プレイレポート
アーマリーシステムの詳細と,修練値/経験値に関するペナルティについて解説。「FINAL FANTASY XIV」クローズドβテストPhase3プレイレポート
9月1日に待望のオープンβテストがスタート!
また今後のスケジュールに関しても,9月1日にオープンβテストが開始されることや,東京ゲームショウ2010への映像出展などが予定されている。FFXIVのOBTに参加しつつ,各種情報を追っているだけで,9月30日の正式サービス開始(Windows PC版)をあっという間に迎えてしまいそうな勢いである。
Phase2で育成したキャラクターは消去されたものの,Phase3では育成スピードがアップ。クラスランク10程度ならすぐに到達できた |
UIやグラフィックスに関しても,細かい部分があれこれ変わっている。プログラムの安定性も増しているようだ |
FFXIVでは,8月11日から26日にかけて,クローズドβテストのPhase3が,ワールドワイドかつ24時間フルタイムで行われていた。過去のPhase1〜Phase2の移行時と同様に,Phase3でも細かな仕様調整やバグフィックスが多数盛り込まれていた。
Phase3では誰でもリンクシェルを作成できた。キャラネームの左横にエンブレムが付き,そのデザインを自分で選択可能だった |
キャラの育成スピードが上昇したことで,先のコンテンツのフィードバックが足を運ぶ人も大分増えたのではないだろうか |
今回の大きな注目点は,一般的なMMORPGでいうところのギルドチャット機能に相当する“リンクシェル”が導入されたこと。そのほか,キャラクターの育成スピードが上昇しており(これはβ仕様だと思われる),従来と比べて先のコンテンツのフィードバックが行いやすくなっていた。そのほか,コア層とライト層との間で,育成スピードに極端な差がつかないようにするためのシステムも導入されていた。
戦闘モーションが変化し,ときおり2回攻撃を繰り出すように。ログ上では1回攻撃のままだが,見た目の演出がなかなか派手になった |
ワールド数は今のところ10。9月1日実施予定のオープンβテストで,どこまで増強されるのかが注目される |
FFXIV版SNSともいうべき“プレイヤーズサイト”が実装。キャラ情報が自動反映されるほか,日記などのコミュニティ機能がある |
「FINAL FANTASY XIV」公式サイト
臨機応変に役割を変えられる“アーマリーシステム”
βテストのPhase3でキャラ育成がしやすくなっていたので,今回はFFXIVのメインシステムの一つである,“アーマリーシステム”についてあれこれ調べてみた。本稿ではこのシステムの基本コンセプトや魅力,そして今後どのようなプレイスタイルが可能になりそうなのかを,βテスター以外の読者でも分かるように,あらためて紹介していきたい。
出先でも自らのクラスを変えられるアーマリーシステム。FFXIVにおける育成の基本システムなので,しっかり押さえておこう |
装備変更画面で手に持つアイテムを変えるだけで,クラスチェンジが行える。たったこれだけの作業なのでとても気楽だ |
FFXIVでは,マイキャラが手にどういった種類のアイテムを持つかで,自らの“クラス”を切り替えることができる。ほかのMMORPGでも見かけるシステムだが,FFXIVではこれをアーマリーシステムと呼んでいる。
片手剣を持てば“剣術士”,両手杖を持てば“幻術士”といった感じで,現在のβでは合計18種類のクラスが実装されている。これらのクラスはファイター,ソーサラー,ギャザラー,クラフターの4ジャンルに大別されており,ゆくゆくは,FFシリーズでお馴染みのあんなクラスやこんなクラスの登場も期待できるだろう。
アーマリーシステムのコンセプトは,FFシリーズでいうところの“ジョブチェンジ”に近いものである。しかし,非戦闘時であればいつでもどこでもクラスチェンジが可能というのは,アーマリーシステムならではの特徴だ。
たとえば「FFXI」では,拠点エリアのモグハウスまで戻らないとジョブチェンジができないが,FFXIVではもっと手軽に行える。移動中にふと発見したダンジョンを探索したくなったときや,パーティー編成の際にタンクやヒーラーなどの必須クラスが見つからなかったときなど,さまざまな状況で重宝しそうだ。
普段はギルドリーヴのクエストを行いつつ,ノートリアスモンスターなどの強敵に遭遇したら得意なクラスに変更,といったことも可能 |
ランク1のクラスに変更しても,キャラの強さがルーキー同然になるわけではない。フィジカルレベル,すなわち基本ステータスのベースは据え置きなのだ |
クラス(武器)の熟練度を示すクラスランクとは別に,マイキャラの身体的な強さを示す“フィジカルレベル”が存在しているのも大きなポイントだ。たとえば中級者以上のキャラクターが,ランク1のクラスにチェンジした場合をイメージしてみてほしい。「FFXI」ではほとんど役に立たなくなるところだが,FFXIVだとフィジカルレベルが据え置きであるため,そこそこ実用レベルで動けてしまうのである。見方を変えるとFFXIVは,複数のクラスをより育成しやすいシステムとなっているのだ。
フィジカルレベルの上昇時は,任意のステータスや属性値を上げられる。これらは再割り振りも可能 |
武器は拠点エリアで普通に購入できる。フィジカルレベルで永続的な恩恵を受けられるため,色々なクラスを育てたくなるだろう |
クラスの能力を自分好みにカスタマイズできる!
