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「ALIENWARE 17 R5」レビュー。17.3型の120Hz液晶パネル搭載ノートPCは高いコストを払うだけの価値がある
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印刷2018/08/31 00:00

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17.3型の120Hz液晶パネル搭載ノートPCは高いコストを払うだけの価値がある

ALIENWARE 17 R5


 今回取り上げる「ALIENWARE 17 R5」(国内製品名:NEW ALIENWARE 17)は,Dellのゲーマー向け製品ブランドであるALIENWAREにとしては,17.3インチ液晶パネルを搭載するシリーズの2018年モデルであると同時に,従来モデル「ALIENWARE 17 R4」のマイナーチェンジとなる製品だ。

ALIENWARE 17 R5
メーカー:Alienware(Dell)
問い合わせ先:デル オンラインチャット(平日9:00〜22:00,土日祝日10:00〜22:00)
入手した個体の実勢価格:43万1978円(※税&送料込,2018年8月31日現在,クーポンなど考慮せず)
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 ALIENWAREは,いったんフルモデルチェンジしたあとは2〜3世代にわたってその筐体を使い続けながら細かくアップデートを行い,その間に得られたフィードバックを基にした新しい筐体を採用するというスタイルで製品開発を続けている。なので見どころは外観というよりむしろ「細かなアップデート」にこそあるわけだが,第5世代のALIENWARE 17をゲーマーはどう受け止めるべきだろうか。いつものようにチェックしてみたので,結果をお届けしたい。

※本稿ではFortniteによるテスト部をライターのBRZRK氏が,ベンチマークパートをライターの宮崎真一氏が,それ以外を4Gamerの佐々山薫郁が担当します。


搭載するGTX 1080の動作クロックがFounders Editionより高いALIENWARE 17 R5


天板部は三角形をモチーフにした「Triad」(トライアド)デザインで,「AlienHead」はLED付きだ。天板の色には「Epic Silver」という名前が付けられている
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 ALIENWAREのノートPCは購入時にベースモデルを選択したうえでBTOによるカスタマイズが可能というのはよく知られているが,今回4Gamerで入手したのは2018年8月時点で最上位モデルとなる「スプレマシーVR」のBTO標準構成だ。具体的なハードウェア構成は以下のとおりだが,スペックは文句なしに高いと言い切ってしまって差し支えない。

●入手したALIENWARE 17 R5の主なスペック
  • CPU:Core i9-8950HK(6C12T,定格2.9GHz,最大4.8GHz,共有L3キャッシュ容量12MB,TDP 45W,cTDP:設定なし)
  • チップセット:Intel CM246
  • メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックス:GeForce GTX 1080(グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:SSD(容量512GB,M.2/PCI Express x4接続)+HDD(容量1TB,Serial ATA 6Gbps接続)
  • パネル:17.3インチTN(TN+WVA)液晶,解像度2560×1440ドット,ノングレア(非光沢),G-SYNC対応
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 5.0(最大1.73Gbps,2x2,Rivet Networks「Killer Wireless-AC 1550」)
  • 有線LAN:1000BASE-T(Rivet Networks「Killer E2500」)
  • 外部インタフェース:Mini DisplayPort×1,HDMI Type A×1,RJ-45×1,Thunderbolt 3 Type-C×1,USB 3.1 Gen.2 Type-C×1,Alienware Graphics Amplifier専用×1,USB 3.1 Gen.1 Type-A×2,3極3.5mmミニピン(※マイク用)×1,3極/4極3.5mmミニピン(※ヘッドセットおよびヘッドフォン用)×1
  • スピーカー:内蔵2.1chステレオ
  • マイク:内蔵2chステレオ(※アレイマイク)
  • インカメラ:解像度1080p(※Webカメラ)×1,アイトラッキング用(Tobii IR Eye-tracking with Windows Hello)
  • バッテリー容量:99Wh
  • ACアダプター:出力330W(19.5V 16.9A)
  • 実測サイズ:約427(W)×333(D)×31(H)mm(※突起部除く。突起部を含む高さは約41mm。公称サイズは424(W)×332(D)×30(H)mm)
  • 実測重量:約4.417kg
  • OS:64bit版Windows 10 Home

 インタフェースは本体正面向かって奥側と,左右の側面に散る仕様だ。主にビデオ出力系と有線LANが奥側,それ以外が左右といった感じである。アナログ接続型ヘッドセット(やヘッドフォン)を接続するための3.5mmミニピン端子が本体正面向かって左にあり,本体正面向かって右は1ポートしかないという仕様になっているので,本体の正面右手側にマウス(パッド)用の広いスペースを確保できる。ケーブルマネジメント周りの配慮は見事と言っていい。

