レビュー
Xbox 360とのクロスプラットフォーム対戦が,マルチプレイモードをさらに盛り上げる
ロスト プラネット コロニーズ
ドラマチックなストーリー展開と美麗なグラフィックス,そして極めて高いアクション性などは前作から話題になっているが,コロニーズではそれに加えて,PCゲーマーとXbox 360ゲーマーがオンラインで遊べるという“クロスプラットフォーム対戦”が実現した。これにより,世界中のプレイヤーとのマルチプレイが,プラットフォームの壁を気にせず楽しめるようになったのは,非常に喜ばしいことだ。
なお,PC版を用いてXbox 360版プレイヤーとのマルチプレイを楽しむ場合,これまではGames for Windows - LIVEのゴールドメンバーシップ会員(有料)にならなければならなかった。しかし「こちら」の記事でお伝えしたように,2008年7月23日をもって,これまで有料だったゴールドメンバーシップ会員向けサービスが,無料のシルバーメンバーシップ会員でも利用可能になっている。本作のクロスプラットフォーム対戦も無料で楽しめるようになり,マルチプレイのハードルが大きく下がったのである。
なお,ロスト プラネットおよびコロニーズのPC版に関していえば,グラフィックス面で大きな利点がある。PC版ではWindows Vista/DirectX 10対応のグラフィックスカードを用意できれば,Xbox 360版よりもはるかにリッチなグラフィックスが堪能できるのだ。またDirectX 9.0c環境においても,豊富なグラフィックスオプションをアレコレ設定することで,マシンパワーに応じたクオリティのグラフィックスが楽しめる。
では,ここからは追加された新要素を中心に,本作の魅力をお伝えしていこう。なお,コロニーズの基本的なシステムなどは,前作ロスト プラネットと基本的には変わらない。「こちら」のレビュー記事を参照してもらえば,本稿をスムースに読み進められるはずだ。
巨大エイクリッド“ミドリメ”に父を殺され,記憶を失った青年,“ウェイン”。キャンペーンモードでは彼を操作して戦っていくことになる。前作をプレイしていない人は,まずストーリーを追いながら本作の世界観を楽しもう |
オフラインで新たに追加された三つのモード
シングルプレイに特化したルールが楽しめる
スコアアタックモードでは,最初から全ステージ/全難度が選択可能。キャンペーンモードをクリアしていなくてもプレイできるというのが,前作をやり込んだ人には嬉しい |
トライアルバトルモードは,“キャンペーンモード”に登場するボスを相手に,5試合を戦い抜くモード。各ボスを倒した時点での体力/T-ENG/所持武器/弾数などを次のステージに持ち越す設定になっているため,闇雲に戦っているとすぐに行き詰まってしまう。常に先の先を意識した戦い方を心がけなければならないので,戦術/戦略手腕が要求されるモードだといえる。さらに,ステージクリアの成績によって,次に戦うボスが分岐するようになっており,基本的にはクリアタイムが早ければ早いほど,強いボスと戦うことになるようだ。
ボス戦の緊張感がずっと続いて気が休まらないうえ,コンティニューもできないので,死んでしまえばそれまで。各ボスの習性と,ステージに配置されているバイタルスーツ(以下,VS),武器の場所をしっかりと把握し,状況に合わせた最良の選択をとり続けることが,全ステージクリアの必須条件だろう。
このように,かなり難度の高いトライアルバトルモードだが,その分クリアした時の達成感も大きい。最高戦績がオンラインランキングに反映されるので,たび重なるゲームオーバーにめげず,何度も挑戦してみよう。
キャンペーンモードをクリアしている人ならば,ボスの弱点は把握済みのはず。あまりタイムを意識していると,つい焦ってミスをしがちなので,落ち着いていこう。なお,第3ステージに出現する“ミドリメ”がとにかく厄介なので,ダメージを受けすぎないように注意すべし。せっかく倒せても,満身創痍で次のステージに突入しては意味がない |
エイクリッドのコアや部位破壊,ヘッドショットの回数なども細かく換算され,プレイヤーのスキルがそのまま点数として表れるので,腕試しに最適である。また,トライアルバトルモードと同様に,最高戦績がオンラインランキングに反映されることも,モチベーションを高めてくれる。
キャンペーンモードでは意識していなかった“コンボ”を求められるということもあり,スコア制になっただけで別のゲームを遊んでいるような感覚を覚える。攻撃を途切れさせないように戦うのは,思っている以上に難しく,やりがいがある。
積極的に攻めていくアグレッシブさと,クールさの両立が求められ,本作のアクション性を凝縮したような,遊び応えのあるモードに仕上がっている。
最後に,“オフリミットモード”だが,これは上記二つのモードのような,ゲーム性を追求したものではなく,“おまけ”要素が非常に強い。“ミッションセレクト”から任意のステージを選択した後,“オフリミットモード”でプレイするかどうかの選択肢で“はい”を選べば,武器弾薬無限+高速移動という,限界突破状態のウェインでゲームスタートとなる。
