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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第13回「『ダークナイト』が全米大ヒット中! BATMANゲーム大解剖 その(2)」
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印刷2008/09/25 22:35

連載

ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第13回「『ダークナイト』が全米大ヒット中! BATMANゲーム大解剖 その(2)」


これらがOceanが開発/発売していたシネゲーの数々。すべて英語のタイトルだが,映画ファンならばどれがどの映画かスグ分かるはず!
画像集#001のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第13回「『ダークナイト』が全米大ヒット中! BATMANゲーム大解剖 その(2)」
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 さて前回バットマンゲームの中でも漫画版権をもとにしたコミックゲーム(コミゲー)を,シネマゲームを取り扱うこの連載で真っ先に取り上げた理由を説明しよう。そのためには発売元のOcean Softwareについて説明しなくてはならない。
 1990年代のイギリスでは最大手のデベロッパで,マンチェスターに本社を置いていたOceanは,1998年にInfogramesに買収された。そのInfogramesは,2001年にHasbro Interactiveを買収。2003年に,Hasbro Interactive傘下だったATARIに,ゲーム開発/販売部門を移している。つまりイギリスのOceanが,流れ流れて現在はニューヨークのATARIにたどり着いているというわけである。このあたりの詳細は,奥谷海人氏の連載に詳しいので,併せて参照してほしい。


筆者がOceanというゲームメーカーを知ったきっかけは,1985年に発売された「Frankie goes to Hollywood」というゲーム。強烈無比な歌詞とパフォーマンスで,人気を集めていたイギリスの同名バンドが繰り広げる,ミニゲームの詰まった内容……だった記憶がある。バカバカしいゲームばかりだったということは,裏を返すと本国イギリスでも彼らの素顔はこんなだったのかもしれない。ゲーム自体は国民性の違いからかまったく面白くない,というか日本の15歳の少年が感情移入できるようなものではなかった
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 そんなOceanは,1985年に「The Neverending Story」の映画版権を取得し,Commodore 64やAmstrad CPC向けにゲームを発売したところ,予想を上回るヒットを叩き出した。これをきっかけに,同社はその後も映画版権を中心に,テレビドラマやプロレス団体WWE(当時はWWF)などのライセンスを手広く取得してはゲームをリリース。同時に,タイトーやセガのアーケードゲームをPCやコンシューマゲーム機へ移植するなど,ディストリビューターとしても大活躍していた。
 そして,Oceanが前回紹介したコミゲー版「BATMAN」のライセンスをDC Comicsから取得するときには,「ワーナーが巨額の制作費を投じて1989年に実写映画を公開する計画を進めているから,コミック版だけでなく映画版のゲーム化権も一緒に取得しないか?」と持ちかけられたという。実写映画の話は,その時点でかなりの機密情報だったらしく,NDA(秘密保持契約)まで取り交わしたそうだ。
 結果的にOceanは,漫画版を題材にした「BATMAN」と「BATMAN: The Caped Crusader」の2作に加え,ティム・バートン監督による実写映画版のゲーム化権を取得したのである。ちなみにBATMAN: The Caped Crusaderには,ジョーカーのみならずペンギンまでもが登場し,バットマンを窮地に追い込むという内容。ひょっとしたら,映画版の続編が作られることを予想していたのかもしれない。

筆者がOceanのシネゲーで最初に触れたのは,1985年発売のCommodore 64版「The Neverending Story」。映画が大好きだったので期待して遊んでみると……すべて英語(当たり前か)のアドベンチャーゲーム。英文字入力で人生の厳しさを味わったものだ。ファルコンにまたがって敵を蹴散らすようなアクションを,勝手に期待していたんだが
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1980年代アメリカンバブルを象徴するかのようなゴージャス感満載の刑事ドラマ「特捜刑事 マイアミバイス」も,1986年にCommodore 64などでゲーム化されていた。ドン・ジョンソンとフィリップ・マイケル・トーマスという二人の刑事が,アンダーカバーコップとなって活躍する話なのだが,ゲームはサイドビューのアクションとトップビューの「Rally X」みたいなチェイス。初期のOceanソフトの中では,当時,個人的にイチオシしていた。いま遊んでみると,動きのモタツキなどがしんどい
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これがOceanのバットマンゲーム第二弾「BATMAN THE CAPED CRUSADER」。敵キャラのペンギンがこざかしい! バットマンが腰の入った上段回し蹴りを繰り出すあたり,格闘アクション臭が漂っていて良し!
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 ここまでの説明でピンと来た方もいるだろう。そう,Oceanがコミゲー版BATMANをリリースした背景には,その後に実写映画が公開されてヒットするであろう。そしてそれを題材にしたゲームもまたヒットするはずだ……という狙い澄ましたメディアミックス展開が進行していたのである。その目論見どおり,Oceanにとって3本めのBATMANが,同社がリリースしたシネゲーラインナップの中でも群を抜いた売り上げを記録している。

 なお,当時のOceanでライセンス獲得業務を担当していたJon Woods氏は,ライセンス契約締結後に実写映画の監督をティム・バートン氏が務めることが決まったとき,「ディズニースタジオ出身とはいえ無名の監督に,多額の予算を与えたところで超大作など撮れるものなのだろうか?」と,Warner Brosの姿勢に疑念を抱いたという。
 当時のティム・バートン監督は,1985年に全米でスマッシュヒットした「ピーウィーの大冒険」,1988年に低予算にもかかわらず大ヒットした「ビートルジュース」しか長編作品の経験がなかったのである。この2作のヒットをきっかけに,Wanerは彼を「BATMAN」の監督に抜擢したのだが,多額のライセンス料をすでに支払っていたOceanにしてみれば不安になるのも無理はない。だが,結果を見ればそれは杞憂に終わったわけである。


