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すべての道は天下統一に通じる! 9月18日発売のシリーズ最新作,「信長の野望・天道」のプレビューを掲載
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印刷2009/09/14 11:52

プレイレポート

シリーズ第13作がいよいよ登場。「街道」こそが天下統一への道

信長の野望・天道

Text by 朝倉哲也

画像集#018のサムネイル/すべての道は天下統一に通じる! 9月18日発売のシリーズ最新作,「信長の野望・天道」のプレビューを掲載

 信長の野望シリーズの最新作となる「信長の野望・天道」(以下,天道)が2009年9月18日,コーエーから発売される。群雄が割拠した戦国時代,プレイヤーが一人の大名となって日本統一を目指して戦い抜くという,おなじみのストラテジーゲームだ。
 前作「信長の野望・革新」以来4年ぶりのシリーズ第13作となる本作は,シリーズ第1弾の「信長の野望」が1983年に発売されているので,実に26年という長寿シリーズになる。
 戦国時代という,最近とくに注目度の上がっている時代を舞台に,織田信長,武田信玄,上杉謙信など,多くの日本人が知っている有名な武将が続々と登場し,さらには自分もそんな大名の一人となって合戦や内政,外交などに腕を奮えるというのは,まさにゲームならではと言えるだろう。

 そんな人気シリーズの最新作,天道では,新たな要素として「街道」が大きく取り上げられている。街道といえばもちろん道のこと(当たり前だ)だが,果たして街道と日本統一が――道だけに――どうつながっているのだろうか? というわけで,まずは天道のメイン要素の一つである街道の役割について見ていこう。

信長の野望といえば,やはりこの人だが,シナリオによっては(開始当初は)弱小大名の一人でしかない
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道に始まり,道に終わる 攻略の秘訣は道にあり!


 本作での街道とは,「城と城,城と集落とをつないで収益をもたらし,さらには軍勢を移動させる,まさに日本の動脈ともいえる存在だ。

 街道がないと,まず軍勢の移動に支障が出てくる。本作は戦国時代の国盗りを楽しむゲームであるからして,どうしても「他国を侵略すること」が求められるわけだ。侵略するには,兵士を指揮して相手の城に攻め込まねばならないのは当然だが,その城が街道とつながっていないと移動に時間がかかるため,兵士達の士気を高く保てなくなる。

「国づくりは道づくり」と,昔の人が言ったかどうかは実は知らないが,少なくとも本作では道づくりが最も重要な要素になっている
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 本作では軍団に配置された兵士達の士気が高くないと,いくら兵力があっても戦力にならず,それどころか,一定の値まで士気が下がると勝手に戦線を離脱してしまう。「あと一歩で城を落とせる!」というとき,兵士の士気が下がって軍勢が離散,結局攻めきれなかったという状態が起こったりすると精神衛生上非常によくないので,戦闘が始まるまでにいかに士気を高く保ったままでいられるかどうかが重要になるわけだ。

 そこで優秀な戦国大名たらんとするプレイヤーは,まず敵国に向かう街道がどのようになっているかを真っ先に見ておかねばならない。もし自国と他国が街道でつながっていなければ,最初に街道を通すことを考えるのだ。そう,本作では道のないところに道を敷くこともできる。街道を通すにはそれなりの時間がかかりはするが「まずは道ありき」の精神を持って街道を四通八達させるよう心がけるというのが,本作における覇道の第一歩となるだろう。

 しかし,「街道を通す」ということは,相手からも攻め込まれやすいことを意味する。他国を攻め取ったばかりで,いま攻め込まれては危ういというような状況では,あえてつながっていない街道を放っておいたり,さらには,通っている街道を潰してしまうといった英断も必要となる。

甕割り柴田こと,織田家筆頭家老の柴田勝家。統率の値が戦闘での強さを決めるのだが,90という数値はご立派
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 戦闘で街道が重要なのはもちろんだが,内政においても同様に重要だ。
 天道では,例え自分の領国となった土地でも,街道の通っていない集落からは収益などの恩恵が受けられない。
 国を富ませるには,村落に田畑をつくり,市場を整備し,技術革新のための施設を設けるなど,やることはたくさんあるが,それもこれも,それぞれの集落が街道でつながれていればこその話だ。
 国の中に孤立した集落があると,そこからは一切の収入が入らないので,とんでもない損失になる。とくにゲーム序盤は,領地のはずれのほうにポツンと集落があったり,山間にひっそりと馬の生産地があったりする場合が多く,少しでも収入の欲しいこの時期,これらを見逃しているとかなりの損失を生む。そんなことでは大名失格である。

