インタビュー
最初は「逆転刑事」だった? 「逆転検事」開発スタッフに聞いた開発秘話から今後の展望まで
“NEW逆転 NOT裁判”をコンセプトにした本作は,逆転裁判シリーズ第3作までの主人公・成歩堂龍一のライバルでありよき友,天才検事の御剣怜侍が,法廷から事件の現場に舞台を移し,数々の事件を解明していくという内容だ。
今回は,そんな逆転検事の開発に携わった,カプコン 編成室 プロデューサーの江城元秀氏,カプコン 編成部 ディレクティング室 ディレクターの山崎(※正しくは山ヘンに竒) 剛氏,そしてイラストレーターの岩元辰郎氏のお三方にインタビューする機会を得た。
各種システムやキャラクターの誕生秘話,そして今後のシリーズ展開など,いろいろと話を聞いてきたので少々長めのインタビューとなっているが,逆転シリーズのファンはもちろん,シリーズ未経験者でもアドベンチャーゲームが好きな人はぜひ目を通してほしい。
初期コンセプトは「逆転刑事」だった
本日はよろしくお願いします。
最初に,皆さんが「逆転検事」で携わった役割と,これまで携わってきた主なタイトルについて教えてください。
江城元秀氏(以下,江城氏):
プロデューサーを担当した江城です。元々はディレクター出身で,PlayStation 2の「鬼武者2」と「シャドウ オブ ローマ」を担当したあと,プロデューサーに転向しました。それからはニンテンドーDSの「逆転裁判2」と「逆転裁判3」のベストプライス版を担当しています。
山崎 剛氏(以下,山崎氏):
ディレクターの山崎です。2004年にカプコンに入社して,「逆転裁判 蘇る逆転」と「逆転裁判4」で企画を担当しました。
岩元辰郎氏(以下,岩元氏):
主にキャラクターデザインとアートディレクターを担当した岩元です。元はカプコンの社員で,ゲーム制作に携わっていました。逆転裁判シリーズでは主にキャラクターデザインを担当しています。逆転裁判ではサブデザイナー,逆転裁判2と逆転裁判3ではメインデザイナーを担当しました。
4Gamer:
5月28日に逆転検事が発売され,発売日から実質4日間で販売本数が17万本を超えたそうですが,この数字についての感想を聞かせてください。
江城氏:
率直に言って,ここまでユーザーさんに受け入れられたという驚きと共に,感謝の気持ちでいっぱいです。従来の「逆転」シリーズからはゲームシステムを大きく変えているので,そこがシリーズのファンの方々に受け入れられるかどうかは一つのチャレンジでした。それが結果として本数に表れたのは嬉しいですね。
山崎氏:
御剣怜侍の人気の高さを感じる数字です(笑)。
岩元氏:
僕自身が携わってきたタイトルで,初週で17万本という経験は今までありませんでした。なので最初は実感が得られなくて戸惑いましたね。
発売時のタイミングで一気に売れるというのは,シリーズの熱心なファンの方々の支えによるものだと思うんです。そのあとも継続的に売れているという話を耳にするので,口コミ効果で広がってる面もあるのかな? と思います。嬉しい限りですね。
4Gamer:
主人公を弁護士から検事に変えるというのは,かなりの冒険だったのではないかと思うのですが。
開発当初は,主人公が検事であることを大々的にアピールせず,逆転シリーズの世界観を使用したスピンオフ的なイメージで展開していました。いざ蓋を開けてみると,ユーザーさんやメディアさんからのリアクションが非常に良かったんですね。
印象に残っているのは,2008年の東京ゲームショウです。来場者の方々が体験版を遊んだリアクションを直接見た時,これは“逆転シリーズ”のもう一つの大きな柱として育てられるなと思いました。
4Gamer:
どういった経緯で逆転検事の企画が立ち上がったんですか?
