インタビュー
コンテンツ不足を克服するか? ワールド統合から始まる「LEGEND of CHUSEN」の新展開について聞いてみた
さて,本作は,中国で大人気のMMORPGで,かなりコンテンツの蓄積を持っているはずなのに,日本サービスが始まって以来,いきなりコンテンツ不足が続くという奇妙な状況になっていた。4Gamerの読者レビューを見ても,ビジュアルやシステム面での評価は高くても,まずコンテンツの少なさ(未実装部分の多さ)を指摘する声が多かった。
この春に大規模なコンテンツ追加が行われ,評価を持ち直しつつあるタイミングでのワールド統合である。なぜいまワールド統合なのか,ゲームの状況についてシーアンドシーメディアLegend of Chusenプロジェクトリーダー佐野正喜氏とマーケティング部の田浦一繁氏に話を聞いてみた。
なぜいま統合なのか
よろしくお願いします。レジェンドオブチュセンのサービスが始まって半年ちょっと経過したわけですが,その間の経過はどんな感じでしたでしょうか。
佐野氏:
最初からコンテンツ不足が指摘されていましたので,開発と協議して,今年になってからコンテンツを順次投入して,状況は徐々に変化しています。
レジェンドオブチュセンは,サービス開始当初はバトル要素やスキル要素など派手な部分に注目が集まっていたタイトルだったのですが,プレイヤー層はだんだん変わってきていますね。現在は家族,旅団といったコミュニティ要素やファッションなどを楽しんでいる人の比率が増えています。
4Gamer:
コミュニティというと,レジェンドオブチュセンでは家族システムが使いやすくてメリットもあって印象に残っていますが,やはりそちら系中心でしょうか。
佐野氏:
家族と旅団を中心にしたものですね。高レベルのプレイヤーさんが家族長や旅団長をうまくまとめてくれていて,コミュニケーションを取っている感じですか。そういった人の存在が,現在では大きな意味を持ったものになっています。
どんなゲームでもプレイヤーの出入りというのは多かれ少なかれあるもので,イベントなどをやると,この層にはウケがよくて,こっちの層にはあまりよくないなどというのが変わっていくのですが,レジェンドオブチュセンの場合は,かなりコアなプレイヤーが残ってくれているという感じですね。オピニオンリーダーとして,新しい人を引っ張っているという雰囲気です。
今回のサーバー統合にしても,事前に統合アンケートを行ってプレイヤーの声を聞き,会社としても後押しをされた形です。「声」といいましたが,実際,ポジティブな意見が多くて,統合に期待する声に励まされています。
レジェンドオブチュセンは,同時接続数などで,現在右肩上がりで推移しています。サーバー統合というと,どうしてもネガティブなイメージで見られることが多いので心配していたのですが,蓋を開けてみると,まったくそんなことはなくてほっとしているところです。
4Gamer:
では,どうしてサーバー統合が必要だったんでしょうか?
