レビュー
紙のトレーディングカードとオンラインゲームがガンダムの世界で融合
ネットカードダス
ガンダムクロニクルバトライン
カードを購入してオンラインでプレイする
ガンダムクロニクルバトライン
「ネットカードダス ガンダムクロニクルバトライン」公式サイト
バトルを行うためには,合計で20体のユニットからなる“部隊”(いわゆるデッキ)を編成し,その情報をサーバーにアップロードする必要がある。
本作のバトルを大別すると,対戦相手のデッキ情報をダウンロードしてプレイする「出撃モード」と,他プレイヤーが自分のデッキ情報をダウンロードして行う「迎撃モード」の2種類がある。
迎撃モードは自分が操作する必要は一切なく,しばらく経ってから勝敗結果を確認し,再びデッキを煮詰めてアップロード……を繰り返すという遊び方で,いわゆる放置プレイが可能である。
出撃モードは,ほかのプレイヤーが作成したデッキと,それに基づいたAIを相手に戦うモード。相手プレイヤーとリアルタイムで戦うのではない点に注目してほしい。本作には,ほかのプレイヤーと直接デュエルする対人戦モードは存在しないのだ。
気になるカードの価格設定は,18枚のカードとバーコードリーダーの“コスカペン”がセットになった「スターターキット」が2625円(税込)。そしてカード3枚が封入された「ブースターパック」が315円(税込)となっている。そのほかオンラインでもカードを購入でき,オンライン上のカードを実物のカードとして郵送してくれるサービスも行われている。
コスカペンを使えばカード情報を瞬時にデータとして入力できるが,これは手打ちでも行えるので必須というわけではない。スターターキットに含まれている18枚のカードは,さまざまな種類がバランス良くまとまっており,そういう意味で初心者にとってオススメといえそうだ。
もちろん,お馴染みのモビルスーツやパイロット達が多数登場。出撃/破壊時は懐かしいセリフが表示され,このへんもガンダムファンにはたまらない |
どちらかの母艦が破壊された時点で勝敗が決する。出撃モードにおける1回のプレイ時間は,5分〜10分前後といったところ |
登場するモビルスーツなどの時代設定は,基本的にはいわゆる“一年戦争”期に準じている。具体的な作品だと「機動戦士ガンダム」を中心に,「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」「機動戦士ガンダム MS IGLOO」あたりが対象だ。
デッキの作成時は,最初に地球連邦軍かジオン公国軍のどちらかを選び,手持ちのカードの中からモビルスーツやパイロットなどを当てはめていく。例えばシャアを,ジムやボールに搭乗させることはできない(第2弾で登場する特殊なカスタムカードを使えば可能になる)。
とはいっても,ゲーム内に“連邦vs.ジオン”という対立構造があるわけではない。出撃/迎撃モード時は連邦同士やジオン同士といった対戦がごく普通に組まれるし,ゲームの目的も“自らの対戦成績を上げていくこと”というシンプルなものだ。
指揮官として大局的な視点でバトルを繰り広げる
「出撃モード」
戦場マップはヘックス状で,手前側に自軍の母艦,そして向こう側に敵軍の母艦という位置構成になっている。ゲームはターン形式で進行していき,プレイヤーは指揮官となって,デッキ内のユニットに対し出撃命令を与えていくのが主な役割だ。
出撃したユニットは自分のターンが訪れると全自動で進軍し,途中で敵と遭遇すると攻撃が始まる。こうして敵を打ち破って最終的に敵の母艦までたどり着き,撃沈すれば勝利だ。
母艦の耐久度は高く,貧弱なユニットの場合だと10回近く攻撃しないと撃沈できない。もちろん敵も指をくわえて見ているわけではなく,迎撃用のユニットを繰り出してくるだろう。ガンダムをはじめとした強力なユニットであれば敵母艦を3〜4発で沈めることも可能だが,事はそう簡単には運ばない。
敵の母艦はかなりの耐久度がある。耐えに耐えて強力なユニットを出すか,それともユニットの数で勝負するか? |
画面右下の“CP”が現在のコスト値を示している。画面の状態ではガンタンクが出撃できるが,同じコストでジム2体という選択肢もある |
なぜかというと,デッキに組み込んだ20体のユニットの中から,いつでも好きなものを出撃させられるというわけではないのだ。ターンが進むにつれ自軍の“コスト”と呼ばれるリソースが増えていき,ユニットの出撃時にはこれが必要となる。強力なユニットになればなるほど必要コストが高くなり,つまり出撃させるために長い時間を要するのである。
極端な話,ガンダムを出撃させるべくコストを溜めていたら,その間にコストの低いザクの大群が眼前に迫っていた,ということにもなりかねない。
さらに,プレイヤーが出撃させられるユニットは,デッキの中から三つの候補がランダムでカタパルトにピックアップされる。そしてどれか一つを出撃させると,デッキからその枠へ次のユニットが補充されるという仕組みだ。
たとえ強力なユニットをデッキに組み込んでいても,運が悪いとなかなかカタパルトに出てこず,出撃できないということもある。よほどカード運の強い人でもない限り,強力なユニットが1体しかいないよりは,そこそこの強さのユニットを複数体揃えたほうが全体的なバランスは良さそうだ。
射撃タイプのユニットが攻めてきたら,格闘タイプで迎撃させれば有利に戦える。三つの出撃スロットに,複数の攻撃タイプがあればベターなのだが |
同じモビルスーツでも,ビームライフルやビームサーベルといった使用武器によってタイプが異なる。この違いにも留意したいが,実際にはなかなか難しい |
ユニットを出撃させたあとは操作が一切行えないので,「戦略性がないのでは?」と思う人がいるかもしれない。確かにシンプルな戦闘内容ではあるが,プレイヤーのテクニックが介入する余地もそれなりにある。
実は,戦場となるマップは縦に3本のラインで分けられており,これをまたいでの移動は行えない。例えば自軍の母艦が,中央のラインから敵に攻撃されていたとしよう。その状態で,仮に右のラインからユニットを出撃させた場合,中央にいる敵ユニットには目もくれず,ずんずんと右ラインから敵艦を目指して進軍してしまうのだ。このライン選択次第で,同じデッキでも違った展開を迎えることがある。
また,それぞれのメカニクスカードには攻撃タイプが設定されており,戦闘の際はこれらが“3すくみ”の関係にある。具体的には「格闘→射撃→支援→格闘」という順に,より大きなダメージを与えられるのだ。これを利用すれば,敵のユニットが進軍してきても,相性の良いユニットを繰り出すことで有利に迎撃できる(うまく出撃させられればの話だが)。
以上をまとめると,本作のバトルでは,コストが溜まっているからといって,無闇に出撃させるのが常に最善とは限らない。「どのタイミングで」「どのユニットを出撃させるか」が重要になってくるわけだ。
デッキを設定しておけばオフラインでも「迎撃モード」で
自動的にプレイ
「メカニクスカード」は要するにモビルスーツのことだ。機体によってHPや攻撃力,防御力,移動能力などの違いがある。
そして,これに「パイロットカード」を組み合わせることで,モビルスーツに命中率の回避率,ターン速度などといった,主にユニットの運動性能に関係したステータス項目をアップできる。
最後の「カスタムカード」は,ユニットの長所を伸ばしたり,弱点を補ったり,出撃コストを減少させたりなど,さまざまな特殊効果を加えることが可能だ。
一つのユニットに,メカニクス/パイロット/カスタムカードの3種類を必ずしも設定する必要はない。メカニクスカードを配備していないユニットは,初期モビルスーツが割り当てられる。これは連邦なら「ジム」,ジオンなら「ザク」で,ご想像のとおり非常に弱い。強力なユニットが相手だと一撃でやられてしまい,場合によっては「出撃させる→倒される→また出撃させる→また倒される」のループに陥ってしまうこともある。
デッキタイプは“連邦/ジオン”のほか,“地上/宇宙/汎用”というジャンルで分かれている。所有しているカードなら,複数のデッキに同じものが登録可能だ |