江城氏:
「逆転裁判3 Best Price!」を作っていた頃に,世界観やキャラクターの言い回しなどがとても魅力的だと思っていました。そこでこれらの素材を使って,“裁判”とは違う形で何か面白いことができないかな? と漠然と考えていたんです。そこで,当時逆転裁判4でプランナーを担当していた山崎に相談して,逆転裁判4がひと段落したあとに一から立ち上げてみよう,というところから始まりました。
最初に草案を作ったのも山崎です。彼にとっては初めてのディレクションとなる作品で,大きなチャレンジだったと思います。
4Gamer:
山崎さんは,その草案ではどういったコンセプトを立てたんですか?
コンセプトとしては,逆転裁判シリーズの世界観を使った,法廷が舞台ではない遊び方の提示」というところから始めました。その次に「じゃあ主人公を誰にしよう?」と考えたのですが,舞台が法廷じゃないということで,現場で捜査をする人物をイメージし,それなら刑事がいいだろうと。
そこで,逆転裁判4に登場した宝月 茜を主人公に設定してみました。ところが,その企画案を江城に持って行ったら,ストップが入ったんですね。
江城氏:
あの草案を見たとき,「逆転シリーズの世界観で,ユーザーが一番主人公としてプレイしたいのは誰なのかをよく考えろ」と言ったのを覚えています。ユーザーの目線として主人公でプレイしたいのは誰かを考えた場合,成歩堂龍一のライバルである,御剣は外せないでしょう。
山崎氏:
最初僕は,宝月が得意とするカガク捜査の切り口で事件に迫るものをイメージしていたんですが,主人公が御剣に変わった時点で,主人公が彼ならではのゲームという方向で練り直しました。そこで誕生したのが,御剣の論理的な思考を表現した“ロジック”モードです。
“ロジック”モードは,御剣の脳内を表現したもの
4Gamer:
ロジックモードって,かなりユニークなシステムですよね。
江城氏:
ロジックモードの開発は,かなり苦労しました。
まだロジックモードがなかったころに試作バージョンを作って,社内の上層部にプレゼンテーションをしたのですが,「これでは逆転検事としてのインパクトが弱い」と突き返されました。「仮にこれが逆転シリーズではなく全然違うブランドで,御剣が主人公じゃなくてもいいんじゃない?」と,かなり辛らつな意見をもらいましたね。
それを受けて,再度原点に立ち返って「主人公が御剣であることの必然性」をゲームに盛り込むことを,山崎にオーダーしました。
主人公の御剣になりきって,捜査が行えるようなシステムを作ろうと決めました。御剣の推理の特徴である,論理的な思考を具現化という流れで,このロジックモードが生まれたんです。
4Gamer:
なるほど。“逆転”ならではの必然性から生まれたわけですか。
山崎氏:
ですが,ロジックモードのアイデアが閃いたあとが大変でした。「そもそも脳内ってゲーム画面でどうやってデザインするんだろう?」と。逆転裁判シリーズは,基本的には現実世界を舞台にしたアドベンチャーゲームです。その中にうまく溶け込む形で,脳内の論理的な思考をどうやって表現するのか,デザイン周りには苦労しました。
ロジックモードの色のイメージは製品版でこそ青ですが,最初は「御剣だから赤じゃないかな?」と考え,いざ作ったらすごく気持ち悪くなったので変更になったんです(笑)。
岩元氏:
ロジックの項目が結びついて,脳内に入っていくエフェクトもかなり試行錯誤しましたよね。
4Gamer:
確かに,効果音も含めてエフェクトは印象的でした。
江城氏:
ロジックモードを調整中に、あの閃いた瞬間の気持ちよさを煽ってあげてほしい,というオーダーも出ました。
山崎氏:
ロジックが成功したときの効果音は現実にある音じゃないので苦労しました。謎を解いたときに,緊張感から開放される瞬間をどうやって演出するか,というのはこだわりましたね。
やっぱりゲームである以上,触った感触のようなものは重視したいです。たとえば格闘ゲームでも,相手を殴った瞬間に「バコッ!」っという効果音や絵の表現によって,殴った感じが伝わってくるじゃないですか。ジャンルが違っても,そこの面白さというのは共通するものだと思うんです。逆転シリーズでも,ムジュンを指摘したとき「異議あり!」というSEと同時にBGMが消えるという演出があります。逆転検事でも使っていますが,あれは凄くいい演出だと思いますね。
4Gamer:
ほかにも逆転検事では,2Dのミニキャラクターを操るなど,ゲームシステムが大きく変わっていますが,制作時に苦労した点はありますか?
江城氏:
ミニキャラクターに関しては,最初は従来のバストアップ絵とは別の形でキャラクターを表現しよう,というところから始まりました。ミニキャラの全身を使ってどうやって表現するかで,試行錯誤を繰り返しましたね。
ミニキャラに関しては,企画書をもらったときに意外とすんなりビジョンが浮かびました。なので苦労とはちょっと違っていて,バストアップとは別の見せ方で,僕が感じるキャラクターの面白さを表現できる,というところで,開発当初からやりがいを感じながら作業ができました。
なのでこの調子なら大丈夫だろうと思っていたのですが,いざ始めてみると全然違いましたね。バストアップ絵も新たに追加されたり,その分のミニキャラも新たに作ったりと,とにかく膨大な作業量でした。
4Gamer:
逆転シリーズに登場していたキャラクターも,デザインが微妙に違ってますよね。
岩元氏:
新たに一からキャラクターを作るのは大変ですけど,もともと自分がデザインしたキャラクターのアレンジなので,わりと想像しやすかったです。
4Gamer:
今回だけに限ったことではありませんが,ニンテンドーDSというハードで表現するにあたって,制約を感じることはありましたか?
確かにニンテンドーDSはほかのハードと比べるとドット数が多くないので,たとえ小さくてもカッコいいものはカッコよく,可愛いものは可愛く見えるようにこだわりましたね。
デザインの初期段階では,ニンテンドーDSというハードで「どこまでのサイズの大きさなら可愛いキャラクターを表現できるのか」というテストを行いました。小さいキャラクターの代表として,はみちゃん(綾里春美)をドットで打って御剣の隣に並べて,ちゃんとはみちゃんがはみちゃんでいられるのか,というのを煮詰めていきました。
4Gamer:
開発当初は,綾里春美が登場する予定だったんですか?
岩元氏:
いえ,あくまでもニンテンドーDSでキャラクターを表現できるかどうかを実験するためのサンプルという意味です。一般的に同じドット数の場合,男性よりも女性を可愛らしく見せるほうが難しいので,その代表としてはみちゃんを選んだんです。もし彼女が可愛らしく描けたら,仮に子供の男の子を登場させても大丈夫だろうと。
山崎氏:
はみちゃんのほかにも,大人女性のサンプルを狩魔 冥,大人男性を御剣,大人のゴツい男性を糸鋸 圭介で作りました。これらのキャラクターを動かしてみて,「2Dのキャラクターでもいける」と実感できましたね。
2008年の東京ゲームショウで「いける」と確信
4Gamer:
逆転裁判シリーズは法廷パートから始まって,そこから証拠となる材料を把握していくという形ですよね。逆転検事では,捜査パートからロジックモードなどを使って推理していくので,個人的にはシナリオの没入度がより高かったと感じました。これは最初からの狙いだったんですか?
山崎氏:
そうですね。ロジックモードを通じて,一歩一歩階段を登るように論理的な推理を積み重ねることができるんです。それが,御剣の推理の進行度とシンクロしていくように作っています。その結果,ちょっと複雑なストーリーだったとしても,プレイヤーがついてきやすい形になったと思います。
いきなり裁判が始まって,そこからどうにかするというのも,それはそれで面白いと思うんです。ですがそれは,成歩堂龍一なり王泥喜法介なりが主人公だからこそ可能なことなんですよね。新米弁護士が,よく分からないままとりあえず突き進んじゃえ,といったスタンスで。
しかし仮に,あのシステム上に御剣を置いたとしても,きっと面白くはならないでしょう。また逆に,ロジックモードに成歩堂というのも,きっとそぐわないですよね。「こんなにたくさんロジックもらってどうしよう……」と悩んだりとか,極端な話,ロジックパネルを押しても反応しないとかありそうです(笑)。
4Gamer:
従来のシリーズとはゲームシステムの根本から変わっているんですよね。ナンバリングの続編ではないとはいえ,ここまで変えてしまうことに抵抗はなかったんですか?
江城氏:
開発中はずっと,すごく挑戦的なことをしているなと思っていました。逆転裁判は法廷バトルに特化し,そのうえで完成されたシリーズです。それを一度崩して新しい形のアドベンチャーゲームで,なおかつ逆転シリーズらしい遊び方を目指しているわけですから。プロデューサーとしての葛藤は,最後まで続きました。
ですが,開発しているスタッフ達の反応を見ると,「この流れで進めばいける!」という予感もありました。その予感が確信に変わったのが,2008年の東京ゲームショウでした。
4Gamer:
先ほどのリアクションのお話ですね。東京ゲームショウもそうですが,発売前はとくに,逆転シリーズのファンの注目度が高いと思います。ファンに向けてとくに意識したことはありますか?
江城氏:
公式サイトで積極的に情報を出していくことを重視しました。本編では語られないキャラクター設定の裏話を紹介したり,公式ブログを通じて「こういった雰囲気で開発していますよ」といった情報を極力公開していきました。東京ゲームショウで配布した小冊子に掲載した4コママンガの評判がよかったので,公式ブログでも継続的に掲載しています。
あとは,Web体験版を2月中旬に発表したのも大きかったですね。あれで,たとえ主人公が検事になっても,逆転シリーズらしさは変わらないんだというのを理解していただけたと思っています。
岩元氏:
最初は,「DSの上画面がバストアップで下画面が2Dなら,どちらか片方しか動かないんじゃないの?」と考えていたユーザーさんもけっこう多かったんですね。そういった誤解を解きたかった意味でも,Web体験版は効果がありました。あれで実際に動いている画面を見て,ゲームの雰囲気を感じ取っていただけたと思っています。
変えているところは思いっきり変えているのですが,インタフェースとかサウンドエフェクトとか,いいところはそのまま残しています。
対決パートに関しても,新しい演出を盛り込もうと思えばできたかもしれませんが,あえてやりませんでした。シリーズの経験者が自然に入ってこれるように配慮したつもりです。
4Gamer:
逆転裁判シリーズに登場したキャラクター達が出演しているのも,シリーズのファンには嬉しい部分ですね。
江城氏:
シリーズものなので,過去作のキャラクターも登場させていますが,ちゃんと意味のある形で登場させてあげたかったんです。それぞれの言い回しなども,山崎がかなり細かくチェックしています。
4Gamer:
登場するキャラクター達は皆,言い回しに特徴がありますよね。
山崎氏:
これまでのシリーズで積み上げてきた,各キャラクターにおける言い回しの特徴がたくさんあります。それらをテキスト執筆の担当者にしっかり覚えこませて,違和感がないかを自分がユーザー視点で随時チェックしていました。
自分も元々は,逆転裁判が大好きなプレイヤーの一人でした。今回の開発では,自分の中に厳しいユーザーを用意して,その目線で最終的にジャッジしました。
「逆転検事」を通じて「逆転裁判」への恩返しができたら……
対決パートなどの会話のやりとりはどのようにして作っているんですか?
