インタビュー
「アルテイルネット」と「桃色大戦ぱいろん」,コラボのキッカケは飲み屋の席。ウェブマネー担当者も加えて3者の座談会を開いてみた
作家名は必須。ソーシャルカードゲームの需要に負けないイラストレーターとの友好な関係
しかし,どちらのゲームも設定とかしっかり考えられていますよね。ぱいろんなんて100キャラ以上いるのに。
4Gamer:
確かに,すべて同時に作るわけではないにしても,1キャラクターごとの設定を作るのは大変ですよね。
白川氏:
そうですね。ぱいろんは,麻雀ゲームだけではなく,ほかのゲームにもしていきたいという想いがありますから。せっかく作ったキャラ設定を活かしたいんです。
ONIGIRI氏:
それはアルテイルも同じなのかもしれませんね。新しいエキスパンションが出るたびに,カードが60枚程度追加されていくんですね。弾が進むごとにストーリーが加えられていって,そのシーンを描いてもらうんです。
あとこういう設定につなげたいので,イラスト内にその伏線を入れてほしいとお願いしてみたりと,イラストレーターさんには,いろいろと注文をつけて苦労させちゃっている面があると思います。
4Gamer:
ある程度注文があったほうが,逆にやりやすいというイラストレーターさんもいらっしゃいますよね。
ONIGIRI氏:
ええ,そういう方も,もちろんいらっしゃいます。その一方で,8年間ずっとそんな風にやり取りさせていただいたことで,信頼関係を築けていると自負している部分もあります。作業もわりとスムーズだと思いますし。
4Gamer:
イラストレーターさんというと,最近はカードをベースにしたソーシャルゲームがたくさん出ていて,そのイラストの制作で,すごく忙しいのではと感じるのですが。
ONIGIRI氏:
アルテイルでは,昔からイラストを担当していただいているイラストレーターさんに,別のイラストレーターさんを紹介していただけたりと,いい関係を結べていると思います。
4Gamer:
イラストレーターさんが紹介してくれた方だと,お仕事をお願いしやすいですね。
ONIGIRI氏:
そうですね。それに,新人イラストレーターさんでも,アルテイルを通じてご自身が有名になっていただけるといいなというか,それは僕らの目標の一つでもあるんです。そういう意味からも,なるべく作者名を併記するようにしています。
4Gamer:
以前,ぱいろんの4周年で白川さんにお話をお聞きしたときにも,同じようなお話が出ましたね。
ええ,いまONIGIRIさんの話をお聞きしていて,まったく同じ考え方でやっているんだなと思いました。
作家さんとのお付き合いでは,ぱいろんをきっかけにして別のお仕事を取ってください,ぱいろんをイラストレーターさんのプレゼンに使ってください的な姿勢でやっているところがあるんです。だからぱいろんでもアルテイルさんと同様に,作者名の記載は心がけています。
最近はTwitterでもぱいろんにご協力いただいた作家さんのコミケ情報をリツイートしたりしていますし,実際夏コミでも挨拶回りで40サークル以上回りました。
そんな感じで,ぱいろんでイラストを描くと特典(?)があります,みたいなものが,作家さん同士で広がってくれればいいなと思ってますね。
4Gamer:
ぱいろんで描いて,有名になったという方も?
白川氏:
もともと著名なイラストレーターさんにも参加してもらっていますが,商業で仕事をしたことがないという作家さんもいました。Pixivでアップされているイラストを見てお仕事をお願いした作家さんで,ぱいろんで仕事したことがきっかけで人気が出て,スケジュールがいっぱいになってしまったという方もいらっしゃいますよ。
4Gamer:
それはいい流れですね。
白川氏:
でもそういう方も,ぱいろんの仕事ならスケジュールを空けますよと言ってくださったりして,すごくありがたいですね。
土田氏:
ぱいろんでキャラクターを描くと仕事が増えるという,いいジンクスみたいになっていますよね。
白川氏:
ええ,それは本当によく言われるんですよ。
ONIGIRI氏:
(小声で土田氏に)アルテイルもそうだよねって振ってください。
土田氏:
そうなんですか?(笑)
ONIGIRI氏:
そうなんですよっ!
一同:(笑)
土田氏:
両作品のイラストは,ソーシャルゲームと違って掲載期間,使用時間が長いじゃないですか。そこでずっと作家名も掲載され続ける分,いろんな人の目に触れる機会というのが多いのかなと思いますね。
4Gamer:
トレーディングカードゲームなどでも,新バージョンのカードセットが出ると,前の版では勝てなくなってきたりするので,目にする機会は減少しますよね。
ONIGIRI氏:
アルテイルでは前の弾のカードもちゃんと使い続けられますから,カード総数は2000枚くらいになりますね。
4Gamer:
公式サイトの人気カードランキング表も,すごく長くなっていますよね(笑)。ところで,今回のコラボに際して,逆にひとりのイラストレーターさんを両作品のイラストに,という案はなかったのでしょうか?
