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[Gamescom]「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のβテストは2012年冬に決定。吉田Pへの合同インタビューもあったステージをレポート
今回のステージイベントは,新生FFXIVの実機デモを初めて一般に向けて公開するというもの。イベントには,新生FFXIVのプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏が登場し,ドイツ語で挨拶をしつつ,同作の開発経緯や概要を説明。あわせて,2012年秋に本作のサーバー負荷テスト,2012年冬にβテストを実施することを発表した。
吉田氏は,本稿にも掲載しているスクリーンショットレベルのグラフィックスで,サクサクと動くデモプレイをステージで披露。デモプレイに使われたPCのスペックは未公開だが,現行のFFXIVが動くのであれば,新生XIVもフル設定で遊べるとのこと。「現行のFFXIVが動く」というのが,どの程度の設定を指しているのかは分からないが,ともあれ,現在のFFXIVをプレイしている人であれば,PCを買い替える必要なく,グラフィックスが格段に向上する新生FFXIVを遊べると考えていいらしい。
もっともGamescomに合わせて公開されたスクリーンショットが完成型というわけではなく,水面の表現や屋内のライティングなどはまだまだ調整中だという。その段階でも,「現在のMMORPGとしては最高のグラフィックス」と吉田氏は自信を持って語っている。実際,オブジェクトに対する影の落ち方などは,素晴らしいものだった。
ちなみにイベントでは,「リミットブレイク」と呼ばれる,FFシリーズファンには懐かしい響きを持つシステムのムービーも公開された。かなり派手なエフェクトで強力な攻撃を繰り出せる要素なのだが,使用条件などの詳細は不明。このリミットブレイクを含め,新生FFXIVに関しては分からないことがまだまだ多い。というわけでイベント終了後,吉田氏にいくつかの疑問点をぶつけてみた。
――本日はよろしくお願いします。さっそくですが,ムービーで披露されたリミットブレイクの説明をお願いします。
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
リミットブレイクは,バトルレジメンに代わる新しいパーティバトルシステムです。どのタイミングで誰がどう使うか,というのをパーティメンバーで考えながら戦ってもらいたいですね。
――発動権は誰が持っているのでしょうか。
吉田氏:
ゲージが溜まっている状態であれば,そのパーティメンバー全員が使えます。このゲージはパーティ内共通で,誰かがリミットブレイクを発動すると,空っぽになります。
――では,そのゲージはどうやって溜めるのかを教えてください。
吉田氏:
基本的には,普通にバトルをしていたら溜まるのですが,実は“ファインプレイ”という要素も準備しています。
――ファインプレイというのは?
いいタイミングでのヒールだったり,ブロックだったりですね。ナイスプレイという項目があって,それを実行するとゲージが速く溜まるんです。
――ファインプレイかどうかは,システム側が判断するのでしょうか。
吉田氏:
はい,システム側ですね。ですが,ファインプレイをしないとゲージが溜まらない,というバランスにはしないつもりで調整しています。
――リミットブレイクには何段階かレベルみたいなものがあるようですが,これはゲージの溜まり具合で決まるものですか。
吉田氏:
現在想定しているのはゲージですね。このあたりは,「ファイナルファンタジー7」のリミットブレイクを思い出していただければいいと思います。
――リミットブレイクはジョブごとに用意されているのでしょうか。
吉田氏:
一つのジョブに対してリミットブレイクが一つある,という考え方ではありませんが,場合によってはバランスが崩れる心配もありますので,現在慎重に決めているところです。ただ,同じエフェクトでも使ったジョブによって効果は違います。例えば,戦士とナイトが同じリミットブレイクを使ったとしても,その効果は異なるわけです。
