テストレポート
本日発売。TDP 95W版「Phenom II X6 1055T」の消費電力と発熱を確認する
メーカ希望小売価格は2万3000円(税込)で,PCショップ店頭では本日から販売が始まる見込み。AMDは125W版の今後についてとくにアナウンスしていないが,95Wが「Energy Efficient」といった特別版とは位置づけられていないことを考えると,市場在庫がなくなり次第,フェードアウトしていくものと思われる。
さて今回4Gamerでは,発表直前ギリギリのタイミングで,AMDの日本法人である日本AMDからレビュワー向けサンプルを入手した。より正確を期すと,筆者の手元に到着したのは25日の昼過ぎだったのだが,取り急ぎ,最も気になる消費電力と発熱量のチェック結果をお伝えしたい。
文字どおり「TDPが下がった」だけ
コア電圧の低下が大きな特徴に
TDP 95W版X6 1055Tと,従来製品であるTDP 125W版X6 1055Tのスペックは表1にまとめたとおり。E0というリビジョンも含め,ほとんどのスペックは変わっておらず,コア電圧を1.075〜1.375Vへ引き下げることで,従来比30W低いTDPを実現していることが分かる。
リビジョンが上がっていないので,どういう仕掛けによってコア電圧を引き下げたのかは分からないが,いずれにせよ,定格動作のパフォーマンスは125Wから基本的に何も変わっていないと見ていいのではなかろうか。
というわけで今回は,冒頭でもお断りしたとおり,消費電力とCPUの発熱のみにフォーカスしてテスト結果をお届けしたい。
今回は,表2にまとめたテスト環境を利用。OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,負荷テストツールである「OCCT」(Version 3.1.0)を30分連続実行した時点を「高負荷時」とし,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」からシステム全体の消費電力を測定した。なお,アイドル時については,CPUの省電力機能「Cool’n’Quiet」(以下,CnQ)を有効時と無効時のそれぞれでスコアを取得している。
その結果がグラフ1だ。
ご覧のとおり,95W版X6 1055Tの消費電力は,同125W版と比べて,CnQ有効のアイドル時で8W,高負荷時では24W低い。今回のシステムに関して述べるなら,消費電力を約1割カットできた計算になる。
コア電圧と消費電力が下がるのなら,CPU温度の低減も期待できる。そこで,アイドル時と高負荷時におけるCPU温度も計測してみた。
グラフ2は,テスト環境をバラック状態のまま室温21℃の環境に置き,モニタリングソフト「HWMonitor Pro」(Version 1.08)で取得した6コアの温度を平均したものだ。CPUクーラーは共通して,Socket AM3&AM2共通のリファレンスクーラー(※今回はWindsorコアのAthlon X2 6000+に付属していたもの)を共通して用いているが,95W版X6 1055TのCPU温度は,同125Wから高負荷時に14℃,アイドル時に7〜10℃といった具合で,確実に低くなった。順当な結果と言ってもいいだろう。
価格改定のあった125W版より数千円高いが
差額分の価値はある
95W版X6 1055Tは,TDPとコア電圧が下がったことで,消費電力とCPU温度が低下し,より扱いやすいCPUになった。今回は時間の都合でテストできていないが,オーバークロック耐性の向上も期待できそうだ。
これを割高と見るかどうかは意見が分かれるところだろうが,6コアCPUであることに魅力を感じる層にとって,最も安価な選択肢が,消費電力を確実に低減させてきたことには,十分な価値があると述べていいのではなかろうか。
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Phenom II
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