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[GDC 2011]カジュアルゲームの雄,PopCap Gamesが語る「Bejeweled」ができるまで。世界中でヒット中のパズルゲームは,どのようにして作られたのか
とはいえ,なんといっても稼ぎ頭はBejeweledシリーズ。今回はそのBejeweledがどのようにして生まれたかをKapalka氏が語るというレクチャーだ。 Kapalka氏が独自に付けたサブタイトルは,「The Secret History of Bejeweled」。同社のPR担当には絶対に聞かせたくない秘密の話をするというから,期待が持てる。とはいえ,話の中には完全な嘘も混じっていると付け加えて,来場者の笑いをとったりするところは,さすがにただ者ではない感じだ。
彼らの会社の名称は「Sexy Action Cool」で,Kapalka氏が映画のポスターに並んでいた文字を見て,そのまま付けたというのだから,思いつきの域を出ない。彼らが制作した「Foxy Porker」は要するに脱衣ポーカーで,ポルノ業界とも関係があったという。いきなり,なんだかすごい状況になってしまったが,金銭的にはうまくいったとのこと。とはいえ,結局Kapalka氏らがこのゲームおよびポルノ業界から学んだのは,「人は半分だけ堕ちることはできない。完全に堕ちるか,やめて家に帰るかだ。我々は家に帰ることにした」という事実だったという。よく考えると当たり前のことを言っているみたいだが,なんだか感動的である。
そんなPopCapが最初に制作したのが,「Diamond Mine」だ。彼らがこのDiamond Mineのアイデアをどこからちぎって(Rip off)きたのかと言えば,ロシアのゲーム「Shariki」や「テトリス」,そして「テトリスアタック」,さらに「コラムス」などだそうで,さらに,さまざまなタイトルのどこを使ったかを図式にした複雑きわまりない系統図も作成しており,なんだかどこまで信用していいのかよく分からない。
おそらく,皆さんもそう思っているでしょうけど,本当はそうじゃなくて,1999年に彼らが作った「Colors Game」が基本となっているのです,とKapalka氏は話をひっくり返した。もっとも,Colors Gameは,システムこそBejeweledと似ているが,非常にプレイしづらいものだったという。その最大の理由は,すべてが同じ四角形で,色が違うだけだからだ。つまらないとKapalka氏が言うと,制作したVechey氏は,そのとおりだが,システムは面白いはずだと主張したという。
そこで,まず形を変えることにし,多彩な色を持ち,幾何学的な宝石を選んだという。さらにアニメーションやサウンドを洗練し,できあがったのがブラウザゲームのDiamond Mine,のちのBejeweledなのだ。
Kapalka氏は,Bejeweledの開発において「うまくやれたこと」として以下の点を挙げている。
・専門家の意見に従わなかった
最初に見せたオンラインゲームサービスの専門家は,口をそろえて「これはゲームじゃない」と否定的だった。だが,結果は好評だった
・市場の動向に気がつかなかった
彼らがBejeweledを制作していた頃,まさにITバブルが崩壊し,ネットサービスが次々に倒産した。もし,それに気づいていたら,ネットゲームは作らなかった
・投資してもらうことも,売ることさえも考えなかった
Microsoft Zoneにゲームをアップしてもらうためには月に1500ドルかかる。それを3人で割ればたかがしれている。細かいことは考えないようにした
・自分達の作りたいゲームを作った
ママを使ってテストして,彼女がプレイできれば,誰でもプレイ可能だと判断した。ただし,ママのためにゲームを作ったわけではなく,自分達が遊びたいものを作った
ちなみに次回作として予定されている「Bejeweled Blitz Carnage」は,バーでの対戦機能が実装されており,負けた人が勝った人に一杯おごるというシステムになっているそうだが,あまり信用しないほうがよさそうだ。
Kapalka氏によれば,Bejeweledシリーズは,現在までに約5000万本が売れており,約5億人のプレイヤーがいるとのこと。彼らがプレイした総時間は,約70億時間に達し,それは約79万8000年に相当する。79万8000年を分かりやすく説明すると,紀元前9400年(おそらく氷河期)から70人のプレイヤーがノンストップでBejeweledをするのと等しいのだそうだ。あまり分かりやすくなかったかもしれないが,そういうことらしい。
右に左に話が飛び,本当なのか面白いウソなのかすぐには分からないような話題や,ちょっと書きづらい,きわどいジョークが次々に飛び出すレクチャーは,PopCapの持つ雰囲気に通じるものがあるような気がする。こういうレクチャーを聞けるところが,GDCの醍醐味の1つかもしれない。ともあれ,10周年を記念して,晴れの舞台でBejeweledの話ができたと語るKapalka氏は,そのことに感謝しつつ,20年後もまたBejeweledの話ができれば嬉しいとしてレクチャーを終えた。
- 関連タイトル:
Bejeweled Twist
- 関連タイトル:
Bejeweled 3
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