【PR】プレイヤーの細かな行動一つ一つがすべてを変えていく。1月13日発売のXbox 360用RPG「Mass Effect 2」は，極上のスペースオペラだ

――広大な宇宙。
　きらめく1000億の星々。
　さまざまな姿形，文化を持った異星人。
　そして，光の尾を引いて飛ぶスペースシップ……。

　2011年1月13日（木），マイクロソフトから発売されるXbox 360向けRPG，「Mass Effect 2」は，そんなスペースオペラの世界を思う存分，堪能できる作品だ。いやあ，宇宙はいいなあ，でっかくってさあ。

「Mass Effect 2」公式サイト

　Mass Effect 2を開発したのは，Electronic Arts傘下のスタジオBioWare。欧米ではPC版とXbox 360版がすでに発売されているが，発売後の欧米メディアおよびプレイヤーの本作に対する評価はきわめて良好で，Metacriticのメタスコアでは，Xbox 360版が96ポイント（2011年1月6日現在）と，非常に高いスコアをマークしている。満点を付けたレビュアーも少なくない。

　カナダに拠点を置くBioWareは，この「Mass Effect」シリーズのほかに，ダークファンタジーRPG「Dragon Age」シリーズも制作しており，こちらも人気作になっている。
　SFとファンタジー，この2大ジャンルをテーマにした作品を制作して，いずれもヒットさせてしまったのだから，ゲームデベロッパとしてのBioWareの実力はホンモノだと，筆者は断言する。
　もちろん，筆者に断言されて，BioWareが嬉しいかどうかは別の問題だ。


　とはいえ，日本での状況が必ずしも芳しいものでないのも事実。最大の理由は，なんといっても言葉の壁だろう。複雑で魅力的なストーリーを持ったMass Effectでは，後述するようにゲームを進める上で「会話」が重要になる。
　会話によって物語は変化し，さまざまな展開を見せるわけだが，それだけに英語ではちょっと辛い。ネイティブスピーカーでさえ，プレイ中「はて，これは星の名前だったか，人名だったか？」と考え込む（実話）くらいだ。
　というわけで，今回の日本語版は，世界中で高評価を得た傑作タイトルを日本語で楽しむ絶好のチャンスと言えるだろう。あの膨大なテキストを日本語訳するのは，並大抵の労力ではないはず。

　ところで，Mass Effect 2なのだから，もしかすると「Mass Effect 1」もあったのではないかと予想する鋭い読者もいるかもしれない。いい読みだ。前作「Mass Effect」は，日本では2009年にリリースされており，現在は「Xbox 360 プラチナコレクション」として販売されている。
　全銀河に脅威をもたらす陰謀に挑む，銀河連合軍のシェパード少佐の冒険をすでに楽しんだ人も多いことだろう。
　なお，Mass Effect 2では，前作Mass Effectのセーブデータを引き継ぐことが可能になっている。それも，シェパード少佐の容姿やステータスだけでなく，恋人関係も含む人間関係や銀河の各組織，さらには，以前のミッションでどのような決断を下したのかといったことなど，つまり，世界を（ほぼ）ひっくるめて引き継ぐという大胆なことが可能になっているのだ。

シェパード少佐のキャラクターデータだけでなく，前作で主人公がどのような選択をしたかも引き継がれ，ストーリーに影響を与える。また，前作をクリアしたときのレベルに応じて，経験値やクレジットなどがボーナスとして与えられる

　もともと三部作として企画されていたというMass Effectシリーズだからこそ，実現できることかもしれないが，ゲームシステムは前作と異なる部分も多い。かなりの力業を，半ば無理矢理押し通した形といえるだろう。
　また，Mass Effect 2のスタート時に，前作をクリアしたときのレベルに応じた経験値とクレジットがもらえるボーナスもあるので，もうとっくにそのつもりだろうと思うけど，前作をクリアしたプレイヤーはぜひMass Effect 2にも挑戦してほしい。

　とはいえ，今作からプレイを始めても，まったくゲームの進行に問題はなく楽しめる。ときどき，会話の端々に出てくる人名や組織名，出来事などが分からないかもしれないが，あまり気にしなくてもいいと思う。
　どうしても気になるのなら，ちょっと気が早いが，Mass Effect 2の終了後に，前作をプレイして，ああ，そういうことだったのか！　と得心するという，ちょっとひねったプレイ方法を提案したい。もちろん，まずMass Effectから始めるという方向性もアリだけど。

