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印刷2010/10/18 19:07

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海外ゲーム四天王 / 第62回:「CityOne」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第62回:今週の経済状況:「CityOne」
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 世界的なIT企業,IBMがゲームを制作,ということでちょっと話題になった「CityOne」を紹介するのが,今週の「海外ゲーム四天王」。都市問題をテーマにした教育目的のシリアスゲームで,都市発展に伴う4種類の問題の解決にプレイヤーが挑んでいくのだ。派手な爆発や,大怪獣の上陸などはなく,いかにも大手企業が制作したという雰囲気の真面目な作品だが,誰でも楽しめる無料のブラウザゲームなので,ちょっと試してみるのも悪くないはず。
 そんな一本に,「SimCity」ならやり込んだというCityつながりのライター,朝倉哲也氏がチャレンジした。

あちらを建てれば,こちらが予算不足 都市問題の解決に挑むIBM製のシリアスゲーム登場

 

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 「CityOne」は,世界的なIT企業であるIBMが開発した,ブラウザ上で動く無料の都市建設シミュレーションゲームだ。架空の都市をプレイヤーが発展させていくという,いわばIBM版「SimCity」とでもいえそうなゲームだが,経済を発展させて街を大きくしていくだけでなく,都市の拡張に伴って発生する環境問題やエネルギー問題など,現実の社会でも発生しているさまざまな問題を,どうやって解決していくかの手腕が問われる点が特徴といえるだろう。ジャンルとしては,いわゆる「シリアスゲーム」の範疇に属し,娯楽以上に教育的目的が前面に押し出されたゲームになっている。
 制作が発表されたのは,2010年5月で,(関連記事)「あの,IBMが制作したゲーム」ということでも,ちょっとした話題になった。

 

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 ゲームがスタートすると,プレイヤーには「エネルギー」(Energy),「水問題」(Water),「銀行」(Banking),「小売り」(Retail)といった4つのテーマが提示され,そのテーマに沿ったシナリオをプレイしつつ,現実の都市でも起こっているこれらの問題がなぜ発生するのか,そして,どのようにすべきなのかを探し出して,解決していかなければならない。
 例えば水問題をテーマとしたシナリオでは,都市の発展に伴って急激に人口が増加することで,深刻な水不足が発生し,それを解決するためのインフラを整備しようとすると,コスト問題が浮上してくる。そこでプレイヤーは,新たな水道の管理システムを研究しなければならないといった感じになる。都市問題を研究しつつも,エンタテインメント性を重視した「SimCity」とは,一見似てはいるものの,実際はかなり違うゲームになっている。
 地球の全エネルギーの8割近くが都市部で消費され,同様に,排出される二酸化炭素の8割が都市からのもの。さらに,今後50年のうちには,都市部の人口は現在の2倍にふくれあがるという試算もあるので,ゲームを通じてさまざまな問題解決の方法を探ることは,それはそれで意味深いことだろう。

 

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 ブラウザで動作するので,クライアントのインストールは必要なく,インターネットに接続できる環境と,Internet ExplorerやFireFoxといったブラウザがあればプレイ可能だ。最初にプレイヤー登録が必要なのだが,これがちょっと面倒だったり,ゲーム中に読まなければならない英文テキストが多かったりなど,英語が苦手な人には取っ付きにくいのが難点といえるだろう。

 

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 ゲームはターン制が採用されており,各ターンの終わりには,そのターンで増減した都市の人口や経済状況,住民の幸福度などが分かりやすく表示されると同時に,スコアが与えられる。このスコアは,そのターンでプレイヤーが行ったアクションが,都市にどのような影響を与えたのか判断されたもので,まず最初の10ターンのスコアがサーバーに記録される。ゲームは20ターンで終了するので,少し短い印象を受けるが,最終的なスコアもまた記録され,いま現在プレイヤーが何番めにいるかが分かる仕掛けだ。
 順位のほか,世界のどの地域で,どれだけの人が本作をプレイしているかも表示されるのが,ちょっと面白い。北米のプレイヤーが最も多いのは当然かもしれないが,2番めが中国となっており,なかなか興味深い。本日(10月18日18時現在)はどうやら,アイスランドでは誰もプレイしていないとかも分かる。

 

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 シリアスゲームだけに,ゲーム中に突如として宇宙人が襲来して都市を破壊したりといった破天荒なことは何一つ起きない。ブラウザゲームということもあり,グラフィックスは一枚絵のシンプルなものだ。ただし都市の発展に伴って,白一色だった都市が色彩を帯びていったりと,基本的にはいたって地味ながら,一ひねりは加えられている。
 「SimCity」シリーズのように,メガロポリスを作り出すといったやりこみ要素はないものの,現実に即したリアルな諸問題を解決していく面白さは感じられるはず。ブラウザさえあれば,誰でも簡単にプレイできるので,興味のある人は試してみよう。

 

CityOne公式サイト

 

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コラム:IBMのシリアスゲーム第一弾,「PowerUp」とは?
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 実をいうと,IBMが制作するシリアスゲームは,「CityOne」が最初ではない。2008年にも一つリリースされており,その名を「PowerUp」という。ご存じでしたか?
 PowerUpは,大気汚染や地球温暖化,異常気象などの環境問題で危機に瀕している架空の惑星「Helios」を,さまざまなミッションを通じて解決していくというものだ。こちらも教育目的なので,バイオレンス要素などはまったくなく,親子が一緒になってプレイしながら環境問題を考えていける。
 残念ながら,あまり話題になったとは言いがたいタイトルだったが,フリーゲームとして公式サイトからダウンロードができるので,CityOneの次にはこちらもやってみよう。

 

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