――リミットブレイクの威力は,ゲージの量に比例するのか,使っている武器によって決まるのか,それともパーティ構成などで変わるのでしょうか。
吉田氏:
変動する要素は想定していますが,現在調整中といったところです。
――リミットブレイクは,レベルが低いうちから使えるものなのでしょうか。
吉田氏:
はい,ある程度低くても使えるようにと考えています。ですが,リミットブレイクには1,2,3というように段階がありますので,高レベルでないと,高いレベルのリミットブレイクは打てないなど,キャラクターの成長とリンクはあると思ってください。
序盤はレベル1のリミットブレイクでシステムに慣れる,という感じでしょうか。
――それでは,吉田さんが考えているバトルシステムの基本コンセプトについて教えてください。
吉田氏:
テンポよくスピーディに,気持ちよく終わる,というのを念頭に作っています。新生FFXIVは,現行のFFXIVとは違い,TPは最初から溜まった状態で戦闘がスタートするので,のっけからウェポンスキルやアビリティを使って戦えます。
1モンスターあたり,ウェポンスキル5回くらいで倒せるようなバランスですので,時間にすると20秒くらいで終わるようにはなっていますね。
――では,パーティで戦えばもっと速く終わるということですか。
吉田氏:
そうですね。経験値を取得するためにモンスターを倒すという考え方ではありません。ですので,クエストの途中でモンスターを倒しても経験値はあまり稼げないです。クエストをクリアして初めてドカっと経験値が手に入る仕組みです。
――ドラゴンダイブのスクリーンショットを見ると,「9999」というダメージが表示されています。オフラインのファイナルファンタジーシリーズのように,カンストダメージが連発するようなバランスなのでしょうか。
吉田氏:
いまは,レベル1のモンスターばかりがいる地域でスクリーンショットを撮影しています。そんな場所でレベル50の竜騎士が戦っていますから,9999を叩き出してしまうだけですよ。
――これは,実際のバランスと考えていいでしょうか。
吉田氏:
そうですね。αテストに向けてかなりいろいろと数値を調整していますので,αのイメージには近いかなと思います。
――今回公開されたスクリーンショットを見ると,紅葉している木がありますが,それはストーリー上の設定に沿って季節が描かれているということなのでしょうか。
吉田氏:
隣のゾーンに移動したとき,新しいフィールドの冒険が始まったという感じを演出するために,フィールドのイメージはダイナミックに変えていますね。ストーリーがというよりは,ワクワクしてもらうためにといった側面が強いかもしれません。
――チョコボのジャンプを利用しないと到達できない場所などはあるのでしょうか。
吉田氏:
ジャンプをしなければ登れない場所というのは,作っていません。アクションゲームではないので,段差登りがうまくない人が「もうやりたくない」となってしまうのはダメだと思っています。ただ,どこでもジャンプはできるようにしていますから,フィールドを移動しているだけでも,結構楽しいのではないでしょうか。
――なるほど。移動時における楽しみの一つとしてジャンプというアクションが追加されたわけですね。
吉田氏:
その通りです。
――ここ数回の情報公開では,竜騎士が頻繁に登場していますが,竜騎士に対してなにかこだわりがあるのでしょうか。また,どれくらいの数のジョブでサービスをスタートするつもりなのかを教えてください。
吉田氏:
竜騎士にこだわっているのは,FFらしいからです。どの国のプレイヤーも竜騎士が好きですし,見栄えのする技がそろっているというのも理由ですね。あとは,ぼくも竜騎士が好きなので(笑)。
スタートのタイミングでは,少なくとも既存のジョブはすべて用意します。さらなるジョブやクラスがどうなるかは,もう少しお待ちください。
――装備を一瞬で切り替える「Gear Set」は,何種類あるのでしょうか。
吉田氏:
実はクエスト式にしてあって,最初は1種類で,アーマリーを覚えたタイミングでもう1個追加されます。二つのクラスを使い分けてください,というタイミングで2種類になるわけですね。以降は,クエストなどをクリアすることでGear Setが増えるようになっています。
――Gear Setの数に上限はありますか?
