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しゃべる「VOCALOID-flex」は「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」に採用&「初音ミク」から謎の「セカイロイド」構想発表? ヤマハ「Y2 SPRING 2010」イベントレポートを掲載
今回は,本イベントで取り組み事例として取り上げられた,KONAMIのPSP用ソフト「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」(PSP),および「初音ミク」関連の新プロジェクトを中心に,レポートをお届けしよう。
ヤマハ「Y2 PROJECT」公式サイト
AI兵器が感情を持ってしゃべったら? 「VOCALOID-flex」を使った「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」の試み
これは,従来の「Text-To-Speech」機能のように,美しいイントネーションの音声をただ合成するのではなく,自然なしゃべり方を表現できるソフトだ。
会場では「本当にありがとうございます」という合成音声を,音素の長さとピッチをコントロールすることで,自然なしゃべり方に近づけたサンプルが示された。こうした機能は音声合成の分野では既発だが,VOCALOIDのような音質の歌声では初の試みとなる。なおVOCALOID-flexのライセンス提供は,当面のところ企業向けのみとなっている。
しかし誰にしゃべらせるか,あるいは音声合成の現状を鑑みた結果,ただしゃべるだけでなく,歌うこともできるVOCALOIDを使うと面白いのではないかという案が採用されたとのこと。
VOCALOID-flexの実際の使用感を尋ねられた村岡氏は,間伸びさせたり,早口にさせたりといったことをはじめ,とくに戦闘シーンにおける“感情”を自由に編集し表現できたと賞賛。
また今回,ベースとなる音声の収録にはタレントの菊地由美さんを起用しており,収録時には“弾けた感じ”を意識してもらったとのこと。
これについて,村岡氏は「機械であるAIが感情を持つと,どうしゃべるのか」を表現したかったと説明した。これを受けて剣持氏も,VOCALOID-flexのコンセプトは,まさに音声による“感情”の表現にあると述べた。
関連して,村岡氏は,「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」における「NetVOCALOID」を使った機能を紹介した。
NetVOCALOIDは,サーバー上のVOCALOIDをプレイヤーのネット端末から操作して音声合成を行うもので,プレイヤーは「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」に登場するAI兵器の音声を編集したり,ハミングのメロディに歌詞をつけたりできるという。
エアキャラ? 初音バグ?
謎の「セカイロイド」構想初報も発表
写真左から,頓智ドット CEO 井口尊仁氏,グッドスマイルカンパニー 代表取締役 安藝貴範氏,クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木 渉氏 |
ヤマハ サウンドテクノロジー開発センター ネットビジネスグループ 大島 治氏 |
セカイロイドの概念をザックリ説明すると,iPhone用アプリ「セカイカメラ」のAR(Augmented Reality,拡張現実)の中に,「エアキャラ」が生息しているというもの。会場では「セカイカメラ×エアキャラ×ボーカロイド」というキャッチコピーが掲げられ,エアキャラとして“初音ミクを破片化”した「初音バグ」が紹介された。
正直なところ,登壇した4名にとっても“こんなことができたら面白い! すごい!”という段階のようで,具体的な説明はなかったのだが,突貫で作ったというデモで実演がなされた。
かんたんに説明しておくと,セカイカメラの「エアタグ」に付加された音声情報に反応してエアキャラがメロディを歌ったり,あるいは再生される音声情報にも定位があってカメラの向きによって動いたり,という内容のようだ。
現状に関して,大島氏が「まだ夢を語っているような状態」と述べており,セッションを聞いていた筆者も,いまいちどのようなものになるのか,ピンとこない状態だった。興味のある人は,各社の企画や仕様が今後固まって,それぞれの展開に関する情報が公開される日を待ってほしい。
- 関連タイトル:
METAL GEAR SOLID PEACE WALKER
- 関連タイトル:
初音ミク -Project DIVA-
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