佐野氏:
主にチャンネル数の問題です。現在は陰と陽の2サーバーで,それぞれ7チャンネルでサービスしていますが,チャンネル数に関係した不具合で,例えば出てこないボスモンスターがいてクエストが進まないなど,いろいろな問題が起きていました。これまで7チャンネルしか開放されていなかったものが,15チャンネルすべて開放されて,これらが正常に動くようになります。
4Gamer:
チャンネル数の問題だったんですか。
佐野氏:
はい,チャンネル数に関連していたんです。
4Gamer:
2台分をまとめると,重くなったりはしませんか。
田浦氏:
15チャンネルをフルで開放するにあたって,多くのプレイヤーが同時にいても耐えられるサーバーにしています。今後,1周年を控えてサーバー強化が必要になることも分かっていたのですが,この機会に前準備を進めることができました。
また,統合アンゲートでは,統合と同時に新ワールドを作ってみるのはどうかという提案もしてみたのですが,反対意見が多かったですね。すでに遊んでいるプレイヤーから見ると,自分のやってるところに新しく入ってくるプレイヤーが少なくなるのはよくないということでしょう。
会社としても,既存のプレイヤーと新規のプレイヤーの二足のわらじでいきたいところではありますが,まずは,既存プレイヤーの満足度を上げる方向で進めています。きちんとコミュニティが形成されたうえで新規の人も入りやすい環境を整えたいと思います。
4Gamer:
しかし,ゲームを始めるきっかけとしては,新規サーバーというのは魅力にはなりますよね。
ここにきてコミュニティ性というMMORPGの本質部分ができあがってきたことと,ようやくコンテンツが増えてきたことでコミュニティが非常に活性化している状態です。であれば,それに水を差すより,さらに進めていく方向のほうがよいと思います。
新規の人にとっても,人がたくさんいてコミュニティが盛り上がっているゲームのほうが最終的には魅力があるのではないでしょうか。なによりプレイヤーにとって居心地がいいかどうかが重要ですので,今回はそういう選択をしました。
佐野氏:
現在,陰と陽の2サーバーがありますが,これが統合されて陰陽サーバーになります。元の2サーバーは,アイテム相場などで微妙にズレはあるものの,格差はほとんどなく,統合にあたっての問題がほとんどないのは幸いでした。不具合を解消して,コミュニティの拡大が狙えることになります。
ユーザーコミュニティがしっかりしていますので,今後は,運営サイドから見てどうこうというより,ユーザー主導型で方向性を決めていくのがよいのではないかと思っています。運営は,コミュニティを拡大をしやすい環境を整えることでその手伝いをするという感じでしょうか。
4Gamer:
なるほど。
ところで,統合に際して名前のバッティングとかは問題なかったんでしょうか。
佐野氏:
大丈夫です。名前,家族名,旅団名,霊獣の名前など,名前が被らないようになっていますので,問題はありません。
ただ,キャラクター数の問題は残っていますね。
4Gamer:
なるほど,キャラクター数制限のほうですか。
はい。一覧で表示されるキャラクターは8キャラクターまでですので,両方のサーバーで5キャラクターずつ作っている人だと,レベルの低い2キャラクターが表示されなくなります。
これはレベルの高い順で表示されますが,キャラクターが消去されているわけではありません。一覧で見えないだけで,例えば,荷物を移動したうえでキャラを消せば,次のキャラが出てきます。
4Gamer:
両方で目一杯キャラを作っている人は,そうそういないとは思うんですが。
田浦氏:
対象になる割合を調べたんですけど,本当にごくわずかでした。
4Gamer:
でも,そういう人って往々にして,低レベルキャラを倉庫代わりとかでアイテムを山ほど持たせてたりするんですよね(笑)。
田浦氏:
おっしゃるとおりです(笑)。生産素材別などで几帳面に分けて管理されている人もいますね。キャラが消えてしまうわけではないので,早めに荷物を整理しておいてください。
よりビジュアルで分かりやすく公式サイトもリニューアル
田浦氏:
また,サーバー統合と同時に公式サイトをリニューアルします。これにはかなり力を入れていて,ユーザビリティを公式サイトからも改善していきます。導入時期は未定ですが,追加コンテンツもいくつか準備しています。
4Gamer:
以前からシーアンドシーメディアは,非常に凝った公式サイトを作っていましたよね。
佐野氏:
Perfect Worldの新しいサイトもご覧になられていると思いますが,レジェンドオブチュセンの新公式サイトはもっと凄くなりますよ。
田浦氏:
公式サイトだと,掲示板一つ取っても,プレイヤーが投稿しやすい雰囲気のところと投稿しにくい雰囲気のところがありますよね。いかにして,そういった導線のところをどううまく整えていくかに注意しています。
佐野氏:
新しい公式サイトは,1月からやってきたアップデートの内容を精査して,より分かりやすく伝えたいというのと,新しくレジェンドオブチュセンに興味を持った人に,ちゃんとレジェンドオブチュセンの魅力がちゃんと伝わっていたかという点も見直して,ムービーやスクリーンショットなど,とくにビジュアル部分のアピールに力を注いでいます。
4Gamer:
ビジュアルで訴えるのは分かりやすいのですが,小説を出版するという話はどうなったんでしょうか。せっかく原作があるのにあまり活用されてないようで,個人的には,レジェンドオブチュセンでいちばん残念な点だと思っているのですが。
小説版については作業を進めているのですが,タイミング待ちの部分もあります。これまでゲーム内のコンテンツ不足が非常に大きな問題となっていましたので,そこの解決に力を集中していたこともありましたし,コンテンツがきちんと揃った時点でストーリーの訴求も行いたいと思います。
ストーリーについては,ゲーム内でもかなり展開されているのですが,テキストを「読まない」人が多いようなのが残念ですね。単なるお使いクエストでも,ちゃんと原作ストーリーを追ったものにはなっているのですが。
4Gamer:
最近のゲームは非常に親切なんで,テキストを読まなくても進めていけちゃうんですよね。これも良し悪しですね。
佐野氏:
確かに昔のゲームだと,クエストのテキストを読み落としていると,次にどこに行けばいいのかも分からないので,みんな丹念に読んでいたものなのですが。しかし,これも楽しみ方に一つだと思います。MMORPGって,楽しみ方が人それぞれにあるものですから,丹念にテキストを読んでストーリーを楽しむ人がいてもいいし,そういうのは気にせずサクサクと進めたい人もいていいですよね。どういう風にプレイしなくちゃいけないというルールはありませんので,こちらとしては,できるだけ多様な楽しみ方のできるゲームを提供していきたいですね。
統合後,レジェンドオブチュセンはどう展開していくのか
今後の展開はどのような予定になっていますか?
佐野氏:
統合後は,これまでにはない規模のアップデートを予定しています。来年の1月,2月にはまったく違うレジェンドオブチュセンになっていると思いますので,楽しみにしてください。
田浦氏:
そのほか,音楽CDの発売なども検討しています。単にゲームのBGMを集めたものではなく,アレンジを加えたり,歌を入れたものにする予定です。
4Gamer:
歌ですか。
田浦氏:
歌詞は小説の内容を追うようなものにして,こういう悲しい物語だったんだというのが音として伝わるようにしてみたいですね。
また,現在使われているのは日本のレジェンドオブチュセンの専用曲になっています。ゲーム内に5派閥あって,それぞれ特徴がありますので,それぞれに即したアレンジをしてやっていきます。今後,もしも新しい種族が出てくるということがあったら同様に加えていけますし。
4Gamer:
そうしてアレンジした音楽はゲーム内で使う予定はないんですか?
データを差し替えればゲーム内で使うことも可能ですね。キャラクター選択のときに,歌声が流れたりするのもいいかもしれません。
それと,できればネットだけで終わらせたくないんですよ。ファイナルファンタジーなんかだと,リアルで演奏会などが開かれてますよね。そこまではいかなくても,オフ会とかを盛り上げるツールなどとしても使ってもらえるようなものになるといいですね。単純に「ある」だけではなく,「楽しむ」という要素,「楽しめる」要素を追求していきたいところです。
MMORPGはどれも同じ傾向だとは思いますが,ムービーやスクリーンショットなどでプレイヤーが遊んだり,いろいろな楽しみ方がされますよ。そういったものを応援していきたいですね。
チャンネル数が多いなりの展開というのも追求したいですし,やりたいことは本当にたくさんあります。
4Gamer:
ゲーム自体のアップデートは,だいたい一周年に合せる感じでしょうか。
田浦氏:
そうですね。統合してすぐは無理ですが,その分,期待していただいてもかまいません。ただ,新しいコンテンツが増えますので,もしかしたら予期せぬ事態で延期ということもあるかもしれません。
佐野氏:
4Gamerで,先日のChinaJoyで夢世界(武林外伝)の次期アップデートを取り上げていましたが,レジェンドオブチュセンのアップデートも凄いですよ。
夢世界は劇的に自由度が上がっていましたが,それくらい変わるということですか?