 このように,軍事に内政にと,街道が重要な意味を持つだけに,本作では砦や櫓などを配置して街道筋を警備できるようになっている。砦や櫓とは,敵兵が接近すると自動的に攻撃を仕掛けてくれる軍事施設だ。移動中の敵の軍勢が砦や櫓に遭遇すると,まずそれを潰そうと攻撃を仕掛けてくる場合が多いので,時間を稼ぐという面からも重要な施設なのだ。
 しかも砦や櫓には兵士を配置する必要がなく,建設した途端に機能を100%発揮してくれるので,周囲が強敵ばかりの弱小大名にとって,誠にありがたい存在になってくれる。


領土防衛も忘れてはならない。本作では砦や櫓のほか,支城まで建設可能だ
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自由な発想で,国境なき戦略をたてよう


 天道における国境とは,「あってないようなもの」。ゲーム画面上では国境にラインが入っているのだが,そういった境を無視した集落単位での攻略が可能となっているのは本作ならではの要素だ。
 もちろん,その国の本城を攻略すれば,その国に付属していた集落はすべて自分のものとなる。だが敵の軍備が揃っていないゲーム序盤や,自国がすでに強大な勢力を持っているならともかく,中盤以降は敵も城に兵士をたくさん擁しているため,攻め込む機会が減りがち。
 以前なら,そういう場合には計略をしかけたり,家臣を引き抜いたりして弱体化を図るという方策を採らざるを得なかったのだが,今回は敵国の集落に攻め込んで自分のものにできるようになったため,強大な敵国の国境にある集落を少しずつ占領して自国経済の発展を図りつつ,敵国経済の疲弊を狙うといった戦略が可能になった。

城攻めも,こうなるといよいよ落城間近だ。最後まで寄せ手の士気を保てるかどうかが,勝敗の分かれ目となることも
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 当然ながら敵も黙って集落を盗らせてはくれず,撃退のための軍勢を差し向けてきたりもするのだが,それを狙ってこちらの軍勢をぶつけてやれば,多大な損害の発生しやすい攻城戦を行う前に,野戦で敵兵力を大きく減殺できる機会が得られる。

 従来作のように,「国同士の激突による日本の統一」という大きな単位での戦略に加え,集落村/地域単位のより細かな戦略を立てられるのが本作の大きな魅力の一つなのだ。

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あまり募兵ばかりしていると,民の不満が高まり一揆が発生する。早いうちに鎮圧しないと,開発した村を失いかねない
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史上に名高い歴史上のイベントも再現されている。桶狭間イベントが起きると,今川家の戦力はがた落ちとなる


リアルタイム制ならではの,
スピーディな合戦と陣形の効果


 信長の野望シリーズにリアルタイム制が採用されたのは,2001年に発売された「信長の野望 嵐世記」からのことで,軍団を組織して合戦の指示を出すと,軍勢がわらわらと出陣していくさまは信長シリーズの様相を大きく変えた。
 もっとも,海外のRTSを好んでプレイしているような人には,軍勢ユニットの動きが「少しもっさりしている」感じは否めなかったと思うが,以来,新作登場のたびに着実にパワーアップされ,8年たった最新作では実にスッキリとした動きを見せてくれるまでになった。

軍勢の編制をしたら,どのような陣形で寄せるかを考えねばならない。城攻めか野戦かを読み間違えると,被害が拡大しかねない
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 軍勢に組み入れる武将を選び,足軽や騎馬といった兵科をどのくらい率いさせるかを決め,最後に攻略地点をクリックしてやれば,あとは勝手に出陣して攻略ポイントに向かってくれる。途中で敵の迎撃部隊に遭遇したりすれば勝手に反撃するし,進軍途中で攻略ポイントを自由自在に変更したりなど,使い勝手は非常にいい。

 軍勢は,あらかじめ陣形を組ませることでいろいろな戦術を使い分けられる。陣形とは「鶴翼の陣」とか「魚鱗の陣」といった,兵士の配置のこと。9種類の陣形はそれぞれ攻撃力が上がったり,守備力が高まったり,あるいは攻城戦で有利になったりという特徴がある。
 決定した陣形は出陣後にも変更できるので,長距離の出陣の場合など,移動力の上がる陣形を組んで城を出発し,敵の出方に応じて陣形を組み替えるといったことが臨機応変に行えるのだ。
 戦闘が野戦になるか城攻めになるかを予想し,それに適した陣形を組むことで戦いを有利に進められるはずだ。陣形を組み替えるたびに,マップ上の軍勢がそれに応じた外見を見せるあたり,まさに大名として軍隊を手足のごとくに動かしている雰囲気が味わえる。そこ,もう少し前へ!

