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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第41回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(6)」
今回もまた,映画「007」関連のゲームを取り上げていこう。
そして007の映画を一本作れるのではないか? というぐらいの勢いと予算で作り上げたのが,EA版007の最高傑作「007: Everything or Nothing」である。
2003年冬に先陣を切って発売されたのは,Game Boy Advance版。開発を担当したのは,携帯ゲーム機専門のシネマゲーム系デベロッパである,Griptonite Gamesだ。
同社は,EAの「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのGame Boy Advance版,Disney Interactiveの「ナルニア国物語」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのPSP版およびNintendo DS版などの開発実績を持っている。
なぜGBA版だけが先行発売されたのかは不明だが,当時の市場を考えると,バックライトを搭載すると同時にコンパクトに生まれ変わったGBA SPのセールスが好調であったことから,なんとしてでもクリスマス商戦に間に合わせようという判断だったのかもしれない。
「007: Nightfire」に引き続き,5代目ジェームズ・ボンド役ピアース・ブロスナン氏の肖像権を使用。さらに,ピアース・ブロスナン氏にボイスアクトも初挑戦させていた。
ブロスナン氏以外のキャスティングも豪華だ。映画版のレギュラーキャストであるM役のジュディ・デンチ氏とQ役のジョン・クリーズ氏が出演。
さらにQのアシスタントのミス・ナガイ役に,日本代表のボンドガールとして伊東美咲さんも登場しているほか,歌手であり女優でもあるMya(マイア)氏,最近は海外テレビドラマを中心に活躍中のシャノン・エリザベス氏,ドイツ出身のスーパーモデル,ハイディ・クルム氏らも華を添えている。
悪役陣も凄い。“ジョーズ”役としてリチャード・キール氏が初めてゲームに参加し,若かりし日の凶悪なジョーズが,ゲームの中で描かれているのだ。ゲームの中とはいえ,ブロスナン版ボンドとジョーズが戦うなんて,まさにドリームバトル!
ほかにも,どこからどう見ても善人には見えないウィレム・デフォー氏(ノーマン・オズボーンa.k.a.グリーンゴブリンとして,スパイダーマンを窮地に追い込んだことで有名)が,本作における悪の根源,ニコライ・ディアボロ役を演じている。
脚本を担当したのは,映画「ゴールデンアイ」「トゥモロー・ネバー・ダイ」「ワールド・ノット・イナフ」のブルース・フィアスティン氏。そして音楽は,ショーン・キャナリー氏が手がけている。
余談だが,ショーン・キャナリー氏はテレビドラマ「24」のコンポーザーとして,あの耳に残るデジタル時報の音を含めたサウンド関係全般をシーズン1からずっと手がけているほか,ゲーム版「24 The Game」の音楽も担当(このゲーム,日本語吹き替えまで作成されていたにもかかわらず,国内盤はお蔵入りになってしまっている……)。ちなみにキャナリー氏は,1996年にSimon & Schusterから発売されたアドベンチャーゲーム「Star Trek; Klingon」でもサウンドエフェクトを担当している。
とまあ,このように映画を一本作れても不思議ではないほど,出演陣も脇を固めるスタッフ陣も,ひたすら豪華仕様となっていたのが,Everything or Nothingだったというわけだ。
こうしたことから,EAが当時,シネマゲームというジャンルを定着させようと相当な意気込みを持っていた様子がうかがえる。
ゲーム自体は三人称視点のアクションゲームで,FPSとは異なり,いかにもボンドらしいムーブを堪能できる。ところどころ,とってつけたようなストーリー展開も見られるが,個人的には007ゲームのベスト3に選びたい作品だ(あとの二つは「慰めの報酬」と「ゴールデンアイ」)。
本作は,MI6から解雇され,悪のエージェントとなった主人公が,ドクター・ノオ率いる敵対組織と戦うFPS。設定からして,従来の007シリーズとは異なる雰囲気を持っている。
クライアントを始末したりと,悪に徹することのできる作品だが,何となく作り込みが中途半端。殴った敵を,銃撃戦時の盾にできるあたりは最高なんだが,戦車すら簡単に倒せてしまうほど強い主人公というのが,設定的に微妙。そのくせ最終ステージはやたらと難度が高いため,実は筆者はクリアできていない。
最大4人でのマルチプレイも用意されているが,武器を二丁装備すればゴリ押しで攻撃できてしまう仕様のため,バランス的にも微妙な感じ。
M役としてジュディ・デンチ氏が出演しているほか,映画「黄金銃を持つ男」に登場した殺し屋,フランシスコ・スカラマンガを,映画同様クリストファー・リー氏が演じているあたりはマニアにとってたまらないところ。逆にいうと,たまらないのはこのあたりだけだ。
なお,本作のNintendo DS版の開発は,主にスポーツゲームを開発しているEA Tiburonが担当(なぜ?)。ほかのプラットフォーム版の開発は,Savage EntertainmentとDreamworks Games(現Electronic Arts Los Angeles)が共同で行っている。Savage Entertainmentは,PSP用シネマゲーム開発を多く手がけているのだが,実はXbox版「Agent Under Fire」と,GameCube,PlayStation 2,Xbox版「Nightfire」の開発にも関わっているなど,007ゲームとの縁は決して浅いものではない。
そんなところで今週はここまで。と思ったら,「ロシアより愛をこめて」にたどり着けてない! ……これについては,また次回に取り上げます。
■ドブ漬けゲームスープレックス(41)
PLAYSTATION 3,Xbox 360
「RACE DRIVER GRID」(コードマスターズ)
1980年代からスポーツやレースなどの各種シミュレーター系ゲームを数多くリリースしてきたイギリスのゲームパブリッシャ,Codemasters。同社が日本法人を設立したのは,2008年7月のこと。そして,その日本法人の初リリース作が「RACE DRIVER GRID」である。
本作では,シミュレーター的な要素がほとんど排除されており,カジュアルにレースそのものを楽しめる仕様になっているため,軽い気分で楽しめた。
車に対してリアルな挙動を求める人も多いと思うが,そういったシミュレータ寄りの作品より,レースそのものを楽しめるタイプのもののほうが,中年になってしまった筆者にはありがたいのかもしれない。
コックピット画面でプレイしていると,壁やライバルカーにぶつかる都度,フロントガラスや運転席脇のガラスにひびが入って視野が遮られ,運転しづらくなる。つまり,ノークラッシュ&ノーヒッティングで運転するのがベストというわけだ。
しかも,一度のクラッシュで走行不能になってしまうこともあり,このあたりの緊張感は気に入っている。
個人的に好きなコースは日本のステージで,埠頭を無理矢理コースにしちゃったところ。眠っていたはずの走り屋魂が揺さぶられるのだ。
「RACE DRIVER GRID」公式サイト
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(c) 2007 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"(R) is a registered trademark owned by Codemasters. "Race Driver GRID"TM and the Codemasters logo are trademarks of Codemasters. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are being used under license. This game is NOT licensed by or associated with the FIA or any related ompany. Developed and published by Codemasters.
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