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海外ゲーム四天王 / 第13回:「Superstars V8 Racing」
「ゲームの基本はレースにあり」(孫子)という言葉は今作ったものだが,ゲームの黎明期からレースゲームは存在した。分かりやすいシンプルなルールと親しみやすさから,ゲームの王道まっしぐらなのである。とはいえ,最近はいくつかの人気シリーズに収斂してしまい,なかなか新作が出てこない状況。ことPCゲームに関しては,FPSと同様,なまじルールがシンプルなだけに,高度なグラフィックス競争に陥っている側面もある。
こんなことじゃいかん! と立ち上がったのが海外ゲーム四天王の一人,UHAUHA氏である。生粋のレースゲーマーなのに,最近はローマの都市を建設したりレストランを経営したりで,なかなかレースゲームがプレイできないのだ。いや,ローマの都市建設やレストラン経営も好きっちゃ好きらしいのだが。というわけで,週刊連載「海外ゲーム四天王」としては初めてのレースゲームを紹介してみよう。
筆者はもともとレースゲームが大好きなのに,最近では新タイトルをプレイする機会がめっきり減って寂しい! たまにはスカッと遊びたい! 熱いバトルを繰り広げたい! と買ってきたのが,Superbikeシリーズで名前が知られるデベロッパ,Black Bean Gamesの最新作「Superstars V8 Racing」だったのである。ここまで,分かってくれましたか?
「Superstarsとはなんだ?」という人のために軽く説明すると,これは,排気量3001〜7000ccのV型8気筒エンジンを搭載した4ドア市販車(を改造したマシン)による実在のレースカテゴリの一つ,イタリアのサーキットを中心に転戦してチャンピオンシップを競い合うのだ。ツーリングカーレースということもあり,ちょっとくらいの接触は当たり前。やってるほうも見ているほうも熱いバトルにアドレナリンが吹き出すのね。
ざっと見たところ,本作には2008年のデータが採用されているようで,チーム/ドライバー,一部の自動車メーカーが実名で登場する。マシンは,AUDI RS4,BMW M3,BMW 550,Jaguar S Type Rと街で見かける車種のほか,Barricade DM(Chrysler 300c SRT8),Cluster S3P(Chevrolet CR8),Mustard E1(Cadillac M5),Scorpio IZ4(Mercedes C63)など,たぶん権利の関係で妙な名前になっているものを合わせた計8台が登場する(括弧内は筆者の推定)。
サーキットは,Kyalami,Portimao,Vallelunga,Mugello,Monza,Magione,Valencia,Varano,Misano Adriatico,Adriaなど,イタリアを中心とした10種類が収録されており,それぞれがリアルに再現されている印象だ。ほかのレースゲームにも登場するサーキットが多いため,レースゲーム好きであればすんなり走れるだろう。
ちなみに,Superstarsに興味のある人は“Superstars公式サイト”をチェックして,チームやドライバー,レギュレーションなどに目をとおしておくと,一段とゲームが楽しめると思う。とはいえ,最近はさっぱり更新していないようで,レース結果くらいは載せてくれてもいいんじゃないかなあ。
シングルプレイのゲームモードは,コースや周回数を決めて手軽にレースを楽しめる“Quick Race”,単独走行やゴーストを表示して走り回れる“Training”,フリープラクティスから決勝レースまでのレースウィークが楽しめる“Race Weekend”,ライバル達とチャンピオンシップを競いあう“Championship”,課題をクリアしてメダルをゲットする“Superstars Licenses”の五つと,レースゲームでは一般的なモードが揃っている。
もちろん,マルチプレイもサポートされており,クイックプレイで適当なホストに飛び込んで待っていると,ゾロゾロとメンバーが集まってレース開始と手軽に遊べる。外国人レーサーと思われるプレイヤーが多く,自分と同じくらいの腕前のメンバーが集まるとかなり熱いレースになる。ミスをすればイン側に飛び込まれ,相手がミスをすればすかさずそこにつけ込んでパスする……。そんな人間同士の抜きつ抜かれつのレースを味わえると気分は最高だ。まぁ,なかなかそういう機会はないのだけど。
車の挙動自体はそれほどジャジャ馬ではなく,ツーリングカーならではのエンジンレスポンス,ハンドリング,挙動変化が楽しめる。リアル系とアーケード系の両方をバランス良く取り入れた味つけだが,コーナーの飛び込みではギリギリまで我慢した強引なブレーキングで挙動を乱し,暴れるマシンを押さえつけたり,オーバースピードでロングコーナーに飛び込み,後輪のグリップが限界を超えてスッとリアが流れ出すといった感覚がうまく再現されていて,このへんは好印象。
今回は手軽に遊ぶことを目的としたので,操作はXbox 360ゲームパッドを使用した。アナログトリガーにアクセル/ブレーキを割り当てると,微妙なアクセル/ブレーキ操作ができて非常に快適にプレイできるだろう。もちろん,本格的にプレイするならばステアリングコントローラを用意するのがベストだ。
各レースモードでトラクションコントロール,アンチロックブレーキの有無,周回数や天候の変化(晴れ,雨,ランダム),ライバル車の速さ,マシンダメージの有無などを調整できるし,コーナー手前で表示される矢印マーカーはオーバースピードの場合,赤く表示されるなど,レースゲーム初心者から上級者まで遊べる作りだ。手軽に熱いツーリングカーレースを楽しめると思うし,ジャンル的に日本語表示がなくても大丈夫っぽいので,興味のある人は挑戦してはいかがか?
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Superstarsョ V8 Racing(C)2009 Lago S.r.l. Published by Lago S.r.l. Black Bean is a registered trademark of Lago S.r.l. Developed by Milestone S.r.l. All rights reserved. Superstarsョ is a registered trademark of Superstars International Development S.r.l. Trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners.