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[GDC 2014]Havokの最新技術をブースで体験。2014年の第2四半期にリリース予定という最新版の実力は?
Havokは,モデルの挙動や特殊効果などの物理演算を担当するエンジンを筆頭に,CGアニメーションやAIなど,ゲーム制作におけるさまざまなシーンで使用されているミドルウェアだ。「The Last of Us」(PS3),「Assassin's Creed IV: Black Flag」(PC / PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360 / Wii U),「Dead Rising 3」(Xbox One)など,数多くのゲームタイトルが実際に採用しており,主人公とぶつかったNPCが後ずさりしたり,爆弾が爆発して兵士が吹っ飛んだり,衣服が風でたなびいたりなど,CGでリアルな表現をするには欠かせない存在となっている。
ちなみに,2013年版が正式にリリースされたのは2013年後半のこと。PlayStation 4やXbox OneでこれまでにリリースされたHavok対応ゲームの多くは,2012年版を利用していたそうだ。
本稿では,そんな最新版のHavokでどのようなことができるか紹介されたデモの模様をレポートしていきたい。
最新版では無数のオブジェクトの演算処理がスムーズに行え,流体表現も向上
Havokの中核となるHavok Physicsにおける最新版のトピックは,衝突処理や流体表現だ。
衝突処理に関しては,2つのシチュエーションで実演があった。1つめのデモは,建物の中から無数の岩が転がって出てくるというもの。建物の柱の部分に岩が堆積していったり,転がってきた岩が入り口付近に溜まっている岩を外に押し出したりと,6万3000個以上ものオブジェクトの衝突処理が個別にしっかりと行われていることを確認できた。
何万枚もの木の葉が降り注いでいる市街地につむじ風を発生させると,木の葉が渦を巻いて舞い上がっていく。さらに,この処理がリアルタイムの演算で行われていることを分かりやすく証明するために,先ほどの“空き缶銃”を持った兵士が使用された。兵士がつむじ風に向かって空き缶を撃ち込むと,空き缶がつむじ風に巻き込まれ,木の葉と同じように渦を巻いて舞い上がっていったのである。
Havok Destructionでは脆性破壊が可能に
破壊を司る「Havok Destruction」では,CGモデルから「破壊されたオブジェクト」を演算処理によって生成することで,より自然な破壊表現と,オブジェクト生成の工数削減を実現することができるようになる。
新しいランタイムでは,脆性(ぜいせい)破壊が可能になり,衝突判定がオブジェクト全体に影響するといった,より高度な物理シミュレーションができるようになったという。なお,脆性破壊とは,物体に力を加えたとき,歪みなどといった変形をほとんど伴わず破壊に至ること。ガラスや陶器などが壊れるケースがこれにあたる。
デモでは,走行する自動車が別の自動車に衝突し,フロントガラスが割れる表現が披露された。金属でできた車体部分は歪みが生じる形で処理されており,素材によって壊れ方が変わるという,よりリアリティの高い破壊表現ができるようになるというわけだ。
2013年に発売されたこの作品では,2012年版以前のバージョンが使用されているわけだが,風になびく防寒着や,素材のしなやかさが感じ取れるほどのパーティードレスなど,その動きは実に自然なものとなっている。
具体的な解説は残念ながら行われなかったが,2014年版ではどこまで表現力が向上しているのか,こちらも期待したい。
Havok.comによれば,2014年版のリリースは,2014年の第2四半期を予定しているとのこと。ミドルウェアという性質上,2014年版を使用したゲームが登場するのはしばらく先の話になると思われるが,Havok採用タイトルの表現力がどれほどすごいものになるのか,今から楽しみである。
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