レビュー
シンプルな左手用キーパッドはFPSの操作性を向上させるのか
Wolfking Warrior
» フルキータイプではなく,FPSをプレイするために絞り込まれた55のキーを搭載する,ゲーム専用キーボード(キーパッド)。高度なキーカスタマイズ機能をウリにするゲーマー向けキーボードが最近は多い中,カスタマイズ機能のない,わりと直球勝負の製品だが,果たして使い勝手はどうなのだろうか。“Quaker”米田 聡氏が,その実力に迫る。
今回取り上げる「Wolfking Warrior」は,USB 1.1接続となるワイヤードタイプの左手用キーボード(キーパッド)で,55のキーを厳選してFPS用に最適化したという製品だが,特徴を下手に説明するよりも,実際の写真を見てもらったほうが早いだろう。下に示したのが,Wolfking Warriorの実機写真だ。
[W/A/S/D]を中心として
FPSでよく使うキーを周辺に配置
本体サイズは横方向がおよそ230mm,縦方向がおよそ210mm。後述する銀色のキー×3があるため横方向が10mmほど長いが,限られたスペースを有効に使うための左手用キーパッドということを考えると,まずまずコンパクトといっていい。高さはチルトスタンドを立てない状態で奥側(=ファンクションキー側)が約25mm,立てると約33mmとなり,手前側は13mm(※いずれもキートップを含む)である。
数字だけでは分かりにくいかもしれない。本体手前側にあるWolfkingのロゴマーク近くに手首を置くと,一般的な手の大きさを持つ日本の成人男性なら,[F1]〜[F12]までフル装備となる外周のファンクションキーまでなんとか指が届く大きさ,といえばイメージしやすいだろうか。
FPSで移動に用いる[W/A/S/D]キーをホームポジションとしたとき,ファンクションキー以外のキーは無理なく操作できる。大きさに関しては,よく考えられている印象だ。
無刻印のスペースバーは縦方向に伸びている。スペースバーはFPSだとジャンプなどに割り当てるケースが多いと思うが,親指で操作しやすい位置にあるといっていいだろう。
ちなみに,同時押し可能なキー数は最大4だった。決して多くはないものの,普通にFPSをプレイする限りにおいては何ら問題ないだろう。
一方でやや気になったのは,キーに段差がない点だ。筆者のように,段差のある「ステップスカルプチャー」(Step Sculpture)タイプのキーボードを使い慣れていると,階段状になっていないWolfking Warriorにはやや違和感を覚えるはずだ。筆者はチルトスタンドを立て,傾斜を強めにすることで対処したが,このあたりは好みが分かれるのではないかと思う。
なおボリュームアップ/ダウンは,Windowsのサウンドミキサーと連動し,ゲーム中でも問題なく機能していた。
気になる部分はいくつかあるものの
総じて「意外に使える」
しかし,唯一突起のある[W]キーを中心に据えると,同キーに用意された突起を手がかりに,下(=キーパッド)を見ることなく,ホームポジションを決められるようになっている。意外や意外……と言っては失礼かもしれないが,初めてでもそこそこ使えるのだ。
また,ラバー仕上げとなっている本体表面の感触も悪くない。手首が滑りづらくなっており,これがポジションの決めやすさにつながっているようだ。初見では「手油の跡が残りやすいかな?」と思えたが,実際に使ってみるとそんなこともなく,意外に汚れづらいことも好印象である。
また,親指で簡単に押下できる[O][B][<][>][R][G][T]は比較的押しやすく,とくに[O][B]あたりは単独で用意されていることもあって,押し間違える危険も低い。頻繁に使うコマンドは,このあたりを中心に割り当てていくと,すぐ使いこなせるようになるはずだ。
さらに,序盤で「なんとか指が届く」レベルと紹介したファンクションキーは,キーの“奥行き”が短いため,手前のキーと同時押ししてしまうミスが発生しやすい。ファンクションキーも,なるべく使わないほうがよさそうだ。
30程度のキーでまかなえるゲームにはアリだが
若干の割高感も否めない
やや押しづらいキーはあるものの,コマンドの割り当てをユーザーが自分なりに考えれば,さほど違和感なく一般的なキーボードから乗り換えられる。これがWolfking Warriorが持つ最大の魅力だ。Wolfking Warriorを利用することで空いたスペースをマウスパッド用に使えるというのは,FPSプレイヤーにとって大きなメリットになるだろう。
ただ,55個のキーを持つといっても,実際のゲーム中に“マトモに”使えるキーは,実質30程度であることは憶えておく必要があると感じた。個人的には30もあれば十分だと思うが,こればかりはプレイヤー次第なので,ゲームに使うキーの数が多い人は気をつけておく必要があるかもしれない。
もう一つ,ハードルとなりそうなのが価格である。冒頭で示したとおり,Wolfking Warriorの実勢価格は5000〜6000円程度だ(※2007年11月21日現在)。この価格をどう捉えるかは人それぞれだろうが,同程度の予算があれば,そこそこの品質を持ったQWERTY配列キーボードを購入できるのを考えるに,安いとはいえない。省スペース性という明らかなメリットに価値を見いだせれば十二分にアリなのだが,同程度の価格で購入できる,そこそこ上質なフルキーボードを購入したほうが,ゲームによっては“使える”場合もある。
自分のプレイスタイルを勘案して,「果たして本当に必要か」を十分に考えることをオススメしたい。基本的な使い勝手は悪くないので,「必要」という結論が出た人にとって,Wolfking Warriorは間違いなく価値のある製品だ。
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