レビュー
古代都市建設シムに拡張版が登場
インペリアム ローマ 〜エンペラー エクスパンション〜 拡張パック 日本語版
» 「インペリアム ローマ 〜エンペラー エクスパンション〜 拡張パック 日本語版」は,じっくりのんびり系の都市建設シムとして有名な「インペリアム ローマ 〜ローマ都市建国〜 日本語版」の拡張パック。新たなキャンペーンやシナリオ,そして「守護神」まで登場した拡張パックのデキを,古代ローマの総督をやらせたら4GamerナンバーワンのUHAUHA氏がレビューする。
古代都市建国シム,
「インペリアム ローマ」の追加パックが登場
古代ローマ帝国から派遣された総督となり,小さな貧しい村を大都市へ発展させていく都市建設シム「インペリアム ローマ 〜ローマ都市建国〜 日本語版」(以下,インペリアル ローマ)の拡張パック,「インペリアム ローマ 〜エンペラー エクスパンション〜 拡張パック 日本語版」(以下,エンペラー)がズーから10月24日に発売された。この拡張パックを導入することで,インペリアム ローマに新たなキャンペーン/シナリオと,「五柱の守護神」という要素が追加され,本編とは違う展開が楽しめるようになったのだ。
説明する必要もないと思うが念のため書いておくと,追加パックということから分かるとおり,本作をプレイするには本編であるインペリアム ローマが必要となる。すでにインペリアム ローマをプレイしている人は拡張パックのみを購入すればオッケー。また,これからローマ建国の道へ進もうと考えているならインペリアム ローマとエンペラー エクスパンションがセットになった,「インペリアム ローマ:ゴールドエディション 日本語版」が用意されているので,そちらを買うと若干お買い得である。
というわけで,さっそく追加パックの中身はどんな感じになっているのか見ていこう。とはいえ,ここではインペリアム ローマの詳しいことについては触れないので,基本的な部分や出来栄えについては,5月14日に掲載したレビュー記事をご覧になっていただきたい。よござんすね。
基本的なゲーム性に変わりはないので,インペリアム ローマをプレイした経験があれば,マニュアルレスでプレイ可能である |
制限時間内でプレイヤーが有利になるイベントも多く発生するが,それを効果的に生かせるのかは総督であるあなた次第だ |
ローマ帝国史に基づいて展開される
新たな16ミッションを収録
インペリアム ローマでは,場所や年代などが史実に基づいて再現された16のミッションに挑むという「史実モード」によって古代ローマの歴史を遊びながら体験できた。
今回のエンペラーでは「ブリタニアの征服」「ゲルマニアの荒野」「アフリカの植民地化」「カエサルの内戦」という四つのキャンペーンが追加される。それぞれのキャンペーンは四つのミッションで構成されており,オリジナルキャンペーンと合わせると合計32ミッションとなる。
ちなみに,オリジナルのミッションは「ローマ帝国の歴史」というキャンペーンにまとめられており,エンペラーを導入した場合でも以前のクリア状況は継続される。
追加されたミッションについては,キャンペーンとミッションがすべて最初から選択可能になっており,プレイしたいミッションに自由に挑戦できるのだ。とはいえ,史実の流れを考えれば上から順番にプレイしていくのがオススメだし,そのほうがローマの総督気分に浸れるだろう。
新しいミッションも,基本的にシナリオに沿ってイベントが発生したり,達成すべき目標が掲示され,一つクリアするごとに次の目標が提示されたりという仕組みであり,何度も繰り返してプレイすることで,次に発生するイベントや達成目標などが覚えられてしまうため,リプレイ時の難度がいくぶん下がるのはオリジナルと同様だ。クリアまでの制限時間が決められていたり,建てられる住宅の数に制限があったり,あるいは農業に適していないマップのために交易が必要だったりなど,いろいろな条件が決められており,その点はかなり面白い。
しかし,「ブリタニアの征服」におけるロンディニウム――ブリタニアの中心都市で,現在のロンドン――だけはほかのミッションとは異なっており,提示される目標はランダム。プレイするたびに異なる展開が待ち構えている。
例えばゲーム開始早々,何の得にもならないようなイベントばかりが繰り返されることもあれば,資金や資源の提供を受けたり簡単に達成できる目標が提示されたりすることもある。プレイするたびにミッションの流れや難度が変化し,臨機応変に対応していかなければならないのは面白く,筆者は猛烈に気に入ってしまった。ついつい何度も繰り返しプレイしてしまったほどだ。これ,他のミッションでもできるといいのになぁ。
また,難度設定が異なるマップで自由な都市開発を行える「シナリオモード」にも追加が一つあり,これは得られる資源が豊富で交易による利益が上げやすく,蛮族もいないためノンビリと都市開発に専念できる超低難度の「トロサ」というシナリオだ。実際のところ,インペリアム ローマをプレイしてきたプレイヤーにとっては簡単すぎる印象で,どちらかといえば初めてローマ帝国建国に挑戦するというプレイヤー向けといったところだろうか。
こんな感じなので,これまでインペリアム ローマをさんざんプレイしてきた人でも十分に楽しめる追加パックになっている。
ゲームの流れは今までと変わりないが,新たに用意されたミッションが新鮮だ。大都市の建設を目指そう |
各ミッションの目標やイベントのタブレットには歴史メモとして史実に関する事項や豆知識が載っている。タメになるなあ |
最初は25棟までしか建てられない「ブリタニアの征服」のアクア・イソリス。状況を見ながら無駄なく建物を建てていかなければ失敗する |
インペリアム ローマの旧ミッションは「ローマ帝国の歴史」として,拡張パックの新要素を使ってプレイできる |
ローマ神話にも登場する神々の力を借りられる新要素
今回のエンペラーでは,すべてのマップにおいてユピテル,マルス,メルクリウス,サトゥルヌス,そしてウルカヌスというの五柱の守護神から一つを選択でき,それぞれの守護神が持つパワーを都市開発に利用できるようになる。さらに神殿に資金(デナリウス)を捧げることで,守護神のパワーとは別の特性も利用できるようになるのだ。
捧げ物を捧げるのは4回まで可能で,最初は100デナリウスで済むが,500デナリウス,1000デナリウスと増え,最後は3000デナリウスが必要になる。資金集めに苦労するかもしれないが,捧げ物の回数が増えれば得られる特性も増強されるため,4回の捧げ物は必ずこなしておきたいところだ。
■守護神一覧&効果
神々の王 ユピテル
パワー:フォルムをアップグレードするごとに何人かの市民が幸福になる
捧げ物:捧げ物をするごとにサトゥルヌス,ウルカヌス,マルス,メルクリウスの順でそれぞれの守護神のパワーを使えるようになる
戦争の神 マルス
パワー:官舎および軍事施設の突貫工事コストが半分になる
捧げ物:捧げ物をするごとに弓兵と剣士(ハスタティ)が二人ずつ,騎兵(エクイタス)は一人ずつ部隊の最大人数が増えていく
使者の神 メルクリウス
パワー:奴隷がより速く資材を運ぶようになる
捧げ物:捧げ物をするごとに交易の品物を10%安く買え,10%高く売れるようになり,最終的に50%安く買え,50%高く売れるようになる。
農業の神 サトゥルヌス
パワー:食物を生産するすべての施設の建設と突貫工事のコストが半分になる
捧げ物:捧げ物をするごとに食物を生産する施設の生産率が20%ずつ増えていき,最終的に生産率が倍になる。
火の神 ウルカヌス
パワー:プラエフェクトゥス(官舎で働いている連中)が火事をより素早く消せる
捧げ物:捧げ物をするごとに木材,石材,煉瓦,大理石の順に生産量が倍になる。
以上のように,それぞれの守護神のパワーがかなり異なるため,プレイヤーの都市開発の方向性によって,どの守護神を使うのかがポイントとなる。選択した守護神の力で難しいミッションを有利な展開できるかもしれないのだ。インペリアム ローマの高難度ミッションに苦しんでいた人も,追加パックを導入して守護神の力を借りたら少しは楽になった,なんてことにもなりそうだ。
守護神を最初から選択できるミッションもあるが,大抵はフォルム(都市の中核となる広場)をレベル2へアップグレードする際に選択することになる。フォルムをアップグレードするには,マガリア(ランクの一番低い住宅)が10棟と,100デナリウスが必要になるが,ミッションのスタート直後にちゃっちゃと住宅を建ててアップグレードし,守護神を選んでしまうのがベストだ。
