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インディーズゲームの小部屋:Room#769「シーズン 〜未来への手紙〜」
最近は,ただ寝ているだけで肩やら太ももやらを痛めてしまう筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第769回は,Scavengers Studioが開発した「シーズン 〜未来への手紙〜」(原題:Season: A letter to the future)をご紹介。本作は,終わりを迎える世界を旅しながら,未来に残すために写真や録音で思い出を記録していくアドベンチャーゲームだ。普通に寝返りを打っただけで寝違えてしまうのは,我ながらあまりにも運動不足すぎるでしょ……。
主人公は,高い山の上にあるキャロ村で生まれ育った黒人の女性エステル。彼女が生まれてから,この小さな村を出た者はいない。エステルが暮らすこの世界では,季節が1つの時代の区切りを示しており,今まさに,1つの季節が終わろうとしていた。そのことを知ったエステルは,大変動によってすべてが消えてしまう前に世界を記録するため,外の世界に旅立つことに……。
本作は3人称視点のロードトリップアドベンチャーで,プレイヤーは主人公のエステルとなり,どこか物寂しい未知の世界を自転車に乗って旅していく。その出発に際し,エステルは村を出る条件として,旅の途中で集めたものを地球の果てにある芸術と記憶の宮殿に納めることを長老と約束する。長老によると,そこだけが季節の変化に耐えられる場所だという。
基本的なゲームの流れは,いくつもの地域に分かれた世界を旅しながら,そこで見つけたさまざまなものをカメラで撮影し,鳥のさえずりや川のせせらぎなどをテープレコーダーで録音して,それを日記に記録していくというもの。これらの写真や録音は「記念品」と呼ばれ,一定数を集めるごとに,少しずつこの世界のことが明らかにされていく。
本作の大きな魅力は,美しくも寂しい滅びゆく世界の風景。村の外はあちこちに人の営みの痕跡があり,今となっては誰にも使われることのないこれらの遺構と,どこまでも静かに広がる自然との対比が印象的だ。山の上にあるキャロ村からの道中は下り坂が多く,眼下の景色を眺めながら自転車で坂道を駆け降りていくのが気持ちいい。それと同時に,めったに人と出会うことがないのも相まって,この世界に自分だけが取り残されてしまったような孤独感も感じてしまう。
この世界ではこれまでに何度も季節が終わりを迎えており,1つ前の季節には戦争もあったという。また,何かの大きな力によって“夢の病”が引き起こされ,人々を苦しめているようだ。季節とはいったい何か,どうして終わろうとしているのか,そのほとんどは謎に包まれている。旅の終わりにエステルがどんな答えを見つけるのか気になった人は,ぜひ本作を遊んでみてほしい。
そんな本作のPC版はSteamとEpic Games Storeにて2800円で発売されているほか,PlayStation StoreでPlayStation 4およびPlayStation 5版が発売中だ。
「SEASON: A letter to the future」Steamストアページ
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