2008年秋にActivisionから発売された「James Bond 007: Quantum of Solace」の日本語版
「007/慰めの報酬」を,スクウェア・エニックスが3月26日(木)に,PLAYSTATION 3,Wii,Xbox 360,PlayStation 2の4機種向けに発売する。
PC版がラインナップに含まれていないのは残念だが,
2008年末にActivisionが日本市場から撤退し,このタイトルもきっと日本で発売されることはないのだろうと半ば諦めていただけに,テキストだけでなく音声も日本語にローカライズされた形でリリースされるということは,素直に喜びたい。
ちなみにこの作品,意外にもスクウェア・エニックスにとって初めてのPLAYSTATION 3用タイトルでもある。
ということで,今回からこの連載では,数回にわたって「007」関連のゲームを取り上げていこう。実は筆者にとって,007のシネマゲームはかなり特別な存在だ。
なんせ映画「007」シリーズの大ファンであり,なおかつゲームも好きってことで,コンシューマ機とPCでリリースされた30本近くの作品を,ほぼリアルタイムでプレイしてきたのである。
そこでまずは,筆者が知っている限りの“007ゲーム ほぼコンプリートリスト”を掲載しよう! 誰が喜んでくれるか分からないけど……。
タイトル | James Bond 007(ムーンレイカー,ユア・アイズ・オンリー,ダイヤモンドは永遠に) |
パブリッシャ | Parker Brothers |
プラットフォーム | Atari 2600,Atari 5200,Atari 8-bit,ColecoVision,Commodore 64,オセロマルチビジョン |
タイトル | A View to a Kill(美しき獲物たち) |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Amstrad CPC,Commodore 64,MSX,ZX Spectrum |
タイトル | James Bond 007: A View to a Kill |
パブリッシャ | Mindscape |
プラットフォーム | Apple II,DOS |
タイトル | James Bond 007: Goldfinger(ゴールドフィンガー) |
パブリッシャ | Mindscape |
プラットフォーム | Apple II,Macintosh,PC Booter |
タイトル | The Living Daylights(リビング・デイライツ) |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Amstrad CPC,Atari 8-bit,Commodore 64,MSX,ZX Spectrum |
タイトル | Live and Let Die(死ぬのは奴らだ) |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Amiga,Atari ST,Commodore 64,ZX Spectrum |
タイトル | 007: Licence to Kill(消されたライセンス) |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Amiga,Amstrad CPC,Atari ST,Commodore 64,DOS,MSX,ZX Spectrum |
タイトル | James Bond: The Stealth Affair |
パブリッシャ | Interplay |
プラットフォーム | Amiga,Atari ST,DOS |
※北米リリースのみ007映画版権で展開された。欧州でのタイトルは「Operation Affair」 |
タイトル | The Spy Who Loved Me(私を愛したスパイ) |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Amiga,Amstrad CPC,Atari ST,Commodore 64,DOS,ZX Spectrum |
タイトル | James Bond Jr. |
パブリッシャ | THQ |
プラットフォーム | NES,SNES |
タイトル | James Bond 007: The Duel |
パブリッシャ | Domark |
プラットフォーム | Genesis,SEGA Master System |
※日本ではTENGENが「007 死闘」のタイトルでメガドライブ向けにリリース |
タイトル | GoldenEye 007 |
パブリッシャ | Nintendo of Europe |
プラットフォーム | Nintendo 64 |
※開発元はイギリスのRare。007ゲーム最大のヒット作 |
タイトル | James Bond 007 |
パブリッシャ | Nintendo of America |
プラットフォーム | Game Boy |
タイトル | 007: Tomorrow Never Dies(トゥモロー・ネバー・ダイ) |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | PlayStation |
タイトル | 007: Racing |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | PlayStation |
タイトル | 007: The World is Not Enough(ワールド・イズ・ノット・イナフ) |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | Nintendo 64,PlayStation |
タイトル | 007: Agent Under Fire |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | GameCube,PlayStation 2,Xbox |
タイトル | 007 Ice Racer |
パブリッシャ | In-Fusio |
プラットフォーム | MobilePhone |
タイトル | 007: Nightfire |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | GameCube,PlayStation 2,Xbox,Macintosh,Windows,Game Boy Advance |
タイトル | 007: Everything or Nothing |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | Game Boy Advance |
タイトル | 007 HoverChase |
パブリッシャ | Iomo |
プラットフォーム | MobilePhone |
タイトル | 007: Everything or Nothing |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | GameCube,PlayStation 2,Xbox |
※日米欧でそれぞれ異なるボンドガールをパッケージに |
タイトル | GoldenEye: Rogue Agent |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | GameCube,PlayStation 2,Xbox |
