インディーズゲームの小部屋：Room＃595「A Short Hike」

　最近初めて，V字型の機体を持つ“フライングV”という旅客機の存在を知った筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第595回は，「A Short Hike」を紹介する。本作は風光明媚な小さい島で，ほかの動物達と交流したり，のんびり釣りをしたり，ときどき空を飛び回ったりして自由に過ごすというアドベンチャーゲームだ。フライングVと言ったら，神も愛用しているギブソンのギターでしょ……。


　都会を離れてリラックスして過ごすため，夏休みを利用して自然豊かな小さな島，ホークピーク州立公園にやってきたツバメのクレア。島にいるほかの動物達とのふれあいの中で，島の中央にある高い山の頂上から見える景色の美しさを聞かされた彼女は，ちょっとしたハイキング気分で，自分もその場所を訪れてみたいと思うようになる。


　しかし，山のてっぺんを目指すのは，クレアが考えるほど簡単ではなかった。険しい崖をよじ登るには，身に付けると体が軽くなる「ゴールデンフェザー」というアイテムが必要となるので，これを集めるのが当面の目的だ。ゴールデンフェザーは島の各所に落ちているほか，あちこちにあるコインを集めて，ほかの動物から買うこともできる。たくさんのゴールデンフェザーを手に入れれば，そのぶんだけ高い崖を登れるようになる仕組みだ。


　とはいえ，焦ってゴールデンフェザーを集めるのではなく，自分のペースで自由に楽しめるのが本作の良いところ。島を散歩しながら，ほかの動物達の困りごとを手助けしたり，川や海辺で釣りをしたり，高所から飛び降りて滑空し，森の上を回ってみたりと，気の向くままにやりたことをすればいいのだ。動物達の頼みを聞いてあげるとお礼にアイテムがもらえ，釣った魚を売れば，コインに変えることもできる。


　島は小さいようでいて，いざ探索するとなると結構な広さがある。空から見下ろさないと分からない位置にアイテムが隠されていたりもするので，隅々まで調べてみよう。山をどんどん登っていくと，最初は夏の風景だったものが秋になり，頂上付近は雪が舞う冬山になる。このあたりになると，寒さのせいでゴールデンフェザーがどんどん凍りつき，いつもより登れる距離が短くなってしまう。最終的に，かなりたくさんの羽根を集めておかないと頂上は望めないだろう。


　「どうぶつの森」のような，ほのぼのとした世界観が魅力的で，美しい景色を満喫しながら，可愛らしい動物達との交流を楽しめる本作。ゆっくりプレイしても3時間ほどでクリアできるボリュームで，ラストにはちょっぴり泣かせる展開が待っている。たまにはゲームでのんびり過ごしたいという人は，ぜひクレアと一緒にまだ見ぬ山頂を目指してみてほしい。そんな本作はSteamにて，820円で発売中。オススメです。

■「A Short Hike」公式サイト

http://ashorthike.com/