ミッションの基地となる，ノルマンディー号（上）と，その内部（下）

人類を襲う危機
これぞスペースオペラだ

　まずは，ゲームの概要を紹介しよう。今回，Mass Effect 2は，非常にショッキングなシーンから幕を開ける。
　時は2185年。超光速航行技術“マスエフェクト”を手にした人類は，ついに銀河に乗り出すが，そこにはすでに異星人による銀河の統治機構ができており，新参者の人類はいろいろ肩身が狭いという世界だ。


　前作で，有機生命体の抹殺を図るReaperの侵略を撃退したシェパード少佐は，いつものように愛機「ノルマンディー号」で宇宙を駆けていたが，突然，何者かの攻撃を受けて船は大破。
　古い相棒の1人，ジョーカーを助けようと燃えさかる船内に戻ったシェパード少佐だったが，ジョーカーを脱出ポッドに押し込んだ直後，爆発に巻き込まれて宇宙に投げ出されてしまう。さすがのシェパード少佐も，もはや助かるすべはない……。

このオープニング，実は2009年6月にロサンゼルスで開催されたE3でメディアに公開され（関連記事），そのとき，「ラストシーンの一つ」として紹介されていた記憶がある。うーむ，だまされたかもしれない。実は，続きはこうなっている。

謎の組織，「サーベラス」を率いるイルーシブマン

　シェパード少佐が目を覚ましたのは，その2年後。謎の組織「サーベラス」が，ほとんど死にかけていたシェパード少佐を，驚異的な技術で蘇生させたのだ。
　サーベラスを率いる謎の人物，イルーシブマンは，人類の利益のためならほかの種族の犠牲も構わないと考える人類至上主義者であり，シェパード少佐をとある目的のために蘇らせたのだ。

ミランダ・ローソン

ジェイコブ・テイラー

　序盤のシーンを見る限り，典型的な腹黒キャラというイメージだが，二転三転する物語が魅力的なMass Effect 2だけに，そう言い切ってしまうのは早計だろう。

　イルーシブマンとはホログラフを通じて会話するだけだが，シェパード少佐と直接コンタクトするサーベラスのメンバーとして，ミランダ・ローソンとジェイコブ・テイラーがいる。
　ミランダはクールな美人，ジェイコブは直情径行な元海兵隊員という第一印象だが，この2人にしても，何やらそれぞれ秘密を抱えていそうな雰囲気だ。シェパード少佐は，サーベラスの意図に疑問を抱きつつも，イルーシブマンの指示に従うことを決断した。
　現在，人類のコロニーで入植者が全員消失するという奇怪な事件が頻発しており，これを反人類勢力の仕業と見たイルーシブマンは，シェパード少佐に調査を依頼したのだ。
　かくして，再びシェパード少佐の冒険が始まることになる……。

コロニー消失の謎を追って，シェパード少佐の冒険が再び始まる

カスタマイズで自分だけのシェパード少佐を作ろう

　さて，これまで主人公である人物を「シェパード少佐」とだけ呼び，“彼”とも，フルネームでも呼ばなかったが，もちろん，これにはワケがある。
　最近の多くのRPGと同様，このMass Effect 2にも多機能なキャラクターカスタマイズ機能が実装されており，外見だけでなく，性別やファーストネーム，出身，経歴まで変更可能なのだ。
　したがって，シェパード少佐が“彼女”であることもあるのだ。しかも，選んだ性別とバックグラウンドで，人間関係やストーリー展開が変わってきたりするというから，ただごとではない。
　とはいえ，最初から自分のプレイスタイルに合ったキャラクターを作るのは難しいだろう。アドバイスするとすれば，「直感に従え」かな？　あ，すいません。

　　・性別/容姿

性別を選んだら，顔全体，もしくは目や鼻などのパーツをカスタマイズしよう。位置や形，髪や肌の色など，カスタマイズできる項目は多岐にわたるので，このへんをじっくりやりたい人は，かなり入れ込めるはず。もっとも，ある程度の美的センスは必要になる

　　・バックグラウンド

出身地と経歴を決められる。出身には「宇宙出身」「コロニー出身」，そして「地球出身」の三つが用意されており，経歴としては「唯一の生存者」「戦争の英雄」，そして「冷徹な軍人」の3種類がある。ちなみに経歴とは，「連合軍入隊後の経験」のことだ。どれを選んだかが，ゲーム内のイベントを左右し，ストーリーを変化させる

　　・クラス

クラスには，「コンバット」「バイオティック」，そして「テクノロジー」がある。これらはつまりスキルセットで，コンバットは前線で戦うタイプ，バイオティックは特殊能力を使うタイプ，そしてテクノロジーはハッキングや機械に強いタイプのスキルが並んでいるのだ。キャラクターカスタマイズでは，上記3種類に加えて，二つのクラスのスキルを併せ持った3種類，計6種類のクラスから一つを選ぶことになる。掲載した写真は，クラスを構成するそれぞれのスキルをチェックしているところ

