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競馬を知らなくても楽しめる? 2月20日発売「ウイニングポストワールド」のプレイレポートを掲載
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印刷2009/02/14 11:00

プレイレポート

競馬を知らなくても楽しめる? 2月20日発売「ウイニングポストワールド」のプレイレポートを掲載

競馬SLGの新機軸! 「ウイニングポスト」の名を継ぐ最新作がPCに登場


画像集#001のサムネイル/競馬を知らなくても楽しめる? 2月20日発売「ウイニングポストワールド」のプレイレポートを掲載

 競馬のケの字も知らないにも関わらず,編集部の無茶振りにより週末をつぶしてゲームをプレイするハメになった筆者による「ウイニングポストワールド」(以下,WPW)のプレイレポートをお届けする。
 果たして本作は,競馬の知識がなくても楽しめるのか? シリーズのコアなファンからはお叱りを受けそうな気もするが,最近はゲームから競馬の世界に入る人も珍しくないらしいので,プレイレポートとしてはきっと間違ってない……ハズ。きっとプレイ後には,立派な競馬ファンが一人出来あがっているに違いない。人気シリーズの底力に期待しよう。

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 WPWは,コーエーが2月20日に発売を予定している,人気競馬シミュレーション「ウイニングポスト」シリーズの遺伝子を継承した新機軸だ。コーエーの競馬シミュレーションとしては、「Winning Post 7」が2004年12月16日の発売なので,(間に「MAXIMUM2008」などのバージョンアップはあったものの)実に4年ぶりの完全新作ということになる。本作はマルチプラットフォームでの発売が予定されており,4月2日発売のPlayStation2,PLAYSTATION3,Wii版に先駆け,PC版が先行してリリースされる,というわけだ。PC版が先行とは,さすがコーエーといったところだろう。


馬主,調教師,騎手の三つの職業を選べる,コーエー競馬シミュレーションの決定版


 本作,WPWがこれまでのシリーズに比べて大きく違うのは,従来の「馬主」を中心としたプレイのみならず,職業として「調教師」「騎手」が選択可能になった点だろう。
 コーエーではウイニングポストのほかにも,騎手に焦点を当てた「GIジョッキー」シリーズ,調教師がメインとなる「ホースブレーカー」があり,本作はその集大成といえる。これまでのナンバリングではなく,タイトルに「ワールド」と冠されていることからも,シリーズ直系の続編というより,コーエーの競馬シミュレーションの現時点での到達点とみるのがよいだろう。

 ゲームを開始すると,プレイヤーはまずこの三つの職業から自分のプレイする職業を選択し,キャラクターを作成する。WPWでは「シナリオモード」「ワールドモード」の二つのモードが用意されているが,どの職業を選んでも,最初に「シナリオモード」から進めていくことになる。まずはオーソドックスに馬主でのプレイを中心に見ていこう。

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キャラクターメイキングでは,職業,性別,名前,ゲームの開始年の他,ボーナスポイントを割り振って「素質」を伸ばすことができる
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ボーナスポイントで取得できる「素質」には,特定のステータスの成長を楽にしたり,装備できるアイテムの数を増やすといった効果がある


目標は1億円の借金返済!? シリーズ伝統の「馬主シナリオ」


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 意気揚々と馬主を選んでキャラクター作成を終えると,プレイヤーは姫神グループという企業の,いちサラリーマンとしてゲームが始まる。勤務先のグループを総括する会長に突然の呼び出しをくらった主人公は,わけもわからないまま異動を命じられ,降り立ったのは北海道にある,とある零細牧場。こちらの牧場はグループの中でもとびきりの赤字部門とのことで,聞けば1億円の借金があるのだという。主人公に課せられたのは,2年のうちに(ただし3年の準備期間が用意されるので,合計5年で)すべての借金を返済すること。またしても,なんて無茶振り……と遠い目をしつつ,主人公はオーナーブリーダーとしての道を歩み始める。

 本作ではどの職業/モードを選択しても,1ターン=1週間というタイムスパンでゲームが進行していく。基本的にはまずその週の馬の育成(or調教)を実行,次にプレイヤーの今週の行動をコマンドから選び,それらの結果を見て,また次のターンの行動を決めていくというオーソドックスなものだ。

育成の「ブラッシング」は馬の能力は伸びないが,評価額をあげられる。資金繰りのために,時には子馬を手放すことも視野に入れなければならない。
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 「育成」は文字どおり,馬を育成して能力を向上させるための行動だ。馬主が育成を行えるのは,生まれたばかりの子馬が,馬主の手を離れ調教師に委ねられるまでの1年間に限られている。しかしこの1年は,ゆくゆくは競走馬となる子馬の基礎能力を伸ばす期間でもあるので,馬主に課せられた仕事の中でも最も重要なものと言えるだろう。

 次にコマンド選択だが,シナリオモードではプレイヤーが使用できるコマンドは,基本的なものに限定されている。「種付け」などの高度なコマンドは,ストーリーの進行上,今回シナリオモードでは使用できない。前作からのプレイヤーにはもどかしいかもしれないが,今はプレイヤーキャラクターの能力を鍛える「トレーニング」,そして馬主には欠かせない人間関係を築くための「訪問」の二つをみっちり行っていこう。

 「トレーニング」コマンドは,プレイヤーキャラクター自らの能力を強化していくフローだ。対象となるステータスは,大きく訓練系と学習系の二つに分けられ,それぞれ訓練の効果の度合いと,成功率に関連する。どちらについても,対象となるステータスごとに,対応するトレーニングコマンドが用意されているので,自分の弱いポイントを重点的にトレーニングしていこう。例えば「引き運動」のトレーニングコマンドを実行すれば,訓練系ステータスの「スピード」と「逃先Lv.」が上昇する,といった具合で,子馬の育成を効率的に行うためにも,これらのトレーニングは必要不可欠となる。

訪問とは別に,特定のNPCとのイベントが発生することも。重要なイベントでは新たなスキルを獲得できることもある
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 「訪問」コマンドは,競馬サークルに関わる者にとって重要な,人脈を広げるためのコマンドだ。調教師や騎手といった各NPCには,それぞれ友好度が設定されており,訪問コマンドを使うことで,この数値を上昇させることができる。NPCとの友好度が高いとさまざまな恩恵があり,例えば特定の調教師と仲良くなることで,本来調教師の領分である,出走登録や2歳馬以上の持ち馬の調教方針に口を出せるようになったりする。
 さらにシナリオモードのみの重要な要素として,友好度による「アイテム」の獲得も見逃せない。アイテムとはキャラクターごとに用意されたスロットに装備することで,さまざまな効果を発揮する装備品だ。アイテムは友好度の高いNPCから,一定の条件によって入手できるのだが,これはシナリオモードでしか発生しないイベントとなる。後のワールドモードを有利に進めるためにも,シナリオモードでのアイテム入手は重要な攻略要素といえるだろう。

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 プレイヤーが選択できるコマンドは1ターンにつき一つ。トレーニングと訪問を効果的に行いながら,強い競走馬を作っていくのがシナリオモードのおおまかな流れだ。
 目標である1億円の借金返済のためには,週末に行われるレースで賞金を獲得しなければならないので,レースがある週は欠かさず競馬場に出かけ,観戦しよう。馬主プレイではレースは簡単な作戦を指示できるだけで,基本的には見ていることしかできないが,自分の育てた馬が走るレースは,やはり手に汗握るイベントだ。


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各プレイにはヒロインともいえる女性キャラクターが登場する。馬主モードのヒロインは牧場主の孫娘である,穂高さくらさん。
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こちらは姫神会長の娘である金髪お嬢様,姫神ノエル嬢。性格はいうまでもなくツンデレ。


