連載
ミリタリーをテーマとしたカジュアルなオンラインFPSを紹介すること幾星霜,というのはさすがに大げさな「カジュアルオヤジのFPS教室」もいよいよ一応の最終回である。
先週も書いたように,本連載では取り上げられなかったモノの,列を作って出番を待っているオンラインFPSの期待作や注目作はまだまだたっくさんある。「Quake Wars Online」など,北米のパブリッシャ/デベロッパとタイアップしたタイトルや,「Battlefield Heroes」といった純然たるアメリカ製タイトルも加わり,日本でのサービス開始日などは未定ながら,たいへんホットなジャンルになっているのである。これらによってマルチプレイFPS人口がさらに増えれば,私が何かもらえるわけではないのだが,嬉しい話である。
さて,最終回である今回はCJインターネットジャパンがネットマーブルを通して国内正式サービスを予定している,「S.O.W」(SEVEN YEARS OF WAR)を紹介させて。ステータスとしては,これまで2回行われたクローズドβテスト(フロンティアテストと呼ばれている)が終了し,現在はオープンβテストの開始を待っているところだ。すでに4Gamerでも何度か記事にしているが,それ以前は名前以外ほとんど情報が出てこない,割と秘密のタイトルだった。とはいえ,今でも細かいところは公開されていない雰囲気で,やっぱりまだ謎めいたタイトルではあったりするのだが,隠されれば隠されるほど隠されているものが気になってしょうがないのは男のサガである。ここでは2回目のCBTの印象を中心にゲームの説明などを紹介したいと思っている。というわけで,何度も同じことを書いてしまうが,ここに書いたことはあくまでCBTの話であり,オープンβテストと,続く正式サービスではグラフィックス/ユーザーインタフェイスを含めて微妙に内容が変わってしまうかもしれないということはご了承くださいね。というわけでいつものように以下の表をどうぞ。
サービス開始日 未定
発売元 CJインターネットジャパン
開発元 CRAZY BOX(韓国)
最大参加プレイヤー数:16人(8人vs.8人)
ゲームタイプ:デスマッチ/占領戦
マップ数:5種類
武器の種類:メイン武器9種類(割とマニアックな品揃え)
雰囲気:リアル系
ヘッドショット:有効
同士討ち:サーバー設定による
選べるキャラクター:未定
※以上の情報は第2次クローズドβテスト時のものです
世界観:
公式サイトには,「西暦2015年,ベイグラードでその日は,新しい記憶として刻まれる!」とあり,時代背景がちょっとばかり先のことで,舞台となるのは架空の都市だということは分かるがそれ以上は不明で,気を持たせやがるぜちくしょう。ゲームでは“Insurgent”(反乱軍)と“Republic”(共和国)の二チームに分かれる。いずれにしろ,登場する武器/アイテムはすべて実在のものをモデルにしており,それぞれに細かい設定が施されていてリアル。マップの名前は「政治犯収容所」とか「バルタ広場」とか付けられており,東欧/ロシアをイメージした建物が並んでいる。
高速CPUと大容量のメモリを要求するFPSは,かつてはPCゲームの独壇場だったが,最近のいわゆる「次世代機」において,FPSタイトルはごく普通のものになった。その嚆矢はやはりXbox用の「Halo: Combat Evolved」だろう。コンシューマ機のFPSはヒットしないというジンクスを覆し,苦戦中だったXboxのキラータイトルに躍り出たのである。ヒットの理由の一つとして挙げられるのが目標への狙い(エイム)を補助する機能,つまりオートエイムの優秀さだ。PC版FPSではチートだが,FPSに不向きなコントローラを使うコンシューマ機では,その出来がプレイ感覚を左右するのだ。ちなみに私は今,何気なく「FPSに不向きなコントローラ」と書いてしまったが,そんなことはないという意見も多く,マウス+キーボード派とコントローラ派の論争は決着の付きづらい宗派闘争の様相を呈している。個人的には,使いやすいほうを使えばいいと思う。
テストで確認できたゲームモードは「デスマッチ」と「占領戦」の二つ。ちょっと少なめだが,まあクローズドβテストということで。さて,占領戦は「WarRock」のプレイヤー以外,なじみが薄いかもしれないやや珍しめのモード。デスマッチもそうだが,個人の戦いよりはチームでの戦いにフォーカスしたプレイを要求しているようだ。
マップに置かれた拠点を取り合うモード。拠点にはTP(Tactical Point)とOP(OutPost)の二種類があり,TPを確保したチームが勝利となる。確保のためには,拠点のそばに一定時間とどまる必要があり,そりゃもう格好の目標になってしまう。
OPは勝敗には関係ないが,確保することでそこがリスポーンポイントとなり,また分隊火器が支給される。分隊火器にはショットガン(SPAS-12),狙撃ライフル(PSG-1),マシンガン(FN M249)があり,これを確保するとかなり有利だが,使用できる数に制限がある。というわけで,OPは必ず確保したいが,敵のOPの破壊も可能なので,それなりの守備も必要になりそうだ。そのため,各人の役割分担が重要になってくるだろう。(TP確保とその援護。そしてOP確保といった感じ。分隊火器を持った人が何をするかも大切だ)。
