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「サドンアタック」は,なぜ続編を制作することになったのか。NDC 2016のセッション「開発秘話 -ロングヒットを記録するオンラインゲームの続編を作る意味」をレポート
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印刷2016/04/27 21:08

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「サドンアタック」は,なぜ続編を制作することになったのか。NDC 2016のセッション「開発秘話 -ロングヒットを記録するオンラインゲームの続編を作る意味」をレポート

Nexon GTの開発総括本部長キム・デフォン氏
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 韓国で開催中のゲーム開発者向けイベント,「Nexon Developers Conference 2016」の初日となる2016年4月26日,「開発秘話 -ロングヒットを記録するオンラインゲームの続編を作る意味」と題された「Sudden Attack 2」についてのセッションが行われた。

 登壇したのは,Nexon GTの開発総括本部長キム・デフォン氏で,氏はこれまで「メイプルストーリー」のチーム長などを務めてきたという。今回のセッションでは,「『Sudden Attack 2』のPRに来ました」と冗談(?)を挟みつつ,開発の経緯を語った。

 「サドンアタック」は韓国で約11年間サービスを継続しているオンラインFPSで,ネットカフェにおける2015年のランキングでは2位になるほど,現在も高い人気を誇っている。そんな「サドンアタック」の成功理由についてキム氏は,ゲームが軽く,プレイのカジュアルさが愛されていると述べた。
 デベロッパのGameHiがNexonに買収されてからは,徐々に人気が落ちた。そこで,メジャータイトルとして再び注目されるため,プレイヤーにモチベーションを与える「目標提供システム」や「クランシステム」などを実装。当時,「これがFPSなのか」と思われるくらい,ジャンルのイメージを破壊するチャレンジを数多く行い,その結果として現在の高い人気があるとキム氏は言う。

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「サドンアタック」公式サイト



サドンアタックをヒットさせるために
開発/運営が行った3つの努力


 「サドンアタック」の開発/運営で重視されたのは,「整える」「新しいものを入れる」「Issueを作る」の3つだった。

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 「整える」というのは,ゲームの安定性を高めながら,コンテンツや全体のバランスを高めていくことで,キム氏は,「サドンアタック」の傭兵システムを例に説明した。

 「サドンアタック」には,一般戦クラン戦がある。クラン戦はクラスメイトでチームを組んで,ほかのクラスと対抗戦を行うような,一般戦とは違う面白さがあり,本作の醍醐味だとキム氏は話す。

 クランを組むには当然,クランに入る必要があるのだが,クラン戦をやりたくてもクランメンバーがログインしていないなどの場合もある。以前は,いったんクランを抜けたうえで,メンバーの足りないクランを探して加入するという流れが当たり前のものになっていたという。

 そこで導入されたのが「傭兵システム」だ。これはクランを抜けることなく,人数が足りないクランに傭兵として参加できるもので,この実装により,クラン戦を遊ぶプレイヤー数が大幅に増えた。また,クラン戦が活性化されたことで,ゲームが全体的に盛り上がり,それがいまも持続しているそうだ。
 キム氏によれば,これはプレイヤーからの苦情によって実装したわけではないという。たとえ指摘がなくても,プレイで不便なところを運営チームがキャッチして整えていく努力が大切なのだ。

 続いて,「新しいものを入れる」というのは,マップや新しいモード,キャラクターなどを実装することだが,これは実作業としてそれほど困難ではない。ただ,「なぜ,それを入れる必要があるのか」「それを入れると何が良くなるのか」に気をつかう必要があるという。

 最後の「Issueを作る」だが,ここで言うIssueとは,「問題点」といった意味ではなく,関心を集める「告知などを発する」ことを指すようだ。「サドンアタック」サービスが11年間も続いている作品で,「昔のゲーム」というイメージもあるため,今から新規プレイヤーを集めるのは簡単ではない。キム氏は,これまでプレイしたことがない人々の注目を集めるため,現在も努力をしているという。

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 例えば,韓国で自撮り棒が流行ったときには,武器として使えるほか,スクリーンショットの撮影もできる自撮り棒を1か月足らずでゲームに実装したり,芸能人とのゲーム内コラボを行ったりして話題作りに務めてきた。ゲーム市場のトレンドや,プレイヤーが社会の何に関心を持っているのか,どんなコンテンツに需要があるのかなどをしっかりと把握し,ゲームに反映させる努力を続けてきたわけだ。


なぜ「Sudden Attack 2」を制作するのか?


