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NHK総合「トップランナー」にレベルファイブの日野晃博氏が出演。1月29日放映分の収録レポート&日野氏へのショートインタビューを掲載
「トップランナー」は,さまざまなジャンルにおいて旬・話題の人物を毎回1人(1組)ゲストに迎えて収録されるトーク番組で,司会はクリエイティブディレクターの箭内道彦(やない みちひこ)さんと女優の田中麗奈さんが務めている。
NHK総合テレビ「トップランナー」公式サイト
今回4Gamerでは,この収録現場におじゃまして,番組収録の模様を観覧させてもらった。番組で日野氏がどのようなことを話したかについては,実際の放映を楽しみにしてもらうとして,ここでは話題に挙がったトークのテーマを中心に紹介していこう。
なお,収録は約2時間以上にわたって行われたため,以下で紹介した内容がすべて放映されるとは限らない点については,あらかじめご了承いただきたい。
最初の話題は,ゲームクリエイターという仕事はどのようなもので,日野氏はゲーム制作の中でどのような役割を担っているかについて。また箭内さんからは,「業界の風雲児と呼ばれていて,周りから睨まれていませんか?」という質問も出た。
次の話題は,2010年12月9日に発売されたニンテンドーDS用ソフト「二ノ国 漆黒の魔導士」に移った。
日野氏は,国民的な人気を誇るスタジオジブリのイメージを壊さないよう,徹底的に研究を重ね,非常に気を遣って制作したと,その具体的な事例に踏み込んで説明していた。
「漆黒の魔導士」には,マジックマスターという“魔法の本”が標準で同梱される。この本を見ながらゲームを進めていくことについて,箭内さんも田中さんも,非常に新鮮な感覚だったと話していた。
日野氏は,マジックマスターをゲームを進めるうえでの必需品とするのは,やはり冒険だったと話す。ただ,レベルファイブ設立10周年記念タイトル(※)として,子供達に向けて意義のあるタイトルにしたいという意図から,「5万本しか売れなくてもいいから,心に届くものを」という意気込みで,開発を決めたそうである。
※「二ノ国 漆黒の魔導士」は,もともとレベルファイブ設立10周年を記念したタイトル。発表された当時は2009年発売予定だった
続いての話題は,2011年内に発売予定のPlayStation 3用ソフト「二ノ国 白き聖灰の女王」に移る。実機でのデモを行いながら,日野氏がプレゼンテーションを行った。PS3で「白き聖灰の女王」を開発することになった理由や,ジブリ作品ならではの制作時の苦労などの話題も出た。
また,箭内さんから出ていた「ゲームを通して伝えたいことは何か?」といった質問について,日野氏がどう答えたかについても注目してほしい。
そのあとは,レベルファイブ福岡本社の映像が上映され,まるで高級ホテルのような社内の様子が紹介された。さらには,ゲーム制作の実際の会議の様子も映されていた。日野氏は,レベルファイブにおける会議はどのようなスタイルで,どのように物事を決定していくかについても述べていた。
続いて,レベルファイブがパブリッシャデビューを飾った「レイトン教授」シリーズへと話題は移る。こちらは,パブリッシャとして成功をしなければいけないという状況で,いかに戦略を練り,どのようなことをやらなければならないかなど,当時を振り返りつつ,そのポイントを日野氏が説明していた。
最後は,番組恒例の,観覧者からの質問タイムである「Questions」となった。こちらでは,「会社を経営しながらクリエイターとしても活動するメリットは?」「『二ノ国』や『ダンボール戦機』など,他社とのコラボを積極的に行っているように感じられるがそれはなぜか?」といった質問が出た。
また,収録の最後に日野氏は「目指すゴールはどこにあるのか?」という質問についても答えている。その詳細は,ぜひ実際に番組を見て確認してほしい。冒頭でも書いたが,本番組の放映は,NHK総合テレビで1月29日(土)の23:30〜である。
また,番組の収録後,日野氏に短い時間ではあるが,合同インタビューを行うことができたので,本稿の締めとして掲載しておこう。
――今回,「トップランナー」という番組に出演することを決めたのはなぜでしょうか?
