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これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー
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印刷2010/09/04 13:13

インタビュー

これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー

ヴァンツァーはロボットではなく,兵器という位置づけ


画像集#019のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー
4Gamer:
 今作はPlayStation 3とXbox 360に加え,PCでも発売されますが,プラットフォームに関しては最初から決めていたのですか?

橋本氏:
 それは最初から決めていましたね。FMEのようなゲームって,PCゲーマーと相性がいいと思うんですよ。あと,昔は自分でMSXのソフトも作っていたんですが,最近はPCゲームを作っていなかったんです。なので「どこまでできるかな」といった意味も含めて,PC版を作ることに決めました。そうしたら開発の過程で3D立体視対応の話も出てきて,自分としてはとても勉強になりました。

4Gamer:
 ロボットモノのFPSやTPSは,3D立体視との相性がよさそうですね。

橋本氏:
 ええ。FMEの世界観は,戦場感や空気感も含めて3Dに向いていると思います。

4Gamer:
 将来的にはPS3も3D立体視対応になると言われていますが,のちのち3D立体視に対応したPS3版が出る可能性はありますか?

橋本氏:
 可能性はあると思いますよ。ちなみに一つ言うと,海外ってロボットで戦うゲームがそんなに多くないんですよ。生身の人間が血を流しながら戦っていくという,リアリティのある作品は多いんですが。
 人間が戦うゲームに小物としてロボットが登場することはあるんですが,ロボットをメインにして戦う作品は少ないじゃないですか。なので,まだまだ日本発のロボットモノっていうのは需要が少ないのかなと感じていますね。
 FMEもいわゆる“ロボット”ではなく,戦車や装甲車の延長線上にある“兵器”という位置づけで見てもらってもいいかもしれません。

4Gamer:
 確かに,ロボットモノというと日本のイメージが強くて,海外では一大ジャンルと呼べるほど,地位を確立していない印象を受けます。

橋本氏:
 そうですね。まぁ,そうはいっても「トランスフォーマー」は海外でヒットしていますし,今後ロボットモノが海外で流行る可能性もあるかもしれません。
 ちなみにFMEには,映画版「トランスフォーマー」の効果音スタッフが参加しているので,プレイされた際は効果音にも注目してほしいです。

4Gamer:
 では「トランスフォーマー」を観た人なら,FMEの効果音を聴いて「おや?」と思うことがあるかもしれないですね。

橋本氏:
 ええ,勘のいい人は気付くと思いますよ。

画像集#020のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー

4Gamer:
 ところで,橋本さんが考えるFME独自の魅力とは,どういった部分でしょうか。

橋本氏:
 今までのFMって,「ちょっと動きがもっさりしている」という意見が多かったんですけど,今回はヴァンツァーの重さの表現とスピード感のメリハリと,豊富なカラーリングが見物です。
 いわゆるステージの使い回しもほとんどなくて,シングルプレイは常に新鮮な気持ちで楽しめます。
 また,ヴァンツァーから降りて歩兵の状態で戦うミッションもあるので,そこにも注目してほしいですね。

4Gamer:
 ロボットモノのアクションで歩兵としても戦えるゲームは,それほど多くはないですよね。これは開発当初から検討していた要素なのでしょうか。

橋本氏:
 最初は,常に乗り降りができるようにしたかったんですが,さすがにそれだと,乗り換え中にボコボコにされちゃいますからね(笑)。

4Gamer:
 確かに,自由に乗り降りできるシステムを,スピード感のあるゲーム展開の中に盛り込むのは難しそうですね(笑)。とはいえ,歩兵でも戦える要素を残したということは,歩兵ならではの楽しみ方,戦い方も用意されていると。

橋本氏:
 物陰に隠れて,巨大なヴァンツァーをやり過ごしながらロケット弾で狙い撃つのは爽快ですよ。人間の大きさとヴァンツァーの大きさの比率はきっちり計算しているので,違和感のない,迫力のある戦闘が楽しめると思います。

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3D映像を駆使したPC版はすごいの一言!

まさかのアーケード版構想も? 