ゲームを彩るキャラクター達

　多彩な人物が複雑な物語を織りなす，Mass Effect 2。登場するのはもちろん人類だけでなく，異星人も多い。彼らは見かけだけでなく，文化やモラル，価値観まで異なるので，人類の正義が，異星人にとって不正である場合もあり，その相克がストーリーに深みを与えているともいえる。
　デベロッパのBioWareは，それぞれの種族について，ゲームに出てこない部分まで，詳細に設定を行っているとのことだ。
　Mass Effect 2で初登場となるキャラクターが多いが，前作に登場した人物も少なくなく，部隊に引き入れた彼らと共に戦いに臨んだり，ノルマンディー号のクルーとして活躍してもらうことになる。
　以下に，ゲーム序盤に登場し，シェパード少佐と深く関わることになる人物を紹介しよう。

　　ミランダ・ローソン
　種族：人類　年齢：35歳
サーベラスのメンバー。とはいえ，とくに人類至上主義というわけではなく，イルーシブマンにスカウトされたと語る。遺伝子操作を施されており，肉体的にも精神的にも普通の人間を上回る能力を持っている

　　ジェイコブ・テイラー
　種族：人類　年齢28歳
元連合軍海兵隊員。数々の戦闘をくぐり抜けてきた有能な隊員だが，連合軍の官僚主義に嫌気がさして除隊。人類の防衛力増強を訴えるサーベラスに参加する。多様な武器と，特殊能力を使いこなす，頼もしい味方だ

　　タリゾラ・ナ・ラーヤ
　種族：クォリアン　年齢：24歳
クォリアンの技術者で，前作Mass Effectでは，シェパード少佐とともに部隊のメンバーとして活躍したので，知っている人も多いはず。テクノロジーに精通し，システムハッキングのエキスパートでもある

　　イルーシブマン
　種族：人類　年齢：不詳
人類至上主義を訴える組織，サーベラスのリーダーとして君臨する謎の人物。シェパード少佐の蘇生も，彼の命令による。一般には，銀河に脅威をもたらす狂信者だと思われているが，果たして，そのとおりなのだろうか？

無数の小さな決断が，物語に影響を与える

　BioWareのCEOでゲーム制作のキーマンでもあるRay Muzyka氏は，北米メディアのインタビューに答えて「Mass Effect 2はシューター要素に力が入れられており，RPGらしさが減ったように見えるが，形を変えただけであり，ゲームのすべてはプレイヤーの手に委ねられている」といった趣旨のことを述べている。


　前作に比べて，Mass Effect 2では戦闘が迫力あるものになり，スクリーンショットやムービーの印象はまるで，三人称視点のアクションゲームのように見えるが，基本はあくまでRPGだ。
　つまり，ミッションをクリアして経験値を溜め，レベルアップしてさらに次のミッションに挑むというゲームの流れになる。

　メインとなるストーリーはあるが，それに付随するさまざまな決断は，それがノルマンディー号のどこをアップグレードするかといった簡単なものから，味方の生存に関わる重要なものまで，すべてプレイヤーが下すことになる。
　そして，その積み重ねがストーリーに変化をもたらすのだ。“マスエフェクト”とは，恒星間航行技術の名称であると同時に，小さな無数の判断が物語に影響を及ぼすという意味のダブルミーニングであるとされている。

ゲーム進行で最も重要な要素，「会話」

　ゲーム中，最も身近な決断要素として，会話がある。会話はMass Effect 2のカナメとなる部分で，システムとしては会話リングから適切だと思われるモノを一つ選ぶというものになっている。この選択により，会話がさらに発展したり，シェパード少佐と相手のモラルが変化したりするのだ。
　ちなみにモラルとは，道徳的かつ協力的に話を進めれば向上し，攻撃的で敵対的な態度を取れば下がる。ゲーム内では，モラルが高い状態を「パラゴン」，その反対の状態を「レネゲイド」と呼んでいるが，必ずしもモラルが高いほうが正しいわけではなく，あえてレネゲイド寄りに会話を進めて恫喝したりするのも，プレイヤー次第だ。うまく会話をコントロールしよう。