吉田氏:
クラスやジョブの増え方に合わせるべきだと思っているので,現状では決めていないです。
――Gear Setの中に入れたものというのは,手持ちのアイテムとしてカウントするのでしょうか。
吉田氏:
しません。ですので,アイテム欄からは消えます。
――つまり,持って歩いているものは,身に付けていない装備品と消費アイテムなどというわけですね。
吉田氏:
リワードで手に入れたGearはインベントリに入りますが,Gear Setに登録してあるGearは,Gear Set側に入るので,インベントリを圧迫することはないです。
――Gear Setは特殊なインベントリと考えてもよさそうですね。
吉田氏:
ええ,装備品専用のインベントリと思っていただければ。以前,マネキンと呼んでいたものですね。
――なるほど,マネキンを持ち歩いているといったイメージということですね。
吉田氏:
そうなります。
――小さな街なども作り込まれていて,NPCなども独自の動きをしているということですが,そこにクエストが発生すると考えていいのでしょうか。
吉田氏:
もちろんです。
――初期の段階から,そういったNPCが導線的な役割を担うわけですか。
吉田氏:
そうですね。今は最初に降り立った場所で見つけた「!」(エクスクラメーションマーク)を追って移動していくと,また「!」があるという連鎖を作っている最中です。そんな感じにプレイしていくだけで,すぐにレベル7から8になります。
また,それがゲームシステムを覚えることにつなげてありますので,いまのプレイスタイルとはかなり違ったものになると思います。
――ストーリーを追っていけば,ゲームシステムが自然と頭に入るというわけですね。
吉田氏:
ええ。ですから,現行のFFXIVをプレイしている人が最初から遊ぶと,やることが制限されているように感じるかもしれません。というのも,なんでもできるとパニックになってしまいますので,最初の段階ではあえてできることに制限をかけています。
――吉田さんがたずさわるようになってから,チュートリアルがかなり拡充されたと思います。それがまたさらに変わるということですか。
吉田氏:
はい。前のものは残っていませんね。
――具体的にチュートリアルはどうなるのでしょうか。
吉田氏:
例えば,カメラコントロールに関しても専用のUIがあり,それをこなすと1クエストクリアとなります。遊んでいるだけでいろいろなことが理解できる仕組みにしています。
また,初心者がやるべき10項目みたいなものもあって,それをクリアすると序盤の装備リワードがもらえるなど,ストーリーやシステムを理解しつつ冒険にも役立つものがもらえるようにしています。
――現行のFFXIVでレベル50の人でも,もう一度やったほうがいいですか。
吉田氏:
バトルシステムも相当変わりますので,やってみてもいいとは思います。
――現在レベルが50の人がそのままのレベルで,新しいチュートリアルクエストをやるということはできないのでしょうか。
吉田氏:
クエストフラグが立っていないものに関してはプレイできます。
――まったくの初心者が始めた場合,どれくらいの時間で一通りのシステムが理解できますか。
吉田氏:
それは一通りのシステムの定義によって答えが変わりますね。僕の中では,パーティを組んでダンジョンに行ってみよう,という段階をレベル15に想定しているのですが,大体そこまでいくのに寄り道しないで30時間ぐらいですかね。
――それは30時間というのを狙って設計したのでしょうか。それともチュートリアルクエストを作っていったら,結果的になったのでしょか。
吉田氏:
30時間を目安として考えて作りました。一つのコンテンツをクリアする時間や,メッセージの量などをまさに作り込んでいるところです。
――あえて30時間を想定したのはなぜでしょうか。
吉田氏:
序盤が速すぎると,逆に後半がつらくなるということがあります。また,なんでもかんでも一気に詰め込むと,覚えきれません。例えば公式を覚えた場合は,何問かその公式を使って解かないと身につきません。その期間をとって,30時間ぐらいかなと。1日2時間ぐらいプレイして2週間という感じでしょうか。効率だけを求めてプレイすれば,もっと早いとはおもいますが(笑)。
――現行のFFXIVでは,クエストのほかにギルドリーヴなど,オーダーを受けてなにかをするという要素があります。この先はそれらをどう整理していきますか。
吉田氏:
基本的にはクエストを追っていってもらえればいい,という作りにしていますから,ギルドリーヴはレベル10にならないとスタートできないようにしています。レベル10が脱初心者という位置づけで,初めてリーヴを託されるという形ですね。
本当に文字を読むのがイヤ,多少実入りが悪くても繰り返しでいいという人は,リーヴを遊んでもらえるといいのかなとは思います。
――なるほど。
吉田氏:
ただ,かなりコンテンツチョイスがあるので,一択だと獲得経験値的においしくないように設計しています。経験値を効率よく稼ぎたい人は,いろいろなことを満遍なくやるのがいいでしょう。
――パーティの必要度はどれくらいを想定していますか。
吉田氏:
コンテンツは,パーティ用とソロプレイ用に分けています。それの中間にあたるパブリックコンテンツというものもありますが,基本的にはコンテンツファインダーに登場するものはパーティ向け,それ以外はソロプレイ向けと考えてもらって問題ないです。
あと,ログインしたときやエリアを変えたときなどは,これを遊ぶといいよというお勧めが出るようにしています。
――それはプレイヤーの状況を判断して出るのでしょうか。
吉田氏:
近くにあるコンテンツの混雑具合なども考慮して,リストが表示されるようになっています。パーティ指向の人であれば,パーティ向けのコンテンツが表示されますね。
――そんなシステムが用意されているんですね。
吉田氏:
MMORPGはできることの数が多いので,なにをしていいのか分からないということがレベル20くらいで発生します。そんなときに活用してほしいです。ちなみに,リストに表示されるコンテンツは10個なんですが,それを全部遊ぶと2時間くらいです。
――ありがとうございました。
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