連載
ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第16回「『ダークナイト』が全米大ヒット中! BATMANゲーム大解剖 その(5)」
「BATMAN」のゲームを紹介し始めて,今回で5回め。それでもまだネタは尽きないので,もうしばらくお付き合いいただきたい。
ゲームの内容は,前回紹介した「バットマン・フォーエヴァー」のグラフィックスを強化しただけ……というわけでは,もちろんない。
バットマン・フォーエヴァーはスーパーファミコン版とメガドライブ版の内容に若干の違いがあったが,ジ・アーケード・ゲームは3機種とも同内容。「ダブルドラゴン」や「ファイナルファイト」のような,横スクロールタイプのアクションゲームになっており,キャラクターの動きは16bit機版より軽快で,テンポ良く進められるようになっていた。このあたりは,後発タイトルならではの改良が加えられたということだろう。「モータル・コンバット」的なデジタイズキャラは変わらないが。
なお,プレイヤーは最初にバットマンとロビンのいずれかを選択してゲームを始めることになるが,ロビンのコスチュームは16bit版同様に原作コミックスをモチーフとしたカッコ悪いもの。選択画面では映画版を踏襲したデザインになっているのだから,ゲーム開始と同時にわざわざダサイ衣装に着替えているのだろうかロビンは。
舞台となるゴッサムシティのグラフィックスは,映画版の雰囲気をうまく再現しており,このあたりにAcclaimの職人気質を感じられるのは好印象である。
ゲーム自体は決して難しくないが,主役のバットマンよりロビンのほうが攻略はしやすい。ジャンプキックと,「ダブルドラゴン」では最強の技だった背後の敵へのひじ鉄攻撃をメインに進めれば,さほど苦労なく後半まではたどり着けるはず。ただ,武器を手にすると途端に操作性が悪くなるのは,ちょっと気になる部分ではある。
武器といえば,個人的には「バットコール」が気に入っている。これを使うとコウモリが大量に発生し,画面内の敵を攻撃してくれるのだ。さらにプレイヤーキャラクターのパワーゲージが高い状態でこのアイテムを使うと,コウモリが画面内の敵をどこかへ連れて行ってしまう。コウモリが「血ぃ吸うたろか?」と敵を拉致しているんだろうと妄想するだけでなんだか楽しい。のだが,クライマックス付近では,味方だと思っていたコウモリさんがボスキャラの巨大コウモリとなってプレイヤーを待ち構えているのである。
しかも,この巨大コウモリときたら厄介なことに妙に強い。個人的には,このゲームで最も苦戦したのがこのコウモリで,こいつを倒してからは,サクサクとエンディングまでたどり着けた。
さて,お次は1997年夏に公開された,「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」のゲームに触れていこう。
映画では,バットマンことブルース・ウェイン役が前作のヴァル・キルマーから,ジョージ・クルーニーにスイッチ。なんでもヴァル・キルマーは前作の撮影時に素行が悪かったり,ワガママな態度をとったりと,スタッフやWarner Bros.の幹部クラスを困らせたというのが,その理由という噂だ。
ジョージ・クルーニーは,米国のテレビ業界でNBCの黄金期を築き上げた作品「ER緊急救命室」のダグラス・ロス役で頭角を現した俳優。クエンティン・タランティーノに見いだされ,「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でメインステージを映画に移した。そんなジョージ・クルーニーに,ERを制作していたという縁もあってWaner Bros.側が,新たなバットマンとして白羽の矢を立てたのである。
だが,ジョージ・クルーニーはのちに,「もともと映画業界で活動したいと思っていたので,テレビの世界からステージを移したかった。そのチャンスをクエンティンとWaner Bros.は与えてくれたのだが,バットマン役だけは人生の汚点になってしまった。映画評論家の父親をはじめ,メディアからも作品に対してさんざんなことを言われ,自分にコミックヒーローは似合わないんだと実感できた」と語っている。
