプレイしたり,大画面にときめいたり,観切れないほどBlu-rayビデオを買ったり,オヤジギャグを炸裂させたりして毎日を過ごしている。 |
- 関連タイトル:
Forza Motorsport 3
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