本体正面向かって前側(左)と奥側(右)のそれぞれ側面。前面にインタフェースはない。奥側は写真左から順にRJ-45(1000BASE-T),Mini DisplayPort,HDMI Type A,Thunderbolt 3,Alienware Graphics AmplifierにACアダプター用DC入力という並びだ
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こちらは本体正面向かって左側面(左)と右側面(右)。左側面にはUSB Type-C×1,USB Type-A×1に3.5mmミニピン×2と並ぶのに対し,右側面にはUSB Type-A×1しかないという,ゲーム用途を見据えた配置になっている
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入手したALIENWARE 17 R5でGPU動作クロックは最大1847MHzを記録した
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 そんなALIENWARE 17 R5のスペック面で注目しておきたいのは,搭載するノートPC向け「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)の動作クロックがメーカーレベルで引き上げられていることだ。Alienwareは具体的なスペック情報を公開していないが,後述する環境で事実上のNVIDIAリファレンスカードであるGTX 1080の「Founders Edition」だと最大ブーストクロックが1809MHzのところ,ALIENWARE 17 R5が搭載するGTX 1080はなんと最大1847MHzに達するのである。
 これは後段で行うベンチマークにおいて重要なポイントとなるだろう。

フュージョンのトップメニュー。GPU情報も出ているが,オーバークロック設定を行える対象はCPUだけなので注意してほしい
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 また,搭載するCPU「Core i9-8950HK」(以下,i9-8950HK)の動作クロックを「フュージョン」(AlienFusion)機能から「メーカー保証付きで」変更できる点も押さえておきたい。
 先ほどのスペック一覧で述べたとおり,i9-8950HKの最大動作クロックは4.8GHzだが,これは「Turbo Boost Technology」の規定値であって,4.8GHzに達するのは2コアまでだ。それに対してフュージョンに用意された「Overclock 1」「Overclock 2」プロファイルは,前者を選ぶと全コアが最大4.8GHz,後者を選ぶと全コアが最大5.0GHz動作するようになる。

フュージョンからクロックの引き上げを行っている例。といっても,左ペインからプリセットを選ぶだけだが
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 これ以上,具体的には「電圧」や「電圧オフセット」を弄るとメーカー保証の対象外となる。またユーザー側でプロファイルを追加する場合もメーカー保証の対象外となるのだが,そもそも動作クロックは5.0GHzが設定上限なので,フュージョンによる自動設定以上が必要になるケースはまずない。前述のとおり,事実上のメーカー保証付きクロックアップ機能という理解でいいだろう。

フュージョンの「詳細表示」から「マニュアル」を選ぶと,「電圧」は0.9〜1.5Vの範囲を0.001V刻み,「電圧オフセット」は−100〜+250mVの範囲を1mv刻みで変更できる。ただ,そもそも「周波数」の設定上限が5.0GHzなので,プリセット以上の設定を行う機会はまずないと思われる
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 ところで,従来製品のユーザーであればここまでのスクリーンショットで気付いたと思うが,2018年モデルのALIENWAREマシンでは,専用コントロールパネル「ALIENWARE Command Center」(以下,Command Center)のユーザーインタフェース(以下,UI)が全面的に刷新となった。以前のCommand Centerは本体の形に合わせた宇宙船っぽいデザインで,いまとなってはヤボったさもあったのだが,それと比べると新しいUIは明らかにスマートだ。

ALIENWARE Command Centerのメインメニュー。右上にある「明るい」「暗い」を切り換えることで白基調と黒基調を選択できる
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垂直120HzパネルとGTX 1080の相性は良好。キーボードは現状におけるベストの1つ


 ALIENWARE 17 R5で選択可能な17.3インチ液晶パネルの仕様は以下のとおり。FPSやTPSのプレイが前提なら2.の“一択”だが,「速度性能よりも解像度や色再現性のほうが重要」というのであれば,3.にも選ぶ価値がないわけではない。

  1. 解像度1920×1080ドット,IPS方式,ノングレア(非光沢),輝度300nit,G-SYNC対応,垂直リフレッシュレート最大60Hz
  2. 解像度2560×1440ドット,TN+WVA方式,ノングレア(非光沢),輝度400nit,G-SYNC対応,垂直リフレッシュレート最大120Hz
  3. 解像度3840×2160ドット,IPS方式,ノングレア(非光沢),輝度300nit,G-SYNC対応,垂直リフレッシュレート最大60Hz