街道で激突する,武田信玄の軍勢と関東諸将達。上泉信綱とは,あの新陰流の開祖である上泉伊勢守のこと
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オリジナル武将の作成もできる。能力値や得意な戦法,どこに登場させるかといった基本事項から,声の種類まで選べる
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人材は国の宝。人なくして国は栄えない。有能な人物ならもちろん,無能な奴にもそれなりの仕事があるものだ


太田道灌と伊達政宗が激突!
戦国大名のオールスター戦が楽しいシナリオ
「群雄集結」


 天道には「1546年1月 信長元服」「1555年10月 尾張統一」「1568年11月 信長上洛」「1575年6月 長篠の戦い」「1582年1月 夢幻の如く」「1565年3月 群雄集結」という6種類のシナリオが収録された「全国モード」と,「1560年1月 瀬戸内の覇者」「1570年1月 三つ巴と六文銭」「1580年1月 九州三國志」「1590年1月不如帰の行方」「1600年1月 奥州、乱る」という5種類のシナリオが収録された「群雄覇権モード」が収録されている。

煙を噴き上げている島は,九州薩摩の桜島だ。薩摩男子は,桜島の煙を肴に焼酎が飲めるとか飲めないとか
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 全国モードは,織田信長の生涯でエポックとなった年をモチーフにしたシナリオにより,当時の日本の戦国模様を忠実に再現しているものだが,最後のシナリオ「1565年3月 群雄集結」だけは,太田道灌や北条早雲といった戦国時代の初期を彩った名将から,織田信長や武田信玄,上杉謙信といった中期の武将,そして豊臣秀吉,徳川家康,伊達政宗など,戦国時代の後半を駆け抜けていった大名達が勢揃いする,まさに戦国大名オールスター戦が楽しめる内容になっている。
 伊達政宗が生まれる80年以上も前に謀殺されている太田道灌だが,天道では奥州の覇者と謳われた独眼竜政宗と,文武両道に秀でた名将である太田道灌が戦うという,ありえない展開が見られるのだ。

宇喜多家に攻め込む毛利元就隊。城攻めの前に,邪魔な櫓を攻撃して後顧の憂いを絶つのだ
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 また,群雄覇権モードは,四国&中国地方,関東,九州,中部地方,東北地方といった地域に限定されたシナリオで構成され,3〜6家程度の大名がその地域の覇権を争うという内容だ。全国モードでの日本の統一には,さすがにそれなりの時間がかかるが,このモードではそれぞれの地域をすべて支配すれば勝利となるため,素早いプレイが楽しめる。
 とはいえ,それぞれのシナリオには,島津,毛利,織田,徳川,武田,上杉,伊達といったその地域を代表する武将が登場するため,そうそう簡単には統一させてくれないだろう。
 群雄覇権モードには,本作の魅力がコンパクトに詰まっている。今まで信長の野望シリーズをプレイしたことがないという人は,チュートリアルを終えたら,まずこのモードから手をつけるのが良いのではないだろうか。

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武将の中には固有の戦法を持っている者もおり,兵の闘志が高まるとそれが発動できる。攻撃力を上げたり撹乱したりと効果抜群
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飛騨の姉小路といえば,信長の野望シリーズでは弱小大名の筆頭として挙げられるが,そこをあえてプレイするのがイキらしい

 シリーズ13作めともなれば,さすがに新機軸や新鮮味を打ち出すのは難しくなってくるだろう。だが今回もまた,見事にその難題をこなしているという印象。個人的には,シリーズの途中でリアルタイム&フル3Dを採用してゲームスタイルを大きく変更したのは正解だったと思う。
 変更当初の作品こそ,「スピード感が物足りない」といった粗さが目立ったが,本作ではそのあたりも見事に解決されているからだ。リアルタイム制の信長の野望になじめなかったという人も,本作なら問題なくプレイできるのではないだろうか。

 また本作の特徴である「街道による,国境に縛られない国づくりや軍事」という新たな展開にも注目したい。とくに大国の領土の端にある集落を,チマチマと侵略していく弱小大名の微妙な喜びという新たなプレイスタイルが見つけ出せたのは,個人的に嬉しい。
 昔ながらのターン制の良さというのも確かにあるが,リアルタイムにすることで現代の戦国ストラテジーとしての完成度を増したように思える。

城攻めにかまけて,つい他がおろそかになるとこういうこともある。留守居の兵士達で撃退できるだろうか?
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 なお,全国モードには,すべての大名をAIに任せてプレイヤーはただのんびりと成行きを見守る「デモプレイ」という機能が搭載されている。AIはかなり好戦的らしく,デモプレイにすると日本のあちらこちらで活発な軍事行動が見られて面白い。
 またデモプレイの途中で,好きな大名家を選んで通常のゲームモードに戻る機能まであるので,最初に選択した大名の旗色が悪くなった時点でデモプレイに変更,しばらく成り行きを見て事態が好転しそうならプレイを再開,また,どうにもならないようなら,ほかの大名家に乗りかえてプレイを続行するといったオキテ破りの楽しみ方もできるので,一度は試してみよう。
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