連載
インディーズゲームの小部屋:Room#653「When The Past Was Around」
最近は宇宙戦闘機パイロットとして,新共和国軍と帝国軍の戦いに身を投じている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第653回は,Mojikenが開発した「When The Past Was Around」を紹介する。本作は,誰かを愛することの喜びと痛みについてを綴ったポイント&クリック型アドベンチャーゲームだ。TIEファイターの視界の狭さがヤバいですね……。
本作の主人公は,20代前半の女性エダ。かけがえのない恋人であるフクロウ(のような姿の男性)を亡くして悲しみに暮れる彼女の過去を振り返り,やがて失意の底から立ち直って,前向きな気持ちを取り戻すまでを描いたストーリーが展開される。
基本的なゲームシステムは,画面上の気になるオブジェクトをクリックして調べたり,アイテムを集めて正しい場面で使ったりといったおなじみのもの。物語はプロローグを含めて全6章で構成されており,エダとフクロウの出会いから別れまでが,温かみのある素敵なイラストと,心地いい音楽によって描かれていく。
エダは幼少時からバイオリンを習っており,子供の頃は周囲から褒められるなど,幸せなときを過ごしていた。しかし,大人になるにつれて他人との才能の差に思い悩むようになり,いつしか自信を無くしていったようだ。そんなときに出会ったのが,病院の庭でお医者さんや子供達を相手に楽しそうにバイオリンを弾いていたフクロウだ。
2人はやがて親しくなり,一緒にお茶を飲みながらおしゃべりを楽しんだり,海辺のピクニックに出かけたり……といったストーリーが,文字をいっさい使わずに紡がれていく。本作では,こうした何気ない日常の中にパズルが隠されており,それを解くことで物語が進んでいく。たまに複数のシーンにまたがった謎解きもあるが,基本的にはどれも画面をじっくりと観察すれば解けるものばかりだ。
そんな本作最大の魅力は,女性ファッション誌のイラストエッセイと言われても違和感がないような,お洒落で可愛らしい手描きイラスト。ちょっぴり,わたせせいぞう風のシンプルな線と,落ち着きのある色調で日常のひとコマを生き生きと描いたイラストは,どれも素晴らしく,うっとりと眺めてしまう。ピアノやバイオリンをフィーチャーした心地いい音楽も,普遍的でロマンチックな物語のテーマを盛り上げてくれる。
ゲームはゆっくり遊んでも2〜3時間でクリアできるボリュームで,製品版がSteamにて820円で発売中。また「When The Past Was Around - Prologue」として,ゲームの序盤を体験できる無料のプロローグ版も配信されているので,興味を持った人はまずはこちらからお試しあれ。
■「When The Past Was Around」公式サイト
https://www.togeproductions.com/project/when-the-past-was-around/- 関連タイトル:
When the Past Was Around 過去といた頃
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When the Past was Around (C)Developed by Mojiken Studio and Toge Productions. Published by Chorus Worldwide Games.
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