なお,インペリアム ローマのセーブデータでも守護神が利用できるため,手も足も出なくなって放置状態の都市でも,守護神パワーを借りて再挑戦できるかもしれない。ダメでもともとなので,ぜひお試しを。
ちなみに筆者がよく利用する守護神は「火の神 ウルカヌス」。インペリアム ローマをプレイした人はご存じのとおり,都市には火災が頻繁に発生する。官舎を多めに建てて対応していたのだが,守護神ウルカヌスのパワーで素早く消火作業ができるようになって大助かりだ。また資材は建物を建てるときだけでなく,維持していくためにも必要になるので,使用頻度の高い木材,石材,煉瓦,大理石の生産量が倍になるのは非常に嬉しい。
この守護神はプレイヤーの強い味方になってくれる有り難い存在なのだが,とはいえ,必ず一つの守護神を選択する必要があるところと,ゲーム開始早々から簡単に守護神の力を借りられてしまう点が少々物足りない。
このエンペラーでは,コンシューマ機にある「やり込み度」を示す“実績”に相当する“業績”が導入されており,一定条件を満たすとポイントが加算されていく。例えばこれを利用して,多くの業績を達成している場合は守護神が使えなくなったり,効果が薄れたりするなどの条件があればもっと良かったかもしれない。
ローマの都市を建国をしながら
古代に浸ってみてはいかが?
インペリアム ローマのレビューでも書いたが,筆者はノンビリじっくりプレイできる都市開発シムとしてインペリアム ローマを気に入っており,このエンペラーを導入することで新たなミッションにまた挑戦できるのは非常に嬉しい。また,難度の高いミッションでも守護神をうまく使うことで従来とは違う展開になり,遊び方に幅が広がったと言えるだろう。古代ローマという歴史的背景やミッションの内容に独特の世界観があるので,ローマの歴史に興味のある人はきっと楽しめるだろう。
都市開発シムにありがちな漠然とした達成目標ではなく,細かい目標やイベントを一つ達成するごとに次々に新たな目標やイベントが提示されていくゲームデザインであるため,思わず長い時間没頭してしまうこともしばしば。この独特の面白さはインペリアム ローマをプレイした人なら理解していただけると思うが,というわけで,本編のプレイヤーならこのエンペラーを導入する価値は十分にある。
ゲームシステムもシンプルで分かりやすく,いろいろなプレイ方法で楽しめるミッションがお腹いっぱいになるほど収録されている。守護神の登場でさらに遊びやすくなったと思うので,ローマの総督としてぜひ帝国の繁栄に精を出してほしい。
作り上げた都市の中で生活している市民達をたまにズームアップし,その生活ぶりを眺めてみるのも面白い |
貯水槽から内陸部へ水路を引かないと井戸や粘土坑が利用できない。建物があると水路は引けなくなるので,まずは水路の確保だ |
発展済みの都市に手を入れていくローマモードでも守護神の利用が可能。おかげでインペリアム ローマよりも簡単になったかも? |
いきなり軍勢に攻め込まれる「カエサルの内戦」のムンダ。蛮族や敵対国家との戦いをこなしつつ都市建国をしていく必要もあるのだ |
- 関連タイトル:
インペリアム ローマ 〜エンペラー エクスパンション〜 拡張パック 日本語版
- 関連タイトル:
インペリアム ローマ 〜ゴールドエディション〜 日本語版
- この記事のURL:
キーワード
Imperium Romanum Copyright (C) 2008 Kalypso Media GmbH. All rights reserved. Developed by Haemimont Games.Published by Kalypso Media GmbH. All other logos, copyrights and trademarks are property of their respective owners.
Imperium Romanum Copyright (C) 2008 Kalypso Media GmbH. All rights reserved. Developed by Haemimont Games.Published by Kalypso Media GmbH. All other logos, copyrights and trademarks are property of their respective owners.