ONIGIRI氏:
そういったことも面白いかもしれませんね。今回は飲み会の席から出た企画で,ある意味スピード実現を目指したところもありましたが,第2弾,第3弾と続けていきたいものなので,いずれはやるかもしれないですね。
白川氏:
定期的にやっていけたら面白そうですね。
4Gamer:
コラボをきっかけに,これから両方とも遊ぶという人が出てくるかもしれませんね。そもそも両作品ともずっと遊び続けなければ楽しめないというゲームではありませんから。
ONIGIRI氏:
まさにそのとおりだと思います。
白川氏:
そうなってくれたら嬉しいですね。
土田氏:
決済はウェブマネーでお願いします!
一同:(笑)
復帰者が多いのは楽しい思い出が得られるから。“顔の見える運営”を心がける両タイトル
4Gamer:
先ほど白川さんがお話ししていたように,どちらも息の長い作品ですが,その秘訣はどこにあるとお考えですか。
ぱいろんの麻雀にしても,アルテイルにしても,いったんゲームから遠ざかってしまっても,また戻ってきてプレイしてくれるお客さんがかなり多いんです。そこが両タイトルとも長く続いている秘訣の一つになっているんだと思います。
4Gamer:
テーブルゲーム系はそうだと思うんですが,この手のジャンルは,プレイヤーのモチベーションの明確なピークがなくて,一度飽きてもまた遊びたくなったりしますよね
白川氏:
それもあると思いますが,ぱいろんも,アルテイルも,人間対人間のオンラインゲームだからだと思うんですよ。
ONIGIRI氏:
そうですね。復帰しやすいゲーム性もそうですが,ほかにもプレイヤーに近い運営をしているというのはあるんじゃないですか。なんというか,こう,温かみがあるというか。……自分で言うのはどうなんだという気もしますけど(笑)。
土田氏:
でも両社さんとも,プレイヤーさんとの距離は近いと思いますよ。カジュアルゲームという特性もあるとは思いますが,このお二人を見ていても,プレイヤーさんとの距離が近いですよね。
ONIGIRI氏:
僕は名前のとおりゲームマスターとして活動していますし,白川さんもプレイヤーさんの動向などは詳しく把握していらっしゃいますからね。そういうところは両方の運営チームで,すごくよく似ているところなんじゃないでしょうか。
白川氏:
今回のコラボでいろいろお話をうかがったときも,お互いに本当に似ているなと感じたんですよ。
4Gamer:
ほかのカジュアル系のゲームでも,ゲームマスターさんがゲーム内に頻繁にログイン(出現)して,会話しているというのはあまり聞きませんよね。
白川氏:
(GM-ONIGIRI氏に)プレイヤーさんに結構驚かれませんか? 初めてプレイする人とかはとくにそうなんですが,「ゲームマスターさんがこんなにしゃべるのは初めてです」とかよく言われるんですよ。
ONIGIRI氏:
ああ,言われるかも。「よろしくですぞ〜」とか書き込むとその口調にもビックリされます(笑)。
チャットでも頻繁に発言していますし,プレイヤーさんと仲良くなることもありますね。オフラインイベントで司会をやったりもしますから,そうこうしていくうちに「ああ,こういう人が運営しているのか」というのがダイレクトに伝わるんですよ。
白川氏:
作り手の顔が見えないと,すべてが無機質に感じられてしまったり,ややもすれば拝金主義に見えてしまうんですよ。そういう見せ方,見え方にしないためにも,(作り手側の)顔を出していくというのは重要なことだと思うんです。親近感も湧くし,安心してもらえるんですよ。
ONIGIRI氏:
オンラインゲームの運営はお客さんと直接会う機会って本当に限られているじゃないですか。今日も遊んでくださっているお客さんがいる。なのに僕らは1日のうちに1度も,お客さんに向かってありがとうございますって言えない可能性がある。それを考えれば,ね。
白川氏:
うーん,たしかにそうですね。決済は結局システムが代行しているわけで,直接顔を合わせるわけじゃありませんから。
ONIGIRI氏:
ですから,ふとしたときにお客さんに向かってお礼を言うのを忘れないようにするために,弊社では朝礼のときに社員全員で必ず,「ありがとうございます!」と言っているんです。もちろん,オフラインイベントでもスタッフ全員が参加して,最後にはお客さん全員にお礼を言いながらお見送りをしようと決めています。日々の運営のなかで,なるべく僕ら全員が,“お客さんの顔”というものを忘れないように意識しているんです。
土田氏:
ある意味,ディズニーランドのキャストさんみたいに,来場したお客さんに楽しんでもらうように心がけ,再び来てもらう,そんな意識がすごく感じられますよね。だからいったん忙しくて離れたプレイヤーさんが復帰してくるんじゃないかなと。だって戻ってくるというのは,嫌な思い出がないってことですから。
4Gamer:
嫌な思い,辛い思いをしたゲームに,わざわざ戻ろうとはなかなか思いませんよね。
白川氏:
それにゲームマスターがゲーム内にいることで,「おかえりなさい」と直接言えるんですよね。久々に見た名前のプレイヤーに「おかえりなさい」と言うことで,「覚えていてくれたんですか」と驚かれることもあります。
土田氏:
それは嬉しいだろうね!