ロケットランチャーでもなんでも,弾数とリロードを気にせず撃ち放題になるうえ,本来ならば鈍足なVSに乗った状態でも素早い移動が可能になるので,非常に爽快だ。“トライアルバトルモード”や“スコアアタックモード”で思うようにハイスコアが出せず,ストレスをためた時は,ここで思いっきり発散するといい。
銃は撃ち放題,グレネードも投げ放題。さらに普段のモッサリ感が嘘のような速さで走れるため,すごく気持ちがいい。贅沢をいえば,このスピードでオンライン対戦をやってみたかったかも……? |
コロニーズはオンライン対戦の強化を軸として作られており,シングルプレイでの追加要素は決して多くない。
かといって,シングルプレイが軽視されているというわけではなく,種類は少ないが,やり込み重視で骨太な,“量より質”で攻めてきたという印象。
ユーザーの中には,オンライン対戦が楽しく,ついシングルプレイはほったらかし……という人も少なからずいるはず。「対戦を極めたこの俺様が今さらシングルプレイ?」なんて言わずに,“トライアルバトルモード”や“スコアアタックモード”も,ぜひ遊び倒してほしい。
より強化されたオンライン要素の数々
前作を遥かに凌ぐ緊張感と爽快感!
コロニーズで新しく追加された“麗隊(うららたい)”。隠しキャラクターは全部で5種類追加されており,すべて“プレイヤーレベル”に応じて出現する。ランクマッチでポイントを稼ぎ,コンプリートを目指そう |
前作のゲームタイプは正統派というか,良くも悪くも“TPSやFPSでお馴染み”のものばかりだったが,本作では“エイクリッドハンティング”や,“VSデストロイ”を始めとした,ちょっとほかのTPSやFPSでは見られない,一風変わったルールが楽しめるようになっている。
今までさまざまなTPS/FPSを遊んできたヘビーなゲーマーでも,きっと本作では新鮮な体験をできるはずだ。
・エイクリッドハンティング
・カウンターポスト
・ポイントサバイバル
・VSデストロイ
・エイクリッドエッグ戦
・カウンターエッグ(チーム・個人戦)
筆者が見た限り,これらの新ゲームタイプのうち,とくに人気が高かったのは“エイクリッドハンティング”“カウンターポスト”“カウンターエッグ”“VSデストロイ”の四つだった。やはり,少しトリッキーなゲームタイプがよく遊ばれていたように思う。
“カウンターポスト”や“カウンターエッグ”は,共に“データポスト”と“エイクリッドエッグ”という,狙うべき目標がハッキリと定まっているため,敵味方が同じ場所に集中しやすい。結果的にほかのモードよりも敵との接触率が高くなり,スリリングな激戦を味わえるのが,人気の理由だろう。
“VSデストロイ”も同様,激戦化しやすいという理由で人気だが,こちらはほかのスポーツライクなゲームタイプと比べて,“戦争感”の濃さがユーザーの心を掴んだのだろう。敵リーダーの搭乗する戦闘ロボット(VS)の撃破を目指すというルールからは,なんとなくロボットアニメに似たロマンを感じさせられる。一部の人にしか分からないネタで申し訳ないが,「装甲騎兵ボトムズ」というアニメが好きな人には,たまらないシチュエーションだろう。
エイクリッド相手にパイルバンカーを使う場合は,なるべくVSに装備して行こう。生身だと一発目を外した時点で返り討ちにあう確率が高いが,VSに搭乗していればエイクリッドの攻撃を何発かは耐えられる |
まず,エイクリッド側はプレイヤーが操作することで,CPUとは比較にならないほど恐ろしい存在になっている。一見,スキがなくなったように思えるが,巨大な体の代償として,狭い場所が苦手だったり,攻撃スピードが遅かったりという弱点がある。また,防御力が高いからといって油断は禁物。一度でも倒されれば戦力ポイントが大量に失われてしまうので,むしろ通常キャラクター以上に慎重な立ち回りが必要だ。足を滑らせて谷底や宇宙空間にダイブ……なんてことは論外。操作には細心の注意を払おう。
新たに追加されたマップ“強襲宙域”。なんと宇宙戦艦の上が戦場となっており,「スター・ウォーズ」気分が味わえる。足場が悪く,うっかり宇宙空間に放り出されて死亡しやすい。とくにエイクリッドは小回りがきかないので,足を滑らせないよう注意! |
また,コロニーズで追加されたVS用新武器の中には,対エイクリッド用に特化した“パイルバンカー”というものが存在する。まさに“エイクリッドハンティング”のためだけに追加されたような武器であり,エイクリッド相手には絶大な威力を誇るのだが,弾数が少ないうえにリロードが極端に遅い。しかし,上手く当てることができれば劣勢をひっくり返すことも夢ではない,ロマン溢れる“漢の武器”だ。
“エイクリッドハンティング”は圧倒的な攻撃力を持つエイクリッドと,個々の力は弱くとも,数と戦術で戦えるハンター達との対比が,非常に面白い。エイクリッド側とハンター側,追う者と追われる者,それぞれまったく違うゲーム性を楽しめるため,ついつい何度もこのモードばかりを遊んでしまう。何度やっても飽きのこない,超大規模な鬼ごっこ。非常に完成された,素晴らしく遊び応えのあるモードだ。
クロスプラットフォーム対応による
オンライン対戦での変化は?