介入システム。左が「パラゴン」，右が「レネゲイド」

　Tipsとしては，リングの右側の選択肢は会話を切り上げ，左側はさらに会話を進める傾向にあり，またリングの上部にある選択肢は会話をパラゴン側に，下側にある選択肢はレネゲイド側に傾ける傾向があることを覚えておこう。このへんは，BioWareのRPGの共通点だ。
　さらに，進んだ会話システムとして「介入」がある。会話中「もうこれ以上，話を続けていてもしょうがない」という状況に陥った場合，介入のアイコンが表示される。
　アイコンにはパラゴンとレネゲイドがあり，前者を選べば平和的な行動を，後者を選べば銃を突きつけたり殴ったりなど，暴力的な介入を行うことになる。
　このように，会話だけでもプレイヤーの自由度は高く，さらにすべての会話に声優によるボイスが当てられているという贅沢さ。ここまで徹底したタイトルは，そう多くない。


　惑星を探索中は，敵と遭遇するとシームレスに戦闘が始まる。この流れはアクションゲームそのものだ。戦闘の基本はリアルタイムで銃を撃ちまくることにあり，純粋なRPGファンにはちょっとつらいかもしれない。
　だが，戦闘時に効果を発揮する特殊能力，「アビリティ」を身につけていれば，時間を止めてアビリティの選択が可能になるので，反射神経に自信がなくても大丈夫だ。

部隊メンバーに的確な指示を下して，戦おう

戦闘の基本は三人称視点だが，使う武器によっては一人称視点になる

　アビリティには，敵を攻撃するものや，仲間を援護するものなどがあり，戦闘で得られる部隊ポイントによって，仲間のアビリティを強化することもできる。
　また，部隊のメンバーに指示を出し，強力な敵を一斉攻撃したり，負傷者が回復するまで防御態勢をとらせるといったさまざまな戦術が可能になる。部隊メンバーはそれぞれ，「武器での攻撃」「特殊能力での攻撃」，そして「後方支援」といった戦闘スタイルを持っているので，それを把握することも重要だ。
　このように，パッと見にはシンプルなアクションだが，部隊をうまく操作して，自ら銃を撃つことなく敵を倒すこともできるわけだ。戦闘を重ねて経験を積み，部隊を強化していくところは，間違いなくRPG的だといえるだろう。
　もっとも，アクションに自信があれば自ら先頭に立ち，強力な武器や特殊能力を駆使して戦っても構わない。前作に比べて戦闘の迫力は増しており，そうやって戦うのも爽快だ。

メンバーそれぞれに，得意な戦いかたがある

さあ，終わりなき宇宙の探索へ乗り出そう

タイトル：Mass Effect 2
開発元：BioWare
発売元：エレクトロニック・アーツ株式会社
国内販売元：マイクロソフト株式会社
発売日：2011年1月13日
希望小売価格：7140円（税込）
（C）2010 EA International(Studio and Publishing) Ltd.

　Mass Effect 2の時代でも，銀河系の大部分は，いまだに知られざる領域である。プレイヤーは，銀河を構成するクラスター（星団），そしてクラスターを構成する星系を自由に行き来し，コロニー消失の謎を追うことになる。
　ノルマンディー号のコンバットブリッジに立ち，ギャラクシーマップを広げれば，探索すべき世界が無数に広がっていることが分かるだろう。広大な宇宙，どこから探査すべきかはプレイヤーの決断にかかっている。
　まあ，移動はノルマディー号の優秀なスタッフにまかせておけばいいので楽だが，補給の手配ぐらいはしておいたほうがいいだろう。
　惑星に到着すれば，上陸部隊を編成して探査を行うことになる。そこでは未知の文明や種族との，ときに友好的な，ときに危険な出会いがプレイヤーを待っているはずだ。果たして，事件の背後にはどのような陰謀が隠されており，シェパード少佐はそれにどう対処していくことになるのだろうか？

ギャラクシーマップを広げ，行くべき場所を決める。銀河は広大だ

　今回は，Mass Effect 2の世界観やおもなゲームシステムを紹介したが，文章で説明すると，どうしても「複雑」という印象を与えてしまうかもしれない。
　まあ，本当に複雑で奥深いシステムを持ったゲームなのだが，チュートリアル部分がしっかり作られていることもあって，実際にプレイすればそれほど苦労することなくゲームの進め方を理解できるはずだ。キャラクターや戦闘システム，新登場の種族など，さらに詳しい情報が公式サイトに掲載されているので，この記事で興味を持った人は，ぜひチェックしてほしい。

　SF RPGの超大作として世界中ヒットしたMass Effect 2。本作がなぜ，それほどの評価を得たのかを日本語版で確認できる，絶好のチャンスが到来することは間違いないだろう。

「Mass Effect 2」公式サイト