プレイレポート
兵科が導入されゲーム性が深化。ついにOBTがスタートした「S.O.W(SEVEN YEARS OF WAR)」のプレイレポートを掲載
と,その前に,本作の概要をここで軽くおさらいしておこう。S.O.Wは,戦術性を重視したリアル系FPSで,プレイヤーは「INSURGENT」と「REPUBLIC」という二つの陣営に分かれて戦う。ほかのリアル系FPSとのプレイフィールの違いは,「足音を殺して歩く」という行動がないことで,代わりにスタミナゲージを使用して「走る」ことができる。その分,通常の移動速度は遅めとなっているため,戦闘のテンポは比較的ゆっくりとした印象だ。
ゲームモードは「占領戦」と「デスマッチ」に加えて,今回追加された「殲滅戦」の3種類。「占領戦」においては,TacticalPoint(以下,TP)という拠点を占領し,その状態をカウントダウンが終わるまで維持し続けた陣営の勝利となる。OutPost(以下,OP)という拠点もあり,こちらは占領することで強力な武器である「分隊火器」が入手できるというもの。そのほか,リスポーン地点がOPの近くになり,TPまでの移動距離を縮められるという利点もある。
「デスマッチ」「殲滅戦」は,両陣営で単純に殺しあうモードで,その違いはリスポーンの有無だ。この二つのゲームモードにおいても,OPの確保によって分隊火器を入手できるため,どのゲームモードであっても,基本的に戦術性を重視したプレイが楽しめるというわけだ。
なお繰り返しになるが,今回の記事は2008年3月26日〜3月31日までにおこなわれたファイナルテストを元に執筆している。今後公開されるバージョンでは,本稿の内容と異なる点が生じるかもしれないので,その点はご了承を。
兵科システムの導入によりゲーム性が向上
より戦略的な戦いが楽しめるように
ファイナルストレステストでは,ついに兵科システムが追加された。兵科により装備できる武器/特殊装備/分隊火器が異なっており,それぞれに一長一短がある。今まで以上に役割分担が重要となっており,チーム内における各兵科のバランスが,戦況を左右するようになった。これから各兵科の装備品や特徴を解説していくので,それぞれの特徴をつかみ,オープンβテストでの出撃に備えてほしい。
■アサルト−近距離戦と拠点確保のエキスパート
アドオン:折り畳み式銃床,サイレンサー,レーザーサイト
連射性能の高いサブマシンガンや,銃身を詰めたアサルトライフルなど,近距離戦を重視した銃を装備できる。アドオン(武器に取り付けるオプション)についても,命中率を上げる折り畳み式銃床,オートAIM機能を追加するレーザーサイトなど,近距離で効果を発揮する物が多い。
特殊装備:シールド
前方からの攻撃を防ぐシールド。使用中は歩行スピードが落ちてしまうものの,銃弾や爆風によるダメージをある程度防げる。一定以上のダメージが蓄積すると,シールドが破壊されてそれ以降は装備できなくなってしまう。
分隊火器:ショットガン
一度に大量の散弾を発射する近距離戦に特化した銃。圧倒的な火力を誇っており,近距離で胴体に撃ちこめば,敵を一撃のもとに屠ることができる。アドオンを使うと連射性能が高まるが,一発の命中率が下がってしまうのが難点だ。
銃やアドオンの性能から分かるように,アサルトが近距離戦闘に向いている兵科であることは間違いない。出会い頭の戦闘が多い閉所や障害物の多いマップでは,大いに活躍が期待できる。しかし,占領戦においては盾を使った陣地確保の役割が重要だ。敵の攻撃を耐えしのげる唯一の兵科であるため,TPの占領任務などではアサルトの力が欠かせない。なお,メインウェポンにはレーザーサイトが装着されているものもあり,AIMの苦手な初心者にもオススメの兵科である。
■ライフル−銃撃のプロフェッショナル
アドオン:ドットサイト
アサルトライフルは,中距離戦に向いている命中率の高い銃だ。アドオンのドットサイトを使えば,さらに命中率を高められる。ただし,ドットサイトを使っている間は,自動的にバーストショットになってしまうので注意。
特殊装備:センサー
投擲すると壁や床に吸着し,一定範囲内の敵の位置を,自分と味方のマップに15秒間映し出す。センサーの効果はプレイヤーが倒されても続くので,使わずに死んでしまうともったいない。チームのために,積極的に使っていきたい特殊装備だ。
分隊火器:スナイパーライフル
2段階のズームができる遠距離攻撃に特化したライフル。その威力は,胴体に当てれば敵を一撃で死に至らしめるほど強力。一般的なリアル系FPSと異なり,非ズーム時でも照準が表示されるため,確実に狙える腕前があれば近距離でも有用だ。
ライフルは三つの兵科の中でもっとも銃撃に秀でている兵科だ。アドオンのドットサイトを使えば,中距離での銃撃戦では一方的に撃ち勝ち,スナイパーライフルを使えば遠距離から敵を狩ることもできる。しかしS.O.Wでは,移動中の銃の命中率が極端に下がってしまうため,前線でバリバリと敵を倒すよりも,定点から敵を確実に狙撃していくスタイルが有効だ。TP周辺への敵の侵入を防ぐといった,後方支援的な役割を務めるといいだろう。
■サポート−攻守を高水準でこなすオールラウンダー
アドオン:グレネードランチャー
ほかの兵科が扱える銃と比べ,銃撃性能こそ優れる点はないが,アドオンのグレネードランチャーの存在が大きい。放物線を描き飛んでいく榴弾を発射でき,これを敵に直撃させれば一撃で倒せるほか,着弾点の周囲に爆風/弾片によるダメージを与える。
特殊装備:医療キット
