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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第5回「パート3公開記念『スターシップ・トゥルーパーズ3』の監督&主役に突撃!」<前編>
「スターシップ・トゥルーパーズ」は,ロバート・A・ハインラインのSF小説「宇宙の戦士」を映画化した作品で,1997年に第一作が公開された(日本での公開は1998年)。そしてこのシリーズの第3作,「スターシップ・トゥルーパーズ3」が,本日(7月19日)より全国で劇場公開される。
このパート3では,キャスパー・ヴァン・ディーン氏がパート1で演じたジョニー・リコが復活。さらに,ポール・ヴァーホーヴェン御大が「ロボコップ」を引っさげてアメリカに初進出したときから,共に仕事を続けてきた脚本家のエドワード・ニューマイヤー氏が,初メガホンを取っている。ジョニー・リコの出てこないパート2にガッカリさせられた者にとって,なかなか嬉しい布陣ではないだろうか。
というわけで先日,映画のキャンペーンで来日したお二人にインタビューをしてきた。今回は前編として,映画の話を中心にお届けする。
キャスパー・ヴァン・ディーン氏が,映画最大の功労者
ジャンクハンター吉田(以下,J):
「スターシップ・トゥルーパーズ」は,本国アメリカよりも日本のほうが熱狂的なファンが多いんですよね。それもあってか,アメリカではDVDのリリースのみのところ,日本では劇場公開されることになり,大きなスクリーンで楽しめることを,とてもうれしく思ってます!
で,いきなりですが,ジョニー・リコ大佐を復活させた理由を教えてください。
エドワード・ニューマイヤー氏(以下,エドワード氏):
パート2は,パート1の特技監督だったフィル・ティペットの初監督作品だったんですが,彼には彼なりの考え方や世界観があって,ジョニー・リコを登場させなかったようですね。フィルとしては,パート1の世界観を壊さずに踏襲しながらも,まだ知られてない新しい登場人物を主軸に映画を作る……という演出を考えていたみたいです。
J:
なるほど。あくまでも監督の意向ということだったんですね。
エドワード氏:
ええ。しかし私は,フィルの考え方とは正反対で,昔の仲間を再登場させたうえで「スターシップ・トゥルーパーズ」をシリーズとして確立しなければならないと思っていました。主役が不在では,それが無理ですからね。そのため,私が監督するとなった時点で,キャスパーの起用は絶対に必要なことだったんです。
J:
パート1と3を総括すると,ジョニー・リコが成長していくクロニクルになっていますよね。
キャスパー・ヴァン・ディーン氏(以下,キャスパー氏):
確かにそうですね。このシリーズはジョニー・リコを主軸にした作品だと思っているので,戻って来られたことが自分としても大変嬉しかったんですよ。エド監督とはパート1からの付き合いで,仲も良いし非常に近い関係ですしね。それに何より,パート3にはユーモアのセンスが復活していました。自分としてもそういう内容を望んでいたので,とても楽しめたんですよ。
エドワード氏:
私はずっと,ジョニー・リコをいつか復活させたいと思っていたので,ソニー・ピクチャーズの方から「パート3を作らないか?」という話をもらったときに,そのオファーにスグ飛びついたんです(笑)。
J:
まさに渡りに船ってやつですね。
エドワード氏:
実はキャスパー自身も,このパート3にとても尽力してくれたんです。脚本の最終稿にはならなかったものの,差し込んでみたいアイデアが盛り込まれた五つの脚本がありました。そんなボツ脚本を全部,初監督の私をサポートするべく,キャスパーが南アフリカのロケに持ってきてくれました。
キャスパー氏:
「あっちの脚本にあった,このセリフが良かったから僕の次のセリフに使おうよ」って言ったりしたんです。
エドワード氏:
ほかのキャストのセリフもすべて彼の頭の中には入っていたんですよ。だからさまざまなシーンで,ボツにした脚本から抜粋したセリフを,撮影現場でアイデアとして出してくれたりもしました。キャスパーがいかに「スターシップ・トゥルーパーズ」を愛しているかがよく分かるエピソードでしょう?
J:
名実共にパート3の功労者なんですね。僕としてもキャスパーさん=ジョニー・リコというイメージを持っていたので,今回の復活起用はファンとして嬉しかったです。ありがとうございます!
エドワード氏:
こちらこそありがとう(笑)。
監督によるキャストコントロールのポイントは……?
ところで今回,大爆笑してしまったのが,7人の生え抜きトゥルーパー全員が全裸で登場するシーンでした。あそこに,ポール・ヴァーホーヴェン・イズムを感じたんです。以前,ヴァーホーヴェン監督から,映画の中で全裸シーンを演出するときは,自分自身も全裸になると聞いたことがあるんですが,エドワード監督はどうだったんでしょう?
キャスパー氏:
エドワード監督の全裸姿はみっともないので,現場で脱ぐことはスタッフ達から禁止されてましたよ(笑)。
エドワード氏:
キャスパー達が脱ぐのなら,私も脱がなきゃいけないのかな……って雰囲気だったんですけど(笑)。ヴァーホーヴェン監督のように撮影現場で脱ぎまくろうとしたら,たるんだ肉体を見せるわけにはいかなくなるんで,3週間ぐらいは毎日,毎食,寿司のようなヘルシーな食事を続けなきゃいけなくなるでしょうね。
キャスパー氏:
スシ! スシ! スシ! スシが食いたい! スシ最高! スシ大好き!
