連載
インディーズゲームの小部屋:Room#742「Urbek City Builder」
先日,大事なデータが入ったハードディスクが前触れもなく認識できなくなり,別れはいつも唐突にやって来ることを思い知らされた筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第742回は,Estudios Kremlinoisが開発した「Urbek City Builder」を紹介する。本作は,可愛らしいボクセルアートが魅力的な都市建設シミュレーションだ。みんなは普段からきちんとバックアップを取っておこう!(教訓)
本作は,のどかな田園風景から高層ビルが立ち並ぶ大都市まで,自分好みの街づくりを楽しめる都市建設シミュレーション。大きな特徴は,都市の収入や支出といったお金の概念がないので,財政的な問題に悩まされずに,のんびりと自分のペースで街づくりを進められること。とは言え,無制限に施設などを建てられるわけではなく,さまざまな資源をバランスよく循環させていく必要がある。
ゲーム開始時に用意される最も基本的な資源は,食糧,労働力,木材の3つ。食料を得るためには畑で作物を育てなければならず,そのための労働力が必要となる。労働力は人口が増えることで増加するが,それには木材を使って家を建てなければならない。しかし,人口が増えるとその分だけ多くの食料が必要になり……といった感じに,すべての資源がお互いに支え合いながら,ぐるぐると循環しているのだ。
ゲームを進めると,石炭,鉄,電力など,扱える資源が少しずつ追加されていくが,大原則となるのはこの“すべての資源が循環している”というルールだ。欲張ってたくさんの畑を作っても労働力が足りなくなるし,それならばと先にどんどん家を建てても,たちまち食料などが底をつく。より大きな街へと発展させるためには鉄や電力なども必要で,それらを生み出すためには,また別のリソースが要求される。
収入の概念がないので,街を作ってしばらく放置してお金を貯め……ということができないため,本作では街全体のバランスを取ることが何よりも重要だ。また,建物同士にもシナジー効果があり,周辺の環境を整えてあげることで,より上位の建物にアップグレードされるという要素もある。例えば数軒の家を固めて建てると,粗末な小屋が木造の家になり,その周辺にさらに食料品店や酒場などを建てれば,ちょっと裕福な家に発展するといった具合だ。
街の隅々まで目を配りながら,どの資源も不足させることなく,どこに何を建てるのが効率的かを考えるのは,ちょっとしたパズルゲームのような面白さがある。作った街を自分の視点で歩き回れるのも楽しい機能で,リソースがうまく行き渡り,街が少しずつ大きくなっていく様子を,つい時間を忘れて眺めてしまう。都市建設シミュレーションの醍醐味をしっかりと味わえる中毒性の高いゲームに仕上がっているので,興味を持った人はぜひどうぞ。そんな本作はSteamにて,1730円で発売中だ。
■「Urbek City Builder」公式サイト
https://urbek.tumblr.com/- 関連タイトル:
Urbek City Builder
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