アーマリーシステムの特徴は,いつでもクラスを変えられるだけではない。自分が一度育てたクラスの能力の一部は,別のクラスでプレイする際に引き継ぐことができる。それにより,単一のクラスでは成し得ないプレイスタイルが可能となるのだ。
具体的には,“アクションメニュー”と呼ばれるナンバーキーのショートカットをカスタマイズすることでこれを行っていく。操作は簡単で,クラス毎に表示される習得済み能力の中から,アクションメニューに一つずつ登録していくだけだ。
ただし,各能力にはコスト値と,一人のキャラに登録できるキャパシティが定められている。有用な能力は当然コストも高くなるため,あれもこれもというわけにはいかない。
アーマリーシステムの本質は,クラスを変えられることではない。他クラスに能力を応用でき,その組み合わせを追求できる点にあるのだ |
クラスランクが上がると,新たなアビリティやウェポンスキル,そして呪文を自動で習得していく。スクロール購入などの手間は不要だ |
ここでは,比較的序盤で習得できるもののなかで,ほかのクラスのプレイ時に応用しやすい能力をいくつかピックアップして紹介しよう。これらはいずれもクラスランク10未満(※)で習得でき,Phase3では,うまくやれば1〜2日分のギルドリーヴを注ぎ込むだけで到達できるものだ。
※8月30日19時頃修正:当初「クラスランク5未満」としていましたが,正しくは「クラスランク10未満」となります。誤った情報を訂正するとともにお詫び申し上げます
◎格闘士
・口笛:対象の攻撃目標を自分に向ける・内丹:TPを消費し,自分のHPを回復する
◎斧術士
・ブラッドバス:与えたダメージ量に応じて自分のHPを回復する・ディフェンダー:攻撃力を下げる代わりに,防御力を上げる
◎幻術士
・ファイア:範囲内の敵に炎系のダメージを与える・ケアル:対象のHPを回復する
アクションメニューにスキルを登録しているところ。ウィンドウの左上に,現在のキャパシティが水色のバーで示されているのに注目 |
“斧術士”が“ファイア”を使った瞬間。複数のモンスター相手にもダメージを与えられるので,状況次第だが先制攻撃時に重宝する |
たとえば“剣術士”は,盾も装備できる近接タイプということで,タンク役としての活躍が期待できる。その際に,もし“口笛”や“ディフェンダー”といった能力があれば,より上手く立ち回れることだろう。
同様に,アタッカー系のクラスが“チャクラ”や“ブラッドバス”を使えると,いざというときにヒーラー役の負担が軽くなるはず。もう一つ忘れがちなことだが,フィジカルレベルの上昇に伴ってMPは順調に増えていくため,“ケアル”による回復や,“ファイア”での強烈な先制攻撃は,クラスに関係なく大いに重宝するのだ。
“ケアル”がどれだけ有用な魔法なのかは言うまでもないだろう。FFXIVでは誰でもMPを持っているので,この登録は必須になるかも |
ウェポンスキルは基本的に武器に依存した技であるが,他クラスでのプレイ時にも使うことができる。ただし一部クラス専用ウェポンスキルもある |
これまで育成したクラスを役立てるというコンセプトは,「FFXI」の“サポートジョブ”にも通じるものだが,あちらは選べるジョブが一つだけである。その点アーマリーシステムは,トータルコストさえ気をつければ,複数のクラスから能力を引っ張ってこられる。このようにしてさまざまなクラスを育成し,自分だけのキャラクターを作り上げていくというプロセスは,アーマリーシステムの最大の醍醐味のように思える。
実際のところ,現在のβテストでは,ほかのクラスへ能力を引き継がせることで,プレイスタイルが劇的に変わるといったケースはそう多くない。これはまだゲームが序盤で,ソロプレイが多く,1回の戦闘時間が短いことなども関係している。アーマリーシステムのカスタマイズ要素は,「FFXI」のジョブチェンジに勝るとも劣らない可能性を秘めていると思うので,今後のバランス調整に期待したいところだ。