4Gamerの壁紙を表示させた状態で,今回入手した垂直リフレッシュレート120Hz対応パネルを見たところ。やや青みがかっているが,正面から見たときの視認性に問題はない。角度を付けるとコントラスト感は低下し,くすんだ色になっていくが,それでもTNパネルであることを考えると視認性は相当に優秀だと言える
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テスト中のBRZRK氏
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 今回もテストには「Fortnite」のバトルロイヤルを利用したが,ゲーム側の解像度を1920×1080ドットに下げたうえでG-SYNCを無効化し,グラフィックス設定をゲーム側に任せると,すべての選択肢が「エピック」となった。しかも,その状態でもほとんどの場面で160fpsをキープし,ごくまれに120fps程度まで落ちる程度という,申し分のないフレームレートを叩き出す。ゲーム終盤に生じる“建築合戦”においても安定して120fpsをキープできるのは見事だ。体感できるような表示遅延や残像感もなく,極めて快適にプレイできる。
 また,120fpsが必要ないタイトルであれば,解像度を上げたりG-SYNCを有効化したりできる懐の深さがあるのもいい。

 ゲームプレイにとっての死活問題となり得るキーボードも,ゲームプレイにおいて問題はない。

ALIENWARE 17 R5のキーボード面。BTOでは英語キーボードも選択できるが,今回4Gamerで入手したのは日本語キーボードである。本体左端と10キー部の奥(※写真上側)に追加の[M1〜M9]キーを搭載し,これらに追加機能を割り当てられる点や,割り当てた機能をプロファイルとして3つ登録し,[Esc]キーの左隣ににあるキーから変更できる点は従来製品と変わらない
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 ALIENWARE 17は「R4」でNキーロールオーバー対応を果たし,かつキーストローク2.2mmを実現しているが,そのキーボードは今回のALIENWARE 17 R5でも健在だ。なので,複数キーの同時押しが必要な局面でも「キー入力を受け付けてもらえないのではないか」「ゴーストが生じ,意図したキー操作とは別の入力が入ってしまうのではないか」といった不安はまったく無用。また,グラつきなく,しっかりと押下できるキーは,安物感といった言葉とは無縁だ。

キーの同時押し状況をチェックできるソフトウェア「Aqua’S KeyTest」を使って,片手で押せる限りのキーを押しながら[Print Screen]キーを押下してスクリーンショットを取得した結果
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「10キー部のせいで一部のキーが潰れている」という事態にまでは陥っていないものの,10キー部がメインキーボードに近いため,どうしても“誤爆”の問題はついて回る。あと[Page Up/Page Down]キーの配置はやはりどうかと思う
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 ゲームを離れて文章入力に使う場合でも,ストロークの深さはプラスに働いている。メインキーボード側の[Enter]キーがある列のすぐ右に10キー部があるので,[Back Space]キーを押そうとして[Num Lock]キーを押してしまったり,[Delete]キーを押そうとして[M6]キー(※上の写真で[Num Lock]キーの上にあるキー)を押してしまいがちなのだが,ストロークが深いので,入力がオンになるまでの間に気付いて問題を回避できる可能性が多少なりともあるのだ。

 そのほかにも,[↑]キーを左右から挟み込んであって“誤爆”を誘う[Page Up/Page Down]キーの配置など,総じて,完璧とは言えない。ただ,ゲーマー向けノートPCのキーボードとして現在最も完成度の高いものの1つであるとは言ってしまって問題ないだろう。
 任意のキーをCommand Centerから無効化したり,キーボードショートカットに割り当てたりできるようになれば,いま指摘したような問題はすべて解決するはずなので,ぜひ対応を検討してほしいと思う。

 長時間のゲームプレイでキーボードを使っていくときに気になるのは熱で,ALIENWARE 17 R5はどうかだが,熱はほぼ完璧に管理されている。
 室温23〜26℃の環境でFortniteを2時間近く連続でプレイし続けたときのキーボード面温度を撮影した結果が下の画像だが,[W/A/S/D]キー周辺の温度は40℃前後で抑えられており,プレイ開始後1時間くらいした状態でも「少し温かいかな」くらいの印象だった。低温やけどの心配はいらないだろう。

放射温度計「FLIR ONE Pro」から撮影した結果。キーボード面の最奥部と[L]キー周辺部は50℃を軽く超えてくるのだが,それでも[W/A/S/D]キー周辺はまったく問題のない温度に留まっている
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底面は半分弱が吸気用スリットになっている
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 この温度を実現できているクーラーは,底面と,本体右側面のスリットから外気を吸い,本体奥側2か所と,左側面のスリットから熱を筐体外へ排出する仕様になっている。本体右側面のスリットを排気でなく吸気に使っているのは,右手にマウスを持って使うユーザーのための配慮で,上の温度分布を見ても,マウスパッド部に向かって熱が放出されたりはしていないのを確認できるだろう。ここもさすがAlienwareといった感じである。