 さて,こうして韓国でロングヒットになった「サドンアタック」だが,好調なのに,なぜ「Sudden Attack 2」を制作することになったのだろうか? 続編の登場でプレイヤーの奪い合いが起き,プレイ人口が不安定になるなどのリスクがまず考えられるところだが。

 キム氏によると,「サドンアタック」が海外進出するにあたり,現地のパブリッシャから「ノーイノベーション」「オールド」など,要は「古い」という指摘を受けることが多く,今後どうすればいいのか,かなり悩んだという。

 ここで,例に挙げられたのが「アンチャーテッド」シリーズだ。PlayStation 3で発売された第1作から,PlayStation 4向け最新作まで,主人公ネイサン・ドレイクの画像が並べられ,「これがすべてを物語っている」とキム氏は述べた。つまり,「アンチャーテッド」シリーズは,常にその時代にふさわしい,最高の姿を見せる努力を続けているというのだ。

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 では,「サドンアタック」をどうすべきなのか? FPSは,ハードウェアやグラフィックス技術の発展に合わせた新しいゲームが次々に登場している。この技術についていけないと,現在,いくら人気が高いとしても,いずれ見比べられ,飽きられるという心配がある。続編となる新作の開発は避けられないだろう。
 その一方で,韓国ではFPSというジャンルが縮小し続けており,「新作を出すのは大変なのでは?」という不安もあった。韓国では「サドンアタック」などのオンラインFPSのヒットに続いて,「The Tower of AION」などのMMORPGが人気になり,現在は「League of Legends」などのMOBAが注目されるといった具合に,人気ジャンルの移り変わりが激しい。FPSにはもう,立ち位置はないのではないか,と心配になるのは当然だ。

 結局,社内での長い討議を経て,韓国のFPSというジャンルが今,限界にぶつかっているのは間違いないが,これで終わりではないという結論に至ったという。一人称視点のシューターで得られる没入感と楽しさは,ほかのジャンルでは味わえないものだからだ。

 その結論を以て,10年後の「サドンアタック」の姿を見据えた「リニューアルプロジェクト」を,Nexonグループの経営陣に伝えたという。注目すべきは,新規IPではなく,リニューアルとしている点だろう。「Sudden Attack 2」は,以前掲載した記事にもあるように,前作を継承しつつ,「グラフィックス」「打撃感」「カスタマイズ」,そして「ゲームモード」を強化したものになるというわけだ。

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 よくある新規FPSの例として,まずは人気作との差別化を図るため,その正反対ともいえるコンセプトを打ち出すのだが,開発が進むにつれて次第に人気作に似てくる。そして,結局それは多くのプレイヤーからそっぽを向かれるとキム氏は述べた。

 キム氏は,それを反面教師として,「サドンアタック」の後継作は「サドンアタック」らしいものでなければならないと考えた。
 「Sudden Attack 2」は1つのプラットフォームであり,そこにさまざまなオンライン対戦のコンテンツを盛り込めるようにしたとキム氏は言う。オリジナルの「サドンアタック」も,それらのコンテンツの1つとしてを実装されることになり,前作のプレイヤーもまとめて「Sudden Attack 2」に引き込もうという戦略なのだ。

大きな店舗にアイスクリーム屋などのショップが入っているように,「Sudden Attack 2」は,ゲームの中にゲームがある「Game in Game」だとキム氏は話した
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前作の動きと違和感がないように,両作品の動きを超高速カメラによって0.01秒単位で撮影し,それを分析して細かく調整しているという。銃器のサウンドは時代に合わせて新しくしているが,プレイヤーは前作のものも選択できるとのこと
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さまざまなコンテンツ,例えば「サドンアタック」とはまったく違うものや,FPSとは呼べそうもないコンテンツまで追加されていく予定だという
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 なお韓国では,4月14日〜20日にクローズドβテストが行われ,好評を博したとのこと。今夏にはリリースできるように作業を進めているそうだが,日本での展開も気になるところだ。

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「Sudden Attack 2」のチュートリアルは,プレイヤーがスキップしないように,没入感のある内容になっている
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Nexon GTの戦略の一環で,同社はElectronic Artsの「Titanfall」をベースにした「Titanfall Online」を開発中だ。年内に何らかの形で披露できるだろうとのことだった
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