レビュー
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」4Kリマスター版パッケージが本日発売。野末武志氏のコメントとともにパッケージ版の封入特典を紹介
本作は,2016年11月29日に発売された「FINAL FANTASY XV」と同じ世界,時間,キャラクターで描く,もう1つの物語となるCG映像作品だ。ゲーム本編が発売されるよりも一足先となる,2016年7月9日から劇場公開され話題となった。今回発売された4K HDR REMASTER版は,「FINAL FANTASY XV」の発売から5周年を記念して制作されたものだ。
そんな「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 4K HDR REMASTER BOX」を,4Gamer編集部では発売に先駆けて見せてもらうことができたので,どんな豪華な内容になっているのかじっくり見ていこう。また,今回は特別に,本作のディレクターを務めた野末武志氏(以下,野末氏)から,本編および封入特典の魅力や見どころ,制作の裏側を語ったコメントをいただけたので,こちらも合わせて紹介していこう。
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 4K HDR REMASTER BOX」公式サイト
本編を収録した4K ULTRA HD Blu-rayと
ファンにはたまらないシナリオブック&ブックレット
まずは,ボックスのセット内容を紹介していこう。「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」本編が収録された「4K ULTRA HD Blu-ray」と「Blu-ray Disc」の2枚組をはじめ,特典として当時の脚本を元に再構成されたシナリオブック,各種イラストや細かい設定アートなどが収録されたブックレット。そして,4K HDR REMASTER BOXのために特別に描き下ろされたアートカードの計5点が付属している。
ボックスの大きさは実寸で135×45×172mm。一般的なBlu-ray Discのケースとほぼ同じ大きさで,少し厚みがあるぐらいなので,他のパッケージと一緒に棚へしまえるのは非常にありがたい。「特典付きアイテムは欲しいけど,置く場所がなぁ……」と悩む人もその点は安心だ。
ボックスと「4K ULTRA HD Blu-ray」のジャケットには,「王の剣」のエンブレムが大きく描かれている。特典はいずれも黒を基調とした「FINAL FANTASY XV」らしいデザインだ。
4Kで視聴するには,ULTRA HD Blu-rayに対応したプレイヤーと,HDRに対応したモニターが必要となっている。「編集部にそんな機材ないぞ……」と一瞬頭を悩ませたが,PlayStation 5がULTRA HD Blu-rayに対応しているので再生することができた。
「4K ULTRA HD Blu-ray」と「Blu-ray Disc」には,オーディオコメンタリーが収録されており,野末氏をはじめとする制作陣による制作秘話や,公開から5年経った今だからこそ語れるエピソードが収録されているのも注目ポイントだ。
シナリオブックは188ページにわたって,本編の流れに沿った各キャラクターのセリフが確認できる。ブックレットは,各キャラクターの設定資料やスケッチ,CGアート,絵コンテなど,ファンにはたまらないアートが詰まった内容になっている。
ディレクター野末武志氏のコメントを紹介
4K HDR REMASTER BOXの魅力と見どころ
今回は特別に,本作のディレクターを務める野末氏からコメントをもらうことができた。「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 4K HDR REMASTER BOX」に収録されている本編映像,シナリオブック,ブックレットの見どころや魅力を,制作の裏話なども織り交ぜながら語ってもらえたので紹介しよう。
■「4K ULTRA HD Blu-ray」/「Blu-ray Disc」
野末氏:
オーディオコメンタリーでは,制作当時を思い出しながら楽しくお話しさせていただきました。
コメンタリー中,好きなキャラクターについての話になりましたが,誰か1人に絞るのは非常に難しいですね。本作のテーマは“それぞれの正義”です。立場が変われば正義も変わる。ニックス,レギス,ルーナだけではなくドラットー,アーデンにも正義があります。特に誰に共感するというよりかは,様々な共感のポイントを各キャラクターに散りばめたかった。いわゆる“敵側”の正義をもう少し前面に出したいな,という思いもありましたが,この後に続くゲームも含めるとエンタメとして成立しなくなる懸念があったので抑えました。
ということで,僕は全員好きなのですが,一番人間らしく葛藤させたのはリベルトです。ニックスは寡黙なキャラクターだったので,相方のリベルトに人間臭さを濃く出してバランスを取りました。
