インタビュー
[Gamescom]プレイヤーと共に成長するオンラインRPGへ。「FINAL FANTASY XIV」のキーマン,田中弘道氏,河本信昭氏,Sage Sundi氏にインタビュー
なお4Gamerには,オープンβテストと同等のバージョンをプレイしたレポート記事を掲載しているので,そちらもあわせて目を通してほしい。
「FINAL FANTASY XIV」公式サイト
4Gamer:
よろしくお願いします。今回は,現在行っているクローズドβテストや9月上旬に始まる予定のオープンβテストについて聞かせてもらいます。
すでにβテストはフェイズ3になっており,何度か変更を加えていると思いますが,開発側からみて,一番大きなトピックはなんでしょうか。
βテストを開始した時点で,バトルのテンポを大幅に改善しました。フェイズ3に入ったタイミングで,さらに演出面を含めてテンポアップできたというのは,すごく大きいですね。海外のプレイヤーは,日本のプレイヤー以上に,バトルのテンポアップを好意的に受け止めているようです。
4Gamer:
テスト中に寄せられた要望でも,バトルのテンポアップを望む声が多かったのでしょうか。
河本氏:
そうですね。αテストを始めた時点で,「バトルは変えます」と言っていたのですが,それでもその要望が一番多かったです。あとは,UIに関する不満が目立っていたと思います。
マウスの操作に関してが多かったですね。とくに海外のテスターからの要望の10件中9件ぐらいは,マウス操作に関連した要望でした。
河本氏:
アメリカのテスターからはとくに多かったですね。日本のテスターはコントローラで遊んでいる人が多いので,それほど目立ってはいなかったです。
田中氏:
日本のテスターは「ファイナルファンタジーXI」をプレイしていた人が多いせいもあってか,コントローラ派が主流だったようです。
4Gamer:
“マウス派”と“コントローラ派”の意見が,真っ向から対立するようなことになったときは,どちらを採用するのでしょうか。
田中氏:
その場合は,マウス派とコントローラ派の両方の意見に対応するのが正解でしょう。まだそこまでいっていませんが,両方にしっかり対応させるようにしていきます。
4Gamer:
プレイヤーだけでなく,開発に携わっている人同士でも意見の対立があると思います。そんなときに最終的な判断を下す指針みたいなものはなんでしょうか。
開発者同士の意見のぶつかり合いはしょっちゅう起きますね。ただ,最終的には田中か私のところにまで話があがってきて,判断しているといった感じです。とはいえ,やはり一番気にかけなくてはいけないのはプレイヤーの意見なので,判断を下したあとのプレイヤーの反応を見て,別の路線に進むといったこともあります。繰り返しになってしまう場合もありますが,リアルタイムでプレイヤーの意見を聞いて対応していきます。
4Gamer:
それができるのがオンラインゲームの特徴でもありますからね。では,テストを行っている最中で,狙っていた反応と違うものが返ってきたことはありますか。
河本氏:
こちらが思っていたよりも,パーティに対する導入が弱いなと感じています。αテストのときから思っていましたが,パーティを組まない人が多いなと。
4Gamer:
ソロプレイが気楽にできるというのがFFXIVの特徴でもあるので,それが裏目に出ているといったところでしょうか。
河本氏:
ええ,ソロプレイのしやすさに関しては好評なのですが,パーティプレイに関してはちょっと想定外といったところですね。「FINAL FANTASY XI」(以下,FFXI)では,「パーティーが組めない」という声が多かったのですが,FFXIVでは,「パーティを組もうと思わない」という状態のようです。ですから,そこに関する調整はまだまだ行っていきます。
4Gamer:
すでに思い描いている具体的な方法があれば教えてください。
河本氏:
やはり,修練値を得るための計算式を変えるという方法があります。とはいえ,ソロプレイはいまのバランスを崩さないようにしないといけません。繰り返して調整していき,発売前には落ち着かせようと思っています。
4Gamer:
パーティを組む組まない,ということに関して,国ごとに違いはありましたか。
やはり海外の人のほうがパーティプレイを楽しむ人が多いです。ただ,パーティプレイのメリットが少ないというのは分かっているので,それも含めて調整していきます。
4Gamer:
では次に,オープンβテストに関するお話を聞かせてください。オープンβテストでは,プレイヤーが所属できる国家が二つ追加されますが,それ以外の大きな変更はなんでしょう。
河本氏:
まだ部分的にしか入れていなかったものを,きちんと追加していきます。
4Gamer:
といいますと?