アクションゲームとして完成度の高かった「ダイナマイト・バットマン」。GENESIS版を見てもらえば分かると思うが,グラフィックスが細かく描き込まれていて綺麗だった。ファミコン版もサンソフトらしい良質なアクションだったが,ゲームボーイ版は特筆すべきポイントはなし
画像集#007のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第13回「『ダークナイト』が全米大ヒット中! BATMANゲーム大解剖 その(2)」
 ちなみにOceanが実写映画版BATMANのライセンスを持っていたのは,Amiga,Amstrad CPC,Atari ST,Commodore 64,DOS,MSX,ZX Spectrum,Apple IIの8機種のみ。ゲームボーイ,ファミリーコンピュータ(NES),メガドライブ(GENESIS),PCエンジン(TurboGrafx 16)といったコンシューマゲーム機全般のワールドワイドライセンスは,サンソフトが取得していた。そのため,Oceanとサンソフトがそれぞれリリースした,BATMANは,同じ実写映画を題材にしたものながら,異なる内容になっている。
 さらにサンソフトは,その続編「BATMAN: Return of the Joker」もリリースしている。ストーリー的には映画版の続きという位置づけだが,グラフィックスはコミック版がモチーフになった作品だ。日本では,「ダイナマイト・バットマン」という「ダイナマイト刑事」もびっくりな邦題で,ファミコン向けに発売されていた。大晦日というわけではない。


 そんなところで今回はここまで。次回は「バットマン・リターンズ」「バットマン・フォーエヴァー」「バットマン&ロビン」までの,バットマン(ブルース・ウェイン)役の演者が頻繁に変わっていた時代のゲームを検証していこう。

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OceanのAmiga版「BATMAN」はAmigaらしい色使いが良いほか,バットモービルでのチェイスシーンが3D仕様になっていたりと,映画を疑似体験しているようで楽しめた
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Commodore 64版の「BATMAN」は,ファミコン版「グーニーズ」っぽいテイスト+ファミコン版「熱血硬派くにおくん」に出てきた横スクロールのバイクステージっぽいバットモービルのアクションが印象的だった
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PCエンジンで発売されたサンソフトの「バットマン」。迷路クリア型のパズルアクションだったので「なぜにバットマンのキャラクターなんだろう?」と購入した当時は不思議に思ったもの。だってバットマンじゃなくても成り立つゲーム内容なんだもん!
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メガドライブで発売されたサンソフトの「バットマン」は,グラフィックスの綺麗さのみならず,ティム・バートン監督の世界観を踏襲したキャラクターも登場するなど,映画的演出も加わっていた。映画ファンなら感情移入度が高かったはず
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ゲームボーイ版の「バットマン」はシネマティックなカットインが入ったりと,けっこう頑張っていた
サンソフトの「バットマン」ゲーム第一弾がこのファミコン版。「忍者龍剣伝」チックな小気味良いアクションが,プレイヤーを刺激する。ただ,問題だったのがパッケージの裏。「ビッキーを助け出し」と記載されていたのだ。しかしクリアしてもキム・ベイシンガーが見つからない。どこかの隠し部屋にでもいるとか思い,何度もクリアしてみたが,結局見つからずじまい。サンソフトに電話をかけて聞いてみたら,パッケージに書かれた内容どおりの仕様ではないとの説明が。ムカついたのは言うまでもない
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ドブ漬けゲームスープレックス(13)

ゲームボーイアドバンス
「ドクターマリオ&パネルでポン」(任天堂)

 海外出張時,ゲームボーイアドバンスと一緒に必ず携えていくゲームソフトが,「ドクターマリオ&パネルでポン」。先日の韓国出張でも,往復の飛行機内で延々プレイしていたし,宿泊先のホテルでも空き時間があれば黙々とプレイ。
 あ,ちなみに遊んでいるのは「ドクターマリオ」のみ。「パネルでポン」はへたくそなので……。なんでも一部では,これに収録されているパネポンの評判は芳しくないとか。でも,二つのパズルゲームが収録されていて,定価が2000円。つまり1本1000円と考えたら,そんなにバッシングすることもないんじゃないかなぁ……。

 そうそう,筆者は常に対人戦で遊びたいと思っているので,通信対戦用も含めてソフトを2本持ち歩いているし,通信ケーブルだって用意している。でも……,いまとなってはゲームボーイアドバンスを持っている人が少なすぎる。ニンテンドーDSは通信ケーブル使えないしなぁ……。

 それはそれとして,このソフトが発売されたのは2005年9月のこと。発売直後に購入してから,もう3年もの間,このゲームで遊び続けている。もし無人島でしばらく暮らさなければならないとしたら,絶対にこのソフトを持って行こうと思っているんだけど,やっぱり無人島には行きたくないなぁ。

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「ドクターマリオ&パネルでポン」公式サイト



■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
現在,10月18日(土)から新宿ピカデリーほかにて2週間限定公開される,フルCG長編映画「バイオハザード ディジェネレーション」の劇場用パンフレットを作成中という吉田氏。全体の8割強を一人で書いているというあたりからも,力の入れ具合がうかがえます。ちなみに吉田氏,バイオハザードシリーズは全作プレイしていて,とくに「4」がお気に入りらしいですが,game.comの「Resident Evil 2」だけは途中で投げ出してしまったそう。本当に投げ出したので,ソフトが壊れてしまったとか。っていうか,game.comを知ってる人って,どれぐらいいるんだろう……。



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