田浦氏:
「変わっていきます」ということですね。一度に変えすぎてしまいますと,先ほどいわれたようにプレイヤーさんが消化不良になってしまいますので段階を追って入れていきますが,それまでのレジェンドオブチュセンと比べると「なにこれ」というくらい変わっていきますので,ご期待ください。
4Gamer:
具体的にどうなるかは,まだ話せないのでしょうか。
佐野氏:
中国では導入されていますので調べれば分かると思いますが,まだちょっと出せません。すみません。
4Gamer:
分かりました。期待しています。
不正対策の現状と運営の今後
最近はどこのゲームもそうなんですが,レジェンドオブチュセンもBOTなどが問題になっていますよね。そのあたりの運営側の取り組みについて聞かせてください。
佐野氏:
導入時期は未定ですが,現在,専用の不正監視システムを開発元に依頼しているところです。
4Gamer:
このあたりは他社でも苦労されているようですが,新しいBOTがどんどん増えていると端から削っていってもなかなか減っているようには見えないみたいなんですよね。
田浦氏:
最近は,ゲーム内に入れないようにしようという方向で対策を進めています。BOT対策だけやっている専門チームもあって,毎日ログを追っかけていますし,ほぼ全社総動員で取り組んでいます。一斉検挙を行うなど,一時期よりかなり減っているのは確かなんですが……。
4Gamer:
最後に読者にメッセージをお願いします。
田浦氏:
プレイヤーの波というか,人の動きというのはありまして,増えたり減ったりはするものなのですが,ここ数か月を見ると間違いなく上がってきているんですよ。このタイミングで統合できるというのと,ネガティブな意見が少ないというのは非常に幸いでした。
これからしばらくはレジェンドオブチュセンが大きく変わる転換期になります。サービス開始の頃だけやっていた人は,すでにだいぶ様子が変わっていますので,ぜひ一度ログインしてどう変わったかを見てみてください。
今後は,新規の人が入りやすいように間口を広げていきます。GMのイベントなども,これまで以上に盛り上げていきます。それがきめ細かくできることもサーバー統合のメリットに一つと考えていますのでご期待ください。
佐野氏:
サーバー統合に向けたイベントなどをはじめ,さまざまなイベントを連日,もう寝ないで続けていくくらいの感じでやっていきます(笑),みんなで一緒に楽しめたらという思いでいろいろ企画していますのでご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
その一方で,最近は新規プレイヤー支援のシステムを追加したり,復帰支援に力を入れているのも特徴的だ。
最近話題になっていたのは,一度プレイしていた人に復帰を促す「王者帰還」のイベントだ。これはレベル16以上で1か月以上ログインしていないキャラクターを対象とした復帰促進キャンペーンで,膨大な経験値とともに飛剣や霊獣,騎乗ペットその他,実に豪華な特典がもらえるというおいしい内容である。ちなみに,8月18日のサーバー統合までの限定キャンペーンなので,休止アカウント持ってる人は,急いで受けておこう。
ということで,これは試してみねばなるまい。OBT開始初日に一気にレベル30まで上げたものの鞄と倉庫が満杯で身動きが取れなくて放置されていたキャラを引っ張り出してみた。王者帰還クエストを受けると……。
EXP 58075304 獲得
一瞬でレベル63になった。ちょっと衝撃的。他人のblogなどで調べた結果よりも上がり方が大きいので,もらえる経験値は休止期間に比例するのかもしれない。であれば,OBT初期からキャンペーン末期まで放置されたキャラなので,ほぼ最大級の経験値がもらえた感じ?
……なのはいいんだけど,周りのモンスターが全部灰色でなにもドロップしなくなり,昇段クエストに必要なアイテムがまったく揃わない。あれぇ? まあ,こういうときこそ,コミュニティの力が生かされるのかもしれない。王者帰還を行った天音寺派を見かけたらどうか優しくしてあげてほしい。
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