橋本氏:
 そうそう,3D Visionに対応したPC版のFMEを用意したので,良かったらちょっと遊んでみてください。

4Gamer:
 おお! ぜひお願いします。

3D Visionに対応したPC版「フロントミッション エボルヴ」をプレイしているところ。橋本氏が言うように,本作と3D立体視との相性は極めて高く,画面奥から飛んでくるミサイルや,自機の移動によって巻き起こる粉塵,至るところに存在する「壊せるオブジェクト」の飛び散る破片などが,圧倒的な臨場感を生み出していた。この迫力は,東京ゲームショウ2010(一般公開日は9月18日,19日)のスクウェア・エニックスブースで,ぜひ実際に確認してほしい
画像集#024のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー

4Gamer:
 これは……思った以上にすごいですね。奥行感がかなりあって,大げさな話ではなく,映画館で観る3D映画に引けを取らないレベルだと思います。あと粉塵が舞ったときなどは,本当に目の前まで砂が飛んできたのかと思うくらい迫力がありました。

橋本氏:
 でしょう。今の人はHDの3D映像でゲームができるんだから,幸せですよね(笑)。

4Gamer:
 昔は3Dでゲームなんて想像もできなかったですらね。ヴァンツァーの動きもかなりスピーディで,モッサリした感じはまったくなかったです。

橋本氏:
 そうですね。動きや操作性に関してはかなり意識して作りましたので,スピーディにサクサクとプレイできると思いますよ。

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これらはPC版「フロントミッション エボルヴ」のスクリーンショット。グラフィックスのディテールや各種エフェクトのクオリティは,さすがPC版といえる完成度だ
画像集#030のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー

4Gamer:
 はい,私は今回初めてプレイさせてもらったのですが,違和感なく操作に入り込めました。そこはやはりCoD4 MWを参考にしただけあって,ストレスのない操作性が実現されていますね。

橋本氏:
 3D環境がある人は,ぜひPC版の購入も検討してほしいですね。5.1chや7.1chサラウンド環境があれば,臨場感はさらに高まりますから。東京ゲームショウ2010では,その辺をきっちり楽しんでいただきたいので,巨大モニターを用意して10人くらいでマルチプレイを楽しめるように,機材を揃えて出展する予定です。

4Gamer:
 それは楽しみですね。来場者の反応にも期待ができそうです。

橋本氏:
 ええ,かなり面白くなると思いますよ。言葉でいってもピンとこないかもしれないですが,実際にプレイしたら考えが相当変わるんじゃないかと。このインパクトはやってみないと分からないですから。

4Gamer:
 ふと思ったんですけど,アーケード版とか出したらすごくなりそうですね。

画像集#025のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー
橋本氏:
 アーケードの話もあるっちゃあるんですけどね。

4Gamer:
 え,そうなんですか!?

橋本氏:
 いやいや,まだやると決まったわけじゃないですけど(笑)。まずはFMEを成功させなくてはならないですしね。

4Gamer:
 さらに3D立体視対応だったら,ゲーム好きなら一度は遊んでみたくなるでしょうね。

橋本氏:
 アーケードでやるとなると,筐体が大変なんですよね。ゲーム単体なら僕だけで完結できますけど,筐体を作るとなると,色んな人が関わってきますから。

4Gamer:
 ぜひとも実現していただきたいです(笑)。
 ところでシリーズファンにとっては,今後のFMシリーズの動向も気になると思うのですが,橋本さんとしてはどのようにお考えですか?

橋本氏:
 やはりゲームって,ファンの方に認めてもらえるかどうかが重要ですからね。もしFMEが認めてもらえたなら,今後もこのシステムを発展させた作品を作っていきたいと思います。そして先ほどもお話しましたが,シミュレーションRPGとしてのFMのことも,しっかりと考えているので,そこに関しても期待していてください。

4Gamer:
 分かりました。それでは最後にFMファンへメッセージをお願いします。

橋本氏:
 今回のFMEは,シミュレーションRPGとしてのFMが好きな方には違和感があるかもしれません。しかし,難度調整には相当力を入れましたし,TPSをプレイしたことのない人でも,サクサク楽しめるゲームに仕上がっていると思います。FMファンだけでなく,FPS/TPSファンの方々も,ぜひともFMEをよろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はお忙しい中,ありがとうございました。

インタビューの合間にも,スクウェア・エニックスメンバーズ公式Twitterの“中の人”としての職務を遂行する橋本氏。お忙しい中,本当にありがとうございました
画像集#031のサムネイル/これが,世界で勝負するためのフロントミッションの形。TPSとして新たに生まれたシリーズ最新作「フロントミッション エボルヴ」について,プロデューサーの橋本真司氏にインタビュー
 FMシリーズの魅力を,日本だけでなく海外のゲーマーにも理解してもらうため,当初から“世界基準”を意識して制作されてきた,FME。本格的なSF TPSということで,シミュレーションRPGとしてのFMシリーズが好きだった人は,若干ハードルが高いと感じてしまうかもしれないが,イージーモードは相当易しく作られているそうなので,その点については安心してよさそうだ。従来作同様の重厚な人間ドラマや,奥の深いカスタマイズ要素を楽しみつつ,新たなFMシリーズの姿を確認してほしい。
 繰り返しになるが,「フロントミッション エボルヴ」の発売日は9月16日だ。


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