実際,全米公開時の反響は芳しいものではなく,それもあってか日本公開時には,フリーズ役のアーノルド・シュワルツェネッガーが緊急来日し,プロモーションキャンペーンを行っていたのだが……日本の興行成績もパッとしないものに終わった。あのときのシュワルツェネッガーはやたらと不機嫌な表情を見せていたのだが,本国での興行成績が振るわなかったからなのかもしれない。
Acclaimが発売したのは,PlayStation版のみだったのだが,これには訳がある。携帯ゲーム機用のライセンスをTiger Electronicsが取得しており,新型ハードgame.com(ゲームコム)のローンチタイトルとして,「Batman & Robin」を1997年9月にリリースしたのだ。
これに慌てたAcclaimは,SEGA Saturn版の開発を中止し,PlayStation版のみに注力。しかし,Probeが持つポリゴン技術が発展途上だったこともあり,出来上がったもののテクスチャーマッピングはお世辞にも褒められたものではなかった。この画質の低さが,ゲーム内の状況を判別しにくくしており,難度を必要以上に高めていたようにも思う。
さらに個人的には,映画オリジナルキャラのアリシア・シルヴァーストーン演じるバットガールが,プレイヤーキャラクターとして盛り込まれていなかった点も残念だった。
こんな具合に内容がイマイチだったことに加え,映画公開から1年後の発売とあって販売店からの受注も少なかったため,販売本数も不振に終わっている。パッケージには,バットマンのマスクを付けたジョージ・クルーニーの顔が大写しになっているにもかかわらず,こういった結果に終わったため,ジョージ・クルーニー本人もショックを受けていたとか。
ちなみに,ジョージ・クルーニーが出演した作品ではERもフロム・ダスク・ティル・ドーンもPCゲーム化されている。しかしERのゲームにはダグラス・ロスが出てこないし,フロム・ダスク・ティル・ドーンのゲームにはジョージ・クルーニーがゲーム用に肖像権を与えなかったため別人の顔が……。
そんなこんなで,今回はここまで。次回でBATMANゲームの特集は最終回となります。
ドブ漬けゲームスープレックス(16)
ゲームボーイアドバンス
「ファミコンミニ ゼビウス」(ナムコ)
先日,映画「バイオハザード ディジェネレーション」の舞台挨拶巡業ツアーで大阪に行ったのだが,ついでに北新地にあるファミコンバー「BERO BERO BAR」を覗いてきた。
店内を見回すと,懐かしのテーブル筐体に「ゼビウス」が! しかもフリープレイ! 20数年前,ベーマガの付録や田尻 智氏が発行していた同人誌「ゲームフリーク」のゼビウス攻略記事を参考にして,何時間もかけてカウンターストップをたたき出した記憶が蘇った。
が,蘇ったのは記憶だけ。腕前のほうはジェミニ誘導すらできないほどに落ちてしまい,16面すらクリアできず,スコアはたったの15万点。ソルの位置など,すべてさっぱり忘れてしまっていた。
これがあまりにも悔しくて,購入したものの未プレイだった「ファミコンミニ ゼビウス」を遊び始めた。もっぱら移動時間にゲームボーイアドバンスSPでプレイしているのだが,10万点ぐらいでゲームオーバーになってしまう。腕前が落ちたってだけじゃなく,あの小さな画面でシューティングゲームを遊ぶには,視力的にもきつい年頃なのかもしれない……。
「ファミコンミニ ゼビウス」公式サイト
|
BATMAN AND ALL RELATED ELEMENTS ARE THE PROPERTY OF DC COMICS TM & (C) ALL RIGHTS RESERVED.
(C)Acclaim Studios Cheltenham
(C)Acclaim Entertainment
(C)Acclaim Studios London
(C)Probe Entertainment
(C)1982 1984 NAMCO LTD.
(C)2004 Nintendo
- この記事のURL: