連載
インディーズゲームの小部屋:Room#712「Wytchwood」
そろそろ年末の大掃除を始めようと思いつつ,時間があるとつい遊んでしまう筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第712回は,Alientrapが開発した「Wytchwood」を紹介する。本作は,覚えのない契約に巻き込まれてしまった年老いた魔女が,童話のような世界を探索するアドベンチャーゲームだ。まあ,積みゲーを消化するのも片づけのうちということで……。
本作の主人公は,小さな家でのんびりと暮らしている年老いた魔女。そんな彼女のもとに,あるとき人の言葉を話す黒ヤギがやって来たことから物語が始まる。黒ヤギは自らを魔女の古い友人だと名乗り,約束のものを受け取りに来たと彼女に告げる。それはなんと,魔女の家の庭先にある,封印された石造りの門の先で眠る乙女の呪いを解くために必要な“12の邪悪な魂”だという。
黒ヤギの話によると,どんな理由かは分からないが魔女はかつて生気を失ったその女性を彼(?)のもとに連れてきて,彼女の魂を救ってほしいと懇願したという。なぜか,そのことをすっかり忘れていた魔女だが,黒ヤギが真実を語っていると感じ取り,乙女を眠りから解放するために12の魂を集める旅に出発するのだった。でもこの話,どうも裏がありそうな……。
本作は,さまざまな材料を集めて魔法の道具や秘薬を作り,住人達の手助けや事件の解決をしながら魂を集めていくアドベンチャーゲーム。魔女には周囲の生き物や道具を調べることで新しいレシピを発見する能力があり,見つけたレシピは魔導書に追加されていく。もともとはこの魔導書にたくさんのレシピが書かれていたようだが,どうやら黒ヤギに全部のページを食べられてしまったらしい。おい,なんてことをしてくれたんだ!
作れる道具は,おいしいお菓子から魔除けのお守りまで多種多彩。材料は主にフィールドで拾えるが,中にはハサミや手斧といったツールがないと収集できないものもあり,自分で作った秘薬を材料として使う場合もある。また,フィールドにいる生き物を弱点となる道具を使って退治すると,肉や血液といった,ちょっとおどろおどろしい材料を入手できるのも魔女らしくて面白い。
本作では人間と擬人化された動物が共存しており,童話のような世界観が絵本のように温かみのあるタッチで描かれているのが大きな魅力。ストーリーや登場人物もどこか教訓めいていたり,掴みどころがなかったりと独特な雰囲気を放っている。ゲームプレイとしては,細部まで描き込まれたフィールドで目的の材料を探し回るのがメインとなるので,いわゆる“探し物ゲーム”が好きな人なら大いに楽しめるだろう。
そんな本作のPC版はSteamにて2050円で発売されているほか,Nintendo Switch版,Xbox One,Xbox Series X/S版が各ストアで配信中。おとぎ話の世界で,ちょっぴり奇妙な物語を味わいたいという人はぜひどうぞ。
■「Wytchwood」Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/729000/Wytchwood/キーワード
Whitethorn Digital & Alientrap 2021