師を超える名調教師を目指す! 手塩にかけて馬を育てる「調教師シナリオ」


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 他の職業についても説明していこう。調教師プレイのシナリオでは,プレイヤーは名調教師を師に持つ,二代目調教師としてシナリオがスタートする。目標は手がけた馬たちで,2年のうちに20勝をあげること。師のかつてのライバル調教師や,その弟子達としのぎを削りつつ,主人公が一人前の調教師として独り立ちするまでを描くのが調教師のシナリオだ。といっても,やはり1週間を1ターンとして,馬の調教やキャラクターの成長を行っていくところは馬主モードと変わらない。訪問やイベントによって友好度をあげ,アイテムを入手するところも一緒だ。しかしながら担当する専門分野と,ステータスの重要度が変化しているので,選択すべき行動も変わってくる。

調教師でのプレイでは,馬主で行える育成指示のほかにも「併せ馬」といった高度な調教も実行可能だ。
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 調教師プレイでは,馬主プレイの育成に代わり,これまで干渉することができなかった2歳馬以降の本格的な「調教」が可能になる。各種の訓練によって馬の能力を開花させつつ,最高の状態でレースへ送り出すのが仕事というわけだ。
 より強い馬を作り上げるという意味においては,比較的馬主プレイと似た印象を受けるが,資金繰り的な要素は薄くなっており,より本格的になった調教による競走馬との駆け引きがクローズアップされている。

 まず調教では,馬主プレイの育成と違い,担当する馬ごとに別個の調教指示が出せるようになる。さらに馬の「体力」と「気力」の状態から,調教の「強さ」を設定することも重要だ。体力と気力は共に馬の体調を示すステータスで,これらの状態いかんによってはレースの結果にも大きく影響がでる。「強い」調教はその効果も大きいが,馬の体力を減らすことにもなるので,レース本番に体力と気力が最高の状態になるよう,調整が必要なのだ。

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調教師プレイヒロインの一人,遠山ひより嬢。主人公の所属する厩舎の従業員兼マスコットガール。
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目指せ2年で30勝! 手に汗握るレース展開を楽しむ「騎手シナリオ」


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 三つめの職業,騎手モードはほかの二つとは少々趣を異にするプレイモードだ。馬主や調教師では基本的に見ているだけだったレースシーンがクローズアップされ,馬の育成/調教要素よりも,やはりレース中の駆け引きが最大の見せ場となる。とはいえシュミレーションゲームである本作では,レースシーンもコマンド選択式。アクションゲームのような激しい操作は必要ないので安心してほしい。


騎手は調教の方針には干渉できないが,決められた内容について自分で調教を行える。ただし「調教技術」が低いうちは,調教助手に任せたほうが効果が高い。
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 騎手プレイでのプレイヤーは,才気あふれる騎手として華々しくデビューしたものの,ここ最近の成績は振るわず,伸び悩んでいる若手騎手。同期にも大きな差をつけられ落ち込んでいたところに,かつて名調教師だった父の知人と再会,彼の指導の元に再起を誓うところからシナリオが始まる。
 騎手はほかの職と違い,ステータスもレースに関係するものが揃っている。まず最も重要なのは,一にも二にも,プレイヤー自身の「体力」と「気力」だ。体力はレース中の位置取りを操作する「作戦コマンド」に使用するパラメータ。適切な位置取りが行えないと,馬の能力を十分に発揮できないばかりか,スキルによる「特殊技」も発動できなくなってしまう。コマンドの効果も,「気合」「引き」「ムチ」……といった「騎乗技術ステータス」によって変わってくるので,騎手プレイでは日々のトレーニングコマンドによって,これらを適切に伸ばしていくことが肝心だ。気力のほうは,先の特殊技を使用するのに用いられるもので,位置取りが正しくても,気力が残っていなければやはり発動できない。


 実際のレースでは,このほかに「タイミングウィンドウ」を使って特殊ゲージを貯めることができる。ここの特殊ゲージは気力ゲージに上乗せされ,特殊技の発動に用いられるので,最後の直線で一発逆転を狙うことができる。特殊技は発動条件が厳しいものほど高い効果がみこめるので,自分にあったスキルを選択していこう。