また,トーク中で特に盛り上がったシーンの1つが,レギスとルーナの謁見シーンですが,このシーンではレギスの目に喜びと過去の悔やみの微妙なニュアンスを表現しようとしました。暗転までの数秒の表情でレギスの公私の葛藤,人間らしさが伝わるようにしたかったのですが,目標トータル尺は100分と決めていたため,セリフやシーンで描けない部分も多いので,そこは演技で表現するしかありませんでした。ちなみに,アニメーション編集時にはフレーム単位で調整を行っています。このシーンは映画的にも,ゲームを含んだ“FFXVユニバース”的にも,非常に重要だと捉えていたので,こだわったシーンの1つとしてぜひ注目していただきたいです。
映像については,狙った通りの色味や明るさが表現できていると思います。CGはHDRのワークフローをベースに制作しており,物を作って光の計算をしています。HDRは簡単に言うと光の幅が広いのですが,今までのLDRだと光の幅に上限があり,きちんと表現できませんでした。今回発売される4K HDR REMASTER版は,かなり現実に近い計算の中でHDR化しているものを,本来目指した通りのちゃんとした明るさで表現できています。太陽の眩しさや,火花が散って出た炎など,エフェクトがかなり綺麗になっているので,そこもぜひ味わっていただきたいです。
■「SCENARIO BOOK」
野末氏:
このシナリオブックは,当時の脚本を元に再構成したものです。
本作は,FFXVユニバースの一端を担っている作品でもあるので,映画からファイナルファンタジーの世界に引き込む必要がありました。また,過去作のFFプレイヤーに見てほしいという想いもあったので,30代から40代の方々に共感してもらえる作品にしようと思いました。
現代では多くの方が,故郷を離れて都会にやって来て,大きな組織のなかで社会活動を行っていると思います。その境遇を,本作ではファンタジー的な解釈でアレンジしました。主人公のニックスは,社会は十人十色,様々な意見がある中で葛藤しながらも,自分で行動し,本当の意味での自分の答えを見つけるといったキャラクターにしたかった。現代のネット社会は情報があふれていて,自分の本当の考えやルーツを知らず知らずのうちに見失いがちなのではないか,というところから着想しています。
セリフは長谷川 隆さんが基本的に執筆されていましたが,自分と年代の近いキャラクターや,特にファイナルバトル近辺のニックスや,ドラットーとの最後の掛け合いはかなり要望を取り入れていただきました。ここはテーマが色濃く出る場所で,ニックスが葛藤を乗り越えたことを初めて口にするところなので,キャラクター性の考慮と大げさすぎないようにこだわった部分でもあります。
また,想いを込めた場面や印象強いセリフとしては,イドラとレギスの調印式,腹の探り合いの掛け合いはかなり好きです。長谷川さんに少し古典演劇的なセリフの言い回しにしてほしいとだけお伝えしたのですが,最初から素晴らしいセリフが上がってきました。長谷川さんのすごさを痛感したシーンでした。
そして“ヒーロー”という単語。ゲームとは違い見た目がリアルな分,記号的にヒーローという表現ができないので,行動でヒーローを表現しようと試みました。あとは,なるべく説明セリフが無いように心掛けました。ここも表情表現に力を入れなければいけなかった理由でもあります。
■「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV File Fragments」
野末氏:
ブックレットには,キャラクター・世界観のコンセプトアートや設定画,厳選シーンの絵コンテを収録しています。キャラクターのデザインは,ファンタジーゲーム的キャラ立てとリアルのバランス取りに注意しました。ゲームはある程度,記号的なシルエットでないと視認性の視点からNG。ある意味FFらしさをどうやって映画キャラクターに落とし込むかに力を入れました。あまり目立ちすぎないタトゥーやヘアスタイルと,その意義をしっかりとバックボーンに合わせて表現しようと試みました。
演出に関しては,CGらしさ,しかし映画としての地続き感をうまく融合させること。ファンタジーと現実のバランス,そしてCGならではの驚きをストーリーとリンクすることをポイントにこだわっています。
作品を作る上では,日常に起こること全てがアイデアになっています。社内,社会,人間関係。ニュースや,議論を見るのが最高のヒントになります。映像,ゲームなどのコンテンツ系からヒントを得ると真似になり,新しい体験にならないので避けています。長い年月をかけて作品ごとに精進していかないと実現できないものですが,多くの方に共感していただけるキャラクター・作品を制作できるように努力していければと思っているので,時事や社会からインスピレーションを得ることが多いです。
今作では監督ですが,会社員でもあるので社内で起こる人間関係やマネージメント視点は作中に出ていると思います。監督としては,ブレさせてはいけないところ,スタッフの自由度を持たせるところとのバランス感覚が必要だと思いますが,映画は総合芸術ですし,多くのスタッフの努力や発想で成立しています。メイキングからもそれを感じていただけると思うので,このブックレットを見れば,より作品を楽しんでいただけるのではないかと思います。
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