連載
インディーズゲームの小部屋:Room#655「Raji: An Ancient Epic」
念願のピカピカ光るキーボードを手に入れてご満悦の筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第655回は,Nodding Heads Games開発した「Raji: An Ancient Epic」を紹介する。本作は,神々の加護を得た少女が,悪魔にさらわれてしまった弟を取り戻すために冒険するアクションアドベンチャーだ。これで原稿を書くのが楽しくなる……なんてことはなかったので今日はもう上がっていいですか。
本作の主人公は,小さなサーカスの一員である少女ラジ。同じサーカスに所属する弟のゴルーは唯一の家族だ。ある日,いつものように2人が広場で芸を披露していると,突然悪魔が現れて人々を襲い始め,ゴルーが悪魔に連れ去られてしまう。その混乱の中でシヴァ神の妃にして戦いの女神ドゥルガーに見出されたラジは,神の加護を受けた武器を授かり,弟を取り戻すための戦いに身を投じていく……。
本作はインドの神話「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」をモチーフにしたアクションアドベンチャーで,プレイヤーは主人公のラジを操作して,悪魔の王マハバラスラとその軍勢に立ち向かうことになる。もともとラジはサーカスで綱渡りの芸を行うなど身体能力が高く,ドゥルガーからもらった三叉槍トリシューラを武器に,軽業師のような身のこなしで数々の難所を乗り越え,敵と戦っていく。
このゲームでまず目を引くのが,中世インドの面影を残した建築物と美麗なグラフィックスだ。基本的な画面構成は斜め見下ろし型の視点だが,シーンによって大きくアングルを変えることで奥行きを感じさせるものとなっており,崩れかけた神殿のようなステージや,神の姿を描いた巨大な壁画などを効果的に見せることに成功している。
ラジのアクションや攻撃方法も多彩で,通常のジャンプのほかに壁走りをしたり,柱をよじ登ったりできるほか,攻撃時にも壁を蹴って宙返りしながら斬りつけたり,体力が減った敵にとどめ攻撃を繰り出したりといった,特殊なアクションが用意されている。
また,ラジの武器は三叉槍のほかに,弓と剣(&盾)があり,ゲームを進めることで入手できる。空を飛び回る敵には弓,素早い動きで接近戦を仕掛けてくる相手には剣と盾など,武器の使い分けが重要だ。
さらに,ゲーム内の壁画を調べることで,マヒシャースラやブラフマーなど,ヒンドゥー教の神々の逸話が挿入されるのも特徴の1つ。インド音楽という呼び方で正しいのかは分からないが,エキゾチックな音楽もゲームの魅力を引き立てており,全体的に完成度の高い作品に仕上がっている。
唯一,日本語化されていないのが残念な点だが,Steamでは「Raji: Prologue」として無料で遊べるプロローグ版が配信されているので,興味を持った人はこちらからどうぞ。また,製品版は2570円で発売中だ。
■「Raji: An Ancient Epic」公式サイト
https://rajithegame.com/- 関連タイトル:
Raji: An Ancient Epic
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