連載
インディーズゲームの小部屋:Room#720「Lake」
長引くおうち生活ですっかり緑が恋しくなり,最近はホームセンターで買ってきたミニサボテンに心を癒されている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第720回は,Gamiousが開発した「Lake」を紹介する。本作は,都会での生活に疲れてしまった主人公が,久しぶりに帰ってきた故郷で臨時の郵便配達員として過ごす日常を描いたアドベンチャーゲームだ。見た目に可愛らしくてお世話も簡単なので,もっとたくさん買って並べようかな。
本作の舞台は1986年のアメリカで,主人公は40代の女性,メレディス・ワイス。メレディスは大都市のソフトウェア会社に勤務しており,休日の夜も自宅で残業をするなど慌ただしい生活を送っている。そんな彼女だが,あるとき2週間の休暇を取り,父の代役として故郷のオレゴン州で臨時の郵便配達員をすることに……。
メレディスが生まれ育ったのは,美しい自然に囲まれた,プロビデンスオークスという小さな湖畔の町。22年ぶりに戻ってきたこの町で,古い友人との再会や新しい出会いを通じて,メレディスは自分の人生を見つめ直していくことになる。
基本的なゲームの流れは,毎朝,配達用のバンに乗って郵便局を出発し,地図と配達リストを確認しながら,手紙や小包を目的地に届けるというもの。気の休まる暇がない都会での暮らしとは正反対に,プロビデンスオークスではどこかゆっくりと時間が流れており,カーラジオから流れるポップソングを聴きながら車を走らせているだけなのに,日頃のストレスから解放されたような気分を味わえる。
この町では殺人事件といった特別なことは起こらないが,その代わりに町を離れてからずっと連絡を取っておらず,ちょっとギクシャクしてしまった旧友と再会したり,少し気難しい猫好きの老婦人と知り合ったりと,毎日の配達の中では新旧さまざまな出会いが待っている。またある時は,まだ独身のメレディスにとって,大事なパートナーとなるかもしれない人物との巡り合いもある。
ストーリーはこうした人々との交流を通じて,メレディス自身がどんな選択をするかで変化していく。誰とどのような関係を築き,2週間の滞在のあとに都会に戻るのか,それとも静かなプロビデンスオークスに残るのか。その選択に間違いや正解は存在しない。ゲーム内のある人物が語るように,「人生を自分のものにする」とはどういうことなのかを考えさせてくれるゲームなので,今の生活に少し疲れているように感じているなら,ぜひ遊んでみてほしい。
そんな本作はSteamでデモ版が公開されているほか,製品版が2050円で発売中。また,Xbox Game Passでも配信中だ。
■「Lake」Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/1118240/Lake/キーワード
Whitethorn Digital & Gamious 2021