白川氏:
ちゃんと覚えていますよ,久しぶりですねと言ったりして,半年くらい遊んでいると,またふらっといなくなったりしますけど(笑)。でも割とそんな感じなんですよね。
ONIGIRI氏:
ええ,わかります。
白川氏:
オンラインゲームって,遊び場が荒れないように,プレイヤーのみなさんが協力して楽しめるようにコミュニケーションをしてくれるんです。例えば,みんなで話している場で,そういうことを言うのはやめようとか,みんなで公園で遊んでいるかのように,自分達が一定のルールやマナーを作って楽しんでくれているんですよ。
4Gamer:
アルテイルとぱいろんは,ゲームマスターが積極的にプレイヤーに触れ合うという特徴が共通しているんですね。
白川氏:
やっぱりゲームマスターというと,極端な例になるとアカウントをBAN(停止)しにくる怖い人みたいなイメージがありますよね。
4Gamer:
すべての人がそうではないと思いますが,確かに遠く感じる存在です。
白川氏:
そういうイメージを払拭したいんですよ。中身は普通の人間ですから。
ONIGIRI氏:
僕もゲームマスターとしてTwitterをやっているのですが,以前ちょっと入院した際に手術を受けることになったんですね。手術前でドキドキしますって書き込んだらプレイヤーさんが「頑張れー」と応援してくださって。
白川氏:
GMがプライベートを明かすのって勇気がいりますよね。でも,そういう話題でもちゃんと乗ってくれる人が多いんですよ。
ONIGIRI氏:
そうなんですよ。逆に「そんなことまでさらけ出してくれるなんて,ちょっと嬉しい」と言われたりして。
それを言ってたら,ぱいろんの公式Twitterはある意味ヒドいですよね。
4Gamer:
と言うと?
土田氏:
普通,公式Twitterっていうのは,ゲームに関する告知用のイメージがあると思うんですが,あれは完全に白川さんの個人アカウントじゃないですか(笑)。
白川氏:
いやいや,ぱいろんは本家の「桃色大戦ぱいろん+」のほかにもニコニコアプリなどがあって,お知らせすることがいっぱいあるんですよ。そういう情報をバッチリつぶやいているからそう見えるわけで。……でも,その合間でつぶやかないのは,なんだかもったいないじゃないですか。
土田氏:
もったいなくはないと思うよ(笑)。
白川氏:
たまにネタを仕込んで,リツイートを狙うんですが,最近はとうとうツイ廃というあだ名で呼ばれるようになってしまいました(笑)。それでも,リツイートされることで,今までぱいろんを知らなかった人にも,「桃色大戦ぱいろん」というタイトルが目にとまればいいなと思って,頑張ってつぶやいているんですよ。
土田氏:
ぱいろんの公式Twitterをフォローするとすごい勢いでリフォローされて,ぱいろんの話題をつぶやいちゃったりしたらあっという間にリツイートされちゃうんですよ(笑)。
4Gamer:
常にTwitterを監視……チェックしているわけですか。
白川氏:
オフィスの片方のモニターには常時Twitterが表示されていて,常にサーチで網が張っています(笑)。(GM-ONIGIRI氏に向かって)コラボ中もお互いのTwitterで絡みたいですね。
ONIGIRI氏:
いいですね。アルテイルでもゲームマスター全員がTwitterをやっていまして,アリーナに行くときはTwitterで「出陣します」とつぶやくようにしているんですよ。それをプレイヤーさんが見て,(ゲームマスターと)マッチングできるかもしれないと思ってアリーナに来てくれるわけです。
そういう点でもTwitterを有効活用できていると思います。でもいまのお話で,ぱいろんさんにも負けないように頑張らないとなと思いました(笑)。
土田氏:
いや,(ぱいろん公式Twitterに対抗するには)結構タイヘンですよ。白川さん,ちゃんと仕事してんのかなと思いますもん。
白川氏:
いや,仕事はしてますってば!(笑)
4Gamer:
それにしても,ここまでゲームマスターが露出しているのなら,例えばコラボ期間中にお互いのゲームに乗り込んでいったりとかは,どうですか。
白川氏:
それもありですね。うちのゲームマスター,送り込みますよ。
ONIGIRI氏:
あれ,白川さん本人じゃないんですか?