タイトル | GoldenEye: Rogue Agent |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | Nintendo DS |
タイトル | 007: From Russia with Love(ロシアより愛をこめて) |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | GameCube,PlayStation 2,Xbox |
タイトル | 007: From Russia with Love |
パブリッシャ | Electronic Arts |
プラットフォーム | PSP |
タイトル | 007: Quantum of Solace(慰めの報酬) |
パブリッシャ | Activision |
プラットフォーム | PlayStation 2,PLAYSTATION 3,Wii,Windows,Xbox 360,Nintendo DS |
※日本ではスクウェア・エニックスからリリース。ただしDS版のリリース予定はなし |
タイトル | 007: Quantum of Solace Collector's Edition |
パブリッシャ | Activision |
プラットフォーム | PLAYSTATION 3,Xbox 360 |
さて今回は,上記の中から最古タイトルと最新タイトルをピックアップして紹介する。
007を題材にしたゲームが世界で初めて発売されたのは,1983年のこと。いまから26年も前だ。同時期に「スター・ウォーズ」の正規ライセンスゲームを取り扱って大きな利益を生み出したParker Brothersが,この年のクリスマス商戦に合わせて発売したのが,この
「James Bond 007」である。
Atari 2600,Atari 5200,ColecoVision,Commodore 64などの各8ビットマシンで展開され,日本でも1984年に,ツクダオリジナルからオセロマルチビジョン向けとして発売されている。ちなみにこれは,セガのSG-1000やSC-3000との互換性もあった。というか,オセロマルチビジョン自体,SG-1000互換のハードにオセロ機能を載せたようなものだった(そのため,セガ・マークIIIとも互換性がある)。
今回あらためてプレイして気付いたのだが,ゲームの中身は「ジャンプバグ」と「ムーンパトロール」がミックスされたような感じ。そして一つのROMカートリッジながら,「ムーンレイカー」「ユア・アイズ・オンリー」「ダイヤモンドは永遠に」の3タイトルの映画の美味しいシーンを,インタラクティブにプレイできる……というか,タイトル名だけが羅列されているような具合。とはいえ,当時の技術レベルを考えると,これが精一杯だったのだろう。
ゲーム自体は横スクロールのビハイクル系アクションで,水陸両用車として改造されたロータスを操りながら,搭載された武器を駆使して進んでいくというのが基本。まぁそれなりに007ライクではあるが,少年時代あんなに熱中したはずなのに,今プレイすると苦痛ばかりを感じてしまうのは,筆者が中年になったからなのか……。
なお,ツクダオリジナルが発売した日本国内版のみ,パッケージがオリジナルイラストなのはある意味貴重。なぜか,ショーン・コネリーが主役のゲームみたいなことになっているのだが,これはツクダオリジナルにコネリストが存在していたからとしか思えない。なんせ,ムーンレイカーとユア・アイズ・オンリーの2作は,ロジャー・ムーア主演作だったのだから……。
ちなみに,このタイトル以前に開発されていたものの,お蔵入りになった作品もある。それは1983年にAtari 2600で開発されていた「James Bond: Agent 007」だ。
こちらは同年に公開された「007 オクトパシー」を題材に,生身のボンドが活躍する内容だった。だが,普通のアクションゲームになってしまい,“ボンドらしさ”が伝わらないとの理由から,全面的に作り直された結果,3 in 1スタイルのJames Bond 007が生まれたとのこと。
続いて,四半世紀をかけて進歩した最新の007ゲームを紹介しよう。冒頭に触れた,007/慰めの報酬だ。筆者としては,本作を昨今のシネマゲームの中でも最高峰のクオリティの作品だと考えている。
ゲームのオープニングは,映画と同様に前作「007/カジノ・ロワイヤル」のラストからスタート。そこから,慰めの報酬のオープニングで描かれた手に汗握るカーチェイスまでが,映画以上に細かく描写されている。
ミスター・ホワイトの屋敷の外や中での銃撃戦の末,逃げ出そうとするホワイトが乗り込んだヘリコプターを撃ち落とし,慰めの報酬のストーリーへ自然にシフトしていく流れはお見事。映画本編では描かれていなかった細かい部分も,ゲームでは楽しめるように作られているのだ。このあたりなど,作り手が映画とゲームのクロスオーバーを実現すべく,高い目的意識を持っていたことの,一つの表れではないだろうか。
さらに,ボンドとカミーユが追っ手から逃げ延びたあとには,過去の記憶がフラッシュバックするシーンが待っている。そしてここから,ゲームの中でカジノ・ロワイヤル編がスタートするのだ。
ここにはもちろん,マッツ・ミケルセンもエヴァ・グリーンも登場。ダニエル・クレイグを操作しながら,映画の前作で描かれたシーンをゲームでトレースできるのである。これなど,高いインタラクティブ性を持つシネマゲームならではの表現だ。
とりあえず今回はここまで。次回はゲーム版慰めの報酬をもっと深く掘り下げるべく,本作にまつわるエピソードなどをお届けする。
■ドブ漬けゲームスープレックス(36)
Wii
「デッドライジング ゾンビのいけにえ」(カプコン)
Xbox 360で好評を博したゾンビパラダイスアクション「デッドライジング」が,プラットフォームをWiiに変えて復活! Wiiリモコンとヌンチャクをフル活用する操作体系にあらためられたほか,細部に至るまで,遊びやすくリファインされている。
……のだが,どうやらXbox 360版と比較して,ゾンビの数が少ない,主人公のフランクが自由にジャンプできない,カメラでいろいろと撮影できないといった変更を残念に思っている人がいるようだ。しかし筆者は,銃器の重要度が増したことにより,サードパーソンシューティング風味の強まった本作を,けっこう満足して遊んでいる。
確かにハードウェアの性能によって,忠実な移植ができなかったという側面もあるのかもしれないが,名作「バイオハザード4 Wiiエディション」の中井 実氏は,同作のノウハウをフル活用してWiiの特性を見事に生かす形の「新・デッドライジング」を作り上げているのだ。
ただし,ゾンビ犬やゾンビインコには最初のうちこそ驚かされるが,次第にうっとうしいだけになっていくのは残念なポイントだった。新たなテイストを加えようという試みは理解できるのだが……。
■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
連休明けの3月23日(月),スペースFS汐留で開催される「アナコンダ3」&「アナコンダ4」のDVD発売記念特別試写会で,司会を務めるという吉田氏。当日は,グラビアアイドルの辰巳奈都子さんや,さらなる大物ゲスト(?)も登場予定だとか。大物ゲストが誰なのかは,吉田氏でも知らないそうで,ちょっぴり不安らしいです。とりあえず辰巳さんには,「桜(もも)mint'sって解散したの?」と聞いておいてください(私信)。 |
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(C)1984 Parker Brothers