J:
えーと,キャスパーさんは相当な寿司好きのようですね……。
そういえば,パート3にはパート1のオマージュが多く含まれていて,ジョニー・リコがまたもや女性と三角関係になったりするエピソードがありました。このあたりは,監督とキャスパーさんとでセッションしながら作ったんですか?
キャスパー氏:
パート1のジョニー・リコは,好きなガールフレンドのために軍隊へ入ります。ディナ・メイヤーは僕のことを好きな役だったけど,片思いのままウォリアーバグに殺されてしまいます。デニス・リチャーズとは恋人同士だったのに,パトリック・マルドーンに奪われてしまいます。まあ,パトリックがブレインバグに殺されると,僕のところに戻ってくるんですが。……実生活でデニスは数年後,チャーリー・シーンに奪われてしまうんだけど,離婚しちゃったしなぁ(笑)。ともかく,僕としてはジョニー・リコにはガールフレンドが必須だと感じているんですよ。
エドワード氏:
成長したジョニー・リコは,大人の男として分別の付いた真の戦士というか兵士にもなっています。だから,あまり浮気心で女の子に手を付けるキャラクターにはしないという案を出したら,キャスパーから「多少の浮気心があってもいいんじゃないか」という意見がありました。
J:
ここでもキャスパー氏の意見が出たんですね。
エドワード氏:
ええ。結果,少し成長したけれど,女っ気はプンプンさせているジョニー・リコとして描いんたんです。そういった点も含め,キャスパーはアイディアや提案をガンガンくれるので,リレーションが図れて頼もしかったんです。
J:
それほどまでに,スターシップ・トゥルーパーズやジョニー・リコという役柄への思い入れが強いんですね。そういえば,キャスパーさんはパート1のときと変わらぬグッドシェイプなボディでしたが,パート3に出演するために特別なトレーニングなどはしたんですか?
キャスパー氏:
そうですね……。僕にはエクスキューズも選択の余地もなかったんです。なぜならば……脚本のト書きにエドが「ジョニー・リコがシャツを脱ぐ。すると周りの若い兵士の誰よりもイイ体をしている」って書いてありましたから(笑)。
エドワード氏:
この裸のシーンを撮るための秘策として,キャストにはいつ撮るのかも教えなかったんです。そうすると,キャスト達は常に体形を気にして食べ物の摂取量もコントロールするようになるわけです。僕の心の中では,最終日に撮影するって決めていたんですけどね(笑)。でも,明日雨が降ったら明日撮影しようかな? とか,キャストにはほのめかしつつプレッシャーを与えまくっていました。
J:
キャスト達は毎日緊張を強いられるわけですね。
エドワード氏:
ええ。でもその結果に彼らはイイ体つきにもなったし,撮影最終日ということもあって,最高のモチベーションになっていました。だからこそ,いいシーンが撮れたんですよ。
J:
なるほど。監督のキャストコントロール術が垣間見えたように思います(笑)。
と,ここまでは本日公開の「スターシップ・トゥルーパーズ3」に関する話題に終始し,ゲームの話題にはなっていないが,これはあくまでも前振り。来週の後編では,キャスパー氏もエドワード監督も声優として参加したPC用FPS「スターシップ・トゥルーパーズ」の話題など,シネゲートーク満載でお届けするのでお楽しみに。
ドブ漬けGAMEスープレックス(5)
ニンテンドーDS「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
(ディズニー・インタラクティブ・スタジオ)
公開終了日に駆け込みで映画「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」を見た。第1章よりもばっちりエンターテインメントしていて好印象。男からしてみたら,イケメンのカスピアン王子はどうでもいいんだけど,前作よりテンポもアクションも小気味良い完成度になっており,事前の予想よりはるかに楽しめた。
実は映画のスタッフやキャストの来日記者会見に出席したとき,会場でアンケートに答えたら,この映画を題材にしたゲームのニンテンドーDS版がもらえたのだ。しかし,ゲームで遊ぶ前に映画を見ないとなあ……と,しばらくソフトは未開封のまま封印。結局,映画を見られたのが,公開終了日だったというわけ。ちゃんと映画を見てから遊ぶのが,シネマゲームと向かい合うときの作法のようなものだと思うのである。
ゲームでは,16人のキャラクターを使えるのが嬉しいポイント。また,すべての操作はタッチペンのみで行えるので,ゲームがあまり得意ではないが,原作の映画は好き……という人でも安心して遊べるあたりも,シネゲーとして評価できる。
Wii版も少しだけ遊んだのだが,さすがにそれと比較すると物足りなさは否めないが,アクションRPGとしての丁寧な作りや全体的な完成度は,シネゲーとしては良くできているほうだと言えるだろう。
ただその割りに,セールスが芳しくない様子なのが残念。やはりライセンスゲームの普及は,ディズニーにとっても難しいことなのだろうか……。
「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
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