日野氏:
僕自身は,テレビに出たいという気持ちはあまりないので,テレビに出られること自体が,すごく嬉しかったというわけではないんです。
ただ,「トップランナー」にゲーム業界の人が出るのは,飯野賢治さん以来(※)らしいんですよ。ゲーム業界の人間が出演したのが10数年ぶりというのが,良い話題かどうかは分からないんですが,ある意味,ゲーム業界を代表して話せる機会をいただけたことが,すごく嬉しかったというのはあります。
(※1997年6月27日放映分)
――収録を終えて,出演した感想を聞かせてください。
日野氏:
今まで自分がいろいろやって来たことを,話しながら整理できました。
あと,僕は「風雲児」と言われたことはなかったんですが,一般の方々の受け取り方はそういうものなのかなと。僕自身はどちらかというと,あまりいい意味の言葉としては捉えていなかったので,「え,そうですか?」みたいな(笑)。でも,話題になっているだけでも,いいことだとは思います。
――「漆黒の魔導士」の話の中で,「5万本でもいいから作りたい」という言葉が印象的だったんですが,実際のユーザーさんの反応はどうだったんですか?
日野氏:
僕の期待以上に「二ノ国」の反応は非常にいいですね。個人的には,もっと早いスピードでガツンと売上が上がってほしいというのはあるんですけど,上々の成績です。
本が「重い」「持ち歩けない」ということは,予想通り不満として上がっているのですが,エンディングまで遊んだ方々の意見や評判は本当にすごく良くて,ちゃんと伝えられてよかったな,作ってよかったなと思っています。
――田中麗奈さんがPS3版の「白き聖灰の女王」をプレイしている様子を見た感想はどうでしたか?
日野氏:
田中麗奈さんが,ゲームをけっこう好きだというのは前から聞いていたので,僕の言っていることの意図も,ちゃんと理解してもらえるだろうなと思っていました。期待どおりの反応ですごく嬉しかったです。ゲームの操作も相当上手かったですしね(笑)。
――「白き聖灰の女王」は2011年発売ということですが,完成度はどのくらいですか?
日野氏:
さすがに,もう大分できています。今ポイントになっているのは,DS版にはまったくなかった部分,新しい要素をどれくらい突っ込んで入れていくか,という部分です。
――PS3版のターゲット層はどのあたりになるんでしょうか?
日野氏:
ジブリ作品ということなので,やはり子供と大人という二つがターゲットであり,全年齢対象的な要素があります。
僕は常々,「全年齢対象とかありえないから絶対にやっちゃいけない」と言っているんですけど,映画のジブリ作品に関しては,それが通用しているのが現状なんです。なのでゲームも,ある程度はその部分を踏襲できるのではないかと思っています。
だからPS3版は,子供だけとはいわず,大人の人達に手に取ってもらうことが非常に大事だと思いますし,逆にPS3版とはいえ,子供にも手に取ってもらえる作品にしなきゃいけない,と考えています。
――ジブリ作品で“全年齢”が成り立っている秘訣は,どこにあると分析していますか?
日野氏:
多分,小さい頃からジブリアニメを見て「育っている」からだと思います。
小さい頃に見て「面白かった」と印象に焼き付いている作品は,やっぱり大人になっても好きですよね。ジブリ作品ってそれが強いんですよ。
長い期間ずっと続いていて,ジブリアニメを子供の頃に見て,大人になってからも見て,そして親子で一緒に見る,というのがジブリアニメですよね。「ポケモン」も同じようなところがあるんですが,「育っている」からちゃんとやるんですよね。
それと同じようなイメージで,「二ノ国」も「子供に遊ばせたい」「子供と一緒に遊びたい」といった感覚の作品として,受け取ってもらえるといいなと思います。
――テレビや雑誌で,日野さんが人物として取り上げられるようになって,その効果や,伝えたいことを言えるようになったりというのは?
日野氏:
自分がこういう場に来ることは,「ゲームの世界の人達を代表して話している」という意味で,すごく大きいと感じています。
こういった場に出る時って,先ほどお話ししたような「ずっとゲーム業界の人が出ていなかった」といったことを言われると,燃えてくるんですよ。こういうことの繰り返しで「ゲームっていうのも楽しそうだね」と,番組を見て感じていただければいいわけじゃないですか。
やはりゲームを映画以上にメジャーなものにしていきたいし,今回の件というのは,そういう意味で意義深いアクションの一つではないかと思います。
――ゲームクリエイターとしての思いの丈は伝えられましたか?
日野氏:
僕達がやっていることというのは,やはりお金儲けだけではありません。そういう意味では,僕らもゲーム業界以外のたくさんのクリエイティブを認めているんですけど,人に伝えることの意義であったり,その影響であったりと,そういったことも考えているという部分は,ビジネスに寄った作品とはちょっと違うかなと思っています。
今回僕が出演したことで,ゲームの世界の魅力が視聴者の方々に伝わればいいなと思っています。
――最後に,番組を視聴する人に向けてメッセージをお願いします。
日野氏:
ゲーム業界を代表してしゃべりました(笑)。ぜひ,ゲーム好きのユーザーの皆さんも,ゲーム業界の人も見てください。
――ありがとうございました。
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