キャラクターが育つとコストのキャパシティが増大。それにより,他クラスの能力をより多く引き継げるようになる |
現在引き継げるのはアクティブスキルと呪文が中心。今後はクラス特性(パッシブスキル)の引継ぎにも期待できそうだ |
「プレイ時間が短い時ほど成長しやすい
キャラクター成長に関する計算式」について
テスター達の間で現在物議を醸している,とあるシステムのことについて触れておきたい。とあるシステムとは,簡単に言うと「プレイ時間が短い時ほど成長しやすい,キャラクター成長に関する計算式」である。
具体的には,その想定取得量で8時間分までは,修練値・経験値共に100%取得でき,それ以降の7時間分は,取得できる修練値・経験値が徐々に減少していく形で0に近づいていく。そして,この想定取得量の制限には1週間のタイマーが設定されており,最初に成長があったタイミングから1週間が経過したところで,修練値・経験値の取得量制限がリセットされる。リセット後は,次に成長があったときから再びカウントが開始されるという仕組みだ。また,リセットされるまでの間,成長していなければ徐々に制限は解除されていくので,合計15時間しか成長できないわけではないそうだ。
ちなみに,経験値の取得量に関しては,クラスごとに設定されているわけではないので,別クラスでプレイを継続している場合,取得量減少が止まらない点にも注意が必要だろう。
河本氏のコメントによると,上記のシステムはβ3から導入されたものではなく,βテスト初期から実装されていたらしいのだが,
・β3前後で、長時間継続運営が可能になり、そのため、1週間のプレイ時間が延びた。
・β3で、ギルドリーヴをよりパーティでプレイしてもらうためにも、ギルドリーヴの取得修練値・経験値を大幅にUPさせた。
・パーティを組んでくる敵など、一体一体が弱い敵から得られる修練値・経験値を下げていた処理が、β3当初、不具合により外れていた。
※β3途中でこれは修正されています。
との理由から,急に制限が導入されたかのように受け止められ,テスター達にいらぬ混乱を与える結果になったのだという。
ちなみに本稿の執筆にあたって,それなりに頑張ってプレイした筆者としては,「やたらとレベルの上がりが早いなぁ」とは思ったものの,とくに“ペナルティ”を実感するようなことはなかった。その点については正直に述べておこう。
プレイヤーによって大きく異なるコンテンツの消費速度への対策は,MMORPGというジャンルが抱える大きな課題の一つである。これに対し,各社さまざまな対応を取っていることは,オンラインゲームをプレイしたことがある人なら何となく理解していることだろう。今回,ドイツで開催されていたGamescomの影響で,オフィシャルなアナウンスが遅れてしまったことと,“疲労度的なシステム”に関する一部の記事や,そこから派生した憶測,海外サイトの誤訳などが相まって,テスターだけでなく,FFXIVに注目している多くのファンが混乱する結果となったのは,非常に残念だ。
しかし大切なのは,コア層とライト層との間で,取得経験値のバランスが最終的にどのように調整されるかであり,これに関しては,βテストの現状では良し悪しを判断できない。河本氏の,「今後このようなことがないよう、できるだけ正式な開発コメントを直接出すことで、改善していきたいと考えております」というコメントを信じ,冷静に状況を見守っていきたいところだ。
「FINAL FANTASY XIV」公式サイト
- 関連タイトル:
FINAL FANTASY XIV(旧)
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア
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