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[GDC 2012]抵抗は無意味だ――ソーシャルはモバイルを同化させる。ApplifierのCEOが語るソーシャルアプリの生き残り方
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印刷2012/03/07 21:23

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[GDC 2012]抵抗は無意味だ――ソーシャルはモバイルを同化させる。ApplifierのCEOが語るソーシャルアプリの生き残り方

 GDC 2012にて,「Resistance Is Futile: Social Will Assimilate Mobile」という題名のセッションを,ApplifierのCEOであるJussi Laakkonen氏が行った。
 「Resistance Is Futile(抵抗は無意味だ)」という挑発的な文言から始まるこの講演のテーマは,タイトルのとおり「ソーシャルサービスがモバイルを同化していく」というもの。モバイルがソーシャルサービスを取り込んでいくのではなく,ソーシャルサービス「が」モバイルを同化させていく,というところがポイントだろうか。

「Resistance Is Futile: Social Will Assimilate Mobile」というセッションを行ったJussi Laakkonen氏
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 ちなみに「Resistance Is Futile」というフレーズは,日本でもテレビで放映された「新・スタートレック」が元ネタである。「We are Borg. Resistance is futile(我々はボーグだ。抵抗は無意味だ)」という台詞は,スタートレックファンならば何度か聞いたことがあるかもしれない。
 作中では,圧倒的な力を誇る機械生命体ボーグが,無慈悲に敵を同化していくシーンで使われる台詞だが,要するに,強大な力の前に問答無用で飲み込まれてしまう様を表現する比喩だと思ってもらえればいい。圧倒的な数の暴力を誇るモバイル&ソーシャル市場が台頭し,そこに飲み込まれていくこれまでのプラットフォームは,まさにボーグと対峙した生命体のような状況……という意味なのだろう。

 講演は,25分のショートセッションだったこともあって,題名で挙げた自身の主張を,データの裏付けと共に解説していくというシンプルなものだった。
 Laakkonen氏によれば,iOSおよびAndroid搭載機器がそれぞれ3億台以上(2013年には10億台に達するという見込みも)普及しており,Facebookをモバイル機器で利用するユーザーも4億人以上いるという。そしてかつての携帯電話以上に人々のライフスタイルに浸透しつつあるスマートフォンが,ゲームを含めたあらゆるジャンルで巨大なプラットフォームになっていく――といった感じなのだが,4Gamerの読者には,今更説明するまでもない話だろうか。

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 しかしその一方で,Laakkonen氏は「だからといって単純に我々デベロッパが幸せになるわけでもない」とも述べる。確かに爆発的な成長を遂げているスマートフォン市場だが,それと同時に,そこに参入しようとする競争相手の数もまた,爆発的に増えているからである。

 Laakkonen氏は「あなたの作るアプリは,ほかの50万を超えるアプリと戦わなければならない」「そんな状況の中で,損益分岐点を超えて投資が回収できるアプリはごく一部だ」と訴える。商業的なアプリケーションに限ったアンケートでも,それなりの大きさの売上を確保できたタイトルは,10%に満たないという結果になっているそうだ。
 つまりは,アプリの数が膨大になったせいで,ユーザーからすると自分の欲しいアプリが「探せない」という問題があり,逆にメーカーにとっては,自分達の作ったアプリが埋もれて「見つけてもらえない」という問題がある,という話である。
 まあ,iTunes StoreやAndoroid Market Placeは,検索性が皆無といってよいほど使いづらいので,1ユーザーの立場からも体感しやすい問題点だといえるだろう。

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 そして,そうした問題に対する解決策の1つが,ソーシャルサービスをうまく活用することだとLaakkonen氏は語る。「そりゃそうだけど」といえばそれまでなのだが,とはいえ,昨今ではソーシャルゲームのプラットフォームも乱立しつつある。では,ソーシャルサービスを活用するとして,本当に有望なプラットフォームはどう見分けるべきなのだろうか。

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 Laakkonen氏は,それを単にアカウント数やロイヤリティで判断するのではなくて,そのサービスの「真の力」に目を向ける必要があると指摘する。すなわち,それぞれのアカウント数と平均フレンド数を掛けた「Friend Connection」の数値こそ,今後,ソーシャルサービスにとって重要な指標になるというのだ。
 続けて氏は,「Game Center」「Open Faint」「Facebook」という3つのプラットフォームを並べ,それぞれのFriend Connectionの値を割り出して見せたのだが,それによると,

  • Game Center:会員数67万×平均フレンド数5=335
  • Open Faint:会員数160万×平均フレンド数5=800
  • Facebook:会員数250万×平均フレンド数150=37500

となり,圧倒的な結果でFacebookに軍配が上がっていた。
 ちなみにこの裏付け的な話として,Laakkonen氏がFacebook上で手がけている一風変わった広告サービス「Applifier」の例が挙げられていた。これは,小規模な独立系ゲームデベロッパ同士でお互いのタイトルを宣伝し,ユーザーを“流し込み合う”サービスで,現在,月間約1億5000万人のユーザーが登録されたタイトルを遊んでいるという。……なるほど。

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 今回の講演は,スマートフォン向けのアプリやソーシャルゲームに関心がある読者であれば,「ですよねぇ」と頷くしかない内容ではないだろうか。競争が激化し,レッドオーシャン化していると言われるなかで,いかに自分達の作品に注目してもらうのか。モバイル化への移行が進むにつれ,サービス/アプリへの接し方がより刹那的になっているだけに,何かかしらの工夫がなければ難しくなってきているのは間違いない。
 純粋なソーシャル性という意味では,ゲームを中心にしたプラットフォームでは太刀打ちできないことも確かである。だからこそ,ゲームを中心にしたプラットフォームは,そこで遊べる作品で差別化したりと,Facebookなどとはまた違う戦い方が求められてくるはずだ。
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