河本氏:
例えば,ファクションリーヴというものをフェイズ3で入れていますが,ファクションを溜めてなにができるのか,といった部分はそれほどありません。ですからオープンβテストでは,しっかり報酬まで含めて数を用意するといったことをやっていきます。また,レベルの上昇に伴って,新しいリーヴのパターンも登場するようになるので,そこは注目してほしいですね。さらに,ギルドトークンによって交換するアビリティなども入れていきます。
4Gamer:
レベルの上限を引き上げるといったことはしますか。
河本氏:
オープンβに関しては,いまのところ予定はありません。ただ,中身を充実させていくので期待してください。
4Gamer:
正式サービスの先行ログインが9月22日からスタートしますので,オープンβテストの期間は2〜3週間といったところでしょうか。
ほかの欧米のMMOを見ても,最長でも3週間くらいですし,あまり長いのもどうかと思いますから,これくらいがちょうどいいと思っています。
4Gamer:
オープンβテストは,どれくらいの人が参加するだろうといった予想は立てていますか。
田中氏:
いや,まだ全然です。ただ,何十万人きても大丈夫なようにはしています。
4Gamer:
では,“リムサ・ロミンサ”“グリダニア”“ウルダハ”の機能的な違いを説明してください。
河本氏:
一番分かりやすいのは,配置されているギルドが違うことでしょう。実は都市3つを決めるときに一番苦労したのが,なんのギルドをどこに配置するかです。スキルランク20位までは差が出ないように作っていますが,各クラスのギルドを3都市に散りばめているので,このスキルの人はここに行くとストーリーが進む,ギルドトークンでアイテムやアビリティが手に入るといった要素があります。
4Gamer:
では,所属国の選び方に関するアドバイスなどはありますか。
河本氏:
一番のお勧めは,3つとも見てもらうことです。といいますか,正直見ないと損です(笑)。一度オープニングを見て,歩き回ってから決めてください。
4Gamer:
各国のオープニングを見ると,コメディっぽいものがあったり,シリアス調のものがあったりと,それぞれテイストが違います。このノリは今後も続いていくのでしょうか。
河本氏:
ええ,そうなります。最初のテイストが続いていくので,それを頼りに決めてもらうのが一番いいでしょう。
4Gamer:
各国家の距離はどれくらい離れているのでしょうか。
河本氏:
そうですね,「近いか遠いか」と聞かれれば,遠いです(笑)。
4Gamer:
徒歩で移動できますかね?
河本氏:
できなくはないですが,リムサ・ロミンサは地形的に船が必要になりますね。
4Gamer:
時間や難度的にはどうでしょう。
河本氏:
ちゃんと計ってはいませんが,歩いた場合のイメージは,FFXIとそれほど変わらないと思います。また難度的には,そこまで難しくはないでしょう。レベルがちょっと上がれば行けるようになっています。
4Gamer:
では,友達と違う国家でプレイを始めても問題ないですか。
河本氏:
ええ,大丈夫でしょう。ただ,距離はありますが(笑)。
4Gamer:
ちなみに,オープンβテストでのワールド数はどれくらいになるのでしょうか。
田中氏:
いまは10ワールドでやっていますが,今月末に正式サービスと同じサーバー構成に組み替えます。そこで何ワールドにするかは未定なんですが,状況を見てどんどん増やしていきます。
4Gamer:
そういえば,オープンβテストのデータはワイプされるんでしたっけ?