山崎氏:
これといって特別なツールは使っていないですよ。普通にテキスト入力で,正解が出たらこっちのルートに移って,といった感じで。あえて言うなら,一昔前のゲームブックの雰囲気に近いかもしれませんね。
4Gamer:
ジャンルで言うと,推理小説と重なる部分があるように感じられるのですが,小説の執筆とゲーム制作では,どのようなところが違うのでしょうか?
山崎氏:
そうですね……。推理小説の場合,読者が最後に驚いてくれればそれが成功です。小説の主人公である名探偵なりの思考に,読者が追いつく必要はないんです。ゲームの場合,プレイヤーが一つ一つ推理して正解していく楽しみが大事なので。プレイヤーが主人公の思考に追いつくのは絶対条件です。そういう意味では、シナリオの運び方が大きく変わってきます。
しかし,プレイヤーが推理して全てが簡単に分かってしまうのでは,今度はミステリーとしてサプライズな面白さがありません。逆転シリーズでは,この“推理する楽しみ”と“サプライズ”を両立させることを目指しています。それが一番苦労するところですね。
岩元氏:
最後の最後までトリックに気付かせないでいいのが小説,ですね。
江城氏:
小説の執筆はまた違った苦労もあるかと思います。山崎はゲームのシナリオ制作という立場ですが,見ていると一般的な作家さんが執筆するのとは違うタイプのスキルがあるのかな,と感じますね。
4Gamer:
もちろん逆転シリーズのファンだけでなく新規プレイヤーの獲得も狙っているかと思いますが,どのような点を意識したのでしょうか。
自分から山崎にオーダーしたのは,「内輪ウケネタで終わらせないこと」です。逆転シリーズの知識を前提として進めてしまうと,今回初めてプレイする人は楽しめない。そういったのは止めてほしいと。たとえば,逆転シリーズのキャラクターが登場するときは,簡単でもいいので必ずその人の説明を入れるように指示しました。
山崎氏:
シリーズの経験者が見たらくすりと笑える要素を入れるのと同時に,初めてそれを目にする人でも,なんとなく面白く感じてもらえるようにしました。「まったく分からなくてつまらない」というのはNGですね。
4Gamer:
確かに説明があったおかげで,昔プレイしたときの記憶がスムースに蘇ってきました。そのおかげで,つい過去作を再度プレイし始めてしまったのですが(笑)。
江城氏:
逆転検事の世界観を受け入れてもらえたうえで,再び逆転裁判のシリーズをプレイしてもらえたり,逆転検事から入った方が逆転裁判シリーズに興味を持っていただけたりするのは,制作に関わっている者として嬉しいですね。
山崎氏:
僕はカプコンに入社してからずっと逆転シリーズに関わっています。なので,逆転シリーズの基礎を作り上げた巧(逆転裁判シリーズの生みの親)に対して,リスペクトの気持ちがあります。今回逆転検事をプレイして,そこから過去のシリーズに入ったという話を聞くのは,ある意味少しは恩返しができているのかな? と思い,本当に嬉しいですね。
岩元氏:
自分も……っていうか,よく考えたら恩を返される側でもあるか(笑)。
4Gamer:
既存シリーズもそうですが,現実の法廷とは違う部分も多いです。それらの中からどこを変えて,どこを変えないかに気をつけていますか?
江城氏:
これは自分がゲーム制作に携わるうえで,ディレクター時代から気をつけていることの一つなのですが,「ウソをつくなら,大きなウソを一つだけつきましょう」というのがあります。
仮に小さなウソを積み重ねてつじつまを合わせてしまうと,どうしても違和感が出てきてしまいます。ですが,大きな“ウソ”の設定をドンとぶちあげて,それに基づいて世界を構築していくと,それが真実へと変わるんです。
「逆転検事」でついた“大きなウソ”
逆転検事では,どこで大きなウソをつこうと考えましたか?
