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インディーズゲームの小部屋:Room#721「Lust from Beyond: M Edition」
北京オリンピックのテレビ中継を見るたびに,トップアスリート達の超技に目が釘付けになってしまう筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第721回は,Movie Gamesの「Lust from Beyond: M Edition」を紹介する。本作は,H.P.ラヴクラフトと H.R.ギーガーに触発されたというコズミックホラーアドベンチャーだ。日本人選手が出場していない競技でも,もっとたくさん見てみたい!
タイトルからも分かるとおり,本作は2021年3月にリリースされ,高い評価を得た「Lust from Beyond」のストーリーやゲームプレイはそのままに,より多くの人が楽しめるよう,ヌードや露骨な性的コンテンツを「M」レーティング(17歳以上対象)の要件に合わせて修正したものとなる。筆者がプレイした限りでは不自然に修正されたと感じる部分はほとんどなく,“M”にはほかにも“Mask”や“Mystery”など,複数の意味が込められているようだ。
アンティークショップを営む主人公のビクター・ホロウェイは毎日のように悪夢に悩まされており,ついには婚約者のリリーに暴力を振るうまでになってしまった。そこでリリーからオーステルリッツという心理療法士を紹介され,診察を受けるためにブリークムアという街を訪れたビクターだったが,彼はここでカルト教団の恐るべき儀式に巻き込まれてしまう……。
本作は一人称視点のホラーアドベンチャーで,プレイヤーは主人公のビクターとなり,現実世界と悪夢の中で見た異次元の世界「Lusst'ghaa」(ルストガア)を歩き回って,狂気に満ちた冒険を繰り広げることに。ビクターを付け狙うカルト教団は“永遠のエクスタシー”に関する何らかの秘密の儀式を進めており,そのために“見えし者”と呼ばれるビクターの特別な力が必要なのだという。
基本的なゲームの進め方は,物陰に潜んで敵から身を隠し,鍵となるアイテムを手に入れてギミックを解くという,サバイバルホラーで定番のもの。ゲームを進めるとナイフや銃といった武器も入手できるが,回復アイテムや銃弾には限りがあるので,戦闘はあくまで最後の手段と考えよう。そんな本作の大きな魅力となっているのが,ラストまで気を抜けない不気味で難解なストーリーと,それを見事に表現したグラフィックスだ。
とくに,まるでエイリアンの巣に迷い込んでしまったかのような異世界ルストガアのビジュアルは強烈で,一見の価値あり。人知を超えた存在への言い知れぬ恐怖と,人類が触れてはならない邪悪な何かを描いたストーリーも素晴らしく,コズミックホラーのファンにぜひオススメしたい。Steamではそんな本作のデモ版が配信されているほか,製品版が1840円で発売中。興味を持った人は,まずはデモ版をお試しあれ。
■「Lust from Beyond: M Edition」公式サイト
https://lustfrombeyond.com/- 関連タイトル:
Lust from Beyond: M Edition
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