白川氏:
いや,実は僕,戦略性のない男なんで,カードゲーム系すごく弱いんですよ(苦笑)。
ONIGIRI氏:
えっ,でも麻雀は強いんですよね?
白川氏:
弱いですよ。スタッフ内にも意外と弱い人が多くて。先月「咲-Saki-」を読んで,麻雀覚えはじめた人もいるくらいです。
4Gamer:
目の前に,覚える動機となるものはあったと思うんですが(笑)
白川氏:
でも,そんな彼と麻雀を打っても僕は負けると思います。三半荘くらい対局して2回ハコったりしますからね。
土田氏:
プロデューサーが,かなり麻雀が弱いという衝撃の事実が。
ONIGIRI氏:
実は僕もアルテイルが弱いんですよ(笑)。周囲のスタッフはアルテイルの元チャンピオンだとかいった肩書きを持っているんですが,僕には何もなくて。逆に言うと初心者の気持ちが分かるゲームマスターなんですよ。
白川氏:
ね,ほら弱いことは,大事なことなんですよ!
アメリカ再進出のアルテイルとアリスの「ねんどろいど」化も決定したぱいろん。今後の展開はどうなる?
4Gamer:
では最後に,両タイトルの今後の展開について教えてください。
2012年11月に「アルテイルネット」が6周年,アルテイル全体で8周年を迎えますので,このタイミングで記念イベントを行います。
また,12月16日には「グランドチャンピオンシップ」が開催されます。今年は,オープンしたばかりの渋谷ヒカリエをお借りして行います。そこではまた,プレイヤーさんと直接お会いする機会をいただき,僕自身もDJ-ONIGIRIとして司会で盛り上げていきたいと思っています。
あと海外展開として,いったんサービスが休止していたアメリカでの展開が再び動き始めます。弊社の夢でもある世界大会に向けて,盛り上げていきたいと考えています。
白川氏:
ぱいろんは前回の4周年インタビューのときにもお話をさせていただきましたが,台湾,香港,シンガポール,マレーシアとアジア方面での展開を行っています。
国内展開としては,クリスマス,年末と例年どおりイベントを準備中です。今年もウェブマネーさんで決済を行うと抽選でもらえる恒例の卓上カレンダーを作りますのでお楽しみに。
それと,今年のクリスマスはこれまでで一番カードが多くなります。サンタ娘がたくさんいますので,土田さんもぜひ。
土田氏:
いいですね! ぜひ遊びに行かせてもらいます(笑)。
白川氏:
それと,ねんどろいどのアリスの制作が進行中です。最初に発表したときよりも,少しスケジュールが遅れそうなのですが,ちゃんと進行していますのでご安心ください。そして,新たな大物イラストレーターさんによる新キャラの交渉も進めていまして,来年春ごろにお届けできる予定です。
今後はメディアミックスにも力を入れていこうと思っています。割と派手めなニュースが多くなるかもしれませんので,要チェックでお願いします。
4Gamer:
では土田さんから,ウェブマネーに関するお知らせなどはありますか?
土田氏:
お知らせというほどでもないのですが,昨今,オンラインゲームによるお金の使いすぎ問題などいろいろありますよね。ですが,弊社は前払い方式ですから,お小遣いの範囲で使っていただけるようになっています。
そういった「簡単」「安心」「便利」といった特性を活かして,引き続きいろいろなサイトでウェブマネーを使えるようにしていきますし,利便性の向上など,各プレイヤーさんがより使いやすく,そしてゲームを遊ぶためにより安心な環境を提供していければと思っていますので,ぜひウェブマネーを使ってぱいろんとアルテイルを楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「アルテイルネット」公式サイト
「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」公式サイト
「ウェブマネー」公式サイト
- 関連タイトル:
アルテイル2 〜銀陽帝大戦
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アルテイル 〜神々の世界『ラヴァート』年代記
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アルテイルネット
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桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)
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