江城氏:
最初考えていたのは,「検事が現場へ行って捜査する」ことです。仮に検事が捜査を行えなかったとしても,「逆転検事の世界では検事は捜査を行う」で通すつもりでした。
でも,これは結果的には“ウソ”にはならなかったんですけどね。実際の検事の方に取材したときに分かったのですが,殺人事件などの重大な案件では,検事が捜査官から情報を聞いたりすることもあると伺いました。
岩元氏:
キャラクターデザインだと性格やグラフィックスを含めて,もう大ウソだらけですけどね。
さすがに鞭を振るったりする検事はいませんよね(笑)。
ウソといえば,“ぬすみちゃん”も現実世界にはまだありえない要素ですよね。
江城氏:
最初は,過去に起こった出来事を推理するための“現場再現モード”という名前でした。ぬすみちゃんのシステムは,事件現場が片付けられている状態で捜査をするとき,事件現場をビジュアル的に再現できるシステムがあったら面白そう,というところから誕生しました。
山崎氏:
御剣はものすごく頭がいいので,本来は頭の中ですべてシミュレーションできると思うんですよね。でもそれだとプレイヤーがついてこれません。そこで,彼の脳内シミュレーションをビジュアル的に表現することで疑似体験してもらおうと思って作ったのが,あのシステムなんです。
4Gamer:
ぬすみちゃんは,ゲームの難度を下げたのかなと思うほど強力なアイテムな気がするのですが。
江城氏:
難度を下げるという意図はなかったですね。ただヒントの出し方に関しては,プレイヤーにうまく気付いてもらえるように,というオーダーを出しました。
山崎氏:
逆転検事の各種システムは,主人公の御剣がロジカルに順序立てて進めていくことを実現したものなので。ユーザーフレンドリーにはしましたが,簡単になったというわけではないです。
岩元氏:
開発中のシナリオを読んでいて,ぬすみちゃんがなければ100%解けないような,あれがあってはじめて成立可能なトリックを作っているようにも見えましたね。
4Gamer:
逆転裁判3や逆転裁判4をプレイしたさい,けっこう手こずった記憶があるんです。それで難度を下げたのかなと感じたのですが,ロジックで推理の手順を積み重ねていく形だったことが,ハードルの高さを感じさせなかったということでしょうか。
従来のシリーズでは,法廷でギリギリまで追い詰められるという特徴がありました。今まで知らなかった証拠品がドーン! と突きつけられたりとか。その辺りの手触りは,今回は少し違っているのかもしれません。
4Gamer:
逆転裁判4でも取り入れられた裁判員制度が5月から始まっていますが,これはどのように受け止めていますか?
山崎氏:
作り手としては,まったく意識していなかったですね。こう言っちゃうと語弊があるかもしれませんが,逆転裁判シリーズは“法律のゲーム”ではありません。仮に法律を突き詰めていってしまうとややこしくなって,ミステリーの面白さを純粋に追求できなくなると思うんですよ。
岩元氏:
かなり無茶苦茶やってますよね。ある意味,裁判長というジャッジのいる口喧嘩のようなものですし(笑)。今回は法廷バトルじゃないので,ジャッジもいませんけど。
江城氏:
リアルの要素をゲームにあてはめて,面白くなりそうならやってみるのはありだと思います。でも,もしそうじゃなければ,選択肢としては上げたくないですね。本来はプロデューサーの立場として,世の中が注目するなら,そこは意識しないといけないのかもしれませんが……。
山崎氏&岩元氏:
いやいやいや,間違ってないですよ!
江城氏:
私も元々はディレクター上がりのプロデューサーなもので,どうしても作り手の立場になって考えてしまいます。まだまだ修行がたりませんね(笑)。
4Gamer:
リアルであればあるほど面白くなるとは限らないですもんね。
山崎氏:
ええ,別に逆転シリーズを通じて法律を学んでほしいわけじゃないので。むしろ法律的に見たら大ウソも沢山あります(笑)。
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