使用することで,前方の一定範囲内にいる味方のライフを回復できる装置。一度使うごとにクールダウンタイムが発生するほか,自分自身を回復することはできない。なお,装備すれば遠距離や壁の向う側にいる味方のライフを確認できる。
分隊火器:マシンガン
100発の銃弾を連続して発射できる,範囲制圧用の武器。反動が大きいので制御が難しいが,アドオンのバイポッドを展開するとほぼ反動がなくなり,飛躍的に扱いやすくなる。ただし,バイポッドの展開中は移動することができない。
兵科名の影響もあって支援役というイメージが強いが,実際には攻めの要といっても過言ではない。S.O.Wでは移動しながら銃を発射しても,なかなか狙った場所に着弾しないのだが,グレネードランチャーだけは例外だ。前線を駆け抜けながら確実に敵を倒せるため,特攻役としても活躍できるだろう。ただし,グレネードランチャーは2発しか撃てない。特攻するだけでなく,医療キットで回復できる味方を随時確認しておくなど,幅広い戦い方を求められる上級者向けの兵科といえる。
戦況を判断して即座に味方をサポート。こういった立ち回りも本作の醍醐味といえる |
このように,攻守両方の要素をそれぞれの兵科が備えており,どの兵科を選んだとしても,戦況に合わせたプレイスタイルの切り替えが必要となっている。このような戦術性の高さこそが,S.O.Wの魅力といっていいだろう。
なお,筆者が初心者にオススメするのは,アサルト,ライフル,サポートの順になっている。アサルトはレーザーサイトを使うことで,初心者でも狙いをつけるのが簡単だ。ライフルはヘッドショットを狙う腕前が必要だが,後方から援護射撃をすることが多いので,敵に撃たれる危険が少ない。最後にサポートだが,グレネードランチャーは大雑把に狙っても当てられる武器だが,遠くにいる敵に直撃させるには微調整が難しい。攻めの要でありつつも,回復役をも務めなければならず,他兵科よりもプレイヤーに要求される知識/テクニックが大きいといえよう。
今後のバージョンアップにも期待できる追加要素アリ
ファイナルストレステストでの大きな追加点は,兵科システムの導入だが,そのほかにも新しいマップや武器なども追加されている。それらについても紹介していこう。
■新モード用マップと占領戦の熱いマップが追加に
ファイナルストレステストで新たに追加されたマップは,「旧市街地,ホテルヘルネスト」(以下,ホテルヘルネスト)と「第2産業区域,ダイゼン工場」(以下,ダイゼン工場)の二つだ。とくにホテルヘルネストは,新しいゲームモードである「殲滅戦」が採用されている。殲滅戦は,簡単にいえばリスポーンのないチームデスマッチであり,プレイヤーは死んでしまうと生き返れず,緊張感溢れるバトルが楽しめる。普段の占領戦とはまた違ったゲームバランスになっており,強襲をしかけて敵を一気に殲滅してもいいし,OPを確保し十分に戦力を整えてから,敵を迎撃してもいいのだ。
続いて,追加された二つのマップの詳細を説明しよう。まずはホテルヘルネストについてだが,名前どおりにホテルを舞台とした,三層構造のマップだ。もともとS.O.Wのマップはそれほど広大ではないが,ホテルヘルネストはその中でもとくに狭く感じる。また,屋上を除く各フロアでは,狭いだけでなく壁や障害物が多いため,出会い頭で戦うケースが多くなる。占領戦のマップはある程度開けているので,グレネードランチャーやスナイパーライフルが猛威をふるうが,このマップではアサルトが活躍することが多くなりそうだ。
もう一つの追加マップであるダイゼン工場は,占領戦用のマップ。中央に直線状の大きな道があり,それを挟んだ両陣営でTPを奪い合うようになっている。特徴的なのは,その道が少し落ちくぼみ,堀のようになっていること。この道で互いに遠距離攻撃をしかけつつ,ジリジリと前線を押し上げていくのが基本となるが,それに対して側面の少し高い位置からの攻撃をしかけることもできる。そのほか,敵陣地へ続く地下通路があるなど,多様な攻め方ができるマップだ。どちらのマップも無料のオンラインFPSとしては,かなり高い完成度となっているので,次のテストではぜひともプレイしてもらいたい。
■威力が高めな新武器は近未来な装い
グラフィックスだけでなく,ゲーム性にも
手ごたえを感じさせる期待作!
今回は,ファイナルストレステスト中の短期間でのプレイではあったが,その範囲内では,マップデザインに不満を感じることはなかった。むしろ,多層構造が多く敵の背後を取るなどの駆け引きが楽しめ,それでいて単純で覚えやすい。好みの問題はあるだろうが,高い水準のマップデザインと言って差し支えないだろう。
また,分隊火器システムも秀逸だ。従来のリアル系FPSにおいては,スナイパーライフルに代表される「敵を簡単に一撃で倒せる武器」が氾濫し,NSW(No Skill Weapon)と呼ばれ疎まれることがある。そういった強力な武器を,装備できる人数を制限するという形でゲームに組み込む。このようなシステムが採用されているオンラインFPSは珍しいが,本作ではうまく機能している印象を受けた。
とはいえS.O.Wは,総じてよくできた作品だ。これだけの完成度のFPSを,基本料金無料でプレイできるというのは,この手のタイトルが好きな人にとっては実に嬉しいことである。
またオープンβテストでは,「クランシステム」が正式実装されるほか,アルファベットによるランク分けに代わって階級制度が導入される(関連記事は「こちら」)。その後,新しいマップや武器も適時実装される予定ということで,今後の展開も実に楽しみだ。
- 関連タイトル:
S.O.W(SEVEN YEARS OF WAR)
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