連載
インディーズゲームの小部屋:Room#628「パズル探偵スカウト」
近頃,外を出歩くとクシャミと鼻水が止まらない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第628回は,Mediatonicが開発した「パズル探偵スカウト」を紹介する。本作は,「お絵かきロジック」を解いて証拠品を集めつつ,殺人事件の調査を進めていくミステリーアドベンチャーだ。そろそろ花粉症のシーズンかな……。
本作の主人公は,人気テレビドラマで探偵役を務める女優のホナー。しかし,彼女はプロデューサーから突然クビを宣告され,その直後,何者かによってプロデューサーが殺されてしまう。容疑者の一人として,本物の殺人事件に巻き込まれてしまったホナーは,偶然出会ったロボット「スカウト」とコンビを組み,事件の真相を突き止めるために調査を開始する……。
相棒のスカウトは高度なAIを持つ自律型の小型ロボットだが,なぜかメモリ(=記憶)の大半を失っており,気づいたときにはスクラップ置き場に捨てられていたという謎だらけの存在だ。しかしロボットならではの分析能力は健在で,現場の調査はスカウトのスキャニング機能を使って行う。部屋のあちこちにカーソルを合わせると手がかりがありそうな場所が赤く反応し,パズルがスタート。これを解くと,証拠品などが入手できる。
本作最大の特徴は,このパズルにお絵かきロジックが採用されている点。これは,縦と横の数字をヒントにマス目を塗りつぶしていき,最終的にイラストを完成させるパズルのことで,「ピクロス」とも呼ばれている。本作の場合,パズルは最大15×15マスと手ごろな大きさで,何度でも使えるヒント機能が用意されているので,初心者でも安心してプレイできるだろう。
ただし,ヒント機能を使用するとパズルを完成させた際の獲得スコアが下がってしまうので要注意。本作では,スコアを得て探偵ランクを上げることでボーナスパズルが追加され,これらを解くことでスカウトの記憶に関する隠しエピソードが読めるようになっているが,ヒントをもらうとそのために必要なスコアが足りなくなってしまうのだ。隠しエピソードを含めて,隅々までストーリーを知りたい人は,自力でじっくりとパズルに挑戦してほしい。
パズルが完成すると証拠品のイラストになり,これを容疑者や周囲の人々に提示することでストーリーが進んでいく。謎解きのメインは上述のパズルにあり,ここでつまずくことはないだろう。殺人事件がテーマではあるが,個性的な登場人物達とのウィットに富んだ会話のおかげで暗い雰囲気にならず,丁寧な日本語ローカライズによってすんなりと物語に入り込める。そして何より,お絵かきロジックが楽しくて,つい夢中になってしまうゲームに仕上がっている。
そんな本作は,PC版とNintendo Switch版が,Steamとニンテンドーeショップで各1650円で発売中。たまにはお絵かきロジックで遊んでみようかなという人は,ぜひどうぞ。オススメです。
■「パズル探偵スカウト」公式サイト
https://theirregularcorporation.com/game/puzzle-tantei-scout/- 関連タイトル:
パズル探偵スカウト 失われたデータの陰謀
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(C)Mediatonic/The Irregular Corporation 2020
(C)Mediatonic/The Irregular Corporation 2020