 なお,上のムービーを再生すると分かると思うが,高負荷時におけるファンの回転はかなり勢いがよく,動作音もかなりのレベルに達する。なのでゲームのサウンドを聞く,とくに遠くの銃声や,同じ建物の中にいる敵の動きを聞こうとすると,内蔵2.1chスピーカーでは厳しい。ゲームでは,アナログ接続もしくはUSB接続型ヘッドセットおよびヘッドフォンの利用を強く勧めたいところだ。

ALIENWARE 17 R5の本体底面を再び。写真右上に見える小さなスリットのところにサブウーファがある
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 余談気味に続けておくと,ALIENWARE 17 R5ではALIENWARE 17 R4から引き続き,サブウーファが本体正面向かって右にズレたところに配置されている。Alienwareの側では音が右寄りに定位して聞こえてしまわないようチューニングしているのが一聴して分かるため,その点では「サブウーファを左右どちらか偏った場所へ置いてそのまま何の対策もしていない」ようなノートPCと比べるとずいぶんマシなのだが,それでも,物理的な限界は超えられず,音はやはりどうしても若干右に寄って聞こえてしまう。なので,音楽やビデオを楽しむ場合もヘッドセットやヘッドフォンを利用したほうがいい。

Command Centerのフュージョン以下にある,サウンド関連設定。左ペインのメニューからゲームごとのプリセットを選んだり,細かく設定したりできる。ALIENWARE 7.1 バーチャルサラウンドサウンドの有効/無効切り替えもここだ
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 さて,そのヘッドセットおよびヘッドフォン利用時だが,アナログ接続型モデルであれば,Command Centerのフュージョンから「ALIENWARE 7.1 バーチャルサラウンドサウンド」を有効化できるようになっている。
 このバーチャルサラウンド機能がどこの技術を基にしたものかは問い合わせ中(※発表時点から繰り返し問い合わせているが,今のところ回答は得られていない)で不明なのだが,端的に述べて効果は「並み」といったところ。無料の機能としては悪くなく,3Dゲームにおける音の発生源は分かりやすくなるが,FPSやTPS向けというよりはRPG向けで,どちらかと言えば音の広がりを楽しむための機能といった印象だ。

 FPSやTPSで,攻撃されている方向や,敵の足音といった「情報としての音」を聞き分けたいのであれば,Windowsストアから購入できる「Dolby Atmos」を使うほうがより幸せになれるだろう。あるいはお気に入りのUSB接続型ヘッドフォンを利用するというのも手だと思われる。

ALIENWARE 17 R5では,ユーザーが自分の目を使ってセットアップすると,視線追跡技術を利用できるようになる
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 機能面ではもう1つ,Tobii Technology製の視線追跡デバイスを搭載している点も押さえておきたい。これもALIENWARE 17 R4から引き続いての仕様だが,ユーザーがPCから離れたら画面やLEDイルミネーションの輝度を下げたり,[Alt]+[Tab]キーからのタスク切り替えを「アプリを見つめる」ことで可能にしたりできるが,それとは別に,管理用ソフトウェア「Tobii Software」にはゲームのオンライントレーニングサービス「Alienware Academy」(以下,Academy)の予告も登場していたからだ。

Tobii SoftwareからPCやWindowsの挙動や操作に関する設定を行える
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現時点ではまだ「何かができる」状態にはなっていないが,Academyの予告が出てきた。最悪,英語版Academyには日本から参加できるかもしれない
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 視線追跡技術を応用してゲームの技能向上を図るAcademyは「Counter-Strike: Global Offensive」を題材としてこの秋にも正式スタートする予定になっている(関連記事)。それが日本から利用可能になるかについて日本のデルは公式見解を明らかにしていないが,ALIENWARE 17 R5というPCレベルではいつでも対応できそうだ。

なお,本文ではあえて触れていないが,Command Centerの「FX」から各部のLEDイルミネーションを変更できる点はALIENWARE 17 R4から変わっていない
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ストレージなどのカスタマイズしやすさは随一


 ゲーマー向けノートPCを長く使ううえでは,ストレージやメモリモジュールなどをユーザー側で拡張できるかどうかというのが非常に重要な要素となる。とくに一部のメーカーは「底面カバーを開ける以前に,留めてあるビスを外しただけでメーカー保証が失効」という厳しいサポートポリシーを掲げていたりするわけだが,伝統的に「工場出荷状態にまで戻せればメーカー保証の対象」というスタンスを貫いているAlienwareは,ALIENWARE 17 R5でも,購入後にカスタマイズしたいというユーザーに対してとてもフレンドリーなハードウェア仕様を実現している。

本体底面のビスを外すと,底面カバーは簡単に開けられる
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 これはALIENWARE 17 R5で初採用というわけではないのだが,相変わらず素晴らしいのは,底面カバーを開けても,エンドユーザーがアクセスできるのは基本的にストレージとメモリモジュールだけだという点である。