パイロットカードやカスタムカードを付けると,コストが上がってしまうのが玉に瑕。中には出撃コストを下げるカスタムカードもある |
設定したデッキは,先ほど紹介した「出撃モード」のほかに「迎撃モード」でも使える。これは出撃モードとは逆の立場で,今度は自分のデッキがダウンロード“される側”だと考えれば分かりやすいだろう。デッキを「迎撃モード」にセットしておけば,あとは放置していても自動で戦闘に参加できるのだ。
迎撃モードの勝敗結果はゲームサイトのユーザー情報を通じて確認でき,直近5回分のバトル内容については,リプレイデータをダウンロードして観戦もできる。例えば,仕事などが忙しくて長いプレイ時間を捻出できないような人でも,迎撃モードであればオンラインで遊ぶ手ごたえが得られるというわけだ。
出撃モードと迎撃モードの結果は自動的に集計され,週間や月間といった単位でランキングが算出される。ランキングの上位入賞者は,特別なメカニクスカードなどを“褒章カード”“勲章カード”として獲得でき,またカード自体もバトル経験を積むことでレベルアップするシステムがある。戦闘を繰り返すことで,より強力なデッキを構築できるのである。
編成時は,「迎撃モード」を行わせるデッキを指定しておこう。後は自分が一切操作せずとも,勝手にバトルを行ってくれるのだ |
バトルの勝敗結果はランキング用として集計される。ランキングスコアが反映される「公式戦」は,1週間でプレイできる回数が決められている |
ガンダム世代&ライトゲーマー層向けの内容
3月19日のカード第2弾発売でバランスはどう変わる?
デッキをダウンロードして戦わせるという本作のシステムも,今のガンダムファンのニーズには結構合ってそうに思える。同じガンダム系タイトル「ガンダムネットワークオペレーション」シリーズがヒットしたように,短時間のプレイしかできなくても,オンラインゲームとしての臨場感を味わいたいというニーズは大きい。そのニーズに向けて,カードバトルの切り口から新たな遊び方を提示したところに本作の意義はある。
少々気になったのは,スターターキットを購入した段階では,連邦とジオンそれぞれで3体分のユニットしか揃えられないこと。一応,ガンダムやシャア専用ザクなどは含まれているものの,20体あるデッキの内17体がジムあるいはザクになってしまう。
現在のバランスでは,ジムやザクでは強力なユニット相手には歯が立たず,カードを多く持っている人ほど基本的に強いゲームになってしまっている。この点についてメーカーに問い合わせてみたところ,すでに問題として把握しており,まずは「第2弾」カードの発売によって大きく改善されるようだ。
●第2弾カード
この「第2弾」カード導入ならびにプログラムのアップデートは,3月19日に予定されている。具体的には「ジオング」「エルメス」をはじめとした有名MSのメカニクスカードが導入され,バトルバランスもメカニクスカードごとのユニットコスト差が縮まり,迎撃戦モードが3時間ごとに発生するようになるのだ。オンラインを利用したゲームなので,これからもプレイヤーの要望を汲み取っての早いレスポンスに期待したいところだ。
個人的には,キャラゲーとしての臨場感をもっと追求してほしいな,とは思っている。例えば本作の出撃モードで,BGMや各キャラクターの音声をガンダム本編から流用してくれれば,それだけでもかなり盛り上がるだろう。またグラフィックスも,解像度が800×600ドットしか選べないというのはさすがに少々物足りない。低マシンスペック用にFlashバージョンを選べるのは○だが,クライアント版に関しては今後に期待したいところだ。
本作の一番の魅力はなんといっても,シリーズを通してもダントツで人気が高い,一年戦争期のモビルスーツやパイロットなどが数多く登場することだ。ガンダムファンにとっては,それだけでも心が躍るというものだろう。体験版は無料なので,興味を持った人はとりあえずプレイしてみてはどうだろうか?
「ネットカードダス ガンダムクロニクルバトライン」公式サイト
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