さて,戦闘である。第一印象は,やはりそのグラフィックス。ウリにしているだけのことはあって,ほかのカジュアル系FPSに比べてもなかなかのもの。とはいえ,いささか重いのも事実で,ロースペックのPCではちょっとキツいかもしれない。
戦いはリアル指向で,銃撃感は良好であり,出血量がかなり多いため敵にヒットしている感じは十分ある。
さてそんなS.O.W。筆者のいかしたインプレッションだけではさすがに間が持たないので,今後の予定などを取り急ぎCJインターネットジャパンに問い合わせてみたのである。
それによると,気にならずにはいられないオープンβテストおよび正式サービスの開始日については,現在のところ未定だそうである。現状,これまでのテストによって判明した問題点などを改善しているところであり,2008年3月末か4月初めあたりにオープンβテストを開始したい意向とのこと。
銃などのアイテムは経験値を溜めて入手するが,ゲーム内のショップでは,現実に存在する武器にいくらかアレンジを加えたものや,架空の近未来的な銃などが登場する予定だ。有料アイテムについては,まだ何も決まっていない。
また予定されているオープンβテストでは,兵科の追加,特殊アイテムの追加などが行われる。特殊アイテムとは,各兵科に補助的な機能を与えるもので,設置するシールドや索敵用のセンサー,そして味方の体力を回復する医療キットなどが考えられている。いずれも近未来のイメージが強く,オープンβテストではゲームの雰囲気がちょぴりSF調にシフトするかもしれない。さらに占領戦用のマップが二つほど追加される予定であり,新しいゲームモードの導入も検討されているらしい。
これ以外にも,正式サービス以降のアップデートで,参加人数の変更(大人数での対戦が可能になる),搭乗兵器の登場(だじゃれではない)などが検討されているとのことである。以上,最新情報をお届けしました。
というわけで,記念すべき最終回なのでここらで軽くまとめるが,正式サービス中の3タイトル,すなわち「WarRock」「サドンアタック」,そして「SPECIAL FORCE」のうち,最も毛色の変わった一本といえば,やはりWarRockだ。戦闘っちゅうからには,やっぱり戦車や戦闘ヘリコプターなど大型兵器を使いこなしてみたいという重兵器派の人々の心にヒットするだろう。サドンアタックとSPECIAL FORCEは,少人数の近接戦闘の迫力を手軽に味わえるタイトル。すでに日本国内サービス開始から2年を経たSPECIAL FORCEはさまざまなアイテムや豊富な会員数を誇り,韓国人気ナンバーワンといわれるサドンアタックもまた勢いがあるようだ。いずれも,ビギナーからベテランまで楽しめるだろう。
国内サービスを予定しているタイトルのうちでは,「PaperMan」が個性的。可愛い紙のキャラクターが戦うもので,「マッチョな兵隊はヤだなあ」と思っているメロウなプレイヤーでも大丈夫だ。今後,“紙ならでは”のコンテンツが増えればさらに面白くなるだろう。ゴーストマッチが異色な「クロスファイア」は,現在オープンβテスト(オープンサービスと呼んでいる)が行われ,新マップや新武器が数多く登場している。記念のキャンペーンもやってるよ。また,いろいろと未定部分の多い「TakeDown: the First Mission」だが,こちらは“日本市場に特化したコンテンツの拡充”の内容がどんなものなのかが焦点。はっきりとは言えないが,近日中に何かしらの発表がありそうだ。以上,今回の「S.O.W」を含めて本連載で取り上げた計7本,どれもそれなりに個性的で楽しみだ。さらに上にも書いたように,新作の発表も次々に行われているのである。私はとくに何もしていないが,いやー,がんばった甲斐があったというものだ。
かつてはなんとなくハードルが高そうで,あまりその気になれなかったであろうマルチプレイFPS。ハイスペックのPCや高度なシューティングスキルが必要なマニアックなゲームなんだろうなあと思われていたが(まあ,それが的外れというわけではないが),今や気軽にダウンロードして誰でも楽しめる環境が整ってきたのである。一度プレイしてみれば,それが考えていたほど難しいジャンルではないことがすぐに分かるはず。しかも,究めようとすればそれに応えてくれる懐の深さも持っている。チームワークとか銃さばきとか,覚えれば覚えるほど楽しくなってくるはずだ。くくく,シロートめ。オレ様が教育してやる,みたいな。
オンラインといえばMMORPGという雰囲気の日本のゲーム市場だが,それ以外のタイトルが増えてジャンルの裾野が広がり,ますます豊かなゲーム体験ができるようになれば,それに過ぎることはないのであるって,あ,オレ今いいこと言ったような気がするが,実は他人の受け売りである。では,またの機会にお会いしまそう。
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- 関連タイトル:
S.O.W(SEVEN YEARS OF WAR)
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