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主人公Faithのモデルは誰? EA,「Mirror's Edge」のプレゼンテーションイベントを開催
まず,Electronic Arts AsiaのVice PresidentであるChris Thompson(クリス・トンプソン)氏は,「ゲームの歴史において,その後の流れに大きな影響を与えたタイトルがいくつか存在します」と切り出した。例えば「Prince of Persia」(1989年)はアクションゲームのスタイルを変え,FIFAシリーズがスポーツゲームのスタンダードを規定し,「The Sims」(2000年)がシミュレーションの新境地を切りひらいたというわけだ。
「20年間この業界にいて,さまざまなゲーム(その中には世の中に出なかった本当にひどいゲームもあるのですが)を見てきた私の意見ですが,Mirror's Edgeはそうしたエポックメイキングなタイトルの一つになると信じています。本作のLook & Feel,そしてビジュアルはそれまでのゲームとはまったく異なるものなのです」と語る。そしてThompson氏によって紹介されたのが,EA DICEでMirror's Edge開発の指揮を執る,Tom Ferrer(トム・ファーラー)氏である。
Mirror's Edgeは,EA本社にいくつか提出したコンセプトのうちの一つで――ほかのはボツになった――,EA DICEが得意とするファーストパーソンジャンルにおいて,「本当に新しいもの」を打ち出そうと意図したものだ。とはいえ,Mirror's Edgeのすべてが彼のアイデアというわけではなく,コアチームでさまざまな意見を出し合って現在のような姿になったとのこと。制作に関係するスタッフは,アウトソーシングの部分を除いて80〜90人ほどだそうだ。
さて,これまでも何度かお伝えしてきたように,Mirror's Edgeの舞台は現在から数年後の世界。Farrer氏によると,快適だが自由が奪われている街である。政府の手厚い保護のもと,人々は不自由なく暮らしてはいるが,活動やコミュニケーションは厳しく制限された超管理社会であり,それに不満な人々が情報伝達の手段として使っているのが,Faithら情報の運び屋「Runner」というわけである。
これは,「Faithと街の物語」である。タイトルとなっているMirror's Edgeの「ミラー」とは,コンクリートとガラスで作られたクリーンで快適な都市を暗喩したもので,エッジとは「ビルの端から端へ飛び移る」彼女のイメージであると同時に,彼女自身や彼女を使う社会に不満を持った人々がコミュニティのエッジに存在しているということも意味している。
Faithは裏の稼業であるRunnerとなり,彼女の双子の妹は社会の側,つまり警官になった。対照的な二人はまさにミラーイメージだったのだが,ある日,その妹が突然失踪してしまった……というところからゲームが始まる。……と,ちょっとだけディテールが増えたものの,相変わらずここから先の物語についてはプレイしてからのお楽しみとなっているようだ。シンガポールまで訪れておきながら,すいません。
余談ながら,よく管理された社会として有名なのは北欧とシンガポール。欧米やアジアなど,さまざまな都市をモデルにして作られたという本作の街だが,ストーリーの背景を含め,主となるイメージソースはやはりそのあたりにあるのではないだろうか。
ただし,コントロールが必要以上に難しくならないように注意を払っており,「複雑な動きを実現するために100個のボタンを押すようでは困る」とFerrer氏は言う。もっとも,操作系はちょっと異色らしい。熱烈なマウス&キーボード派である筆者はよく分からなかったのだが,レクチャーのあとでMirror's Edgeの試遊(PLAYSTATION 3版)を行ったメディア関係者によると,ボタンの配置が「個性的」で操作が難しかったとのこと。
ちなみに,プレゼンテーションでのゲーム画面にはPC版が使われていたのだが,これは,予定していたPLAYSTATION 3と用意されたモニタがうまくつながらず,仕方なくそうなったのだそうだ。もちろんPCゲームメディアの筆者としては大歓迎である。見たところ,テクスチャがいささか粗く,また影になるところが光っているなど,ライティングなどにもまだまだ調整が必要そうな段階だった。
Mirror's EdgeはPCのほか,Xbox 360とPLAYSTATION 3用にリリースされるが,それぞれの内容にとくに違いはなく,PC版では高解像度グラフィックスがオプションとして選べるようになる。ちょっと気が早いが,ダウンロードコンテンツや拡張パックなどについて聞いてみたところ,「今は言えない」(Ferrer氏)とのことだった。
ゲームの難度は「イージー」「ノーマル」,そして「ハード」の3段階で,キャラクターの動きそのものは変わらないが,敵の強さや銃撃の精度などが上がって戦いが難しくなる。また,ハードモードではRunner Visionが使えず,移動ルートは自分で探さなくてはならない。
プレイ時間はシングルモードで10〜12時間が予定されているが,なにしろスピーディなゲーム展開に主眼が置かれており,慣れてくれば全力疾走したままマップを駆け抜けることが可能というデザインなので,プレイヤーによってはかなり早く終わってしまうかもしれない。
マップの数はチュートリアル面を除いて10種類となる。開発が発表されてから現在まで,「ビルの屋上」以外のロケーションがほとんど公開されてこなかったが,7月のE3 Summitで「地下」が紹介されたように,ゲームの舞台はかなり多彩なものになる。アップダウンも豊富で,いずれも非常にユニークな場所だそうである。
ゲームモードも何種類かあるらしいが,今のところ秘密。またマルチプレイモードについても,まだアナウンスできる段階ではないらしい(大丈夫か?)。
まあ,いずれにせよ,公私ともに充実している様子が必要以上にうらやましいFerrer氏。現地時間14日夜に行われたEA Asia主催のパーティでも,また本日のプレゼンテーションでも元気いっぱい,笑いも止まらないといった同氏の手腕を信頼し,期待してリリースを待ちたいところだ。なお,Mirror's Edgeのさらに進んだビルドが,来週からドイツで開催される「Games Convention 2008」にも展示される予定なので,そちらの記事も期待してほしい。
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- ミラーズエッジ
- Software
- 発売日:2009/01/22
- 価格:
- [Xbox360]ミラーズエッジ【081211発売予定】価格:5490円
- [PS3]ミラーズエッジ【081211発売予定】価格:3218円