プレイレポート
謎と恐怖に満ちたサスペンスドラマと,息をつく間もないアクションゲームが見事に融合した「Alan Wake」。その序盤を発売前にプレイしてきた
先日掲載したレポート記事では,開発元であるRemedy Entertainmentのマネージングディレクター,マティアス・ミリン氏によるプレゼンテーションとショートインタビューを掲載したが,今回は発売前にプレイできた「Alan Wake」のプレイレポートをお届けしよう。
「Alan Wake」は,サイコスリラー調のストーリーが描かれるアクションアドベンチャーだ。テレビドラマシリーズのようなエピソディック形式が採り入れられており,全6章で構成されている。
アランは,“闇”に取り憑かれた人々や物体に襲われながらもアリスの行方を追うのだが,その途中で,自分で書いた記憶のない“自分自身の原稿”を1ページ,また1ページと発見する。さらに驚くべきことに,その“原稿”に書かれた内容は,現実となってアランの身に降りかかってくるのだ。
今回は,ゲーム開始後のチュートリアルを含めたエピソード1と,エピソード4の一部をプレイできたので,その内容を紹介していこう。
謎と恐怖に満ちたサスペンスドラマと
息をつく間もないアクションゲームが見事に融合
夜,自動車を走らせていたアランは,飛び出してきた男をはねてしまうのだが,なぜか死体が見当たらない。この不可解な現象にアランが首をかしげる間もなく,死んだはずの男が斧を持って襲いかかってくる。その男のセリフから推測するに,なんと彼はアランがかつて書いた小説の登場人物のようである。
アランは“謎の声”に導かれるままに,銃と懐中電灯を手に取り,襲いかかってくる男を撃退することになる。ただし,男は“闇”に操られており,“闇のバリア”をまとっている。そのため,その状態では銃弾が効かないのだ。
そこで出てくるのが,本作で重要な役割を担う“光”だ。懐中電灯を使って男に“光”を当て続けている間,男は怯んで身動きができなくなる。さらに光を一定時間照射し続けると“闇のバリア”がはがれ,そこで銃弾を撃ちこめば倒せるという仕組みだ。
ただし,懐中電灯は無限に使えるというわけではなく,使用中(敵に照射している間)はバッテリーを消耗する。使わない間はバッテリー残量が回復するが,連続使用時間は意外と短い。
懐中電灯の“予備バッテリー”を使うことで,バッテリーの回復を待たずに連続照射できるのだが,バッテリーを“リロード”して交換している間は無防備になってしまうので,タイミングを図る必要がある。この要素は,銃のリロードと含めて,本タイトルのアクション部分における大きなアクセントの一つといえるだろう。
なお,攻撃を食らうとダメージを受けるが,街灯など“光”の当たる場所に立つことで回復できる。
また,アランは敵が繰り出す攻撃を回避することもできる。回避に成功すると,いわゆる“バレットタイム”のようなスローモーション演出が発動し,“ギリギリでかわす”感覚を,より鮮明に味わえるようになっている。
有名人のアランは,ブライトフォールズに向かうフェリー上でも声を掛けられる |
滞在先のキャビンハウスは,美しい景色に囲まれている |
アランはかつてベストセラーを書いた小説家であり,有名人である。そのため,休養に訪れた街でも,地元ラジオのパーソナリティ,ダイナーのウェイトレス,老いた二人組のロッカーなど,住人達から声を掛けられる。
それは,住人全員が知り合いという田舎町ならではの“暖かさ”によるものなのだが,アランは自身がスランプ状態にあることもあってか,内心ウンザリしてしまうのだ。
その夜,滞在する湖上のキャビンハウスでアリスと口論になったアランは,頭を冷やすために外に出た。そのとき,アリスの悲鳴が聞こえてくる。アランが急いで戻ると,キャビンハウスの窓が割られており,すでにアリスの姿はない。アランは間を置くことなく,アリスの消息を求めて,窓から湖へと飛び込んだ。
崖の向こうに見えるガソリンスタンドを目指し,歩き始めたアランは,やがて1枚の原稿を見つける。その内容は,斧を持った殺人鬼に襲われるというもので,アランがずっと書き進められないまま放っておいた,自身の新作小説「ディパーチャー」の一部だった。
道中でアランはまた1枚,また1枚と書いた記憶のない“自分自身の原稿”を拾うことになるのだが,なんとここに書かれた内容が,そのまま現実となってアランの身に降りかかってくるのである。
ガソリンスタンドにたどり着いたアランは,電話で保安官事務所に連絡を入れた。駆けつけた保安官・サラは,事情を説明しようとするアランに衝撃的な事実を伝える。なんと,アランとアリスが滞在していたはずのキャビンハウスは,現存しないものだというのだ。こうして謎だらけのまま,エピソード1は幕を閉じる。
話の前後は不明だが,アランは知人のバリーとともに,“闇”に取り憑かれた人々から農場に設置されているステージを守る――という設定のようだ。
アランはショットガンやフレアガン,閃光手榴弾と発煙筒を駆使しながら,バリーが操作するスポットライトに援護されつつ,次々に襲いかかってくる敵を撃退することになる。このパートは極めてアクション性が高く,ストーリーを見せることに主眼を置いたエピソード1とは対照的。
ちなみに,このシーンではロック調のBGMが流れる。この曲は,エピソード1のダイナーに登場した二人の老ロッカーが現役時代に組んでいたバンド「OLD GODS OF ASGARD」のもの,という設定だ。
実際にプレイしてみた感想は,とにかくエピソード2以降のストーリーが気になって仕方ない,ということに尽きる。
夢とも現実ともつかない世界,何が潜んでいるか分からない闇の中を進む恐怖,そして,いつ背後から襲われるか分からない緊迫感――それらが,効果的な演出および“光”と“闇”の対比をコンセプトにした,美しいグラフィックスをもって表現されていくのだから,サスペンス好きにとってはたまらない。またアクション部分への導入も実に自然に行われており,ストーリーから切り離される感じがしないのも好印象だ。
なお本作の難度は,プレイ開始時に「ノーマル」「ハード」「ナイトメア」の三段階から選択できるが,それ以外にもプレイヤーの腕に合わせてリアルタイムに調整される。つまり,難しすぎて行き詰まったり,易しすぎて緊迫感が失われたりといったことなく,ハラハラドキドキを味わい続けられるように工夫されている。
「Alan Wake」は,序盤をプレイしただけで,物語にぐっと引き込まれる魅力を持った作品であると感じられた。サイコスリラー調のストーリーなので,怖いものが苦手という人には厳しいかもしれないが,本稿を読んで興味を持った人は,ぜひプレイしてもらいたいタイトルだ。
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