田中氏:
ええ,データの引継ぎは行いません。名前は引き継げるようにしたいなと思っているのですが,まだ確約はできないです。
4Gamer:
やっぱり名前は思い入れがある部分なので,期待しています。では次に,正式サービスについておうかがいします。サービス開始に合わせて実装する予定のシステムなどはありますか。
河本氏:
オープンβテストでいろいろとテストしてもらいたいと考えています。ですから,基本機能はほぼすべて,オープンβテストで実装されると思っていてください。ただ,ストーリーにまつわるクエストは一部しか見られません。
4Gamer:
なるほど。確かに正式サービスが始まる前に,すべてのストーリーが表に出てしまうと興ざめしてしまう可能性がありますからね。
正式サービスを迎えてから,さらに多彩なクエストを導入します。またその中で,クラスごとのクエストを序盤から楽しめるような設計にしていますので,ぜひそこに注目してもらいたいです。
4Gamer:
日本時間の8月18日にFFXIとFFXIVの両方を契約した場合の特典が発表されましたね。もう一つの特典である「エルメスのくつ」ですが,実際のところどの程度,移動速度が速くなるのでしょうか。
田中氏:
まあ,あくまでもおまけですので,“気持ち速くなる”といった感じですね。将来的にはアビリティなどで強化されたほうが速くなるでしょう。ほかの特典でもらえるアイテムも似たりよったりで,序盤にあるとちょっと嬉しいといった感じです。当たり前のことですが,それらがないプレイヤーとの間に大きな差がでるほどのものではないということです。
4Gamer:
正式サービスの料金は,1280円/30日ということですが,長期契約による割り引きなどはありますか。
そういう要望はかなりありましたので,準備しています。3か月,6か月といった単位で前払いしていただくと割り引きが適用されますが,詳細はもうしばらくお待ちください。
田中氏:
欧米のMMORPGなどはけっこう多いですし,あって然るべきだなということで用意します。
4Gamer:
MMORPGを遊び始めて,1か月しかやらないという人は少ないですからね。話は変わりますが,FFXIでいうスペシャルタスクフォース的な存在は,FFXIVにもいるのでしょうか。
Sundi氏:
GMは,FFXI,FFXIVの専属という人もいますが,かなりのメンバーがどちらにも対応するようにしています。それと同じような体制でスペシャルタスクフォースも用意します。
4Gamer:
戦うであろう相手が同じである以上,メンバーが一緒のほうが効率がいいといったところでしょうか。
Sundi氏:
ええ,そうですね。名前も同じまま,FFXIでのノウハウを生かしつつ戦っていきます。
4Gamer:
FFXIでのノウハウといえば,そもそもRMT自体を機能させづらくするような仕組みを用意しているのでしょうか。
河本氏:
ええ,同じ場所で同じ人達が,敵を繰り返し独占するようなことがないようなゲームデザインにしています。今回ギルドリーヴなどでいろいろと配分できるようにしているのも,そういった意図があります。遊ぶペースが崩されないようにはしてあります。
話はガラっと変わりますが,ベンチマークソフトのバージョンアップは考えていますか。というのも,個人的にベンチマークソフトの公開が早かったと感じていますので。ベンチマークソフトのリリース以降も最適化が進んでいると思うので,スコアの指針も変わってくるのかなと。
田中氏:
βテストがスタートする時点で,自分のPCでテストに参加できるかどうかの指針が必要ですので,あの時期での公開は決して早くはないと思います。また,まだ明確には決まっていませんが,バージョンアップの準備は進めています。
4Gamer:
おっと,作っていたのですね。現在公開されているベンチマークソフトは,リムサ・ロミンサのカットシーンをベースにしているので,あと2種類は作れそうですね。では最後に,正式サービスの開始を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
Sundi氏:
FFXIと大きく違うのは,全世界同時に発売するということです。コミュニティ的には,それが一番楽しみです。なにが起きるのかちょっと予想できないところがあります。そういった意味でも,一度は試してもらい,いろいろな体験をしてもらいたいです。
河本氏:
ゲームのデザイン的に,“成長”というキーワードをかかげています。これはキャラクターを気軽に,そして多彩に成長させていき,物語の扉を開く,という意味を込めています。と同時に,βテストを通じて,FFXIV自体もみなさんと一緒に成長させていきたいという思いを,今強く感じています。ですから,ぜひ発売後も一緒にエオルゼアをより素晴らしい世界へと成長させていきましょう!
田中氏:
やっと発売になりますけど,実際にはこの先1年以上の開発スケジュールがすでに細かいところまでできています。そういう意味では,ようやくスタートラインに立ったという表現のほうが適切かもしれません。これからもFFXIVは,プレイヤーのみなさんと作っていきたいので,ぜひよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
「FINAL FANTASY XIV」公式サイト
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FINAL FANTASY XIV(旧)
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ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア
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