連載
インディーズゲームの小部屋:Room#679「Say No! More」
4月に始まったアニメ新番組の録画がすでに溜まり始めて,頭を抱えている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第679回は,Studio Fizbinが開発した「Say No! More」を紹介する。本作は,上司や同僚の理不尽な仕打ちを「ノー!」のひと言で吹き飛ばしていくというコメディゲームだ。こんなにたくさんアニメを放映されても追いつけないよ!(切実)
本作の主人公は,とある会社にインターンとして入社したばかりの“彼”もしくは“彼女”。主人公の性別と外見はゲーム開始時に自由に選べるが,そこは問題ではない。なんとこの会社では,どんなことにも「イエス」と答えなければならないというルールがあったのだ。入社早々,さっそく先輩社員から次々に雑用を頼まれ,おまけに親友が作ってくれたお弁当まで,お昼を持参するのを忘れた主任に奪い取られてしまう。うーん,これはヒドイ。
気弱なせいで言い返すこともできず,すっかり意気消沈してしまった主人公だが,ガラクタ置き場のような自分のデスクで偶然見つけた1本の古いカセットテープによって状況は一変。「もっと『ノー』と言おう」と書かれたそのテープを聞いたことで,自信を持って「ノー!」と言える力を身に付けたのだ。そして主人公はこの力で奪われたお弁当を取り返すため,人の昼食を狙う不届きな上司や,はた迷惑な同僚に立ち向かっていく……。
本作は一見すると三人称視点のアクションゲームのようだが,そうではない。主人公はオートで社内を突き進み,その前に立ちはだかって,コピー機の詰まりを直せだの,コーヒーを淹れてくれだのと言ってくる上司や同僚に,Spaceバーを押して「ノー!」を突き付けて吹き飛ばすというのが基本的な遊び方だ。この「ノー!」は英語だけでなく,ドイツ語やフランス語,そしてもちろん日本語も含む,17言語から音声付きで選べるのが面白い。いやです!
では,普通に「ノー!」と言っただけでは通じない,手ごわい相手に出くわしたときはどうすればいいか。そんなときは,Spaceバーを長押しして力いっぱい断る「溜めノー」の出番だ。この「溜めノー」を放つには気力が必要で,気力は相手をさらに動揺させる挑発アクション「不敵に笑う」によって溜めることができる。
主人公が最初に身に付けた「ノー!」は熱い思いがこもった「激アツノー」というもので,ゲームを進めることで,冷たく言い放つ「冷え冷えノー」,疲れないための「省エネノー」,そしてとにかく全力で断る「クレイジーノー」という新たな技(?)を習得していける。また挑発アクションも「不敵に笑う」だけでなく,「相手を挑発するように拍手する」「イエスを期待させるようにうなずく」「検討するふりをして首をかしげる」と徐々に増え,相手によって反応が変わるので,様子を見ながら使い分けていこう。
思わず吹き出さずにいられないハチャメチャなストーリーと,あまりにもバカバカしい……じゃなくて,斬新なゲームシステムが大きな魅力で,遊び終えたあとは何だか少しだけ元気をもらえるような気がする本作。人に迷惑をかけることさえしなければ,もっと自分らしく生きていいんだというポジティブなメッセージにあふれたゲームなので,日頃から何かをうまく断れずに悶々としている人に,ぜひオススメしたい。
そんな本作のPC版はSteamにて1980円で販売されているほか,Nintendo Switch版もニンテンドーeショップで発売中だ。
■「Say No! More」公式サイト
https://www.saynomo.re/- 関連タイトル:
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(C)Studio Fizbin GmbH 2021. Published by Thunderful Publishing AB. All rights reserved.
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