前作とは比較にならないほど,どの時間帯でも人が集まりやすい。やはりクロスプラットフォームの効果は非常に大きいようだ。人気の高いゲームタイプだと,部屋を立ててすぐに満員になることも珍しくない |
オンライン対戦が賑やかになったのは,PC版ユーザー,Xbox 360版ユーザー,双方にとって喜ばしく,クロスプラットフォーム対戦は間違いなく,本作の最も大きな魅力だといえる。
なお,クロスプラットフォーム対戦によって生じる“PC版の優位性”は,若干気になるところだ。本作はTPSではあるが,操作性は非常にFPSに近く,どうしてもゲームパッドでの操作より,マウス操作のほうが,エイミングの面で有利になるのだ。
しかし,コロニーズには照準補正機能があり,さほど狙いが正確でなくとも,弾が命中する仕様になっている。そのため,実はそれほどエイミング技術が重要なわけではない。
それに,各武器の攻撃力の差が非常に大きいので,威力の低い“マシンガン”で命中精度を気にするよりも,早い段階で攻撃力の高い武器を確保したほうが,よっぽど戦闘を有利に運べるのである。
本作からは設定で“FPS視点”も選べるようになった。普段からFPSをやり慣れているならば,この設定でプレイしてみるのもいいだろう。しかし,TPS視点と比べて視界が狭くなるので,正直オンライン対戦ではあまりオススメできない |
ただし,中には例外もある。“スナイパーライフル”や“プラズマガン”といった,スコープ視点が生かせる武器には照準補正が効かないのだ。そのため,ゲームパッドとマウスによる照準精度の差が顕著に現れてしまう。もしも熟練のFPSゲーマーが,スナイパーライフルやプラズマガンを手にした場合,非常に恐ろしいキラーマシンへと変貌するだろう。
だがしかし,マウス操作がすべてにおいて勝っているというわけでもなく,VS搭乗時は明らかにゲームパッド操作のほうが有利になる。
なぜなら,親指のみで移動できるゲームパッドとは違い,キーボードは移動だけで片手が塞がってしまうからだ。特殊アクションを行うにも指が対応しきれないため,ゲームパッドよりも動作が一瞬遅れたり,ミスが増えたりしがちなのである。
本作で追加された新武器,“リボルバー”。近距離での銃撃戦では抜群の強さを発揮するが,弾数が少なく,リロードも遅いのがネック |
“ハンドキャノン”は小型のロケットランチャーといった感じの武器だ。威力はロケットランチャーに劣るものの,その弾速には目を見張るものがある。VSやエイクリッドに対して有効だ |
VSの操縦に関してはゲームパッドに軍配が上がる。キーボードではどうしても操作に無理が出てしまう |
続編を期待せずにはいられない
多くの可能性を感じさせてくれる作品
コロニーズで追加されたゲームタイプは,どれもユーザーを飽きさせない作りになっており,武器の多彩さと相まって,オンライン対戦の楽しさを上手く体感させてくれる。とくに“エイクリッドハンティング”のゲーム性は文句の付けようがないほど完成度が高く,アクションシューティングゲームの新たな可能性を提示したといっても過言ではないだろう。
また,PCとXbox 360によるクロスプラットフォームに対応するソフトは,「Microsoft Shadowrun 日本語版」に次いで本作が2作目であり,積極的にオンラインプレイヤー層を広げようという姿勢にも好感が持てる。もし続編が作られるのならば,次もぜひクロスプラットフォーム対応にしてほしいものだ。
本作はかなりのマシンパワーが要求されるゲームのため,「興味はあるが,なかなか手が出せない」という人も多いはず。しかし,多少スペックに不安があるからといって,スルーしてしまうにはあまりにももったいない作品だ。
幸い,本作のグラフィックスオプションはかなり細かな設定が可能なので,推奨スペックギリギリの環境でも,グラフィックスのレベルを落とせばプレイは可能だ。なので,ぜひともプレイ環境に応じた最適な設定で,本作を(とくにエイクリッドハンティングを)楽しんでほしい。
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