 ショートしてパーツが壊れないよう,ストレージやメモリモジュールの着脱時はバッテリーパックの接続を切る必要があるのだが,そのためにわざわざ「まずここのケーブルを外してね」と説明書きがあり,追加のM.2スロットにも細かく注意書きを入れたりして,とことん分かりやすく配慮している。そして同時に,それ以外のコンポーネントはがっちりと保護してあり,よほどのことがない限り,ストレージなどの交換中に誤ってPCを壊してしまうことがないようになっているのだ。

感動的な配慮と言えるのがこの注意書き。「ストレージやメモリモジュールを壊すといけないから,まずバッテリーからの給電をカットしましょうね。外すべき端子はこれですよ」と教えてくれるゲームPCは筆者(佐々山薫郁)の知る限りALIENWAREだけだ
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標準で搭載するM.2 Type 2280のSSDとは別に,M.2 Type 2280とM.2 Type 2240のSSD用スロットを搭載。あまり交換するメリットはないだろうが,無線LANカードも一応は交換できる
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メモリモジュールと2.5インチHDDにも簡単にアクセス可能。HDDのほうはビスを外して紐を上に引き上げるようにすればトレイごと取り出せる

 もちろんこれは薄さを諦めた筐体だからこそできる仕様なのかもしれないが,カスタマイズ性については文句の付けようがない。


クロックアッププロファイルを適用した状態でのテストも実施


 ここからはベンチマークを行っていこう。
 今回,ALIENWARE 17 R5のパフォーマンスをテストするにあたっては,比較対象として2つのデスクトップPCを用意した。1つは,「Core i7-8700T」(以下,i7-8700T)とデスクトップPC向けGTX 1080を組み合わせた,最新世代のハイエンド構成。もう1つは「Core i7-4790K」(以下,i7-4790K)と「GeForce GTX 780」(以下,GTX 780)を組み合わせた,5年前のハイエンド機に相当する構成だ。つまり,同じ製品名のGPUを搭載したデスクトップPCに対してALIENWARE 17 R5が性能面でどこまで迫れるか,そして,5年前のハイエンドデスクトップPCからの買い換え対象にALIENWARE 17 R5がなり得るかを見てみようというわけである。

Command Centerの「ホーム」からサーマルプロファイルは簡単に変更できる
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 なお,前段で簡単に触れたとおり,ALIENWARE 17 R5にプリインストールされたCommand Centerのフュージョンタブ以下にはあらかじめ2つのメーカー保証付きクロックアッププロファイルが用意されている。CPUの動作クロック上限が前者だと4.8GHz,後者は5.0GHzとなるのが違いだというのも先に触れたとおりだが,今回はより高いCPU性能が期待できるOverclock 2プロファイルを適用した状態(以下,ALIENWARE 17 R5 OC)でもテストを行うことにした。
 Overclock 2プロファイルの適用時は,ファンの回転数制御であるサーマルプロファイルも「バランス」から「パフォーマンス」へと変更している。

 テストに用いたグラフィックスドライバはテスト開始時の最新版となる「GeForce 398.36 Driver」で統一。さらに,Windows 10側の電源プランも「高パフォーマンス」で揃えた。そのほかテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0準拠。4Gamerではすでにレギュレーション22世代を公開しているが,これはテスト開始タイミングの都合なのでご了承を。
 もっとも,テストタイトルはやや変則的で,「Prey」を「Far Cry 5」へ,「Forza Motorsport 7」を「Project CARS 2」へ置き換え,レギュレーション22.0に近づけている。なのでFar Cry 5とProject CARS 2のテスト方法はベンチマークレギュレーション22.0紹介記事を参照してほしいが,Far Cry 5だけは「2回実行して平均を取る」のではなく,「1回の実行結果をそのままスコアにする」というものになっているので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

 テスト解像度は,ALIENWARE 17 R5の標準解像度である2560×1440ドットと,アスペクト比16:9で1段下になる1920×1080ドット,そして2段下になる1600×900ドットの3つを選択した。

 また,ALIENWARE 17 R5をゲーム以外で使うときの性能も確認すべく,UL製の総合ベンチマークソフト「PCMark 10」(Version 1.1.1739)と,「ffmpeg」(Version 4.0.2)を用いた動画のトランスコードテストを実施することにした。両テストをどのように実施したかは考察の直前でそれぞれ紹介する。


GTX 1080搭載デスクトップPCと互角以上に立ち回るALIENWARE 17 R5


 以下,文中とグラフ中ともに,i7-8700TとGTX 1080の組み合わせを「i7-8700T+GTX 1080」,i7-4790KとGTX 780の組み合わせを「i7-4790K+GTX 780」と表記することを断りつつ,「3DMark」(Version 2.5.5029)の結果から見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。ALIENWARE 17 R5のスコアはi7-8700T+GTX 1080比で94〜97%程度と,GTX 1080搭載のデスクトップPCに迫るものとなった。i7-4790K+GTX 780に対して2倍以上のスコア差を付けている点にも注目したい。
 ALIENWARE 17 R5 OCはi7-8700T+GTX 1080比で97〜100%程度となり,「Fire Strike Ultra」では並んでいる。

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 続いてグラフ2は,そんなFire StrikeにおけるGPUテスト「Graphics test」の結果を抜き出したものだ。ALIENWARE 17 R5のスコアはi7-8700T+GTX 1080比で97〜98%程度となり,ALIENWARE 17 R5 OCでは完全に並んだ。ノートPC向けGTX 1080でデスクトップPC向けGTX 1080と遜色ないスコアを叩き出せるというのはただただ驚きだ。

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 ソフトウェアで物理シミュレーションを実行する,事実上のCPUテストである「Physics test」。そのスコアを抜き出したものがグラフ3だが,ここではALIENWARE 17 R5がi7-8700T+GTX 1080の83〜87%程度と,かなり離されてしまった。定格,最大クロックともALIENWARE 17 R5の搭載するi9-8950HKのほうがi7-8700Tより高いが,それでもやはりノートPC用CPUでは動作クロックが低めに制御される時間が長くなるということなのだろう。
 その点,CPUが最大5.0GHz動作となるALIENWARE 17 R5 OCがi7-8700T+GTX 1080比で92〜96%程度と,スコアをかなり改善してきている点は押さえておきたい。

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 グラフ4はCPUとGPUの両方に負荷をかける「Combined test」の結果をまとめたものだ。
 CPU性能の影響がそれほどは大きくなくなる「Fire Strike Extreme」以上に注目すると,Graphics score同様,ALIENWARE 17 R5 OCがi7-8700T+GTX 1080と肩を並べた。描画負荷の高いシーンだと,CPU性能にかかわらず,ALIENWARE 17 R5 OCはGTX 1080搭載のデスクトップPCにまったく引けを取っていないわけである。

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 3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」でもALIENWARE 17 R5 OCはi7-8700T+GTX 1080といい勝負を演じている。
 グラフ5は総合スコアをまとめたものだが,i7-8700T+GTX 1080に対してALIENWARE 17 R5は97〜99%程度,ALIENWARE 17 R5 OCに対しては99〜101%程度のスコアだ。

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 グラフ6,7はそんなTime SpyのGraphics testと「CPU test」のスコアを抜きだしたものだが,Graphics scoreのほうだとALIENWARE 17 R5がi7-8700T+GTX 1080よりわずかながら高いスコアを示した。これはなかなかにインパクトが大きい。また,対i7-4790K+GTX 780でTime Spy“無印”のスコアが2.8倍に達しているのも見どころと言えそうだ。
 一方,「CPU score」のほうはi7-8700T+GTX 1080比でALIENWARE 17 R5が80〜83%程度,ALIENWARE 17 R5 OCが85〜89%程度と,Fire Strikeと比べてスコア差が広がっている。

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 以上を踏まえてゲームアプリケーションを用いたテストの考察に移るが,まずグラフ8〜10はFar Cry 5のテスト結果だ。
 Far Cry 5の平均フレームレートだと,2560×1440ドットでALIENWARE 17 R5は(わずか1fpsではあるものの)i7-8700T+GTX 1080より高い値を示した。1920×1080ドット以下では相応に離されるので,GPU性能がスコアを大きく左右する局面ではALIENWARE 17 R5のほうが若干優勢という理解でよさそうである。
 一方,CPUだけのオーバークロックはことFar Cry 5においてはほぼ意味がないことも,ALIENWARE 17 R5 OCのスコアからは見てとれよう。

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 CPU負荷が低く,GPU性能がスコアを大きく左右する傾向にある「Overwatch」だと,ALIENWARE 17 R5が安定してi7-8700T+GTX 1080を上回った。結果はグラフ11〜13にまとめたとおりだが,ALIENWARE 17 R5のスコアは平均フレームレートでi7-8700T+GTX 1080の100〜106%程度。高解像度になるにつれてALIENWARE 17 R5の優位性が上がっていくのはFar Cry 5と同じ傾向だ。
 また,ALIENWARE 17 R5が1920×1080ドットで最小120fpsをクリアしている点にも注目してほしい。搭載する垂直リフレッシュレート120Hzパネルを文句なしに活用できるレベルなのが分かるだろう。

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 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果はグラフ14〜16のとおり。PUBGでは1920×1080ドット以下だとCPUの相対的なボトルネックによって平均フレームレートが143fps付近で頭打ちになっている。そこで,2560×1440ドットを見ていくことになるが,ここでALIENWARE 17 R5はi7-8700T+GTX 1080に対して約108%とかなりのスコア差を付けた。
 一方,ALIENWARE 17 R5 OCはALIENWARE 17 R5からほんどスコアを伸ばせていない。

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 高解像度条件でALIENWARE 17 R5がi7-8700T+GTX 1080に対して優位に立つのは,グラフ17〜19の「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)でも同じだ。
 ALIENWARE 17 R5は,1920×1080ドット時の平均フレームレートでi7-8700T+GTX 1080を上回り,2560×1440ドットでその差を約5%にまで広げている。

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 グラフ20〜22は「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)の結果だ。平均フレームレートを見ると,ALIENWARE 17 R5はi7-8700T+GTX 1080とほぼ同程度。レギュレーション21世代では最小フレームレート40fps以上を合格点としているが,ALIENWARE 17 R5は1920×1080ドットでそれをクリアする。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものがグラフ23だが,ここでもALIENWARE 17 R5のスコアは良好だ。
 1600×900ドット条件こそ相対的なCPUのボトルネックが近いためかスコアが丸まりつつあるものの,それ以外の解像度ではALIENWARE 17 R5がi7-8700T+GTX 1080対して約2%高いスコアを示している。
 その一方,ALIENWARE 17 R5 OCはALIENWARE 17 R5に対して優位性をほぼ発揮できていない。

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 グラフ24〜26はそんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均および最小フレームレートをまとめたものだ。
 平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっているが,最小フレームレートを見ると,1920×1080ドット以下でALIENWARE 17 R5はi7-8700T+GTX 1080から若干離されている。このあたりはCPUの性能差がゆえということなのだろう。
 2560×1440ドットだとむしろi7-8700T+GTX 1080より最小スコアが高いが,これは描画負荷が上がり,GPU性能がより大きくスコアを左右するようになったためだと考えている。

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 Project CARS 2の結果がグラフ27〜29だ。ここでも描画負荷の高まる1920×1080ドットでALIENWARE 17 R5はi7-8700T+GTX 1080に平均フレームレートで並び,2560×1440ドットだと引き離すのが分かる。これまでのテストとおおむね同じ傾向と言ってしまっていい。
 面白いのは,平均フレームレートがここまでを踏襲したテスト結果なのに対し,最小フレームレートはむしろ全面的にALIENWARE 17 R5が優勢ということだ。なぜこうなっているのかは分からないが,Project CARS 2のCPU負荷がALIENWARE 17 R5の筐体設計とちょうどいいバランスなのかもしれない。

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 ここからは非ゲーム用途を想定したテストである。
 まずはPC総合ベンチマークとなるPCMark 10だが,今回は用意される3つのテストのうち,“無印”のPCMark 10を実行した。
 その総合スコアはグラフ30のとおりだ。ALIENWARE 17 R5はi7-8700T+GTX 1080に対して約3%高いスコアを示し,ALIENWARE 17 R5 OCはそんなALIENWARE 17 R5よりさらに約6%高いスコアを残している。

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 グラフ31はその詳細となるテストグループごとの結果になるが,Webブラウジングやアプリケーションの起動の速さといった日常の快適さを見る「Essentials」だと,ALIENWARE 17 R5 OCとALIENWARE 17 R5,i7-8700T+GTX 1080の間にスコア差は事実上ないに等しい。一方,ビジネスアプリケーションの快適さを見る「Productivity」だと,i7-8700T+GTX 1080に対してALIENWARE 17 R5 OCが約20%,ALIENWARE 17 R5が約5%高いスコアを示した。CPUクロックの違いが“効いた”印象である。
 ソフトウェアベースの3Dレンダリングなど,マルチコアが有効な「Digital Content Creation」も,Productivityほどではないにせよ,動作クロックの違いは出ていると言ってよさそうだ。
 ちなみに対i7-4790K+GTX 780だと,ALIENWARE 17 R5のスコアは80%以上高いスコアで,6コア12スレッド対応CPUの効果が見てとれる。

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 お次はffmpegを用いたトランスコードのテストに移ろう。今回は,FFXIV紅蓮のリベレーターで実際にゲームをプレイした,解像度1920×1080ドットで6分42秒,ビットレート149Mbps,Motion JPEG形式の動画を用意。それを「libx264」を用いたH.264/AVC形式,そして「libx265」を用いたH.265/HEVC形式へそれぞれトランスコードしたときの所要時間を測定した。

 結果はグラフ32のとおりで,ALIENWARE 17 R5は対i7-4790K+GTX 780と最下位争いという結果になった。ALIENWARE 17 R5 OCはi7-8700T+GTX 1080に対してあと一歩なので,CPUコアクロックのオーバークロックを行わない限り,高い負荷が長時間かかり続けるようなケースだとALIENWARE 17 R5はCPUコアクロックを落としにかかるという理解でいいだろう。