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特殊技は気力ゲージと特殊ゲージを使用するほか,発動条件が決められているものもある。特殊技「豪腕追い」はスキル「豪腕追い」を身につけており、かつ,道中の位置取りが「差し」か「追い込み」でないと発動できない。
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一日に複数のレースがある場合,あとのレースのことを考えてゲージを温存する必要がある。1走でスキルを連発したために,続くレースではさんざんな結果になることも

騎手プレイのヒロイン。主人公の後輩ジョッキーである穂高秋(左)と,競馬番組でレポーターを務めるアイドル,霧島ミカ(右)
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実はここからが本番,やり込みの「ワールドモード」


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 さて以上が,競馬の魅力をこれまでかというほど詰め込んだ,本作の概観なのだが,実はこのシナリオモードは,いわば本作のチュートリアルに過ぎない。シナリオモードをクリアしたあとに待っているのが,真骨頂ともいえるワールドモードだ。
 ワールドモードでは,シナリオモードで作成したキャラクターを最大6人まで登場させ,キャラクター同士で協力してプレイを進めることになる。それぞれのシナリオで一人前に成長したキャラクターを使い,それぞれの職業で年間リーディング制覇,そしてそして所有馬を年度代表馬にすることが,ワールドモードの最終目的だ。
 さらに「種付け」や「セリ」,「牧場施設の建設」といったコマンドも解禁され,いよいよ馬主プレイも本格さを増してくる。シリーズのファンは待ってましたと言わんばかりのやり込みモードである。
 筆者もまだワールドモードの入口に辿りついたばかりなので,詳しいレポートはできないが,シナリオモードで育てたキャラクター達が勢ぞろいし,手を取り合う姿は見ているだけでもワクワクする。ここから先はぜひ発売後に自分の目で確認してほしい。

シナリオモードで作成したキャラクター一人を選んでワールドモードを開始。他の5人はNPCとして登場させることができる
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ワールドモードの新要素「種付け」で重要な血統表。正直なところ,筆者には未だなんのことだかさっぱりわからない。
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シナリオモードで獲得したアイテムは,ワールドモードに持ち込み可能。また獲得したボーナスポイントを使用して,シナリオモードを再プレイすることもできる。いわゆる「強くてニューゲーム」状態


シリーズのファンのみならず,競馬を知らない人にもうってつけの入門タイトル


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 競馬を知らない筆者が手探りでプレイしてみて感じたのは,シリーズ初心者にも入りやすい配慮が随所に感じられることだった。
 キャラクターデザインも前作のリアル調から,ポップなイラスト調のものへと変更され,好みもあるだろうが,より多くのユーザーにアピールするのではないかと思う。レースシーンも3D化したことでリアルさを増し,音声による実況も雰囲気を大いに盛り上げてくれる。
 システム面で言うならば,馬主/調教師/騎手と,それぞれの視点が用意されたことで,シナリオモードをクリアするだけで,各ステータスの意味や,職業ごとの役割を横断的に理解することができる。また競馬の世界における人脈の重要性や,各職業の立ち位置,馬との関わり方が見えてくるので,競馬の世界への入り口としても最適だろう。

 あえて不満点をあげるとすれば,ネットへの対応がまったく用意されていない点だ。特に近年のPCゲームとして考えれば不思議なくらいで,ここは少し残念に思う。できれば今後の拡張キットなどで対応を望みたいところだ。

 さてプレイレポートを終えて,筆者もこれですっかり競馬通,とまでは行かないまでも,ずいぶんと競馬に詳しくなってしまった気がする。いささか不本意ではあるものの,本物のレースに興味がでてきたのも事実だ。これを機に,競馬場に足を運んでみるのも良いか,などと考えている始末である。まてよ,確か4Gamer編集部の近所にはWINSがあったような。……まんまと編集部の罠にはまっている気がするが,とりあえず,気にしないでおくことにしよう。

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