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消費電力はデスクトップPCといい勝負ながら,オーバークロックによる消費電力増大は小さめ


付属するACアダプターは定格330W(19.5V 16.9A)仕様。非常に大きく,重い
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 ALIENWARE 17 R5の消費電力も確認しておきたい。今回は,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いて,システム全体のそれを計測することにした。なお,バッテリーは内蔵されているため,充電を100%にした状態でテストを行うことで,充電による消費電力増大の回避を試みている。
 また,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,電源プラン設定を「バランス」に戻し,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」として,各アプリケーションベンチマークを実行したとき最も高い消費電力値を記録した時点ともども,スコアを取得することにした。

 その結果がグラフ33だ。
 ゲームアプリケーション実行時におけるALIENWARE 17 R5の消費電力はざっくり280W前後といったところ。i7-8700T+GTX 1080より若干高いが,垂直リフレッシュレート120Hz対応で解像度2560×1440ドットの15.6型液晶パネルを駆動するというハンデを考えると,五分五分か,若干低めと言っていいのではなかろうか。世間一般が考える「ノートPC」の消費電力としては異常かもしれないが,「デスクトップPC向けGTX 1080搭載機と同等性能のノートPC」が持つ消費電力としては納得できるレベルだ。
 また,ゲームアプリケーション実行中にi7-4790K+GTX 780と比べて70〜100W程度低い消費電力になっている点も押さえておきたい。

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 最後にCPUとGPUの温度も簡単にチェックしておこう。
 今回は3DMarkのTime Spyを30分間連続実行した時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,CPUは「Core Temp」(Version 1.12.1),GPUは「GPU-Z」(Version 2.10.0)から温度を取得することにした。

 その結果はグラフ34,35のとおり。ALIENWARE 17 R5はCPUの温度が,高負荷時で97℃,ALIENWARE 17 R5 OCは99℃と高めだ。GPUの温度はデスクトップPCと大差ないだけにCPU温度の高さが目立つが,i9-8950HKのTjunction(≒許容上限)は100℃なので,ギリギリのとこで制御仕切れている,とも言える。

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ゲーマー向けハイエンドノートPCにおける1つの到達点と言えるALIENWARE 17 R5


 というわけで,今回も長くなったがまとめよう。ALIENWARE 17 R5のスプレマシーVRモデルにおける,良いところと残念なところ,人によって評価が割れるであろうところは,おおむね以下のとおりとなる。

良いところ

  • デスクトップPC向けGTX 1080搭載機と比べて互角以上の3D性能
  • 垂直リフレッシュレート120Hzを活かしきることも,G-SYNCのヌルヌル感を堪能することも,2560×1440ドットの高解像度を活用することもできる液晶パネル
  • ゲーム用途でほぼ完璧なキーボード
  • キーボード盤面の熱を低く保ち,また筐体の右側へ排熱を漏らさない,優れた筐体冷却能力
  • ゲーマー向けノートPCとして不満のない外部インタフェース配置
  • 他の追随を許さない,圧倒的にフレンドリーなストレージ&メモリモジュール交換周り

残念なところ

  • サブウーファが本体正面向かって右側に寄っており,(調整もむなしく)右にズレて定位するスピーカー出力
  • メインキーボードのすぐ右に10キー部が来る窮屈さがもたらす,文字入力時に“誤爆”しやすい配列

人によって評価が割れるであろうところ

  • メインキーボードの左に並ぶ追加キー
  • 今回の構成だと軽く40万円を超えてくる税込価格
  • 室内ですら持ち運びを拒否するかのような本体重量

製品ボックス
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 細かい部分では,ALIENWARE 17 R4からそのまま引き継いだ弱点がどうしても気になる。とくにキーボード周りは「10キー部を削る」「10キー部を残すなら一番左の1列をカットしてメインキーボード部を左に動かす」だけで使い勝手はずいぶん変わるであろうことが想像できてしまうだけに,もやもやとした感情が湧いてくる。
 ただ実のところ,不満点はそれくらいだ。

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 性能とゲーム用途における使い勝手,冷却能力,拡張性という,ゲーマー向けノートPCでとくに重要な要素において,ALIENWARE 17 R5はほぼ理想的な存在と言える。真の意味でハイエンドのデスクトップPCを代替できるゲームPCなどほとんどないわけだが,ALIENWARE 17 R5ならそれが可能という「事実」は大きい。
 予算度外視で,とにかく一番いいゲーマー向けノートPCが欲しいという人にとって,ALIENWARE 17 R5はおそらく,2018年8月末時点でベストの選択肢である。

デルのALIENWARE 17 R5

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